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  • キリストの再臨在 ― 偽りの警報ではない
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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1954
塔54 1/15 36–38ページ

キリストの再臨在 ― 偽りの警報ではない

ヱホバの証者は,現在の悪い組織制度は火の如きハルマゲドンで終ると警告をしています。しかし,この満足し切つている世代の人々にとつて,この警告は不自然であり,全く想像もつかないことと考えられて居ます。人々はヱホバの証者を馬鹿にして笑い,こんな風に言います。『そんなことは良く知つて居る。祖父もまたその祖父達も同じことを伝道した。しかし,御覧の通り,世の中は全く同じさ。何も変ることはないよ。』しかし,現在と過去の両方の世代に生存した人は,世の中の状態が同じではないということを知つています。また変化が起きて,そのような意味のない考え方を支持する根拠は無いということも知つています。

過去に,偽りの警報が発せられたということは,間違いのないことです。だか,そのことでもつて,ヱホバの証者が現在告げている警報は偽りであるということが言えるでしようか? 悪魔は,あなた方が間違いのことを信ずるようにと望んで居ります。前の40または50の警告が偽りの警報だからといつて,消防局が新しい警報に応じないことは良くないことです。この新しい警報は偽りでないかも知れません。安全を期する為にどの警報も調査されるべきです。同様に,今日の善意者達が,過去に於いて聖書を信じた人達は偽りの警報を告げたからといつて,ヱホバの証者の述べる緊急の警告を無視するのは愚かなことです。

イエスは,自分が再び来るということを明白に教えました。或る時に,イエスの弟子達はイエスに尋ねました。『これらの事は何時ですか,そしてあなたの臨在と組織制度の終りの徴はどんなものですか,教えて下さい。』イエスは,目に見える形で臨在するだろうとは言いませんでした。イエスの臨在は,ただその時に見られる情況の証拠によつて識別されるであろう。それですから,イエスの弟子達はイエスの臨在の徴を尋ねたのです。若しイエスが肉体で目に見える姿で見られるならば,徴の必要はありません。イエスは,彼が天で王位に即く時に,地上で起る多くの出来事を語りました。それらの出来事によつて,人々はキリストの臨在と,また同時にハルマゲドンの戦いの近いことを解き知るでありましよう。イエスは次のように言いました。すなわち,イエスの目に見えない即位は,この地上に於いて諸国家が世界戦争に巻き込まれて戦争し合い,また多く場所で疫病,食糧不足,そして地震があるということから知られる。また,イエスの追従者達はすべての国民から憎まれるであろう。或る追従者達は迫害され,或る者は殺されるであろう。忠実な者は,ハルマゲドンの来る前に,全地への証言として,設立された御国の良い音信を伝道するでしよう。こういう事がらが起つている間,『諸国家は,海の鳴り轟きと,海の動揺のためにとるべき途を知らず,不安に悩むであろう。また人々は地上に来らんとする事柄を心配し,懸念するために,気を失う。』また,一時しのぎの政治の政府を作つて平和を求めようとする空しい努力がされるであろう。そしてまた,これらのすべての事柄が一世代の中に起り始まるのを見たならば,その世代は生命を保つために逃げるべきである。何故ならばハルマゲドンは非常に近づいているからであると,イエスは語りました。―マタイ 24,25。マルコ 13。ルカ 21。

テモテに宛てたパウロの手紙は,キリストの再臨在の時の悪い状態を明白に書き表わしています。(テモテ後 3:1-3)ペテロは,嘲笑する者が,自分自身の慾に従つて歩みながら現れ,警告を馬鹿にし,次のようなことを強く求めるだろうと言いました『約束された彼の臨在はどこにあるのか? 私達の祖先が死んで眠つて以来,すべてのものは創造の最初の時と全く同じく続いているではないか?』(ペテロ後 3:3,4,新世)ヤコブは,非常に富める者達が,終りの時代に富を蓄積するだろうと予言しました。ヨハネは,霊感を受けて予言し,前例の無いような悩みが,ハルマゲドンの戦いの近づくこの時期に生ずるだろうと言いました。これらの出来事のすべて,単に一つとか二つとかでなく,これらの事柄のすべてが,同じ世代のうちに起るならば,それらはキリストの再臨在を示すものです。これは偽りの警報ではありません。その世代はキリストの臨在を見るでしよう。そしてハルマゲドンの火のような審判を見るでしよう。―マタイ 24:32-34。ヤコブ 5。黙示 12,16章。

過去にあつた偽りの警報

或る人は,真面目な気持でこのように尋ねるかも知れません。『聖書は,キリストの臨在の時と,仕方について特別に述べているにもかかわらず,何故初期の聖書研究家達は間違えてキリストは彼等の時代の時に来ると考えたのですか?」 その質問に対する答えはこうです。それらの学者達は間違えて,キリスト臨在は肉眼で目に見えるか,『または,それが永久的のものであれ,全き終りまで続くものであれ,キリストの霊によるところのあらゆる社会勢力の,無言にして,漸次の浸透である。』と結論したのです。そしてまた,それらの学者達は,イエスの予言したすべての出来事は,イエスの再臨される世代のうちに成就されねばならぬということを考えませんでした。

例えを挙げましよう。西暦66-70年の悩みの時代を,或る人達は近づいた終りの徴であると解釈しました。その人達によれば,エルサレムが滅ぼされた後,キリストは必ず現われねばなりませんでした。しかし,ユダヤ人とローマ人との間の国家的争いも,またその後に続いた飢饉や疫病も,イエスの臨在の徴を示すものではありませんでした。当時に世界戦争はありませんでしたし,異常な程の多くの地震もなく,また全地に神の御国の良い音信は伝道されませんでした。実際に,御国の良い音信は欧州大陸の中にも殆ど拡まりませんでした。

他の兆候

20世紀になつてから,慌ただしい警報が新しく発せられました。『死を準備せよ! 如何なる時に対して用意せよ! 世の終りは近づけり!』というのは,1927年8月20日,パリーに於ける再臨信仰者達の大会中のポスターでした。キリストの再臨は,地が火で焼け去ることを意味するのだと,再臨信仰者達は信じました。彼等によると,義しい者は,天に取り去られることに依つて救われるでしよう。さらに,その事の以前に於いて,第一次世界大戦がその絶頂に達した時,英国の最も有名な牧師達の多くは,一つの声明書を発表しました。此の声明書は,次のように述べています。『現在の危機は,異邦人の時の終末を指し示している。第二に,『主の現れは,如何なる時にも予期されるのである。其の時に,主は,復活された夜,弟子達に現われたのと同じように明らかに現われるであろう。次に,完成された教会は「主と共に永遠にある」ものと翻訳されるであろう。』この声明書は,指導的な洗礼主義者<バプテスト>,組合教会信徒,長老派教会,監督教会,そしてメソヂスト派の牧師達によつて署名されました。

彼等は,異邦人の時を間違えて計算しました。何故ならば,異邦人の時は1914年の秋には,もう終つていたのでした。イエスの予言は真でした。世界戦争は其の時に勃発しました。飢饉,疫病,そして地震は引き続いて起りました。クリスチャン達は迫害され,殺されました。神の設立された御国の良い音信は伝道され始めました。不安と怖れは,世界に襲いました。不法と犯罪は増える一方です。国家は,先づ最初に,国際連盟を通して結合しましたが,現在は国際連合の中に結合しています。そして,この一時しのぎの政治政府は支持されて居ます。丁度,国際連盟が『神の御国の政治的表われ』として平和への唯一つの希望であると支持されたのと同じです。これらの出事のすべては,イエスの予言したことと,全く一致して居り,イエスの臨在を示すものです。

それでは,何故イエスは現われませんでしたか? イエスは現われましたが,それは,肉の人間としてではなく,イエスの予言の成就として生じたこれらの出来事を通して,イエスはその臨在を現わされて居ます。イエスは,人間の目に見える肉でもつて,再び現われるとは決して約束しませんでした。実際に,イエスは,弟子達に『しばらく経てば,世はもはや私を見ることはないであろう。』と言いました。(ヨハネ 14:19,新世)若し,イエスが肉の形で再臨するならば,イエスが現われる時の地上の状態を多く説明する必要があるでしようか? 勿論ありません。若し肉眼で見えるならば,どうして一連の徴を与える必要がありますか? イエスの再臨は,ただ周囲の状況によつてのみ見られるということを知つて居ましたので,弟子達は徴を求めました。イエスが与えた徴は,多くの一続きの出来事でしたが,それらは,イエスが天で御国の力を取り,統治を始める時に,地上に生ずる出来事でした。

此等の出来事は,1914年に地上で起り始めました。そして今日までに続いているものです。これらの大きな出来事の一つとか,二つが此の世代に起きたのではなく,すべての出来事が生じたのです。此は全く偽りの警報ではありません!

宗教牧師達は警報にたいして,どのように応じましたか? 彼等は全然耳を傾けず,その警報を聞き入れません。肉の体に現われるキリストを見ることが出来ませんので,彼等は当惑し困つています。1950年のラジオ時報<タイムズ>は次のように述べました。『多くの牧師達は,彼等がキリストの再臨を語らねばならぬということについて,不安な感じを持つている。しかし,彼等はそのことについてそんなにも当惑しているので,その問題を避けようとする傾向である。』ミルス大学のヂョージ・ヘギレイ博士は,今日の多くの牧師の持つている見地を示しました。同博士は次のように言いました。『何時キリストは再び来るであろうか? 神の霊が人の心に入る時である。キリストの来るのを,どのように我々は見分けることが出来るであろうか? 我々の中にある聖なる生命を認識することに依つてである。キリストは再び来るのか? 若し我々が来させるならば,キリストは来るのである。若し我々が選ぶならば,キリストは今朝にでも我々のところに来るであろう。』

同博士の言つた事は全く間違いです。キリストの来られるのは,人間に依存して居りません。キリストは今もう来て居ます。そして,敵の中にあつて天から王として統治しています。(シヘン 110:1,2)世界の出来事はそのことを証明しています。ヱホバの証者が述べている警報は真であり,偽りでありません。この世の消極的な,応えの無い,無関心な態度を取つて,眠つて仕舞つてはいけません。その警報に応えなさい。ヱホバの組織制度の山に今逃げなさい。遅れてなりません。そのヱホバの組織制度の山で,あなたはハルマゲドンの火から保護されるでしよう。ハルマゲドンを生き残る人達は,これが偽りの警報でなかつたという事実を証明するでしよう!

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