渇水死寸前の湖
ソビエト連邦にあるアラル海は世界で4番目に大きな湖です。しかし,この湖はたいへん急速に収縮しており,このままゆけば,21世紀の初めまでには完全に干上がってしまいます。
サウス誌によると,もともと湖だった範囲の半分近くが,収縮のため塩分の多い砂漠となっています。「水かさが減ったアラル海の塩分が濃くなったため,かつてそこに生息していた24種類の魚のうち20種類は姿を消してしまった」と同誌は述べています。
以前は,巨大なアムダリア川とシルダリア川がアラル海に年間50立方㌔以上の水を注ぎ込んでいました。しかしこれほど大量に供給されていた水は,現在わずかにちょろちょろと流れる程度まで減っています。なぜでしょうか。サウス誌によると,その二つの川の水はこの地域で拡大を続ける綿花や米の耕作地のかんがいに利用されているからです。
現在ソビエト政府はアラル海を砂漠化の魔の手から救うための計画に着手しています。この計画はかんがい設備の近代化と綿花や米の栽培地域の縮小によって,1年間で9立方㌔の水を節約することを目標としています。そして21世紀初めには,節水量を30立方㌔まで増やせると見込んでいます。この計画によって湖が元通りの大きさに戻るわけではないものの,うまくゆけばこれ以上湖が小さくなるのを防げると考えられています。しかし,多くの人はこの計画もまた「焼け石に水で,遅きに失する」のではないかと心配していると,サウス誌は述べています。
[31ページの地図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
アラル海
1960年
1989年
2000年?
シルダリア川
アムダリア川
[地図]
ソ連
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