世界展望
戦争に対する司教の態度
● 核戦争と平和に関する最近の米国ローマ・カトリック教会の司教書簡は多くの論争を引き起こした。米国カトリック会議の映画評論家マイケル・ギャラガーは,ニューズデー紙の意見欄に載せられた「我々の愛してきた教会」に関する論評の中で,戦争と平和の問題に関する司教たちの過去の「記録が甚だ悪いものであった」ことを読者に思い起こさせている。彼はこう続けている。
「歴史に残る戦争の中で,兄弟殺しの自殺的第一次世界大戦ほど,聖アウグスティヌスの『聖戦』の教理と矛盾するものはなかった。それにもかかわらず,司教たちは熱心にその戦争を支持した。また,彼らは第二次世界大戦も同様に心から支持したが,それもその教理に定められている必要条件を十分に考慮した結果によるものではなかった。……司教たちの熱狂的愛国主義は,ベトナムで機関銃の背後に構えているフランシス・カーディナル・スペルマンのあの有名な写真をもってついに最高潮に達した。わたしはこれがそれ以上エスカレートすることがないようにと望んでいる。その悲劇の地を訪問している間に,教会の第一人者はそのような写真のためにポーズをとっただけではなく,その説明として,トマス・アクィナスの言葉でも,聖アウグスティヌスの言葉でもなく,スティーブン・ディケーターの,『正しかろうが誤っていようが,祖国は祖国』という言葉を引用した」。
宗教は人類にとって善いものか悪いものか
● 宗教は人類に一般に良い影響を与えてきたと信じている人は少なくない。しかし,カナダのトロント・スター紙のコラムニスト,H・ゴードン・グリーンは最近次のように述べた。彼は「宗教は人間と人間の世界にとって実際には悪いものであり,それが主張するように平和と兄弟愛をもたらすのではなく,反対に不信や憎しみや戦争を誘発するものであるとひそかに考えている」。グリーンは続けてこう述べている。
「歴史の本の非常に多くのページを赤く染めた聖戦は今日も相変わらず血なまぐさい様相を呈している。アイルランド,イスラエル,イランにおける憎しみの根は依然として宗教であり,これらの国において人々はいまだに先祖の信仰のために進んで殺したり殺されたりしている」。また,レバノンの難民キャンプにおける最近の殺害事件に関して,彼は,「『クリスチャン』のレッテルをはった軍隊が現代における最もせい惨な大虐殺を行なった」事実を厳しく非難した。
たばこの量を減らす
● 米国では1982年に初めてたばこの消費量が前年より減少した。約60億本減って6,340億本となり,1%ほどの減少を示した。米国の喫煙保健局の数字によると,ほとんど3,400万人が喫煙をやめた。他方,毎秒約20万本のたばこに火がつけられており,それは平均的な喫煙家が1年に400㌦(約10万円)をたばこに支払っている計算になる。アメリカの企業は,喫煙による従業員の病気のために毎年200億㌦(約5兆円)の損失を被っているといわれている。
「恐怖ビデオに病み付きになる」
● 「南アフリカの女や子供たちは恐怖ビデオに病み付きになっている」とダーバンのサンデートリビューン紙は述べている。「この国で最もよく売れるビデオ映画は ― それらの多くは誕生パーティーでちびっ子たちを喜ばせるために見せるのであるが ― かくて恐怖の悲鳴が上がる,血液栽培者の侵入,花嫁に飛び散った血,サタンの爪についた血といったような表題がついている。一つのカセットの裏面には次のようなことが約束されている。「あなたの趣味が堕落したものであり,血や肉片や流血を見たいという飽くなき欲望を抱いているなら,この映画は恐怖のビデオ貯蔵室に欠かせないものである」。ビデオ販売代理店の女性経営者は,客に人気のあるビデオの一つは,「人を締め殺したり犠牲者を刺し殺す,血の滴る切断された手について」のものであると述べた。客はそれがどれほど好きなのだろうか。彼女はこう答えている。「その映画は実に陰惨です。わたしたちが最初にそれを店に置いた時,女の人たちはリストに名前を書いて,それを得るまで時には何週間も待たなければなりませんでした」。幸いなことに,真のクリスチャンはそのような悪習に決して関係しなかった。
最初の繊維光学
● カリフォルニア州にあるスタンフォード大学の植物生理学者によると,発芽した種は一種の繊維光学を利用し,茎を通して光を下に運ぶという。彼らは茎が光を少なくとも5㌢,そして道が曲がっていても伝えることができるのを発見した。「サイエンス82」誌の報告によると,「茎はアンテナの用をなし,光を集め,それを」植物の生長を促す「部分に伝達する」ということである。発芽した種の繊維は「非常に敏感で,茎が地上に出ないうちでも,土の中に染み込んで来る光を集める」。そして,研究者たちの一人はこう説明している。「発芽した種はまさに赤ちゃんのようである。それは植物の生育における最も重大な時である。茎の持つ光学的な特質は,茎がまだ地下にあるときにその生長を促すのである」。
進化論に対するバチカンの立場
● 「非常に多くの証拠があるから,進化論の考えを人間と他の霊長類に適用することに重大な論議の余地はないものと我々は確信する」。この宣言は無神論者の団体から出されたものであろうか。そうではない。科学雑誌「ディスカバー」の報道によると,この宣言を行なった人たちは「法王直轄の科学研究所によって取り決められた専門家会議の会員たちであった」。「70人の科学者たちから成る高貴な団体であるこの科学研究会は,……法王主催のもとに科学に関する問題を討議・検討するために定期的に開かれる」。したがって,ディスカバー誌が「進化論を支持する決定的な意見」と呼ぶものが,「法王主催のもとに」出されたわけである。
「幽霊屋敷」
● 「盗みを恐れるために,これらの美しい別荘は幽霊屋敷になってしまった」と,イタリアの不動産周旋屋はこぼした。インターナショナル・ヘラルドトリビューン紙はこう説明している。「ローマの上流社会の人々が住んでいる旧アッピア街道の沿道にある数十軒の豪華な別荘や大邸宅を,所有者は入居者のないまま何か月も放置しており,入居予定者も安全でないとして入居を拒んでいる」。ヨーロッパにおける最近の世論調査によると,ヨーロッパ人の中でイタリア人が犯罪を最も恐れている。調査の対象となった人々の60%以上は,犯罪が自分にとっても自国にとっても最大の心配の種であると述べた。
ぜいたくな東洋の結婚式
● 平均550万円の費用のかかる日本の結婚式は,現在米国の結婚式にかかる費用の約6倍であると言われている。有名な力士の結婚式は約1億4,500万円にも達した。また,タイム誌の報道によると,他の結婚式において,「スターにあこがれる新郎新婦が,ドライアイスの煙を吐く仮の宇宙カプセルに乗って天井に上った」。日本の結婚式は普通秋に行なわれる。陰陽道によると,結婚式のための吉日がこの季節には多いと考えられているからである。
「学校に誇りを持つ日」
● ニューヨーク市ブルックリンにあるトーマス・ジェファーソン高等学校で最近,生徒たちが危険な武器を所持しているかどうかについて捜索を受けた時,彼らは「凶暴な行動に出た」。「彼らは教室や食堂や廊下を破壊し,窓ガラスを壊し,車を傷つけ,ひとりの教師を殴った。彼らは捜索に反対だったのである」。報道によると,「ナイフ,かみそり,鉄パイプ,空手用の突き棒を含め,恐ろしい数の武器が押収された」。地域の人々は自分たちの子供の行動にどんな態度を示したであろうか。一つの地域社会の団体は,教育委員会が生徒たちに捜索のあることを事前に警告しなかったために「暴動を誘発した」として非難した。事件は,「学校に誇りを持つ日」と指定されていた日に起きた。
グラハムはルーテル教会の人々を失望させる
● 伝道者のビリー・グラハムが東ドイツのルーテル教会を訪問した後,西ドイツの新聞は彼の旅行に対してかなりの非難を浴びせた。クリスチャン・センチュリーによると,ドイツ連邦共和国のルーテル教会の一役員は「グラハムに,政府の取決めではなく,東ドイツのクリスチャンの取決めにしたがって彼らに会うよう勧めていた。ところがグラハムはそうはせずに豪華な大型自動車に乗って国を巡回し,西欧の通貨がなくては泊まれない高価なホテルに泊まり,テレビに出演しては,聖職者たちとではなく,政府の役人たちと話をした」。
かめの避難所が指定される
● 最近セーシェル諸島の政府は,陸地のほとんど半分を巨大な海がめと陸がめの避難所に指定した。現在ユネスコによって世界的な遺産の地とされているアルダブラ環礁には,巨大な海がめと陸がめの世界最大の集団が見られる。約15万匹の巨大な陸がめがインド洋西部のこの環状さんご島に住んでいる。同種の象がめがガラパゴス諸島に住んでいるが,その数は約1万にすぎない。セーシェル諸島とガラパゴス諸島のかめは世界最大で,長さ約1.2㍍,重さ約272㌔㌘ある。
課税を免れる
● 米国国税局の最近の報告によると,最新の情報の得られる1980年に関して,年間所得が20万㌦(約5,000万円)以上ありながら年報所得税を払わなかった個人や夫婦が198件あった。これは前年の74%の増加に当たる。さらに追い打ちのように,100万㌦(約2億5,000万円)以上の所得がありながら,その年の間に失業手当も受けていた人が8人いた。
絶対禁酒主義が肝硬変を起こす
● オーストラリアの医師たちは,自分たちが治療を施していた69歳になる婦人に肝硬変があることが分かったとき,彼女は当然アルコール中毒者だと考えた。肝臓の3分の2を切除する手術が必要となった。ところが,驚いたことに,この婦人は絶対禁酒主義者であった。では,なぜこの婦人は肝硬変になったのだろうか。約25年間,彼女は過度にお茶を飲んでいたのである。といっても,お茶を飲むのではなく,お茶の葉をかんでいたのである。最初は,心配ごとがあるときにかんでいたのだが,時たつうちに,普通の食事をする代わりにお茶の葉をかむようになった。お茶の葉に含まれているタンニンが肝硬変の原因となったと信じられている。お茶の葉だけを食べて生きていようとしたことが彼女の命を危うくした。何でも過度に摂取すると,特に普通の食事をしないでしょっちゅうそのようなことをしていると,必ず健康に重大な害が及ぶことになる。
大金とばく者の負け
● 報道によると,米国ネバダ州ラスベガスのとばくセンターの成長率は,年間15ないし20%の成長率に比べて,7.3%と落ち込んだ。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると,「繁盛しているときには,七つの主要なホテルに合計約25万人の……『大金をかけるとばく者』,すなわちとばく場のクレジットで5,000㌦(約125万円)以上のお金をかける人たちが集まる。これらのとばく者は,カジノを訪問する度に普通少なくとも1,000㌦(約25万円)はかけで負ける」。
観光客を引き付ける
● ギリシャのEOT(観光協会)はギリシャにおける観光客の減少に対処するため,世界から観光客を引き付ける幾つかの方法を考え出した。アテネ・ニュース紙の報道によると,一つの変わった考えがEOTの上役から発表された。「ギリシャは来年[1983年],地方当局も教会関係者も反対しない辺地の海岸にヌーディストセンターを開発する予定である」。
ルーテル教会員の脱退
● ルーテル教会調査研究所の調査によると,フィンランドのルーテル教会から1年間に約1万4,000人の会員が離れて行った。最もよく教会を離れて行く年齢層は25歳から50歳の人々であることが分かった。そして,10人の会員のうち一人が教会を脱退することを考えている。残りの教会員たちでさえ,教会に行くのは無駄だと考えているようだ。なぜなら,教会の主要な礼拝に出席するのは会員のわずか2.5%にすぎないからである。