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目ざめよ! 1996
目96 1/8 6–11ページ

この闘いに勝算はあるか

「このかけがえのない地球を守りましょう」。これは,世界自然保護基金の総裁である,英国のフィリップ殿下の印象的な呼びかけの言葉です。

それより何千年も昔に,詩編作者は次のように書きました。「天についていえば,天はエホバに属する。しかし地はというと,神はこれを人の子らにお与えになった」。(詩編 115:16)神が地球を人間の住まいとして与えてくださったので,人間は地球を守らなければなりません。そうした問題を扱うのが生態学です。

「生態学<エコロジー>」という語は,字義的には「住まいの研究」を意味しています。a アメリカン・ヘリテージ辞典では,「現代文明が環境に及ぼした有害な影響を,保護策を講じて防止するあるいは逆転させる目的で研究すること」という定義がなされています。簡単に言うと,生態学とは,人間の与えた被害を探し出して,それを修復する方法を見いだすことです。どちらも容易なことではありません。

生態学に関する三つの重要な事実

生物学者のバリー・コモナーは,自著「地球との和解」の中で,生態学上の三つの単純明快な法則を示しています。それらの法則は,乱用によって地球がたいへん傷つきやすい理由を説明するのに役立ちます。

どんなものも,他のあらゆる事柄と結びついています。歯が一本悪くなるだけで,体全体に影響の及ぶ場合があるのと同じように,一つの特定の自然資源が害されただけで,環境問題が次から次へと持ち上がる場合があります。

例えば,過去40年間に,まきや材木にする目的で,ネパールのヒマラヤの森林50%が切り倒されました。一度木々をはぎ取られると,山の斜面の土壌は雨期になって雨が降った時にたちまち洗い流されてしまいました。表土がないので,樹木が新たに根付くのは容易ではなく,多くの山々は禿げ山と化しました。森林破壊が進んだため,今ネパールは毎年何百万トンもの表土を失っています。しかもこれは,ネパール一国の問題ではありません。

バングラデシュでは,かつては木々に吸収されていた豪雨が,妨げられることもなくたいへんな勢いで禿げ山を流れ下り,海岸に達し,そこで洪水となって大きな被害をもたらしています。昔のバングラデシュでは大規模な洪水は50年に一度でしたが,今では4年足らずに一度の割合で生じます。

世界の他の地域では,森林破壊によって砂漠化や地域的な気候の変化が生じてきました。森林は人間が開発している自然資源の一つにすぎません。生態学者は地球の広大な生態系の連動する部分についてまだ比較的わずかなことしか知らないので,深刻な被害が出てからでないと,問題に気づかないかもしれません。廃棄物の処理の場合がそうでした。このことは生態学の第二の法則を的確に例証しています。

どんなものも,必ずどこかに行き着きます。ゴミを処理しない場合,典型的な住まいがどのようになるかを想像してみてください。地球はちょうどそのような閉じたシステムです。つまり,わたしたちの出す廃棄物はすべて,必ず地球という住まいのどこかに行き着くのです。オゾン層の一部が破壊されたことは,クロロフルオロカーボン(フロン)などの一見無害に思えるガスでさえ,希薄な空気の中に消えてしまうだけではないということを示しています。フロンは,空や河川や海に放出されている,危険性を秘めた何百もの物質の一つにすぎません。

確かに,一部の製品 ―「微生物により分解可能」と銘打たれている ― は,自然の作用によってやがて分解,吸収されるかもしれませんが,そうならないものもあります。世界の海岸には,プラスチック容器が散乱しています。それらはこの先何十年もそこに転がっていることでしょう。それよりも目につきにくいものとして,工場から出る有毒廃棄物があります。それらは普通,どこかに埋められます。目につかなくなったからといって,いつまでも忘れ去られているという保証はありません。今後も地下の水源に染み込み,人間や動物の健康を著しく脅かす可能性があるのです。ブダペスト水文学研究所で働くハンガリー人のある科学者は,「我々は現代産業が生み出すあらゆる化学物質の扱い方を知っているわけではない。それらの動きを追跡することさえできない」と告白しました。

ゴミの中で最大の脅威となっているのは,原子力発電所の副産物である放射性廃棄物です。大量の放射性廃棄物が幾つかの場所に一時保管されていますが,すでに海洋に投棄されてしまったものもあります。長年,科学的な調査が行なわれてきたにもかかわらず,安全で永久的な保管や処分に関する解決策はいまだに見いだされていませんし,近い将来に見いだせる見込みもありません。これらの生態学的時限爆弾がいつ爆発するかは,だれにも分かりません。問題は決してなくなりません。こうした廃棄物はこの先何百年,何千年もの間,あるいは神が行動を起こされる時まで,放射能を出し続けるからです。(啓示 11:18)また,人間が廃棄物処理の問題を軽視してきたことは,生態学の第三の法則を思い起こさせます。

自然の成り行きに任せましょう。言い換えれば,人間は良いと思えるものを使って自然のシステムを避けて通ろうとするよりも,自然のシステムと協力する必要があります。ある種の農薬がそのよい例です。導入された当初,農家の人たちはそれを使って除草したり,害虫を実際に駆除したりすることができました。大豊作は保証されていたようなものでした。しかし,その後はうまくいかなくなりました。次々に登場する農薬に対して雑草や虫が抵抗力を持つようになっただけでなく,農薬が虫の自然の捕食者や野生生物,また人間自身をさえ汚染していることが明らかになったのです。もしかしたらあなたも農薬汚染の影響を受けてこられたかもしれません。そうであれば,あなたは世界中に少なくとも100万人はいる犠牲者の一人なのです。

最大の皮肉は,農薬は結局のところ作物の収穫高を増加させることさえないということを示す証拠が,ますます増えていることです。米国では,虫の食い荒らす作物の量が今や農薬革命前よりも増えています。同様に,フィリピンに本部を置く国際米穀調査研究所は,農薬がもはや東南アジアの米の収穫高を増加させていないことを発見しました。実際,インドネシア政府主催のプロジェクトでは,農薬をさほど使わなくても,1987年以降の米の生産高が15%増加したのに対し,農薬を使った場合は65%減少しました。それにもかかわらず,世界の農民はいまだに毎年おびただしい量の農薬を使用しています。

以上,生態学の三つの法則についてざっと説明しましたが,これらの法則は物事がうまくいかない理由を説明するのに役立ちます。ほかにも次のような重要な疑問が生じます。すでにどれほど被害が及んでいるのでしょうか。また,修復することはできるのでしょうか。

どれほど被害が及んでいるか

この記事の世界地図(8,9ページをご覧ください)は,幾つかの主要な環境問題と,それらが非常に深刻化している地域を目立たせています。生息地の消失や他の要因で動植物の種が絶滅する場合,人間にその被害を修復することができないのは明らかです。すでに被害が及んでいるもの ― オゾン層の減少など ― もあります。現在進行中の環境悪化はどうでしょうか。それを阻止する点で,あるいは少なくともその速度を緩める点で,何らかの進展は見られているでしょうか。

生態学的被害を判断する上でとりわけ重要な尺度に,農業と漁業があります。なぜでしょうか。これらの産業の生産性は健全な環境に依存しており,確実な食物供給がなければ,わたしたちの生活はおぼつかないからです。

どちらの分野でも悪化の徴候が見られます。国連食糧農業機関は,世界の漁船団が1億㌧以上の漁獲量を上げれば,必ずや漁業資源が重大な脅威にさらされると予想していました。1989年の漁獲量はそれを超過したので,予想どおり,翌年には全世界の漁獲量が400万㌧落ち込みました。幾つかの漁場は急速に縮小しています。例えば,大西洋の北東部では,過去20年間に漁獲量が32%落ちました。おもな問題は,魚の乱獲,海洋汚染,産卵場所の破壊などにあります。

こうした危険な傾向は,農作物の生産においても見られます。1960年代から1970年代にかけて,穀物の品種改良,かんがい,農薬や化学肥料の大規模な使用などにより,世界の穀物生産はかなり増加しました。しかし現在では,農薬や肥料は効き目を失いつつあり,水不足や汚染も収穫量の減少を助長しています。

養わなければならない人口が毎年1億人近く増加しているにもかかわらず,過去10年間に耕作地の総面積は減少してきました。また,この耕作可能な土地は肥沃さを失いつつあります。ワールド・ウォッチ研究所の推定によれば,浸食作用のせいで,農民は過去20年間に5,000億㌧の表土を失いました。ですから,食糧の生産が減少するようになったのも当然の結果です。「地球白書 1993年」という報告書は,「1984年から1992年にかけて一人当たりの穀物生産高が6%減少したことは,今日の世界で最も不穏な経済的動向と言えよう」との所見を述べています。

人間が環境をないがしろにした結果として,無数の人々の命がすでに危険にさらされていることは明らかです。

人間はこれらの問題を解決できるか

たとえ人間が,うまくいっていない点に関して多少の知識を得ているとしても,修復するのは容易なことではありません。第一に問題になるのは,1992年の地球サミットで提案された包括的な計画を実行するためには巨額の資金 ― 少なくとも年間6,000億㌦ ― が必要になるということです。本当の意味で犠牲を払うこと ― 浪費を抑えてもっと再生利用を行なうこと,水やエネルギーを守ること,自家用車ではなく公共の乗り物を使用すること,また,最も難しいこととして,自分のことよりも地球のことを考えることなど ― も必要です。米国の水界生態系を回復する委員会の委員長ジョン・ケアンズ2世はこの問題について簡潔に,「わたしは人間ができることについては楽観しているが,人間が将来行なうことについては悲観している」と述べました。

全面的な浄化の費用総額がそれほど高くつくので,大半の国々は清算の日を先に延ばすことを望んでいます。経済上の危機に見舞われている場合,環境対策は仕事を脅かすもの,あるいは経済にブレーキをかけるものとみなされます。言うは易く,行なうは難しです。「地球を大切に」という本は,これまでの反応を,「美辞麗句の嵐に続いて無活動という干ばつが生じたこと」に似ている,と描写しています。しかし,このように対応の後れが見られるとしても,時間が与えられるなら,新しい科学技術を活用して地球の病をいやす,痛みの伴わない方法を見いだすことはできるのでしょうか。できないようです。

全米科学アカデミーとロンドン王立協会は共同声明を発表し,率直にこう認めました。「もし人口増加に関する現在の予言が正しく,地上の人間の行動パターンが変化しないなら,科学や科学技術は環境が回復不可能なまでに悪化する事態や,世界の大半が引き続き貧困に苦しむ事態を防げないかもしれない」。

放射性廃棄物の捨て場がないという恐ろしい問題は,科学も万能ではないということを思い起こさせてくれます。科学者たちは40年もの間,高レベルの放射性廃棄物を永久に保管できる安全な場所を探し続けてきました。それがどうしても見つからないため,イタリアやアルゼンチンなどの国々は,そのような場所を確保できるのはどんなに早くとも2040年,と結論しています。この分野で最も楽観的なドイツは,2008年までに諸計画を仕上げたいと考えています。

なぜ放射性廃棄物がそれほど問題になるのでしょうか。「たとえ最適な保管場所であるとしても,いつの日かそこから危険な量の放射性廃棄物が漏れるということなど絶対にない,と保証できる科学者や技師は一人もいない」と地質学者のコンラード・クラウスコップフは説明しています。しかし,廃棄物の処理の難しさが当初から叫ばれていたにもかかわらず,政府や核関連産業は無分別にも道を急ぎました。明日の科学技術が解決策を案出してくれるものと思い込んでいたのです。しかし,その明日は一向に来ませんでした。

科学技術が環境危機に対する即効薬を持っていないのであれば,ほかにどのような選択肢が残されているのでしょうか。ついに,諸国家は必要に迫られて,地球を守るために協働するようになるでしょうか。

[脚注]

a ギリシャ語のオイコス(家,住まい)とロギア(学問)に由来。

[7ページの囲み記事]

再生可能なエネルギー資源を求めて

たいていの人は停電や石油の値上げでもないかぎり,エネルギーを当たり前のものと考えています。しかし,エネルギーの消費は汚染を招く大きな原因の一つです。使用されているエネルギーの大半は木材や化石燃料を燃やすことによって得られており,その過程で莫大な量の二酸化炭素を大気中に放出し,世界の森林の多くを死に追いやるのです。

原子力もありますが,事故が起きる危険性や放射性廃棄物の保管の難しさから,ますます不評を買っています。他の代替手段は再生可能なエネルギー資源として知られています。自然に発生し,自由に使えるエネルギー資源を利用するからです。おもに五つの種類があります。

太陽エネルギー。このエネルギーは熱源として簡単に利用することができます。イスラエルなどの国々では,多くの家に太陽熱温水器が設置されています。日光を利用して発電するのはそれと比べると簡単ではありませんが,現代の光電池はすでに田園地帯で電力を供給しており,経済性が高まっています。

風力。現在,世界でも風の強い幾つかの地方では,巨大な風車が地平線上に点在しています。イオリアン・エネルギーと呼ばれるこのエネルギーによって供給される電力は着実に安価になってきており,現在,一部の地域では従来のエネルギー供給よりも費用がかからなくなっています。

水力発電。すでに世界の電力の20%は水力発電所から供給されています。しかし,残念なことに,先進国内の利用できそうな場所はほとんど開発済みです。巨大なダムも生態系にかなりの被害を与える場合があります。特に発展途上国においては,比較的小さな水力発電所を数多く建設するほうがうまくいきそうです。

地熱エネルギー。特にアイスランドやニュージーランドなどの国々では,足もとの“温水システム”を利用できるようになっています。地下の火山活動によって熱せられた水を暖房や発電に使うことができます。イタリア,日本,フィリピン,米国,メキシコなども,この自然のエネルギー資源をある程度開発してきました。

潮力。イギリス,フランス,ロシアなどの国々では,潮の干満が発電に利用されています。しかし,このエネルギーを経済的な価格で供給できるような場所は,世界でもわずかしかありません。

[8,9ページの囲み記事/図版]

世界の主要な環境問題の例

森林破壊。世界の温帯林の4分の3と熱帯林の半分がすでに消失しており,森林破壊の割合は過去10年間に驚くほど増加しました。最近の推定によると,熱帯林の破壊は毎年15万ないし20万平方㌔の割合で進んでいます。これはウルグアイの面積に匹敵します。

有毒廃棄物。現在製造されている7万種類の化学物質の半数は,有毒物として分類されています。米国だけでも毎年2億4,000万㌧の有毒廃棄物が生じています。データがないので,全世界の廃棄物の総量を算出することはできません。さらに,2000年までに,20万㌧近くの放射性廃棄物が幾つかの場所に一時保管されることになります。

土地の劣化。世界の地表の3分の1が砂漠化の脅威にさらされています。アフリカの一部の地方では,サハラ砂漠がわずか20年間に350㌔も進みました。すでに数え切れないほど多くの人々の暮らしが脅かされています。

水不足。約20億の人々は慢性的な水不足に悩まされる地域に住んでいます。水不足を悪化させているのは,無数の井戸の枯渇です。その原因は水源である帯水層の水位の低下にあります。

絶滅の危機に瀕している種。幾分推測を交えた数字ですが,科学者は,2000年までに50万種から100万種の動植物や昆虫が絶滅するものと見ています。

大気汚染。1980年代初頭の国連の調査によって,10億の人々が都市部に住んでおり,健康に害を及ぼしかねない量の細かいすすや,亜硫酸ガス,二酸化窒素,一酸化炭素といった有毒ガスに毎日さらされていることが明らかになりました。過去10年間に見られた急速な都市化がこの問題を悪化させてきたに違いありません。それだけでなく,年間240億㌧の二酸化炭素が大気中に排出されており,この“温室効果ガス”が地球の温暖化をもたらすのではないかと危ぶまれています。

[地図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

森林破壊

有毒廃棄物

大気汚染

水不足

絶滅危機種

土地の劣化

[クレジット]

Mountain High Maps™ copyright© 1993 Digital Wisdom, Inc.

写真: Hutchings, Godo-Foto

写真: Mora, Godo-Foto

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