『子供をだれに預けようか』
世界中に保育施設があるのは,女性がかつてなく職場へ進出するようになったためです。保育専門家のアリソン・クラーク-ステュアートは,「労働市場で最も急増しているのは,学齢前の,特に3歳以下の子供を持つ母親たちである。この傾向は著しく,世界的に見られる」と述べています。
しかし,母親が働きに出ている間,子供たちの面倒をみてくれる人を見つけるのは,言葉で言うほど簡単ではないかもしれません。親族でも,進んで子守を引き受けてくれる人はめったにいません。友人や隣近所の人たちで作られた,子守をする人たちの組織は複雑で,たとえ人が見つかっても長続きせず,子供たちは困惑させられる場合が少なくありません。信頼できる有給の子守は,人手不足のためなかなか来てもらえず,しかもほとんどの夫婦にとって経費がかかりすぎます。
発展途上国でも全く同様,意に満たない状況です。かつてナイジェリアの女性は,ただひたすら幼児を背負って働いたものですが,今やアフリカの女性の間では,家事や畑仕事を離れ,赤子をおぶって働くわけにはいかない事務所や商店や工場での仕事に就く人の数が増加しています。昔は,親類縁者のだれかに頼めばいつでも子守をしてもらうことができましたが,「無料で初等教育が受けられるようになり,また簡単な手仕事をする勤め口が以前よりも増えたため,家で子守をしてくれる[親族]もついにいなくなった」と,ナイジェリア,ラゴスのサンデー・タイムズ紙は説明し,「よく整った保育施設を各所に設けることが解決策になるかもしれない」と提案しています。
そうです,保育室や保育所は随意に選べる幼児保育施設として,にわかに脚光を浴びるようになっています。なにしろ,一般にそれらの施設は信頼でき,便利で,子守を雇う場合よりも経費がかかりません。そこでは同じ年ごろの子供たちが一緒に過ごせます。レクリエーションの企画や教育的なプログラムに加えて,栄養に富んだ食事も出されます。保育関係のコンサルタントをしているデロアーズ・アレグザンダーは,「保育施設のおかげで家族全体が支えられている」,と「目ざめよ!」誌に語りました。
それでも,保育施設に頼る現在の傾向は,子供たちのために良くないのではないかと心配する人もいます。そのような懸念を抱く,正当な理由があるのでしょうか。親の立場にある方は,お子さんの保育を考える場合に賢明な決定を下せるよう,知っておく必要があります。