世界展望
輸血を受けた幼児がAIDSで死ぬ
● 米国ジョージア州アトランタの疾病コントロール･センターの報告によると，輸血のために幼児が死亡した。その血によって，主に同性愛者たちがかかる致命的な病気であるAIDS（後天性免疫不全症候群）に感染したためである。アトランタの疫学機関もまた，度々血液凝固物質を血管内に注入された血友病患者の間に，AIDSにかかった人が数人いることを報告し，次のように述べている。「この報告をはじめ，血友病患者の間にAIDSにかかる人が相変わらず報告されていることは，AIDSが血液や血液製剤によって伝染するのではないかという重大な問題を提起する」。
いん石が居間に侵入する
● 科学者の推測によれば，毎日2億のいん石あるいは流星が地球の大気中に見られるという。そのほとんどは地上に落ちてくる前に完全に燃え尽きてしまう。そのため，地上に落下するいん石の数は年間500にすぎず，それらのうち再発見されるものはごくまれである。しかし，最近，米国コネチカット州のウエザーズフィールドで一つのいん石が発見された。それはある家の屋根に落下し，さらに2階と1階の天井を突き破って居間に落下したものである。重さは約3㌔で，グレープフルーツほどの大きさである。驚くべきことに，ウエザーズフィールドの家の屋根を突き破っていん石が落下したのは，過去11年間にこれで2度目である。マサチューセッツ州ケンブリッジにあるスミソニアン天文物理学観測所の地質学者アースラ･マービン博士は，「同じ町に2度落下するということは，とても理解し難いことだ」と語った。マービン女史は，その黒い物体が火星と木星の間に存在する「一種の天空における岩石の庭」である小惑星帯から来たものであろうと付け加えた。
法王シチリア島を訪問
● 法王ヨハネ･パウロ2世は最近シチリア島を二日間訪問した。同法王がイタリアにおける職務上の旅行で，ローマ以外の所に宿泊したのはこれが初めてである。法王はシチリア人に暴力と戦争のない社会を作るよう呼びかけた。この訪問を取り上げたニューヨーク･タイムズ紙はこう述べた。「同島のあらゆる地方から来たシチリア人の大きなグループに対して13の説教や演説を行なった法王が，島の人々の多くをおびえさせている組織であるマフィアを直接にも，明瞭にも，決して非難しなかったことに多くの人々は驚きを表わした。当局者の話によると首都とその周辺だけでも，[1982]年当初から124件の殺人と，さらに130人に上る行方不明者および死んだとみなされている者たちにマフィアが関係しているとみなされている」。
また，ニューヨークのデーリーニューズ紙は法王の訪問に関し次のように論評した。「用意されていた演説の原稿がパレルモ広場の集会に先立って公表されたが，その中で法王は，シチリア教会がマフィアの団員を破門することにやはり支持を表明していた。ところが，ヨハネ･パウロが演説を読む段になると，その部分は省かれた。ギャングに不利な証言をすることを多くのシチリア人に思いとどまらせる，秘密主義と復しゅう行為のマフィアの決まりであるオメルタと戦うよう若者たちに訴える箇所も削除された。法王はまた，マフィアの暴力行為は，『あなた方の司教たちが最近繰り返し述べているように，道徳的非難を十分に受けなければならない』と述べた箇所をも省略した」。
国連の「階級闘争」
● 米国の国連大使ジーン･カークパトリックは最近，国連が米国およびその法人に対してマルクス主義的「階級闘争」を行なっていると非難した。同女史は，国連の官僚たちから成る「新階級」が「世界的社会主義」を達成しようとしていると非難した。ニューヨーク･ポスト紙は彼女の非難を伝える記事の中で，次のように述べた。「カークパトリック女史はワシントンのメイフラワーホテルでのレギュレーション誌の朝食会に集まった300人の出席者に，この世界機構が今や，貧困の責任はすべて富者にあるとの主張に基づくマルクス主義のイデオロギーを推し進めていると述べた。……米国政府は国連内のこの破壊的なイデオロギーと影響力を理解して，それと闘わねばならない，と女史は述べた」。
インフレによる紙幣の印刷
● 最近イスラエルは，富と寛大さの象徴となっているエドムンド･ド･ロスチャイルドの肖像の付いた最高額の銀行券である500シェケル紙幣を発行した。新しい紙幣の目的は，イスラエル人たちが紙幣の詰まった財布を持ち歩かなくてもよいようにするためであった。それまでの最高単位の紙幣はわずか100シェケルであった。新しい紙幣は発行当時約4,000円の価値があったが，三けた台のインフレが続くと，1年以内にその価値は半減すると考えられている。イスラエル銀行のスポークスマンは，「我々のインフレは紙幣印刷局に多くの問題を与えている」と述べた。銀行の重役たちは既に1,000シェケル紙幣の発行を計画しており，故ゴルダ･メイア首相の肖像を印刷した2,500シェケルおよび5,000シェケル紙幣の発行の可能性もあるとみている。
テレビ･ゲームに対する警告
● 米国公衆衛生局のC･エベレット･クープ局長は，テレビ･ゲームが若者の健康に有害な影響を及ぼし得ることを警告した。子供たちはつかれたようにゲームに夢中になり，「身も心もそれに打ち込む」と同局長は述べ，さらにこう付け加えた。「彼らの身ぶり言語はすさまじい。それは敵をやっつけろ，に尽きる。ゲームには少しも建設的なところがない」。また，教育的なテレビ･ゲームもあるにはあるが，「子供たちが好み，夢中になってやる種類のゲームは，火星人が登場してそれを殺さなければならないといった種類のものである」とも述べた。さらに，テレビ･ゲームのために「子供たちの行動に異常が見られること」にやっと気付きはじめたと述べている。テレビ･ゲームによる徴候には，「子供たちの緊張や不眠症，また彼らが一日中行なっていたことに関係した夢」などが挙げられている。
世界最大の水力発電
● ブラジルとパラグアイの国境沿いを流れるパラナ川を横断して全長約8㌔に及ぶ世界最大の水力発電ダム，イタイプが建設され，最近，ブラジルの大統領とパラグアイの大統領によって開始式が行なわれた。ダムの堤高は184㍍。これの建設に使用されたセメントの量は膨大なもので，中形の都市を八つ建設するに足るほどのものであると言われている。イタイプの建設には既に7年かかっているが，最大出力で稼動するには1989年まで待たねばならない。その最大出力1万2,600メガワットはエジプトのアスワンハイダムの出力の約6倍に相当する。
揺りかごには大きすぎる
● ブラジル，サンパウロ州グアルリョスのモンディニ･アントニオとルズィネテは，重さ6㌔880㌘，身長57㌢の男の子の親となった。ラファエルと名付けられたこの赤ちゃんは，4か月ないし6か月の幼児ほどの大きさだった。これは母親にとっては初めての帝王切開によって産まれた子供であった。しかし，ほかの4人の男の子たちは，生まれた時には平均5㌔だった。ラファエルは母親が糖尿病であることも原因して，重大な健康上の問題を持って生まれた。この子は現在，新陳代謝を正常にするための治療を受けている。母親の問題の一つは，赤ちゃんのために用意していた服も靴も何一つ合わないことであった。新しく生まれてくる赤ちゃんのために美しく飾られた枝編細工のかごも何の役にも立たなかった。ラファエルはその中に入らなかったのである。
フィンランドにおける信仰の欠如
● 報道によると，フィンランドのルーテル教会の僧職者たちは信仰の欠如を示している。ヘルシンキのルーテル教会の指導者ジュハニ･シモジョキは最近，同教会が聖書は神聖なものであるというよりも人道的なものであるとの見解を取っていると述べた。また，人間が「動物界の一部」を成しており，「最終的な結果ではないとしても，進化の結果である。神の像は類人猿のいとこに当たる。……我々はまた，ノアの洪水がほとんどすべての生命を滅ぼしたということを事実とは考えていない」と述べた。この事物の体制の終わりについては，「もはやそれを待つ理由はない」と述べ，さらに，神学者の中には多分簡単に「ある教理を否定する」用意のある者もおり，ただ「大抵心遣いから，自分たちの見解を述べて他の人たちの信仰を侮辱することを控えている」ことを明らかにした。このような宗教指導者について，イエス･キリストは鋭い言葉を語られた。「彼らは盲目の案内人なのです。それで，盲人が盲人を案内するなら，二人とも穴に落ち込むのです」― マタイ 15:14。
ぬいぐるみの熊ではない！
● 毎年，北アメリカの国立公園にある自然の地から，熊を人なつっこい動物と考えたために重傷を負ったり，殺されたりした人たちについての恐ろしい事件が報道される。カナダ，トロントのメディカル･ポスト誌に掲載されたある医師の記事には，最近の事件が幾つか紹介されている。「ジャスパー国立公園で母親が自分の子供の手に蜂蜜を塗って，熊がその子供の手から食べているところを写真に撮ろうとしたが，熊が子供の指のほとんどを口にくわえて歩き去った時に激怒した。バンフ国立公園管理人は彼の会った一人の男について私に話してくれた。その人は熊を自分の車の前席に入らせて，自分の妻のそばに座っているところを写真に撮ろうとしていた」。熊に関係した悲劇のほとんどは，熊は野生の動物であるという警告の標識に注意を払えば避けられただろう。
赤ちゃんを連れて飛行機に乗る時には
● 母親が赤ちゃんを連れて空の旅をする時には，子供の耳が痛くならないようにするためにほ乳びんを持ってくるのが良い。この助言は米国コネチカット州ニューヘブンの衛生局に勤めるハンス･H･ニューマンの書いた手紙の中で述べられているものであり，ニューイングランド医学ジャーナル誌に発表された。「飛行機に乗る人は知っているように，飛行機が下降する時機内の幼児はかわいそうな声を出して大声で泣く」と同医師は書いている。「医師は，飛行機が上昇する時にも，そして特に，下降する時にも，赤ちゃんが一番好きな飲み物を何でもよいからほ乳びんで飲ませるよう母親に勧めるべきである」。彼の説明によると，問題は気圧が変化することにあるので，「何度も物を飲み込むと両方の鼓膜にかかる圧力を平均に保つことがやさしくなる」。同医師の観察によると，空の旅をする幼児の耳が普通の人よりも痛むのは，幼児のエウスタキー管が大人よりも狭く，彼らの鼻がしばしば詰まるためである。
どうして風邪をひくか，どのように風邪を治すか
● ファミリーサークル誌によると，風邪をひいた人と握手をすると風邪をひく一つの原因になる。加えて，風邪をひいた人が以前に触れた物に触ると，やはり風邪をひく可能性がある。なぜだろうか。研究の結果によると，風邪を生じさせるウイルスによって汚染された乾いた物の表面は，3時間たつまで感染の媒体となる。風邪の予防のためには，手を定期的に洗うことである。ファミリーサークル誌の提案によると，うっ血やせきを引き起こす風邪をひいてしまったなら，レモン1個に蜂蜜を混ぜ合わせ，それに約0.1㍑の水を加えて飲むと楽になる。せきには冷たいレモンジュースを，うっ血には温かいレモンジュースを飲むこと。
● サイエンス･フィチャーズ･フロム･イスラエル誌によると，熱気を吹きかけることによって風邪を治す装置をリノテルムと呼ぶ。ワイズマン科学研究所のアロン･エルシャルミ教授とその同僚たちは，ウイルスが高温下では生きられないという原理に基づいてこの医療器具を開発した。リノテルムは，摂氏42度の水蒸気を鼻孔に吹き込んで風邪のウイルスを弱め，それが増殖できなくなるようにし，風邪の徴候をなくしてしまうのである。報告によると，「治療を受けて1日たってからの検査の結果，患者のうち72％の人たちが風邪の苦痛から解放されていた」。この治療を受けた900人の患者の中には，わずか30分の噴霧を受けただけで完全に楽になった人たちもいた。またリノテルムはアレルギーの症状を治す力のあることをも証明した。