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目ざめよ! 1992
目92 5/22 17–19ページ

驚嘆すべき昆虫の前に人の造った航空機は面目を失う

戦争が終わると,ジャーナリストや軍事専門家たちは近代兵器の性能の良さをあれこれ自慢する傾向があります。“スマート爆弾”,レーザー誘導式巡航ミサイル,前代未聞の ― そして必殺の ― 機動性を持つ攻撃ヘリなどの長所をほめそやします。確かに,これらの兵器の陰にある精巧さにはしばしば目を見張るものがあります。しかし,殺人用の機械をそのように熱っぽく絶賛する人々も,次の一つの単純な真理を認めることはめったにありません。つまり人間がどれほど進んだ航空機を作っても,創造物の中に数多く見られる小さな航空機とは設計の点で比べものにならないほど原始的だ,という真理です。

巡航ミサイルのことを考えてみましょう。ウォールストリート・ジャーナル紙は,「巡航ミサイルの予定の進路は,デジタル化された照合用地形図によってコンピューターに記憶されている。ミサイルはズームレンズと電子センサーによってコースを保ちながら,地表すれすれを音速に近い速度で飛行する」と伝えています。とても性能が良さそうですが,今度はオオツチスガリモドキという目立たない昆虫と比較して考えてみましょう。

小さな地図製作者

コンピューターの雑誌「バイト」の技術欄の編集長ベン・スミスは最近次のように書きました。「オオツチスガリモドキと比べれば,巡航ミサイルは全くの愚か者である」。なぜでしょうか。巡航ミサイルは技術的に優れた才能を備えているにもかかわらず,かなり簡単にだまされてしまうからです。スミスが表現しているとおり,「標的を移動させて,そのあとにダミーを置いておくだけで十分だ。巡航ミサイルは標的を破壊する過程で自爆するので,自分が間違いを犯していることに気づくことはないからである」。

オオツチスガリモドキの場合,そうやすやすとだますことはできません。この昆虫を研究している一生物学者はある実験をしました。この学者は,何百匹ものオオツチスガリモドキが小さな砂浜沿いに同じような穴を開けて集団で住んでいるのを見つけ,そのうちの1匹が飛び出すのを待ちました。それから彼は急いでその虫の住みかの入口を砂でふさぎました。そして虫がもう一度穴を見つけることができるか見るために待ちました。驚いたことに,虫は隠された入口のそばに寸分違わず舞い降り,穴を掘り起こしたのです。オオツチスガリモドキが出かける時や戻って来る時にはいつも決まって巣穴の上空で何かを偵察しているような飛び方をするのを観察したこの学者は,虫が周囲の目印を記憶して,頭の中で地図のようなものを作ることができるのではないかと考えました。

その推測の正しさを試すため,彼はもう一度穴をふさぎ,今度は穴の周りに何個か落ちていた松ぼっくりの位置を変えました。虫は帰って来るといつものように上空で偵察しましたが,今回は降りる場所を間違ってしまいました。少しの間とまどっていました。それから空中に舞い上がり,もう一度 ― しかも今度はもっと高い所から ― 偵察飛行をしました。この小さな虫は先ほどとは違った角度から問題を眺めることによって,照合用のもっと確かな目印を見つけたようです。虫はふさがれた穴を直ちに見つけて,再び掘り起こしたからです。

巡航ミサイルに搭載されるコンピューターの値段はおそらく100万㌦(約1億3,000万円)ほど,重さは50㌔近くあります。オオツチスガリモドキはピンの頭ほどの大きさの脳を使います。ベン・スミスはさらにこう述べます。「オオツチスガリモドキは歩くことも穴を掘ることもでき,獲物を探してその裏をかくことも,そして連れ合いを見つけること(巡航ミサイルがこれを行なおうものなら災難を引き起こすだろう)もできる」。スミスはこう結論しています。「今年の機械の性能が去年の機種の性能を大幅に上回っているとしても,目立たないオオツチスガリモドキの脳の性能に近づいているようには少しも見えない。まして,人間の思考力の性能には及びもしない」。

驚くべき羽

攻撃ヘリなど,人間が作った最先端の戦闘機についても同じことが言えるでしょう。英国の昆虫古生物学者,ロビン・J・ウトゥンは20年以上かけて昆虫の飛び方を研究してきました。最近ウトゥンはサイエンティフィック・アメリカン誌の中でこう述べました。昆虫の中には「曲芸飛行のような驚くべき離れ業をやってのけるものがいる。例えば,イエバエは高速飛行から減速して空中で停止し,その場で向きを変え,逆さまになって飛び,宙返りや横回転を行ない,天井に止まることができる。しかも,これらをすべて一瞬のうちに行なうのである」。

この小さな航空機が人間の作る戦闘機の性能を上回っているのはどうしてでしょうか。ほとんどの戦闘機には操縦の際の安定性を保つためにジャイロスコープが搭載されています。ハエは独特の型のジャイロスコープを持っています。他の昆虫では後ろ羽が生えている部分に,平均棍と呼ばれるレバーのような形の突起物があるのです。平均棍は羽の動きに合わせて振動することによって,飛行を誘導し,素早く飛び回る際のバランスを保ちます。

しかし,古生物学者ウトゥンによれば,本当の秘密はハエの羽にあります。ウトゥンは1960年代に大学院生だったとき,昆虫の羽は,よく言われるように「翅脈と膜でできた抽象的な模様というよりも,それよりはるかに優れている」のではなかろうかと思うようになったと書いています。むしろ彼は,「それぞれの羽はミニチュアの優美な工学的作品のように見える」と述べています。

例えば,昆虫の羽の長い翅脈は実際のところ,気管と呼ばれる中空の小さな通気管と結び合わされている丈夫な管なのです。これら軽くて硬い翼桁は横脈で連結されています。このようにしてできた模様は単に美しいだけではありません。ウトゥンによると,それは建築技師が強度や剛性を高めるために用いる格子梁や立体骨組みによく似ています。

この複雑な骨組みの上には膜が広がっています。科学者たちはこの膜が非常に丈夫で軽いこと以外は,いまだに十分に理解していません。画家がぐらぐらした枠木にキャンバスを張るとしっかりすることに気づくのと同じように,羽の格子梁の上に張り伸ばされたこの膜は羽の強度と剛性を高めるのに役立っている,とウトゥンは書いています。

ところが,羽の剛性は高過ぎてもいけません。羽は高速ではばたく際の途方もなく大きな圧力に耐えるだけでなく,何度ぶつかっても持ちこたえられるようでなければなりません。そこでウトゥンは羽の横断面を調べていると,多くの羽が付け根から先端に向かってだんだん薄くなっており,端のほうが柔軟性に富んでいることに気づきました。ウトゥンはこう書いています。「一般に羽は,風に吹かれる葦と同じように,衝撃に対して力強く抵抗するのではなく,曲がってもすぐに元に戻ることによって対応する」。

もっと驚くべき点だと思われますが,羽は飛んでいる間に形を変えることができます。もちろん,鳥も同じことを行ないますが,鳥は羽の内部の筋肉を使って羽の形を変えます。昆虫は羽の付け根より先に筋肉はありません。この点で昆虫の羽は舟の帆に似ています。形を変えるには根元から,下のデッキにいる乗組員によって,虫の場合は胸部の筋肉を使って調節しなければなりません。ウトゥンが書いているとおりです。「だが,昆虫の羽は帆よりもはるかに巧妙にできており,確かにもっと興味深い。……羽は緩衝器,釣り合いおもり,裂け目が広がらない構造,その他単純とはいえ優れた効果性を持つ仕組みを数多く備えている。これらはすべて羽の空気力学的効果性を高めている」。

揚力 ― 鍵となる要素

こうしたことを含め,羽の設計上の他の多くの特徴のおかげで,昆虫は羽を上手に操作して,飛ぶための最終的な鍵となる要素,つまり揚力を得ます。事実,ウトゥンは上向きの力を作り出すための昆虫の羽の動かし方を7通り以上述べています。

航空宇宙学の技師マービン・ルトゲスは10年を費やしてトンボの飛び方を研究してきました。トンボは大きな揚力を作り出すので,米国の雑誌「ナショナル・ワイルドライフ」は最近,トンボの飛び方を「空気力学上の偉業」と表現しました。ルトゲスは“ウィドー”と呼ばれるトンボに小さなおもりを付けたところ,小さなこのトンボが自分の体重の2倍から2.5倍の重さのおもりを,簡単に持ち上げることができるのを発見しました。つまり,これらの創造物はその大きさからすれば,人間が作った最も性能の良い戦闘機の3倍以上の積載能力を持っているということです。

どのようにして持ち上げるのでしょうか。ルトゲスと同僚たちは,トンボが羽を振り降ろすたびに羽をわずかにひねって,羽の上部の表面に空気の渦を作り出していることを発見しました。技師たちが非定常空気流と呼ぶものを用いるこの複雑な飛び方と,定常空気流に頼る人造の飛行機の飛び方とには大変な違いがあります。しかし,ナショナル・ワイルドライフ誌が述べているとおり,トンボには「空気の渦の力を利用して」そのような「並外れた揚力」を作り出す能力があるのです。米国空軍も海軍もルトゲスの研究に資金援助をしています。もし飛行機が同じ原理を取り入れることができれば,離陸はもっと簡単になり,もっと短い滑走路に着陸できるようになるでしょう。

しかしトンボの機動性に並ぼうとすれば,また新たな難問が生じます。トンボはまさに初めて飛んだ時から,「どれほど腕の良い現代の飛行士もただただうらやむばかりの偉業を即座に」成し遂げている,とナショナル・ワイルドライフ誌は述べています。

ですから,古生物学者のウトゥンがこの問題について次のような結論を出したのも不思議ではありません。「昆虫の羽の機能に対する理解が深まるにつれ,その設計の精巧さと美しさとがさらにはっきり見えてくる。羽に匹敵する科学技術は,今のところ,たとえあるとしてもごく少ない」。

「今のところ」という言葉には,時間が十分にあれば創造者が作られたものをほとんどすべて真似ることができるという,人間の ― ごう慢とは言わないまでも ― 楽観的な考えが表われています。恐らく人間は,自然の中で発見したものの巧妙で注目に値する模造品を作り続けることでしょう。しかし,銘記しておくべきことが一つあります。模造することと,造り出すこととは全く性質の違う事柄であるという点です。賢人ヨブが今から3,000年以上昔に言ったとおりです。「どうか,家畜に尋ねてみよ。それはあなたを教え諭すであろう。また,天の翼のある生き物にも。そうすれば,それはあなたに告げるだろう。これらすべてのもののうち,だれかよく知らないものがあろうか。エホバのみ手がこれをなさったことを」― ヨブ記 12:7,9。

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