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目ざめよ! 1991
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テレビはどのように世界を変えたか

昨年の夏,テレビは世界を地球規模のスポーツ競技場に変えてしまいました。イタリアのローマでは通りから人がいなくなりました。約2,500万人のイタリア人がワールドカップ・サッカーの試合を見ていたのです。アルゼンチンのブエノスアイレスも同様で,通りには人影がなくなりました。理由は同じです。西アフリカのカメルーンでも,何百万という人が一斉に歓声を上げるとき,画面には同じ鉛色の不気味な光がちらついていました。戦禍に見舞われていたレバノンでも,兵士たちは使っていない戦車の上にテレビを置いて見ていました。トーナメントがクライマックスに達するころには,世界人口の推定5分の1の人々が,まるで炎に引き寄せられるガのように,テレビの青白い光に顔を照らしながら画面に見入っていたのです。

テレビのこうした大規模なイベント番組は特に珍しいものではありません。1985年には,世界人口の3分の1近く ― 約16億人 ― が「ライブ・エイド」というロックコンサートを見ました。この番組は12の放送衛星によって,アイスランドからガーナに至るまで約150か国に中継されました。

テレビ ― どこにでもあるこの装置は,緩やかな革命の中心にありました。科学技術の進歩により,1920年代から30年代のちかちかする小さな画面が,色や画像の鮮明な現在の高性能の画面に成長し,その間に世界的なブームは勢いを増しました。1950年には世界中で500万台もなかったテレビが,今では約7億5,000万台にまで増えています。

ワールドカップ・サッカーの試合のような各種イベントは,テレビが,一つの情報ネットワークで地球を結びつける力を持っていることを示す一例にすぎません。テレビは,人々が周囲の世界について知る方法を変えました。テレビを通して,ニュースや思想,さらには文化や価値観さえも,一つの国から別の国へと広まってゆきました。かつてはそうした流れをせき止めていた政治的,地理的境界を苦もなく乗り越えてゆきます。テレビは世界を変えました。テレビはあなたを変えることができるという人もいます。

ヨハネス・グーテンベルクは大衆伝達の手段に革命を起こした人として広く知られています。それは1455年に,彼の印刷機で最初の聖書が印刷されたときのことでした。今では一つのメッセージをずっと短時間・低コストで,非常に大勢の人に一気に伝えることが可能です。各国政府はやがて印刷物の力を悟り,法律による認可制度を設けてそれを規制しようとしました。しかし印刷メディアの読者は増え続けました。1800年代初頭に歴史家のアレクシス・ド・トックビルは,新聞にはわずか1日で1万人の脳裏に同じ考えを植え付ける驚くべき力があると述べました。

次に,テレビについて考えましょう。テレビは,何億もの人の脳裏に同じ考えを同時に,しかも瞬時に植え付けることができます。また印刷物の場合とは違い,テレビの視聴者は高度な読書術を習得する必要もなければ,自分の頭にイメージや印象を思い描く必要もありません。テレビは映像や音を駆使して,作り出せる限りの魅力をふりまきながら情報を伝えるのです。

政治家たちはすぐに,テレビに秘められた途方もなく大きい力に目をつけました。米国では,ドワイト・D・アイゼンハワーが1952年の大統領選で機敏にテレビを利用しました。「豊穣のブラウン管 ― アメリカのテレビ革命」という本によると,アイゼンハワーが選挙に勝ったのは,彼がほかの候補よりもテレビ“映りが良かった”からだということです。1960年の選挙でジョン・F・ケネディがリチャード・M・ニクソンに勝ったときには,テレビの果たした役割はもっと大きかったかもしれないと同書は述べています。候補者のテレビ討論が行なわれたとき,ケネディはニクソンよりも高い点を視聴者から稼いだのです。しかし,その同じ討論をラジオで聞いた人たちは引き分けだと感じました。どこが違っていたのでしょうか。ニクソンは顔色が悪くやつれて見えたのに対し,ケネディはたくましく日に焼けており,自信とバイタリティにあふれていました。選挙後,ケネディはテレビについて,「あの小道具がなかったら勝ち目はなかっただろう」と言いました。

「あの小道具」はその後も世界中で威力を発揮しました。テレビを第3の超大国と呼ぶ人も出てきました。放送衛星の技術により,放送局から送り出される電波は国境や海洋をさえ越えるようになりました。世界の指導者は,国際的な支持を得たり,ライバルを非難したりする討論の場としてテレビを利用しました。自国の宣伝を敵国に送り込むための手段として使った政府もあります。ですから,各国政府がグーテンベルクの発明品の力を悟ったときにその規制に乗り出したのと全く同様,テレビを強い管理下に置いた政府は少なくありませんでした。1986年の時点では,全体の半数近くの国が政府の管理する番組だけを放送していました。

しかし技術の進歩によって,テレビを規制するのはますます難しくなっています。現在の放送衛星が送る電波は,家庭の比較的小さなパラボラ・アンテナで受信できます。携帯用小型ビデオカメラやビデオカセットがあるうえに,アマチュア・カメラマンが大勢いるために,ニュースになる出来事はほとんどすべて映像の洪水となり,とどめることが不可能な場合も少なくありません。

米国の報道機関,ターナー放送のCNN(ケーブル・ニュース・ネットワーク)は約80か国からニュース報道を集め,世界中に中継しています。世界をカバーする24時間放送で,どんな事件も瞬時に国際問題になり得ます。

テレビは徐々に,世界の出来事を記録する手段から,世界の出来事を形作る手段へと変化してきました。1989年に東ヨーロッパを揺るがした一連の革命では,テレビが重要な役割を果たしました。チェコスロバキアのプラハでは,民衆が街頭でテレビの“生放送”を要求する言葉を連呼しました。かつての革命家たちは政府の建物や要塞,また警察のとりでなどを占拠するために流血行為に出たものですが,1989年の革命に加わった人たちは何よりもまずテレビ局を手中に収めるために闘いました。実際,ルーマニアの新政権はテレビ局から国内の政治を始めたのです。ですから,テレビを第3の超大国と呼んでも決して過言ではないでしょう。

しかしテレビは政界に影響を及ぼしてきただけではありません。今では世界の文化や価値観をさえ変えつつあります。米国の“文化帝国主義”はしばしば批判の的になっています。つまり,テレビという媒体を通して自国の文化を世界に押しつけているというわけです。米国は世界に先がけて商業放送の番組の備蓄を始めたため,1940年代後半から50年代にかけて,米国の番組製作者は,各国が独自の番組を作るよりも格安に米国の番組を売ることができました。

1980年代後半には,ケニアのテレビ番組の約60%は外国の作品でした。オーストラリアでは46%,エクアドルでは70%,スペインでは35%です。そうした番組のほとんどは米国から輸入したものでした。「大草原の小さな家」という米国の番組は110か国で,「ダラス」という番組は96か国で放映されました。世界中のテレビから地方色が消えつつあるとか,米国の消費優先主義と物質主義が広まっているといった不満も聞かれます。

“文化帝国主義”をめぐる混乱に巻き込まれている国は少なくありません。ナイジェリアの放送会社は,外国番組の侵入が国の文化をむしばんでいるとこぼしています。つまり,ナイジェリアの視聴者がナイジェリアよりも米国や英国についてよく知っているらしいことを憂慮しているのです。ヨーロッパ人も同じように感じています。最近開かれた米国議会の公聴会で,放送界の大立て者ロバート・マックスウェルは,「どんな国でも,自国の文化が他国の文化に征服されるようなことを許すべきではない」と息巻きました。その結果,放送局の放映できる海外番組の数を制限するようになった国もあります。

“文化帝国主義”が害を与えるのは文化だけではないかもしれません。地球そのものをさえ痛めつける恐れがあります。今すぐに何でも手に入れようという欧米の消費優先主義は,大気汚染,水質汚濁,全般的な地球破壊を助長してきました。ロンドンのインディペンダント紙の記者が述べているとおりです。「テレビは物質面の解放 ― 欧米の繁栄 ― という輝かしい見通しを世界に示したが,それは幻想でしかない。そのようなことは,取り返しのつかない自然環境破壊という犠牲があってはじめて達成可能なものだからである」。

テレビが現在の世界を変えつつあることはだれの目にも明らかです。それは必ずしも良い方向への変化ではありません。しかしテレビは,それよりもはるかに著しい影響を各個人にも及ぼしているのです。あなたはその影響を受けやすい人ですか。

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新聞は1日で1万人の脳裏に一つの考えを植え付けることができる

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テレビは瞬時に何億もの人の脳裏に一つの考えを植え付けることができる

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