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  • 目ざめよ! 1998
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目ざめよ! 1998
目98 7/22 25–27ページ

乳から作るフェタ

ギリシャの「目ざめよ!」通信員

ギリシャから来た客人のために,ニューヨーク在住の主人側は,客が特に喜んでくれそうなギリシャ料理を何品か用意しました。しかし,最後の料理になり,ギリシャ風サラダを盛った皿が食卓に出されると,客は冗談まじりに,「ところで,フェタが見当たりませんね」と言いました。

そうそう,フェタチーズを忘れるところでした。ギリシャの食べ物と言えば,まず思い浮かべそうなものの一つに,新鮮で,白くて,柔らかい,そしてスパイシーなフェタがあります。ギリシャでは,どんな伝統料理にもフェタはなくてはならないものです。ですから,有名なギリシャ風サラダの基本的な材料の一つであることは言うまでもありません。最近,その独特の性質と特徴を保護するための努力が一部実り,ギリシャのものだけをフェタと呼んで,他の場所で生産される白いチーズと区別することが,欧州連合により公式に認められました。世界中のチーズ愛好家を満足させるために,ギリシャは毎年9,000㌧余りのフェタを輸出しています。

背景寸話

チーズ作りは人類史の遠い昔にさかのぼります。聖書の登場人物で,西暦前17世紀に,現在のアラビアに当たる地域に住んでいたヨブは,自分が母親の胎内でどのように形成されたかを詩的な言葉で表現し,創造者にこう述べました。「あなたは私を乳のように注ぎ出し,チーズのように私を固まらせたではありませんか」。(ヨブ 10:10)チーズ作りの技術は,キプロスやエーゲ海諸島に植民市を設けた,海洋民族フェニキア人によってヨーロッパに紹介されたと考えられています。

チーズ作りに使われた道具は今も残っていて,ギリシャ本土でも,クレタ島をはじめとする周囲の島々でも発見されています。エーゲ海の少なくとも一つの島では,小さなチーズの図柄の硬貨が造られましたし,古代オリンピックに備えて励んでいた運動選手たちにはチーズ食が与えられました。ホメロスの「オデュッセイア」には,伝説の一つ目巨人ポリュフェモスが,フェタの元祖と思われる羊乳チーズを造っている場面が出てきます。巨人は,小枝を編んで作ったかごにそのチーズを入れ,自分の洞穴で熟成させています。実際,チーズを意味するイタリア語とフランス語(フォルマッジョとフロマージュ)は,「かご」,つまりチーズの水気を切るために使われる枝編み細工のかごを意味するギリシャ語のフォルモスから来ています。

フェタを漬ける

また,フェタの話に戻りましょう。本物のフェタが他のチーズと違うのは,やぎか羊の乳だけで作られるからです。ギリシャでは,フェタは羊乳が少なくとも70%,やぎの乳は30%までと法律で定められています。牛乳の使用は厳しく禁じられています。他の国で作られる“フェタ”の場合はそうではありません。フェタは加温も圧搾もされず,短期間,塩水の中に保存されます。この塩水がミルクの強い風味に塩味を添えます。

では,ペロポネソス半島の山間部にある小さなチーズ工場を訪ね,フェタを作る,言い換えれば漬ける,工程を見ることにしましょう。わたしたちがそこに着くころには,工場の所有者で何十年もチーズを作り続けているタナシスさんは,もう早朝から忙しく働いていて,地元で生産される羊乳ややぎの乳を集めています。わたしたちが到着したときには,乳脂をすくい取り,低温殺菌し,ラジエーターのような器械で冷却する工程に入っていました。

「1頭のやぎ,あるいは羊は,1日に約1㌔の乳を出します。フェタを1㌔作るには4㌔から4.5㌔の乳が必要です」と,タナシスさんは教えてくれます。

さて,レンネットとヨーグルトを加える時がやって来ます。これらは乳を固まらせるのに必要な原料です。「レンネットは反すう動物の胃の内膜で,これにはレンニンと呼ばれる酵素が含まれています。レンニンを乳に混ぜると,乳は凝固し,凝乳<カード>と乳清<ホエー>に分離します」とタナシスさんは言います。大きなバットの中の乳はまだ何の変化もないように見えます。しかし,顕微鏡で見れば,化学反応によって乳の性質と組成がどんどん変化していくのを見ることができます。タナシスさんはバットをのぞき込みながら,「この段階では温度は一定していなければなりません」と言います。そして,それが本当に微妙なバランスであることを強調します。「1度上下するだけでも,チーズは台なしになってしまうのです」。

次に,その中に大きな粗塩の結晶を加えます。45分もすると,乳は目に見えて変化しています。もうどろどろで白く,ゼリーともヨーグルトともつかないものになり,濃い黄色の乳清の中に浮かんでいます。乳清からも,いくぶん淡白なギリシャ・チーズが作られます。この凝固した乳はやがてフェタになるわけですが,この時点での味は,塩のきいたスパイシーなフェタとはまるっきり違います。滑らかで,温かで,マイルドで,不思議な舌ざわりです。

凝乳のカッティングと加塩

さて,チーズ職人がもっと荒い行動を取る時となります。タナシスさんは,長い櫂形のステンレスの枠に何本かのワイヤーを約3㌢の等間隔に張ったチーズカッターを,まずバットに対して水平に動かし,次いで垂直に動かして,凝乳を格子状に切ります。次に,大きな穴が幾つか開いている木製の長いオールを使って,凝乳をかくはんします。

かくはんしたペースト状の凝乳は,水気を切るため,丸くて溝のあるステンレス製の型に入れ,黄色い乳清を排出させます。凝乳は型の中に残ります。

各型の中のペーストのきめや凝乳の密度は,最終製品の品質を左右するので極めて重要であるとのことです。チーズ職人は型の中の凝乳に加塩し,約1時間置いてから,凝乳を反転させてまた加塩します。その日と翌朝の工程の間に,凝乳を反転させて加塩する作業は二,三度行なわれます。

最後の仕上げ

この時点で型の中の凝乳は大小の樽に入れるのに十分な固さになっています。この段階はランツァと呼ばれます。凝乳は樽の中に三日から五日入れておきます。その後,取り出してよく洗い,別の樽に入れます。そしてだいたい2週間から40日間樽の中に置かれ,そこで発酵し,熟成し,塩水を排出します。最後に樽は冷蔵庫に収納され,少なくとも2か月後には販売できる状態になります。何か月ももたせるためには,フェタは塩水,水,あるいはミルクに漬けて貯蔵しなければなりません。輸出されるものは缶詰になっていますが,ギリシャでは普通,大小の木製の樽に詰めたものが売られています。その樽がまたチーズの味わいを豊かにするのです。

「冬場の乳はクリームが多くて,まろやかですが,フェタの味は今ひとつです。4月から10月までの乳は薄くても香りがよいので,きめの細かいフェタが出来上がります」と,タナシスさんは言います。

タナシスさんが樽から出来たてのフェタを一切れ取り出すと,塩を含んだ乳が指から滴ります。彼はそのフェタを少し,まきのかまどから取り出した焼き立てのパンに添えて,わたしたちに味見をさせてくれました。そして,あらゆる有名なチーズと同様に,フェタもあちこちでまねをされてきたが,どれも本物にはかなわない,と話してくれました。後ほど,近くにあるタナシスさんの家の昼食に招かれた際,出されたおいしい地中海料理の主役は,なんと言ってもフェタでした。

以上で,このユニークなチーズの作り方が幾らか分かりましたから,食事経験を広げて,新鮮な塩味のフェタを味わってみるのはいかがですか。その時には,やぎや羊の乳を絞った日から完成品があなたの前に置かれる時まで,このおいしいチーズを作るのに多くの時間と手間がかかったことを考えてください。

[26ページの写真]

典型的なギリシャ風サラダの材料

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