世界展望
福音宣明者の新たな訴え
● テレビ福音宣明者のオーラル・ロバーツは,イエスと交した7時間にわたる会話の中でイエスから,「わたしはあなたに,身体的および霊的な方法でガンを攻撃する計画を授けるつもりであった」と言われたことを,最近出した資金調達の手紙に記している。この「難関突破」は,まだ完成されていない20階建ての研究の塔において実現の運びとなる。この塔は,米国オクラホマ州タルサ市にある,ロバーツが1億5,000万㌦(約360億円)を掛けて建設した信仰医療センター・シティの一画にあり,ロバーツが2年前に身長約270㍍のイエスの幻を見たとされる時から集め始めた寄付によって建造されている。この研究センターを完成させるためロバーツは,イエスが次のような指示を与えておられると述べている。「今すぐ240㌦(約5万7,600円)寄付するよう,あるいは今後1年間に毎月20㌦(約4,800円)を送金するよう各友人と仲間に依頼せよ。240㌦全額に達するまでこれを行なえ,わたしの言うようにせよ,わたしに従え」。
ロバーツの手紙を受け取ったガン患者の一人は,「私たちのように,病気の末期にある者たちの恐怖心を利用しようとするロバーツの企てには非常に心を乱された。これは社会倫理に反することであり,同時に非キリスト教的なことだと私は考える」と述べている。
弁護士の義務
● 米国弁護士協会は,法倫理規約の修正を最近承認したが,その修正により,弁護士はたとえ弁護依頼人が詐欺を働いていることや殺人と傷害以外の犯罪を犯していることを知っていたとしても,弁護依頼人の秘密を厳守しなければならない。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると,反対派はこの新しい規則について,「『常識と一般的な道徳観念』に反し,不正直な弁護依頼人の代弁者になったとして弁護士に対する公の評判を落とす」と異議を申し立てた。しかしこの修正に賛成した弁護士たちは,弁護依頼人というものは弁護士が秘密を明らかにしないという確信がなければ弁護士を信頼しない,と述べている。とはいえ,例外もある。弁護士が不正行為で訴えられたり,弁護依頼人が手数料の支払いを拒んだりした場合には,秘密を公にできる。US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は,「このようにして弁護士は,彼らが全体として行動する際にはいつもそうであるように,自らの権益には配慮を払ったが,一般の人々ははるかに不利な立場に立たされることになる」と述べている。
軍備のために何が犠牲になっているか
● 国連の発表によると,諸国家は軍備のために年間約6,000億㌦(約144兆円)のお金を費やしている。この膨大な数字の意味を説明するため,デクエヤル事務総長は幾つかの比較を行なった。
「天然痘を撲滅するためWHO[世界保健機関]が要したお金は1億㌦(約240億円)以下である」。この額は,最新式の空対空ミサイル装置の開発に費やされた金額をかなり下回る。
この金額の「1%の半分で,収入が低く食物の不足している国々が自給自足を達成するために必要な農業用設備の多くを賄うことができる」。
「最新型の戦略爆撃機2機の価格は約2億㌦(約480億円)であるが,それだけの金があれば,世界的な文盲追放キャンペーンを支援できる」。
経費全体を平均すると,地上の人間一人当たり112㌦(約2万6,880円)になる。「この数字は,ある発展途上国の一人当たりの国内総生産を上回る」。この数字は,1分当たりに直すと100万㌦(約2億4,000万円)以上に相当する。
英国の未報告犯罪
● 「英国の犯罪発生率は,公式の数字より4倍も高い驚くべき数字に上っている」と,リバプールのデーリー・ポスト紙は伝えている。最近の英国犯罪調査によると,傷害,強盗,性犯罪の関係した事件5件のうち,実際に警察に報告されているのはわずか1件である。調査の対象となった人々のうちで,警察はほとんど役に立たない,と感じている人が多かった。
病院では休息が取れない
● 常識からすると,入院患者に最も必要なのは休息と睡眠である。ところが,最近カナダのブリティッシュコロンビア大学看護学部の助教授が行なった研究により,呼吸器系集中治療棟の患者を24時間調べたところ,平均睡眠時間はわずか5時間半で,安眠妨害となるような事柄は40回生じていることが判明した。その研究の結果,安眠妨害のほとんどは看護に関係した事柄であるが,その半数以上(54%)は,職員の話し声(単一では最大の理由),機械の警報,インターホーン,電話,ドアの音などを含む病院内の雑音によるものであることが明らかになった。これはすべて必要不可欠なものだろうか。同助教授は,「もう少し注意を払えば,軽減できる問題が多い」と述べている。
鳥の「数が激減」
● 約1,400万羽のセグロアジサシと,くさび形の尾を持つ150万羽のミズナギドリ,それに他の16種類の鳥合計約100万羽が死ぬかまたは飛び去ってしまい,中部太平洋の環礁にあるクリスマス諸島には,置き去りにされた巣立ちのできない幾千羽ものひなが死ぬままに放置されている。正確な理由は分かっていないが,カリフォルニアと南アメリカを最近襲ったエルニーニョという異常気象がその地域の海面の高さと海水の温度を上昇させたものと当局は推測している。このために鳥たちの主要な食物供給源である魚とイカがその場を追われた。「この『数の激減』は記録に残るこの種の現象のうち最大規模のものと思われ,熱帯の島で記録された,鳥の大群がほぼ完全に姿を消した例は,これが最初である」とワシントン・ポスト紙は述べている。
子供たちの言葉
● 「小学校の子供たちが悪い言葉を使う例が『爆発的に増加』した」と,ニュージーランドのオークランド・スター紙は述べている。オークランドのPTA連盟連絡役員は,七,八歳の子供たちの激しい言葉が「一層露骨になった」と評し,こう述べた。「その種の言葉は全く自由自在に,いとも上手に使われている。子供たちはその種の言葉の意味を知っているものと考えてよかろう」。親たちは,子供がそういう言葉を学校で覚えてくる,と言って学校を非難する。学校の責任者は,「親が怠惰で自分の子供の言葉を矯正しようともしない」と親を非難する。そして皆が,「全く子供向けではない番組を見る子供たちが多い」とテレビを非難する。
価値ある差別待遇
● マレーシアでは,無利息の少額の企業貸付が愛煙家に対しては行なわれなくなった。喫煙がどのように貸付と関係しているのだろうか。国内・地方開発大臣のサヌシ・ジュニドは,『彼らがたばこを買うことができ,お金を煙にしてしまうのなら,政府の貸付金などは必要ない』と述べている。さらに政府当局は,貸付申込者の言葉をそのまま鵜呑みにせず,医学的な検査によって当人がたばこを吸っているかどうかを判断することになる。
「誉れある」脱税者たち
● 「400人の[病院外勤務の]看護婦を無作為に選んで調べたところ,自分の総収入を[IRS(米国国税庁)]に報告しなかった人は90%を超えた」とタイム誌は伝えている。「看護婦の未納金の平均は3,500㌦(約84万円)に上る」。それはどのような人々なのだろうか。「我々は,誉れある職業を持って一生懸命に働く人々のことを言っている」とニューヨーク市の国税局職員は述べた。今年はこうした多くの「誉れある」米国市民とそれほど誉れあるわけではない人々による所得税の脱税は合計1,000億㌦(約24兆円)に上るものと見られる。
● ロンドンの通信社オブザーバーによると,スウェーデンでは,不正行為が最近暴露されたために,「正直者で信頼でき,よく働くというスウェーデン人の国際的なイメージが大きな打撃を被った」。大人のスウェーデン人は,所得税を平均720㌦(約17万2,800円)ごまかすということで,政府当局は「経済的な犯罪の波」をかこっているといわれる。
ローマは鉛によって倒れたのか
● ローマ帝国の没落の一因となったのは鉛毒症かもしれない,とカナダ人の医学研究者,ジェローム・ヌリアグ博士が述べている。ローマの食物と酒に大量の鉛が含まれていたことからすると,浮かれ騒ぎと飲み比べで知られる貴族階級は,現代における安全許容基準を6倍以上も上回る量の鉛を毎日体内に入れていたのではないか,とこの研究者は推測する。そしてさらに,西暦前30年から西暦220年の期間に生存したローマ皇帝の3分の2までが,神経系ならびに消化器系の障害,関節炎や痛風,集中困難,記憶力減退,精神遅滞,譫妄,けいれんなどの症状に見舞われていたことを指摘している。それらはすべて鉛毒症の症状である。これら二つの要素の「共存は以前には認められなかった」とヌリアグ博士は述べている。
「楽園」における自殺
● ミクロネシアの素朴で美しい島々というと,多くの人が楽園と考えるが,これらの島には好ましくない側面もある。そこでは,「若い人々がよく自殺をし,その割合は世界でも最も高いほうに属する」とニューヨーク・タイムズ紙は述べている。トラック諸島の15歳から25歳までの男子10万人につき250人が自殺を遂げており,その割合は米国の若者の場合の20倍に相当する。自殺の原因は多くの場合「極めてささいな事柄」である。16歳のある少年は,父親から1㌦もらえなかったために首をくくり,13歳の少年も,母親から叱られて首をつった。研究者たちもこうした行動を取る理由をなかなか見つけることができないでいるが,「家族関係が悪いというパターン」と「長期間にわたる耐え難い状況」が原因として挙げられている。
中毒患者が幾百万人も増加
● 政府の設けた規準によれば,米国では麻薬中毒者の表にさらに幾百万もの人々が加えられる。「喫煙と健康」局が最近発行した,「人々がたばこを吸う理由」と題するパンフレットでは,喫煙が「我が国における最も広く行き渡っている薬物依存の例」とされている。同じパンフレットは一つの証拠として,健康に有害であることが一般に認められているにもかかわらず,たばこが引き続き大量に用いられていることを指摘している。
「不気味な冗談」
● 「こんな不気味な冗談が実際にあるとは,驚いたものです」と55歳になる女教師ワンダ・イシマエルは,病院で5時間にわたる緊急治療を受けたあとに述べている。「顔が突然赤らみ,目の焦点が合わなくなりました。教室から歩いて出て行くことができないことが分かりました。それから,こうなった理由が呑みこめてぞっとしました。生徒の一人に薬を飲まされたのです」。医師たちは,この女教師が高校1年生の出したマリファナ入りのチョコレートケーキを食べたことを確認した。どんなときに食べたのだろうか。ガンの大手術を行なって学校に戻ったばかりのこの先生の快気祝いを行なっていた時のことだった。
死ぬよりは,しらふでいるほうがまし
● 米国では,飲酒最低年齢を上げようとする全国的な大キャンペーンが進行している模様である。20の州では既に最低年齢を18歳から1ないし3歳上げており,今年は26の州がその限界線を21歳に戻すことを考慮している。なぜだろうか。米国ではアルコールの関係した自動車事故で毎年平均5,000人の十代の若者が死亡しており,「罹病率ならびに死亡率週間報告」の示すところによると,「米国の全人口の17%を構成する(16歳から24歳までの)若い運転者たちが,事故に遭い,48%が死亡した」。飲酒最低年齢を上げようとするこの大キャンペーンはこれまでのところ「劇的な」結果をもたらしてきた,とタイム誌は述べている。「少なくとも八つの州で,飲酒最低年齢の上昇に伴い,18ないし21歳の人を巻き込む致死的な悪夢のような事故が28%減少した」と,その報告にはある。