象の長距離電話
象は何キロ離れていてもすぐにお互いを見つけますが,科学者たちにはそれが長年なぞになっていました。しかし,この最大の陸生動物の秘密は今や明らかになったようです。象は不可聴音を利用しているのです! 不可聴音というのは周波数が非常に低くて,人間には聞こえない音のことです。
世界野生生物基金の会報「フォーカス」によると,象は,不可聴音で互いに連絡を保つことが知られた最初の陸生哺乳動物です。米国コーネル大学の研究員キャサリン・ペインは,3年ほど前に動物園のインド象を観察していた時,象が“密談”するのを発見しました。キャサリンは自分の周囲に,「パイプオルガンの最低音管」を鳴らす時のような振動があるのに気づいたのです。後日,特殊な録音装置を使って調べたところ,インド象やさらに大型のアフリカ象が広範に広がる超低周波の声を交わすことが分かりました。低周波の音のほうが高周波の音よりも遠くへ伝わるので,この発見は,象が互いに連絡を保ち,緊密な家族集団として機能できる理由の説明となるかもしれません。
そうした集団では,年を取った雌の象がいろいろな指示を出します。その妹や娘たちはその女族長にうやうやしく聞き従いますが,赤ちゃん象は,超低周波であろうとなかろうとどんな指示にもむとんちゃくなときがあります。「群れが移動している時でも,赤ちゃん象が昼寝をしたいと思えば,家族全体が停止し,赤ちゃん象が目を覚ますまで移動せずに待っている」と,同会報は述べています。大人になった雄の象は,90㌔の赤ちゃん象に対するこの共通の思いやりを示すこともなく,気ままに生活しています。しかし,「発情期になると」,雄は不可聴音を聞き分けて,「不思議にも,数マイル離れたところから瞬く間に雌の居所を突き止める」ようだ,と同会報は付け加えています。
そうです,超低周波通信もまた,動物界に見られる創造者の知恵の一例なのです。―詩編 104:24。