み言葉を大々的に広める
100年
「エホバの証人は“み言葉”を大々的に印刷する」。これは,米国の業界誌,「一貫作業による印刷」が,ものみの塔聖書冊子協会の印刷・出版事業を描写した言葉です。同誌はさらに,「一貫作業を行なうこの工場は,有志を活用して,190の言語で幾百万点もの印刷物を出している」と述べています。
「それらの有志は米国各地,および世界中から一貫作業を行なうこの工場にやって来る。そして,経験を積んだ専門家により最新の印刷設備について一から仕込まれ,幾らかでもそこにとどまれば,教育を……受ける。……彼らはお金のためにそうしているのではない」と,その記事の筆者は説明しています。―下線は本誌。
「彼らはお金のためにそうしているのではない」というのですか。エホバの証人のように,給料も受け取らずに一生懸命働く人はいないと考える人々は,このことを聞いて驚くかもしれません。
100年前の1884年12月13日に米国ペンシルバニア州の法律のもとで法人化されたとき以来,ものみの塔聖書冊子協会はその最初の定款に言い表わされていた通り,「冊子・パンフレット・文書類その他の宗教的な公式文書を用いて……各種の言語で聖書の真理を普及させること」に全く専心してきました。さらに,同協会はペンシルバニア州の非営利法人団体法に基づいて法人として認められています。ですから,法律的に,営利を目的とする企業ではあり得ないのです。
この協会を使って個人的に利益を得ることのできる人はいません。協会の定款の第5条は次のように述べているからです。「これ[協会]は,その会員,理事あるいは役員に対して,付随的であろうとなかろうと,金銭的な利得や利益を与えることを意図していない」。協会のニューヨーク本部で働く人々は皆,統治体の14人の成員であろうと,印刷や清掃の仕事をしたり協会の農場で働いたりする自発奉仕者であろうと,食事,宿舎そして月々の少額の手当など,生活に必要な基本的なものを一律に与えられます。俸給を受ける僧職者はいません。
3,000人を超える自発奉仕者たちはいずれも,ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会の存在する目的を追い求めています。その目的とは,「キリスト・イエスの治める神の王国の福音を全能の神エホバの名前とことばと至上権に対する証として諸国民すべてに宣べ伝えること。聖書を印刷,頒布し……各種の言語で聖書の真理を流布すること……クリスチャンの宣教者としてのわざにより,また聖書……について慈善的かつ博愛的な仕方で人々に教えることにより男女子どもを精神的かつ道徳的に向上させること」です。―同協会の定款より引用。
実践してきたか
1884年12月13日からすでに100年が過ぎましたが,この聖書協会は諸国民すべてに神の王国の福音を宣べ伝えるという,その定款に示された目的を効果的に果たしてきたでしょうか。世界のどこに住んでいようと,どんな言語を用いていようと,この雑誌を読者が手にしておられるという事実そのものから,この質問に対して,「果たしてきた」と迷わずに答えることができます。1879年当時,「ものみの塔」誌は6,000部ほど,月に1回英語だけで発行されていました。今では毎号1,000万部以上の「ものみの塔」誌が102か国語で発行されており,900万部ほどの「目ざめよ!」誌が54か国語で発行されています。
しかし,この協会は本当に「聖書協会」となってきたでしょうか。1896年以来,協会は,ジェームズ王欽定訳およびアメリカ標準訳を含む七つの異なった版の聖書を出版してきました。とはいえ,聖書出版の分野での傑出した業績は,1950年に最初の一部分が,そして1961年に1巻にまとめて発表された新世界訳聖書です。今ではこの聖書の全巻あるいは一部分が,ほかにも10か国語に翻訳されています。過去23年間に,この聖書は合計4,000万冊印刷されています。
20世紀の最も意義深い運動
エホバの証人は現在,190ほどの言語を使って,203の国々で宣べ伝えています。米国には67万人を超えるエホバの証人がおり,ドイツ連邦共和国,イタリア,メキシコ,ナイジェリア,そしてブラジルの各国には10万人を超えるエホバの証人がいます。ものみの塔聖書冊子協会は世界各地に支部事務所と印刷工場を持っています。創立100年を迎えるこの聖書協会はこれまで以上に強力になっており,活動にあふれています。この誉れはエホバ神に帰されなければなりません。―ゼカリヤ 4:6。
しかし,どうしてエホバの証人とその増加に関心を持たなければならないのでしょうか。厳密に言って,実際に『終わりが来る前に王国の良いたよりを全地で宣べ伝えている』クリスチャンのグループはエホバの証人だけだからです。(マタイ 24:14)聖書の預言によると,神は人間の行なう事柄に再び介入し,腐敗した現在のこの事物の体制に終わりをもたらされるので,実のところエホバの証人は人間の救いのために行なわれている,20世紀の最も意義深い世界的な運動に携わっていることになります。そのようなわけで,エホバの証人の教えと彼らが行なっている事柄を広い心で調べていただきたいと思うのです。―ルカ 21:34-36。ペテロ第二 3:8-13。エゼキエル 33:6-9。イザヤ 43:9,10。
しかし,この100年間の業績はどのようにして成し遂げられたのだろうか,エホバの証人はどうして過去1世紀間に世界的な運動を起こすまでになったのだろうか,と尋ねる方もおられるでしょう。