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目ざめよ! 1983
目83 3/22 16–19ページ

列車でリヨンへひとっ飛び

フランスの「目ざめよ!」通信員

「ビーイエー,シル・ブ・プレ!」 濃紺の制服に身を固め,スマートな帽子をかぶった検札係が切符の提示を求めます。この人の存在で,自分が飛行機ではなく,フランスのトランナ・グランド・ビテス,つまりTGV(高速列車)という世界一速い列車に乗っていることを思い起こします。パリからかなり離れると,列車はフランス第三の都市で,アルプスやイタリア,マルセイユやリビエラへ向かう線の主要な停車駅であるリヨンへ向けて時速260㌔で走ります。

しかし,超音速飛行とスペースシャトルのこの時代に,革命的な新方式の鉄道輸送手段を開発することにどんな利点があるのでしょうか。フランス国鉄はなぜこうした新しい冒険的な事業に乗り出したのでしょうか。

新しい幹線

パリ-リヨン間の鉄道路線はこれまでもずっとフランスで一番交通量の多い線の一つでした。路線の3分の1が複々線化され,残りの区間も複線化されているにもかかわらず,ピーク時にはもはやこなしきれなくなっていました。海外の進歩 ― 特に日本の東海道新幹線の“弾丸”列車の成功 ― を考慮し,全く新しい線を敷設することが決まりました。

パリとリヨンを結ぶこの新線は最初から旅客専用にすることが決められ,車両もすべて高速運転用にふさわしく設計されていました。この新線の一番驚くべき点はトンネルが一つもないことです。では,列車はどうやって丘を越えるのだろうか,という疑問がわくかもしれません。

これはTGVのとりわけ重要な特徴にわたしたちの注意を向けます。その特徴というのは非常な軽さです。普通の列車よりもはるかに軽いのです。強力な電気機関車を前後に備えた8両編成の各列車は,重い貨物列車や普通の旅客列車に比べてはるかに険しい勾配を越えることができます。普通の線路であれば勾配が1%を超えることがないのに対して,この路線の勾配は3.5%に達します。これは列車が下り坂に差し掛かると特によく分かります。列車に乗っているというよりは,これから着陸しようとしている飛行機に乗っているような気持ちになります。a スピードが速いので,列車は自らの勢いでほとんどの場合に丘を越えてしまいます。お察しの通り,トンネルなしの路線のほうが工費がはるかに安くつきます。

列車と線路

先端のほっそりした,このオレンジ色と黒褐色に塗られた列車は,標準型の車両に比べて重心が低くなっています。これは台車が車両の両端に付いているのでなく,車両と車両の間に台車が位置しているためです。このため車輪の上に当たる部分に座席はなく,より静かで,快適な旅ができます。それだけでなく,列車の乗り降りも楽になります。

線路そのものにかかわる別の要素も快適な乗り心地に貢献しています。レールは溶接されて各セクションが非常に長くなり,内側に厚いゴムのクッションを入れたクリップの上に載せられ,それが枕木に固定されています。さらに,道床は普通よりもかなり深くなっています。

座席の指定券をお忘れなく!

安全を図るためにTGVには立ち席が認められていないので,どうしても座席の指定券が必要です。フランスでは数年前に切符予約システムがすでにコンピューター化されており,今回新しい列車のために幾らかの変更が加えられました。言うまでもなく,今でも駅や旅行社で座席の指定券を求めることができますが,TGVに乗る場合にはプラットホームの入口で指定券を求めることもできるのです。

自動券売器に“話し掛け”,自分の乗りたい列車に席があるかどうか,臨時列車が予定されているかどうか,そして(その列車が満員なら)次のTGVの時間を知らせてもらうことさえできます。出発時間の5分前まで座席の指定券を求めることができます。しかし,出発間際になると,希望者の多い禁煙車を選ぶ道はありません。

出発進行!

席に着いて,楽にしてください。ブルーやグリーンの座席の色からすると,わたしたちが乗っているのは二等車です。一等車の座席はオレンジ色か茶色だからです。専用の照明,一つずつ分かれた座席,そして中央にある通路などを見ていると,飛行機に乗っているかのような気持ちになります。車窓を時速260㌔で飛び去って行く田園風景がなければ,完全に錯覚に陥るところです。

おなかがすきましたか。旅行する時間にもよりますが,一等車では男女の旅客係に温かい食事を注文することもできます。フランスの美食のメッカ,リヨンに向かっているということを忘れてはいけません! 二等車の乗客は8両編成の列車の中央部にある軽食堂に行くことができます。

安全性

コンピューターは座席指定のためだけに使われているのではありません。パリでTGVに乗るターミナルである(パリ市内の)リヨン駅のコンピューターは,このネットワークの全般的な監督と運営に当たっています。平常運行の時期には,PAR(転轍制御システム)が列車間の間隔を調整し,自動遠隔操作伝達により,あるいは必要なら電話や無線により,機関士に指示を与えます。そのような高速運転をしている時には,線路のわきに立っている信号を識別することは機関士にとって非常に困難でしょう。

この線には踏切が一つもありません。また,幹線道路が線路の上を立体交差する場所には,重い物体が軌道の上に落下した場合それを探知する金網安全装置が必ず取り付けられています。それが作動すると警報が鳴り,近付いて来る列車すべてが止まります。軌道は全線両側を金網のフェンスで囲まれています。

空の旅か鉄道の旅か

TGVでの旅は普通の列車よりも決して高いものではありません。それに様々な利点があります。例えば,運賃は短距離の空の旅と比べても十分競争力があります。また,1983年に全線が開通すれば,乗客はパリの中心部からリヨンの中心部までの距離(426㌔)をわずか2時間で旅行することができるようになります。現在でも,空港までの行き来に必要とされる時間を計算すれば,空の旅のほうが時間のかかる場合も少なくありません。

この線はヨーロッパ全体のネットワークと同じ軌間で敷かれているので,旅はリヨンまでにとどまらず,ジュネーブまで行くこともでき,近い将来にはローザンヌ(いずれもスイス),グルノーブル,さらにはリビエラ海岸のニースにまで行けるようになります。これらの目的地に行くために,TGVは新線に乗ってパリを離れ,後に在来線に入ります。もちろん,在来線に入ればスピードを落とさなければなりませんが,それでもパリとこれら他の都市との間の所要時間を短縮することになります。

他の国々の高速列車

この分野に関して世界中で行なわれている研究によれば,鉄道輸送は廃れかかっているなどとはとても言えないようです。エネルギー危機は鉄道を立ち直らせました。というのは鉄道の燃料効率は他のいかなる種類の陸上輸送手段よりも高いからです。ドイツはその主要幹線網を改良しており,幾つかの列車はすでに時速200㌔で走っています。イタリアにも,ローマとフィレンツェを結ぶディレッティシマと呼ばれる高速新線があります。

英国はこの問題を別の角度から検討しています。そのAPT(高度旅客列車)は在来の標準軌道を走るような設計になっています。英国の研究者はオートバイのようにカーブで傾斜する振り子列車を考え出し,それによって最高速度を,在来の軌道を走る最も速い列車より20ないし40%速く走れるようにしました。

日本も遅れを取ってはいません。時速210㌔で走る新幹線網を拡張する計画をすでに立てているからです。北国の天候の問題に対処し,平常ダイヤを維持するために線路に湯を散布するシステムさえ考案されています。

しかし現在のところ,一番速い旅客列車のブルー・リボンを保持しているのはフランスです。ですからいつの日かフランスを訪れ,商用かバカンスで南下したいと思われるなら,リヨンまで列車に乗ってひとっ飛びできることをどうかお忘れなく!

[脚注]

a 参考までに,飛行機が着陸する時のグライドパスの角度は一般に2.5%です。

[16,17ページの地図/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

パリ

ディジョン

リヨン

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