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目ざめよ! 1986
目86 5/8 7–9ページ

占星術 ― 無害な楽しみですか

英国の天文学者パトリック・ムーアは最近こう述べました。「生活や運命が星によって支配されていると考えるのは,いかにもばかげたことである。……[占星術]は全く無害なつまらない事柄で,何らかの科学だと言っても,全く根も葉もない事柄である」。

しかし,純粋に実際的な見地から問題を考慮すれば,占星術が無害だとは決して言えないと結論せざるを得ません。

『それは星のせいだ!』

明らかに最も危険な点の一つは,占星術は人々に自分の行動の責任を回避させる恐れがあることです。例えば,結婚のことを考えてみましょう。南アフリカのある占星術師はホロスコープの相性の良くない何組かの夫婦に関して,「わたしは幾人かの人々に,彼らの結婚生活はうまくいく見込みがないので,離婚すべきだと話した」と述べました。

しかし,考えてみてください。星や惑星がうまく合わないからといって,結婚を解消するのは道理にかなったことでしょうか。問題をかかえている夫婦は,自分たちの行動に対して責任を取り,助けを求めるほうが勝っていないでしょうか。聖書には結婚問題を解決するための多くの実際的な助言が収められています。(例えば,エフェソス 5:22-25をご覧ください。)そして,多くの人々はその助言を当てはめて,それがまさしく適切な助けであることを知り,結婚生活の破綻を免れました。これは確かに,問題を星のせいにするよりも勝っています!

また,わたしたちが生活の中で犯す数多くの間違いについてはどうでしょうか。その言い訳を占星術に求めるのは健全なことでしょうか。何年か前,米国フロリダ州マイアミに住むある男の人が,強盗,暴行および強姦の罪に問われました。その人は自らを弁護したでしょうか。3人の占星術師を寄せ集めました。そして,それらの占星術師は,「惑星が一列にきれいにそろわなかった」ため,本人はうまく対処できなかったと主張しました。そういう考え方に従うなら,人は悪行の常習犯になる恐れがあります。

また,もし国家の指導者のような責任のある人々が星に導きを求めるようになったら,どうなるか考えてみてください。「人間の運命 ― 占星術の心理学」という本の中で,グウィン・ターナーは昔を思い出して,背筋の寒くなるようなことを述べています。「昔の王や支配者の傍らには常に占星術師がいた。ずっと後の第二次世界大戦当時でさえ,英国の陸軍省はハンガリー人の占星術師ルイーズ・ド・ヴォールをひそかに雇った」。その占星術師は,ある将校たちの出世や,ある戦闘の勝利に関する予言を英国当局に提供していました。彼はまた,ヒトラーが自分のホロスコープ(十二宮図)にしたがって占星術師たちからどんな助言を得ているかを英国の陸軍省に知らせることもできました。今日の政治家の中にも星に導きを求めている人がいると断言する人さえいます。

生死にかかわる決定が惑星の位置にしたがって下されるとすれば,それはあなたにとって無害なことに思えますか。

予言の力の背後にあるもの

占星術の予言は時には確かに適中します。しかしそれは,本当に星によって占ったからでしょうか。数年前のこと,心理学者の故バーノン・クラークは,何人かの占星術師の能力を試験してみました。彼は占星術師たちに10件の病歴を教え,その各々を一組のホロスコープの一つと合わせるよう求めました。占星術師たちは注目すべき成績を収めました!3人の占星術師は全部正確に合わせることさえできました!

アメリカの占星術師ダーリ・リーは10件のうち7件を正しく当てました。しかし,どうしてそのような成績を収めたのでしょうか。星によって運勢を判断する以上のことが関係していたようです。「占星術師は各々のテーマを検討するのに少なくとも30分,つまり合計10時間かかっただろう」と,リーは語ったと言われています。ところが,リーはその時忙しかったので,「各々のテーマを1分間検討した」だけでした。ですから,明らかに,彼の収めた成績は,「純粋に占星術だけによるもの」ではありませんでした。リーは,「それはむしろ,『超感覚的知覚』の問題だったと思う」と告白しました。

興味深いことに,幾人かの占星術師も同様に,オカルト的な力と言ってもよいものを使っていることを認めています。これは,神を喜ばせることに関心を抱いている人が用心しなければならない点です。というのは,神はイザヤ 1章13節ではっきりと,「怪異な力を借りることにわたしは我慢できない」と言っておられるからです。どうしてでしょうか。聖書は,予言をする力を示す人々が多くの場合,悪霊の勢力に支配されていたり,その影響を受けていたりすることを示しているからです。(使徒 16:16-18と比べてください。)ですから,占星術による予言が時には,神と神に仕える人々との公然の敵である悪霊たちの言葉にほかならない場合があります!悪霊の導きを求める人に臨む恐れがあるのは,害以外にあり得ません!

占星術 ― それは宗教か

しかし,占星術に関係している人々の中には,何となく興味を持っているだけだと言う人がいるかもしれません。しかし,最初は何となく興味を持っていたものが,しだいに宗教的専心に近い状態になってゆく場合が多いのです。占星術に対する前述の宣言に署名したある科学者は,「占星術は,ある人々にとって確かに一種の逃避であるが……他の人々にとっては占星術は神からの啓示,純粋な真理となる。すなわち,純然たる宗教となるのである」と述べました。ある人々はホロスコープによる予言を,自己の努力によって達成する預言と信じ込む傾向があると,その道の権威者たちは述べています。占星術が人をこれほどまで支配するようになれば,それは確かに宗教も同然です。

実際,占星術は正式に古代バビロンの宗教の一部となっていました。しかし,その宗教はバビロンの益になったでしょうか。益になるどころか,聖書には古代バビロンに不利な次のような宣告が記されています。「あなたはその大勢の助言者にうみ疲れた。天を崇拝する者たち,星を見る者たち,新月の時にあなたに臨むことに関する知識を授ける者たち,さあ,彼らを立ち上がらせよ,あなたを救わせてみよ」。(イザヤ 47:13,参照資料付き聖書の脚注)バビロンの占星術師たちの予言も,その都が倒れて永遠の廃虚となるのを食い止めることはできませんでした。―イザヤ 13:19,20。

しかし興味深いことに,バビロンは滅んだにもかかわらず,その宗教的な影響力は存続しました。「占星術の歴史」という本は,「カルデア人は占星術をバビロニアからエジプトに伝えたが,さらに重視すべき点はギリシャにも伝えたということである」と述べています。

ですから,占星術という宗教に従うのは危険です。なぜでしょうか。なぜなら,聖書によれば,バビロニアの信仰に基づく宗教はすべて滅びに定められているからです。確かに,古代バビロンの崩壊は,この宗教の将来の荒廃を指し示しています。啓示 18章4節ではこう警告されています。「わたしの民よ,彼女[バビロン的な組織]の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄を共に受けることを望まないなら,彼女から出なさい」。

ですから,占星術は『無害な楽しみ』などとはとても言えません。(申命記 18:10-12と比べてください。)占星術に従うなら,悪霊の危険な影響を受けるようになり,神との友好関係を失う第一歩となりかねません!(コリント第二 6:17,18)確かに,わたしたちは皆,導きを必要としています。しかし,聖書に導きを求めるほうが,どれほど安全で勝っているかしれません!(詩編 119:105)神の言葉に留意する人は,占星術では得られない,生活の諸問題に対処する実際的な助けが得られます。

[8ページの図版]

南アフリカのある占星術師は,「わたしは幾人かの人々に,あなたの結婚生活はうまくいく見込みがないので,離婚すべきだと話した」と述べた

[9ページの図版]

古代バビロンは占星術に頼ったが,その滅びを阻止できなかった

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