サタンの死の通告を伝える
『いかにして天より落ちしや……されど汝は陰府におとされ,坑の最下にいれられん。万軍のヱホバ誓をたてて言給わく……わが定めしことはかならず立たん。』― イザヤ 14:12,15,24。
1 マゴグのゴグに対するヱホバの言葉を伝えるのに誰が選ばれましたか。なぜ,他の人でなく,彼らだけが選ばれましたか。
前の記事の中で述べられているごとく,この世の終る直前に神の特別な言葉を宣伝えるよう神より任命された者は,すべての民の中でもヱホバの証者だけです。その言葉とは,悪魔サタンであるマゴグのゴグとその同盟者たちに対する亡びの言葉です。この『終の日』にあつて,ヱホバ神が他のすべての者を選ばず,かえつて有名でない小さな群の民を選んで御自分の証者となし,御名と権威によつて語らせ給うたことには,十分良い理由があるのです。神の代弁者として,神の信頼を受け得る者がヱホバの証者以外にいるでしようか。ヱホバ神もいなければ悪魔サタンもいないという不可知論者や無神論者は,決して神に用いられません。神は異教の神々を崇拝する異教徒を用いません。彼らはヱホバ神のことを聞いたこともなく,また多くの偽りの神々に仕えることを欲しているからです。神は自己の利益のみを求め,高慢で尊大の態度を取るこの世の支配者たちを決して用いません。彼らは,昔のパロのように,『ヱホバとは誰か』とぶべつの態度で言います。ヱホバは,誠実と忠節を守る人々,すなわち忠実を保つ人々のみを用います。このわけで,ヱホバはキリスト教国の牧師を用いません。なぜなら,キリスト教国の牧師は,人間を恐れたり,また別の利己的な理由の故に神の敵共と妥協したり,その友になるからです。a
2 (イ)ヱホバの証者は,どんな高い資格にかないますか。(ロ)むかし,同様な性格を示した人々の少数の名前を挙げなさい。彼らの力の源を述べなさい。
2 これに反して,ヱホバの証者は全能のヱホバの定め給うた厳格な要求にかない,マゴグのゴグへの重大な言葉を伝える特権を持つています。これらの証者たちは,どんな状況下にあつても,また特に敵によつて験される難かしい状況下にあつても,ヱホバに全く従います。彼らは悪魔やその手下共を恐れません。彼らは大胆で勇気を持つており,自分たちを支持する神の力に全き信頼と確信を持つています。(申命 31:6,7。ヨシュア 1:6,9,18。詩 27:14; 31:24。ハガイ 2:4。ゼカリヤ 8:9,13。コリント前 16:13。エペソ 6:10。テモテ後 1:7)ヱホバの証者は意気地のない臆病者でもなければ,不信な「女々しい者」でもなく,気の小さな「腰ぬけ」でもありません。そのような意気地なしの者は,ヱホバの忌み嫌う者たちだからです。(申命 20:8。シシ 7:3。エペソ 4:14。ヤコブ 1:6-8。黙示 21:8)今日の忠実なヱホバの証者の示す性質は,昔のヱホバの代表者たちが持つていたものと同じです。―心正しいギデオンとデボラ,バラクとヤエル,そしてエフタとラハブのような口先だけでない人々は ―『信仰によつて国々を征服し……弱いものは強くされ,戦の勇者となり,他国の軍を退かせた。』(シシ 4:4-9。ヘブル 11:31-34,新口)しかし,その勝利は,彼ら自身の力とか,器用さ,または能力によるのではありません。彼らが,自分の身にふりかかつた試練や苦しみに耐え忍び得たのは,生まれつきの知力や体力に依存したからではなく,ヱホバの霊に依存したからです。―ゼカリヤ 4:6。
3 ダビデは,ヱホバの代弁者および証者としての資格にどのようにかないましたか。
3 ダビデも良い模範になつています。彼は良い性質を持つていましたがヱホバは,御自分の証者がそのような性質を持つことを善と認められています。ダビデは,一番年下であつて,家族内の年上の者たちから見ると,全く目立たない者のように思えたでしよう。ダビデは荒野で羊の番をする位が適当であると考えられたのです。そして,自分の目から見ると,賢明で重大な者と考えていたダビデの兄たちは,もつと名誉のある仕事と思える事柄を行いました。だが,『わが(ヱホバ)視るところは,人に異なり。人は外のかたちを見,ヱホバは心をみるなり。』それで,ヱホバは,自分自身のことや,個人的な資格を高ぶつて考えたダビデの兄弟たちを選ばなかつたのです。ダビデは,まだ年も若くて,十分に成長してもおらず,そしてサウロのような力強い戦士とくらべるときに背丈も小さいものでした。しかし,ダビデにはヱホバの証者として成功をもたらす大切な資格が備えられていたのでした。(サムエル前 16:3-13)彼は正義を愛し,そしてヱホバ神を非難してヱホバ神を冒瀆する者たちを心から憎みました。非常な危険に面しても,彼は最高の無限の力に全き確信と信頼を置いていました。ヱホバの愛し給うたこの証者が,悪魔の恐ろしい巨大な代表者,巨人ゴリアテにどのように死の通告を伝えたかに,注意してごらんなさい,『汝は刀と槍と矛をもて我にきたる。されど我は万軍のヱホバの名すなわち汝が挑みたるイスラエルの軍の神の名をもて汝に行く。今日ヱホバ汝を我が手にわたしたまわん。われ汝をうちて汝の首を取り,ペリシテ人の軍勢の屍を今日空の鳥と地の獣に与えて全地をしてイスラエルに神あることを知らしめん。かつまたこの群衆みなヱホバは救うに刀と槍を用い給わざることを知るにいたらん。そは戦はヱホバによれば,汝らを我らの手に渡し給わんと』この挑戦の言葉を語りつつ,ダビデは勇敢に突進し,そして,ゴリアテの額にはつしと石を投げ当てて,巨人を地に倒しました。ダビデはゴリアテの刀でもつてそのみにくい頭を切落したのです!―サムエル前 17:45-47。
4 ヱホバの証者だけがなぜサタンの死の通告を伝え得る者であるかを説明しなさい。
4 霊感をうけた使徒パウロはこう書きました,『悪魔の策略に対抗して立ち得るために,神の武具で身をかためなさい。私たちの戦は,血肉に対するものではなく,もろもろの支配と,権威と,やみの世の主催者,また天上にいる悪の霊に対する戦いである。』(エペソ 6:10-13,新口)世界中をさがしてごらんなさい。ヱホバの証者以外の人々で『神の武具』に身をかためている人がいないのを知るでしよう。このような装備をつけているヱホバの証者は,悪魔と悪鬼共に対して反抗し,かつ戦い得る唯一つの群です。それで,ヱホバの証者はマゴグのゴグとその軍勢に対してヱホバ神の言葉を伝える資格と力を十分に持つており,かつよろこんでその業をいたします。過去35年間の歴史は,ヱホバの証者がこのことを為してきたことを示しています。
記録を見なさい!
5 1922年,オハイオ州シーダー・ポイントでどんな挑戦の宣言文がゴグとその同盟者たちに投げつけられましたか。
5 ずつと昔の1922年9月10日には,オハイオ州シーダー・ポイントの大会に出席した1万人以上のヱホバの証者は,決議を採用しました。その決議の一部は次の通りです。『(神の)証者である我々は,以下のことを信ずると共に証する,すなわち……久しくこの世の神であつたサタンは,政治家や,経済家や,牧師を欺き,国際条約とか他の一致結合した努力によつて万国の願いを達成し得る,と信じこませていること。また全世界の現在の制度は,サタンの帝国,すなわち制度の見える部分を構成しており,サタンの帝国はいまや栄光の王の前進の前に崩壊しなければならないこと。また,あらゆる国際会議や,国際連盟条約やそれに類似した条約をはじめ,すべての同意や契約は,必らず失敗するにちがいないこと。神はそう定め給うたからである。……我々は更に次のことを信ずると共に証する,すなわち現在はサタンの見える帝国や見えない帝国に対しての神の報復の日である,ということである。』この挑戦の宣言文4500万部以上は,マゴグのゴグと,世界中の目に見える同盟国に対して投げつけられました。これは,本当に驚倒の一撃でした。しかし,これは,御自分の証者の口を通して述べられるヱホバからの強烈な告発の初まりに過ぎなかつたのです。
6 翌年にどんな『警告』がゴグの地的な同盟者になされましたか。
6 カルホルニヤ州ロスアンジェルスで翌年(1923年)8月25日に行われたヱホバの証者の別の大会は,『警告』と題する強い決議を異口同音に採用しました。この警告は,次のような人々に対するいちばん強い非難のひとつでした,すなわち『クリスチャンの振をするが,聖書を神の霊感をうけた真理の言葉と信じない人々。彼らは人間堕落の教理を否認し,またイエス・キリストの血による人間の贖罪を否認している。このような級の者は,背教した牧師と,「その群の主要な者」とから構成されている。彼らは経済と政治の強い影響力を持つこの世的の人々であつて,教派制度内では支配的な影響と力を行使する。』この決議によると,これらの者たちはゴグの影響と支配をうけており,『利己的な企みをもつて,学校や,専門学校や,神学校や,大学に,高等批評と進化論という神をけがす教理を入れてしまつた。(そして)人々を大きな間ちがいに導き,かつ霊感をうけて書かれた神の言葉に対する多数の人の信仰をこわした。』この決議は何百万部と印刷され,『全国民はハルマゲドンに向つて行進している』と題する論文と共に世界中で無料配布されました。
7 1924年の『告発』の中で,サタンのどんな陰謀は特別に述べられましたか。
7 1924年7月,オハイオ州コロンブスで開かれたヱホバの民の別の国際大会で『告発』と題する決議が採用され,後日には印制されて地の果てにまで配布されました。いろいろの事柄の中でも,次のことが述べられていました,『我々はかく信じている。真理に対して人々の目を暗ませた悪しき制度にむかい,神の怒の表明される予定の時は今である。……我々はかく述べて非難する,サタンは,生命,自由,そして幸福という祝福を人類に与える神の御準備について人々をめくらにするために陰謀をつくり上げたこと。また,不忠実な牧師,良心を持たない利益追求者,鉄面皮な政治家たちは,知つてか知らずかその陰謀に参加したこと。……不忠実な牧師たちは,……自分たちの群の中で商業的な大立物や専門の政治家たちを主要なものにしている。我々はかく述べて非難する。牧師たちはサタンの誘惑に負けてしまい,神の御言葉に反して,その陰謀に加わつているということである。』
8 1925年に,人類の歎かわしい状態の責任は,誰にあると定められましたか。
8 1925年,インディアナ州インディアナポリスで行われた大規模な大会のとき,ヱホバの証者は,『善意を持つすべての人々へ』呼びかけた『希望の音信』を出しました。その一部には,次のように述べられていたのです,『幾世紀にも互つて人間は圧迫,戦争,飢饉,病気,悲しみ,そして死の犠牲者であつた。……この歎かわしい状態の原因は,原罪を持つ人間が不完全になり,神とあらゆる正義の敵であるサタンがこの悪しき世界の見えざる支配者すなわち神であり,そしてサタンはいろいろの機関を用いて多くの人の心を神とその真理から引離したからである。最大の危機は差迫つており,まさに起きんとしている。古い世は終つて,サタンの権力を振つた期間は過去つたからである。悪魔はこのことを知つており,また自分の時の短いのを知り偽と欺きの教理で人々を圧倒し,彼らの心をヱホバから全く引離そうと努めている。』
9 1926年の『世界指導者への証言』として,ロンドン王室アルバートホールから,大胆などんな警告が伝えられましたか。
9 マゴグのゴグに対する非難の告発は毎年つづけざまになされました。それで,主の証者たちがひとつの告発を地の四隅に伝えたか伝えないかに,ゴグに対する別の告発がなされる有様でした。それから10ヵ月後に『世界指導者への証言』という別の決議は,1926年5月,英国のロンドン,王室アルバートホールに集まつたヱホバの忠実な僕たちによつて採決されました。その一部は次のようです,『世界勢力は,聖書の中では「獣」の象徴で示されている。そのわけは全く明白である,すなわち,世界勢力は商業,政治,教会指導者の結集した努力の結果であつて,この世の神であるサタンによつて支配されている。過去から今にいたるまで世界勢力は軍事的であり,厳しくて残酷,かつ圧迫を加えてきた。そして,彼らの見えざる支配者,すなわち神であるサタンの精神を表明しいる。……いまや成就されており,また成就されつつあるところの神の予言は,次の事実を証している。つまりサタンの力の期間は終り,古い世は終つたことである。……盲目にならしむるサタンの影響の故に,支配者や支配を受ける者の心は真の神から離れそむき,悪の勢力は全世界を全能の主なる神の大戦争に集めている。そして,いまだ曾つてなかつたような艱難の時がさし迫つている。この艱難の戦いの期間中,サタンの強力な制度は滅亡して,二度と起上らないであろう。』
サタンの亡びの判決は世界中に放送さる
10 1927年には,どんな歴史的な出来事が起り,マゴグのゴグに伝えられるこの亡びの言葉に勢を加えましたか。
10 印刷の力は,これらの神の判決を知らせるのに大きな助けとなりました。幾千幾百万という印刷冊子が多くの言語で広く配布されたからです。しかし,1927年になると,マゴグのゴグに対するこの言葉に新しい力がつけ加えられました。すなわち,ラジオ放送の力です。その年の7月に,カナダのトロントで歴史はつくられました。その時,『諸国民の自由』という講演は,当時における最大のラジオ中継を通して放送されたのです。大西洋から太平洋にいたるまでの53の放送局と短波施設も使用されました。その時に別の重要な決議が放送されましたが,その一部はこのようです,『クリスチャンとして,またヱホバ神の御名の証者として,我々は次の大切な事実に皆さんの注意を向けることは特権でもあり,義務であると考える。……「キリスト教国」あるいは「組織されたキリスト教」といわれている国々の見えざる支配者は悪魔サタンである。サタンは,人々を欺いて自分と自分の手下共に服従させるため,「組織化したキリスト教」の形成を計画したのである。また,地上の王や支配者たち,すなわち前述の汚れた同盟を構成しているものたちには,次のことを正しく通告された,神は御自分の王を御座に即け,彼の御国は間近に迫つているということである。しかし,彼らは理解するのを拒絶すると共に,注意を払うことをも拒絶しており,暗やみを歩いている。この故に,神はかく定め宣明された,すなわち世界には今までになかつたような艱難の時が来るであろう。そして,その艱難の期間中「キリスト教国」あるいは「組織化されたキリスト教」とサタンの制度に属する者はみな亡びるであろう。」
11 歴史的な『ヱホバの側に立ちサタンに反対する宣言』が1928年に採決されたのは,どういう場合でしたか。
11 翌年にも,歴史上の特筆すべき別の事柄がなされました。ニューヨーク・タイムス紙によると『歴史以来もつとも大規模で多くの費用をかけたラジオ中継』は,1928年8月5日に用いられました。そのとき,107のラジオ放送局はアメリカ合衆国とカナダで使用され,短波は音信を外国に伝えました。この劃期的なラジオ中継には3万3500マイルの電話線と9万1400マイルの電信線が用いられ,そして500人以上の電話技師たちはこの放送の仕事をしました。これは何の時でしたか。マゴグのゴグに対してヱホバの言葉を再び放送することでした! それは『ヱホバの側に立ち,サタンに反対する宣言』と題する決議のかたちでなされたのです。その決議によると,ミシガン州デトロイトの国際大会に集まつたヱホバの民は,『万軍のヱホバの側に全く立ち,サタンに反対する,と宣言する。そして,次のような重大な真理を強く発表する。すなわち,サタン悪魔は諸国民のあいだに争をひき起しており,またあらゆる残酷な戦争,悪しき殺人,極悪な犯罪,そして腐敗した行に対して責任を持つこと。さらに,現在にいたるまでヱホバは人類に対するサタンの力と影響の行使を抑制されなかつたこと。……多くの世紀にわたつて,サタンはこの世の見えざる支配者で,ヱホバ神の御名を絶えずけがし,人間と諸国民に大きな害を加えてきたこと。予定の時になると,ヱホバは,サタンを抑制して地上に正義の政府を設立し,そして人間に幸福な生命を永遠に与える,と約束されていること。……サタンは諸国家と地上の国民に対する悪しき支配を止めないため,万軍のヱホバは油注ぎし刑執行者キリスト・イエスと共にサタンとその悪しき勢力すべてに対して戦を起すということ。故に,我々の戦の叫びは,ヱホバとその油注ぎし者の剣ぞということ。間もない中に始まるハルマゲドンの大戦争は,サタンを全く束縛してしまい,その悪しき制度を完全にくつがえしてしまう。』終りに,この決議は,1万2000人以上の聴衆によつて熱狂的に採決されただけでなく,目に見えない多数のラジオ放送聴衆者によつても採決されました。
12 1931年に二つのどんな大きな真理は,『支配者』と『国民』に告げられましたか。この言葉は,全世界でさらにどのように拡大されましたか。
12 1931年7月26日,ふたたびオハイオ州コロンブスで大会が開かれ,『支配者と国民へ』と題する警告がまたまた述べられました。その警告の一部は,次の通りです,『かく知るべし,ヱホバという御名を持つ真にして全能最高の神はただ御一人おられる。人間の贖い主はただ御一人で,その名前はキリストと言われる。神はキリストに油を注いで世界の王に即けたもうた。そして,神の御国はいまや来り,世界諸国民の希望になつている。悪魔サタンは,神と人間の大いなる敵である。幾世紀ものあいだ,サタンは世界の見えざる支配者で,神の御名に大きな非難をもたらし,人間を堕落させてきた。現在の地上の苦しみや悲しみの状態は,サタンとその手先共の悪によるのである。神の宣べられているごとく,サタンの支配が永遠に終る時は来た。1914年にサタンは天から地に追落され,今から間もない中にヱホバはキリストを用いて地上にあるサタンの力と制度を亡ぼすであろう。しかし,その前に,ヱホバの証者によつて警告の言葉が支配者と国民に伝えられるのはヱホバ神の明白な御意であり,かついましめである。』この大会の直後に行われた全世界165の他の大会もコロンブス大会の主題を採り,そして同様な決議を採決しました。
切迫した現在の終の年月
13 1931年以来,マゴグのゴグに対するヱホバの言葉を伝えることはおそくなり,中止しましたか。
13 1931年以来の年月にも,マゴグのゴグやその極悪な同盟者たちに対する同様な非難と曝露が行われました。そして,この重要な仕事が,ハルマゲドンで終る時までは遅れたり,止まつたりすることは決してありません。例えば,1953年7月19日-26日までの8日間にわたるニューヨーク市のヤンキー野球場に集まつた『ヱホバの証者の新しい世の社会』11万2700人は,5日目の夜に『新世社会は北の極より攻撃さる』と題する講演を聞きました。その明白な論理整然とした話の中で,ゴグとその同盟者たちが誰であるかが分つただけでなく,主の忠実な民に対する彼らの最後の攻撃の戦略もくわしく示され,説明されました。これは全く時機にかなつたヱホバからの別の警告で,全世界がその警告を聞きました。そのわけで,この警告は後日になつて1953年12月15日号の『ものみの塔』に発行されました。この雑誌は39の言語で165万冊も配布されたのです。そして,今その音信は1955年に英文で発表された『ハルマゲドンを生残つて神の新しい世へ』(英文)の中でも述べられています。その本の初版は100万冊で,その20章には『マゴグのゴグによる攻撃を待つ』と題する章があります。
14 この警告の言葉はゴグとその同盟者たちにどんな影響を及ぼしましたか。
14 しかし,これまでの年月のあいだ,悪魔サタンに対する痛烈な言葉を伝えたことは何を為しとげ,またどんな目的を果しましたか。先ず最初に記憶しなければならぬ一番重要な事実は,これがヱホバの言葉であるということです。ヱホバは,サタンの悪しき支配の終の時にあつてマゴグのゴグに対する言葉を伝える,ということをずつと昔から目的とされました。『それ主ヱホバはその隠れたる事をその僕なる予言者に伝えずしては,何事をも為たまわざるなり……主ヱホバ物言たもう。誰か予言せざらんや。』(アモス 3:7,8)もちろん,ヱホバには悪しき者たちにその誤りを警告する義務はありません。しかし,ヱホバは亡びに適しているこれらの怒の器に寛容を持たれている故に,それらの者たちに差し迫つた処罰を警告されるのです。しかし,その言葉は,すでに石のごとき固い心を更にかたくするのみです。悪魔を良く表わし示したエジプト王の場合もそうでした。地球全体にわたるゴグの企みが曝露されたため,この悪しき者は非常に怒つており,そしてこれらの事柄を知らせているヱホバの証者を沈黙させようと努めています。このわけで,ゴグは地上の手先共を用いて多くの迫害や苦しみをヱホバの証者にあびせかけ,その伝道の活動を阻止して中止させようとしているのです。私たちは次のことを確信して期待することができます。すなわち絶望に追いやられた死にもの狂いのマゴグのゴグは,将来ヱホバの忠実な証者たちを全く亡しつくそうとつとめるでしよう。しかし,その最終の死もの狂いの攻撃は,ハルマゲドンの初まりとなります。
15 この言葉に対する反対は,どんな影響をヱホバの証者に及ぼしましたか。この言葉がハルマゲドンまで伝道され続けるというどんな保証がありますか。
15 それで,難しい状態下でもこの言葉を宣明することは,良い目的を果していることになります。つまり,言葉を宣伝える者を試験にかけることになります。彼らはヱホバ神に従つて神の命じ給うた言葉を宣伝えるでしようか。或はその言葉に混ぜものを加えて,妥協の態度をとるでしようか。或はまつたく止めてしまい逃げかくれてしまうでしようか。彼らは,ヱホバがいま地上で用いている制度につき従うでしようか。或は神権制度から離れて自分自身の考えでつくり上げる制度を設立するでしようか。時々,ヱホバのいましめに従つて歩むのを止める人は,ロトの妻のごとく,落伍して離れて行きます。しかし,制度全体はその献身した目的に失敗することがありません。なぜならヱホバの目的は決して失敗しないからです。ヱホバの忠実な証者は,敵の火をうけてもかたく立ち,試験下にあつて自分の忠実を立証するでしよう。そのわけで,悪魔とその残酷な支配下にいるすべての者たちに対する警告の言葉が,『邑』であるこの古い組織制度のなくなる時まで存続することは疑いありません。
16 サタンの死の通告を伝えることは,善意者にどんな影響を及ぼしてきましたか。また将来に及ぼしますか。
16 多くの善意者はサタンに欺かれており,自分の意志に反する捕われの状態に閉じこめられています。それで,この警告の言葉を宣伝えることは,別の良い目的を果しているのです。声高らかに,しかも宣伝え続けることにより,正しい心を持つこれらの人々は目を覚まして,その盲目の目を開き,そして悪魔の捕われから出て栄光に輝く真理の自由に入ります。かくして,間近い中に悪魔の制度に降りかかるヱホバの裁きの執行を逃れることができます。この宣明が始まつてから僅かな年月の中に,50万人以上の正義を愛する人々は,すでに安全を求めて逃げているのです。これこそ,この警告の言葉を宣伝えることが無益でなかつたと明白に裏書します。そして,この宣明には非常な繁栄と成功がともなつたのです。シンゲンにこう書かれています,『忠信なる使者は,成功をもたらす。』また『忠信なる使者は,これを遣す者におけること収獲の時に冷かなる水あるがごとし。よくその主の心を喜ばしむ。』(シンゲン 13:17; 25:13,ア訳)主ヱホバは,御自分の忠信な証者とその仕事によろこびの是認を示され,長年にわたつて彼らを元気づけ,また支えてこられました。善意を持つ他の多くの人々もこの宣明がいますこし続くあいだ,この宣明を聞き,安全を図つて逃げなければなりません。
17 時代の切迫していることを強調することはなぜ必要ですか。
17 時代の切迫していることをいくら強調しても強調し過ぎるということはありません。時は短いのです。まつたく,この宣明が始まつた時からはずつと短いのです。そして,一時も浪費すべきでありません。ハルマゲドンは急速に近づいています。サタンが天から地に追落されてから約40年も経つています。あらゆる時代における最高潮は急速に近づいているのです。ヱホバの言葉と御名はいまや全く立証されるでしよう。最初にヱホバの宇宙至上権に挑戦し,『最高者のごとき』者と誇つた者は,底のない坑に投げ入れられようとしています。(黙示 20:1-3)次のことを考えてごらんなさい ― この世の無知,迷信,恐怖に対して責任を持つもの,罪,病気,悲しみ,そして死という人類の堕落した状態に責任を持つもの,地上のすべての悪に責任を持つもの,そして戦争,飢饉,青少年犯罪,不道徳,犯罪,災難,悲哀に責任を持つもの,すなわち人類の最大の敵である悪魔サタンは,間もなくして1000年間底のない坑に入れられるのです。
18 今日ヱホバの証者の一人であることを特権と考えますか。なぜそうですか。
18 それで,あなた方ヱホバの証者には,なんとすばらしい特権があるのでしよう! アベルの時から現在にいたるまで連綿とつづく証者たちの中にあつて,あなた方はいまサタンの死の通告を伝えるという特権を持つているのです! 稀にしかないこの素晴らしい特権をなおざりにしてはなりません! この重大かつ緊急な通告を伝えることをおくらせてはなりません。また延期してはなりません。ヱホバの御意に従い,ヱホバの目的に仕えて忠実に神のこの言葉を宣伝える者たちに,ヱホバの祝福と繁栄はかならず続きます。なぜなら,「ヱホバの定めしことはかならず立たん。」― イザヤ 14:24。
[脚注]
a 408頁の9節を見なさい。