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神の御国は支配す ― 世の終りは近いか?

25万3922人がニューヨークで聴いた公開講演を読みなさい。

1 どんな政府だけが地球に適しますか,なぜですか。

宇宙内の最善の政府だけがこの地球に最もふさわしいものです。地球の創造者はそのように感じています。このことについてすべての善意者はよろこびを抱くことができます。宇宙と比べるときこの地球は実に小さいものです。しかし,感謝すべきことに,創造者は創造したものを無視しません。幸いなことに,創造者はこの小さな地球をも御自分の御手の業と見なされ,最善の支配形態を行わせたいと欲しているのです。全宇宙が創造者に誉を帰しているように,この地球も創造者に誉を帰するようにと,創造者は欲しておられます,『もろもろの天は神の栄光をあらわし,大空はその御手の業をしめす。』― 詩 19:1。

2 人間による地上の政府についてはどんな事実が明白ですか。なぜですか。

2 人間による地上の政府は,明らかに最善の支配形態ではありません。人間は地球と地上の生物を支配する政府をつくり,今日ではその結果が集積しています。そして,それらの結果は良いものではありません。政府が全然ないよりは,人間の手による政府があることは良いなどと言つて,その事柄を軽々しく打ち棄てたり,またはその結果について弁明すべきではありません。事実はこうです。すなわち,人間の手による地上の政府は極度に分裂した世界を生ぜしめ,人類種族は非人道な武器を生産して人類の滅亡に面しているのです。人間による地上の政府は,今日82ヵ国を擁する国際連合をつくりあげました,しかし一致した人類をつくりあげず,又全人類,全種族,言語,家族が愛の心を持ち,平和に結ばれる兄弟愛をつくりあげていません。人間の政府は,自然の原因による死をなくすことに失敗しています。更には,人間自身の政治,軍事政府による突如とした恐ろしい亡びに全人類を押し進めているのです。人間の創造者がもたらすハルマゲドンの亡びに押し進めていることは言うまでもありません。人間および人間の多くの神々によつてつくり上げられた地上の政府は失敗しました。それは全く明白なことであつて,否定の余地は全然ありません。

3 いまに至るまでの失敗にもかかわらず政治支配者たちは何をしますか。人々はひとりびとり何をすべきですか。

3 この明白な失敗を考慮するとき,今こそ人間は或る結論をつくり,賢明な行動を採るべき時です。政治支配者が国民を正しく導かないならば,国民ひとりびとりが自らそうすべきです。政治支配者は計画を立てて手筈を極め,国家政府を非常な失敗に導いています。彼らは人間の失敗を認めず,むしろ人間による成功を得ようと,性こりもなく,一層の努力を払つています。そして,その業績を宇宙に示そうとしているのです。この地球についての創造者の目的については,彼らは何も知らないか,又は知ろうともしません。或いは何らの信仰をも持つていません。彼らは自分自身だけを信じています。それですから,彼らは人間の記録した歴史からは何も学ばなかつたと表明します。彼らは高慢です。彼らはずつと昔,霊感の下に述べられた智恵と正義の助言を学ばなかつたのです,『もろもろの君によりたのむことなく,人の子によりたのむなかれ。彼らに助けあることなし,その気息いでゆけばかれ土にかえる。その日かれがもろもろの企図はほろびん。』― 詩 146:3,4。

4 世界大戦に捲き込まれないならば,支配者たちには何が必らず生じますか。それで,私たちは何を決定すべきですか。

4 第三次世界大戦に捲き込まれないならば,この危険な時代に住むすべて支配者は以前の政治貴族や支配者の採つた道をとるでしよう。彼らは最後の気息を吐き,生命のない体は土に戻り,悪く用いた考えの力は彼らと共に亡び,そして政府に関して彼らの企てが失敗したために,人類はすこしも良い状態にならないのです。それで,私たち各人の決定すべき事柄はこうです。すなわち死すべき人間支配者が必らず失敗する努力を払うからという理由だけで,苦しみを受けつづけるべきだろうか,ということです。

5 そのような個人的な決定をすることは何を意味しませんか。良い政府については,誰だけに頼ることができますか。

5 人間支配者による政府には,悲惨な最終的な結果が来ます。私たちがその結果を避ける為の個人的な決定をするといつても,それは政府に対して反逆するとか,革命を惹き起すとか,又は無政府論者になるということではありません。平和革命をするにしても,又は暴力革命をするにしても,それは他の人間による政府と入代りに私たち自身による政府を打ち立てることです。その最終の結果には,なんの相違もありません。それは人間による政府,私たちによる政府です。暴力革命を行つて政治権力を握つた共産主義の政府形態はこの手本になつています。しかし,人間による地上の政府そして私たち自身による政府に頼らないとするなら,失敗することのない良い政府ということについていつたい誰に頼ることができますか。必らず成功を得る支配権ということについて頼り得る方は,ただ一人の方です。その方は,地球の創造者,人間の創造者です。その方は神です。『はじめに神天地をつくり給えり。』と聖書の最初の言葉は述べています。

6 その方に頼ることは実際的ですか。なぜですか。

6 地球の政府については創造者たる神に頼りなさい! それは実際的なことですか。全く実際的なことです。地球の政府ということについて人間に頼ることは,今日の結果からも分る通り全く実際的ではありません。神の御意通りに神によつてこの地球が支配されることは,最も実際的であるばかりか,最も合理的なものです。それは最も益のあるもの,永久に益のあるものです。このことは,現在まつたく真実です。なぜなら,神の御国はいま支配しているからです。 ― 神の御国はこの地球に対する支配をすでに始めているのです。平和,健康,そして幸福の中に終りない生命を楽しみたいと欲するすべての人は,神の御国にすすんで服従しなければなりません。それは,私たちの政府に関して神に頼る実際的な結果です。

7 どの位の期間ヱホバは王でしたか。そして,どのようにそうでしたか。しかし,この事実に対する人類の反応はどうでしたか。

7 何時から神の御国は支配し始めましたか。クリスチャン時代よりも600年以上もむかしの予言者エレミアは次のように述べました,『ヱホバは真の神なり。彼は活る神なり。永遠の王なり。』(エレミヤ記 10:10)たしかにヱホバという名を持つ真の神は常に王でした。彼は何時の時でも支配して統治していました。彼は宇宙の主権者であつて,被造物は彼の主権支配を覆すことはできません。悪魔も彼の主権支配を覆すことはできなかつたのです。しかし,現在までの約6000年のあいだ彼を王と認め,そして彼の御国を欲した人は極く僅かでした。神の御国が直接この地球を支配する時が来ても,大体において人類は神の御国を歓迎しなかつたのです。人類は神の御国に主権を譲らず,神の御国に忠節と忠誠をつくさなかつたのです。国家主義が支配しています。

8 誰が神の王なることを一番強く認めましたか。彼の教えた祈りは,神の御国について何を証明しますか。

8 ヱホバ神の王なることをいちばん強く認識し,この地球を支配する神の天的な御国をいちばん強く望んだ人は,イエス・キリストでした。1900年むかしにイエスは,天の王に次のような祈りを捧げよと弟子たちに教えました,『天にいる私たちの父よ。あなたの御名がきよめられますよう。あなたの御国が来ますよう。あなたの御意が天のごとく地にも行われますよう。』(マタイ 6:9,10)天の御父の御国が来るように祈れとイエスは弟子たちに教えました。この事実から,御国がそのとき地球を支配していなかつたことは明白です。神の御国の支配は行われず,ローマ帝国の支配は当時の地球に行われていました。事柄に通じている人の知つている如く,エルサレムにいたローマの総督はエルサレムの宗教指導者の主張に従つてイエスを城壁外の苦しみの杭にかけて殺したのです。たしかに当時の世界勢力として統治していたのはカイザルのローマでした。神の御国は当時支配していなかつたのです。イエスの教えた祈に対する答として神の御国は将来に来るべきものでした。問題は,神の御国は何時支配し始めるかということでした。

キリスト教国の政治家によらない

9 神の御国の来ることについてキリスト教国の牧師は長いあいだ何を教えてきましたか。この教えの適用は,なぜ神にとつて最も不快なものですか。

9 キリスト教国の宗教指導者たちは,長い間次のことを教えてきました,すなわちローマ皇帝のコンスタンチン大帝がクリスチャンになつたと主張し,そして当時の人気のあるキリスト教の宗教的な司教たちを政府の業務に携わせたとき,神の御国は来たと教えたのです。更に次のことをも教えました,すなわち政府の政治家たちが宗教的な牧師に従つて,クリスチャンにになつたとき,神の御国はそれらの政治家たちを通して来るのであり,また支配するというのです。そして,最終的に言つて,権力を握るすべての政治家たちがクリスチャンになつて,すべての人間政府がキリスト教のものになるとき,神の御国は全面的に来るというのです。それでは,神の御国は天からの直接の政府ではありません。しかし,キリスト教国の宗教指導者の唱えるこの教えは偽りです。この教えは,この世の政治に介入する牧師たちの言い訳には都合良く当て嵌ります。この世の政治家によつて神の御国を設立しようとする試みは,間ちがいなく失敗します。そのような試みは,この世の政治家たちからメシヤなるキリストをつくろうとするものです。これは地球の創造者にとつて最も不快なものです。それは神の御国を拒絶することです。

10,11 神の御国は人間の政府を通して来るのではないと,神は誰に示しましたか。そしてどのように?

10 今から25世紀以上もむかし,創造者なる神は全人類に次のことを証明しました,すなわち,神の御国は人間政府を通して来るのではなく,またこの世の政治家たちを通して来るのではないということです。キリスト前12世紀のイスラエルの長たちは,今日の大多数の人々と同じく,天の神が国民である彼らを直接に支配するなどは実際的でないと考えました。神はそれ以前に彼らをエジプトの地の奴隷の状態から救い出して中東の乳と蜜の地に定住させたのです。神は最もすばらしい律法を彼らに与えました。神は予言者モーセを通して十戒と幾百という他の律法を彼らに与えました。神は全能の神であり,その名前はヱホバであると彼らに証明しました。彼らに与えられた10のいましめの最初のいましめは次のように述べています,『我は汝の神ヱホバ,汝をエジプトの地その奴隷たる家より導き出せし者なり。汝わが面の前に我のほか何物をも神とすべからず。』(出エジプト 20:2,3)神は彼らを一国民となし,神は彼らの祝福の神になり,彼らは彼の民になるという厳粛な契約を結びました。神は彼らの見えざる王でした。(申命 26:17-19)しかし,それらのイスラエル人は信仰を失いました。彼らはまわりに住んでいた非ユダヤ人の国民のように目に見える人間の王を持ちたいと欲したのです。それで彼らはヱホバの予言者サムエルのところに来て,次のように述べました,『われらに王を立ててわれらを裁かしめ,他の国々のごとくならしめよ。』― サムエル前 8:5。

11 人間の支配者を持ちたいというその要求は,軽い事柄ではありませんでした。それは民主主義の表現ではありません。民主主義なら,それは認められてその要求に応ずることもできます。それは王なる神を拒絶することでした。そして神はそのことを彼らに告げました。聖書の記録はこう述べています。『ヱホバ,サムエルにいい給いけるは,民のすべて汝にいう所のことばを聴け。そは汝を棄てるにあらず,我を棄て我をしてその王とならざらしめんとするなり。』(サムエル前書 8:7)このことについてヱホバは彼らを拒絶して,直ちに神の民なる彼らを投げ棄てるようなことをしませんでした。神は彼らの欲した種類の王を彼らに与えました。彼は慈悲深くも彼らと結んだ契約を守られたのです。

12 その王国の実際性についてはどうですか。どんな利点があるにもかかわらずそうですか。

12 その王国は実際的なものでしたか。人間の王が支配したそのイスラエルの政府は成功しましたか。なぜ今日のイスラエル人は,サムエル時代の先祖たちの有していたのと同じ面積の土地を中東に持つていないのですか。なぜ今日のイスラエル人には,神の与えた人間の王が居ないのですか。ヘブル聖書をひもどくときに,その答を学ぶことができます。その答えに対しては今日のイスラエル人も言い逆らうことはできません。今日の彼らは人間の王を持つていません。なぜなら,この世的に賢明な先祖たちが人間の王を立てたことはみじめにも失敗したからです。神は忠実な羊飼ベツレヘムのダビデに油を注いで彼らの王となし,ダビデの家族を王朝としました。しかし,その事実にもかかわらず,失敗したのです。ダビデの家に属するそれらの王たちは,神がその御名であるヱホバを置いたエルサレムの都で支配し,そして『ヱホバの座位』に坐して神の見える代表者として支配しました。しかし,その事実にもかかわらず失敗したのです。ユダヤの全国民とその王たちは,神なるヱホバと特別な契約を結んでいて,神の律法と予言者を持つていました。しかし,その事実にもかかわらず,人間の王についてのイスラエル人の試みは失敗しました。

13 どの位の期間,神は人間の王についてのイスラエル人の試みを許しましたか。そして,エルサレムにあつた『ヱホバの座位』についてはどうなりましたか。

13 神は慈悲深くも500年とすこしの年月を彼らに与え,人間の王についての彼らの試みを許しました。その人間の王たちは,エルサレムにあつた所謂『ヱホバの座位』に坐つたのです。神は,人間の王を求めた彼らの要求を許しましたが,遂にはその国民と王者による政府にはげしい怒りを感じ,バビロンの王ネブカデネザルの軍隊を用いてキリスト前607年にその政府を覆しました。それから70年の後にヱホバは遠い地なるバビロンの捕われの状態から忠実な残れる者を引き戻しました。しかし,彼の座位は,エルサレムに二度と立てられませんでした。今日にいたるまでヱホバの座位は,エルサレムに立てられていません。そこに立てられることは将来にもないでしよう。

14 イエスの教えた御国の来ることについて,王支配に関するユダヤ人の試みは何を証明しますか。そして,キリスト教国の政治家たちは,どのように論じますか。

14 それでは,イエス・キリストの伝道した神の御国,そして弟子たちに祈るようにイエスの教えた神の御国についてはどうでしようか。ユダヤ人の試みから照らし合わせて見ると,神の御国がキリスト教国の政治家たちを通して来ると信じたり,また教えたりすることについては,聖書の予言があるでしようか,また歴史的な理由があるでしようか。キリスト教国の政治家たちはバチカン市の法王や新教牧師のうしろ立てを受けているのです。その答えは否であります。御自分のすべての業をずつと以前から予かじめに知つておられる全智の神が,ユダヤ人国民についてなされたような行を二度と再びなされなどと一瞬たりとも考えるなどは合理的でしようか。答は否であります。神御自身の御言葉は否と答えます。神の子なるイエス・キリストは否と答えます。しかし,カトリックや新教徒の牧師の指示と後押しを受けているキリスト教国の政治家たちは,そのような仕方で神の御国は来て支配するのだと決定しました。それで彼らは帝王神権説,つまり王は『上なる権威』『神により任命されたもので』臣民に対しては神を代表するという説を唱えるにいたりました。しかし,彼らは『ヱホバの座位』に坐していません。―ロマ 13:1。

15 キリスト教国の支配者たちは,ユダヤ人以上にどんな利点を持つていましたか。どのような事柄は,はたして神の御国がコンスタンチン皇帝の時代よりも近づいているか否かと示していますか。

15 コンスタンチン大王の時代から現在にいたるまで,キリスト教国の支配者たちは1600年以上の年月を有していました。それはイスラエルの王の有していた年月より3倍以上も長い年月です。しかし,聖都エルサレムに首都を有していたユダヤ人の王国よりも彼らは成功したでしようか。彼らはダビデ家の王よりも長い年月を持つていただけでなく,ユダヤ人の宗教以上のものを持つていました。大きな助けとして完成した聖書とキリスト教の教えを持つていたのです。このような利点を持つていた彼らは成功しましたか。キリスト教国の牧師の後押しする政治家たちを通して,神の御国はコンスタンチン皇帝の時代よりもずつと近づいているでしようか。今日,神の御国はキリスト教国の王や,大統領や,支配者たちを通して支配しているでしようか。否であります。1914年以来二つの世界大戦はキリスト教国の最中心部で始まりました。そして,世界中の全組織制度は,ますます悪化して無秩序の状態になつています。不敬虔な共産主義が起りました。今年までに共産主義は人口9億4490万を擁する地上の3分の1を支配するに至つています。共産主義がキリスト教国に食い込むのを防ぐだけでなく,世界の非キリスト教の中立国が共産主義に食いこまれるのを防ごうとキリスト教国は必死に戦つています。キリスト教国はキリスト教であると主張し,そしてキリストを通して神との新しい契約に入つていると主張している故に,大きな機会と重い責任を持つています。それですから,失敗したキリスト教国は,モーセを通しての古い律法契約を持つていた古代ユダヤの王国よりもヱホバ神の御前にあつていつそう忌み憎まれます。

神の御国の贋造

16 現在の国際連合は,何の後継者ですか。第一次世界大戦後には何が大問題になりましたか。どのようにそうなりましたか。

16 キリスト教国を強く責める一つの大きな事柄は,国際連合に対するその立場です。国際連合は世界平和と安全を保証するために1945年に設立された国際制度でその13年目を迎えています。1946年の1月に国際連合がその働きを始めたとき,国際連盟の諸資産は後継者なる国際連合に引き渡されました。1918年の1月,第一次世界大戦のはげしい苦しみの最中にアメリカの大統領ウードロウ・ウイルソンは国際連盟を提唱しました。その翌月には,ものみの塔聖書冊子協会の会長によつて代表されたヱホバの証者は『世は終れり ― 現存する万民は決して死することあらじ』という驚くべき音信を伝道し始めました。翌月の初旬,著名なヱホバの証者は神の御国こそ人類の唯一つの希望であると伝道した為にアメリカで逮捕されました。そして後には彼らに対する長い入獄の宣告が下されたのです。キリスト教国のアメリカ教会の前に大問題は明白に示されました,すなわち神の御国か国際連盟か,クリスチャンと称する者はどちらを選ぶべきか,ということです。

17,18 キリスト教国の指導的な教会は,どんな提案を支持することによりその選択を示しましたか。その宣言書中のどんな言葉は,彼らが妥協をして事柄を曖昧なものにしたことを示していますか。

17 第一次世界大戦は終結して民主主義連盟国は勝利を得ましたが,指導的なヱホバの証者は刑務所に入つていました。パリーの平和会議は1919年の1月に始まる予定でした。アメリカにあるキリスト教国の指導的な教会は,その選択を言明しました。しかし,妥協をする為にその大問題を曖昧なものにしたのです。1918年12月12日,アメリカ・キリスト教会の連合会議の執行委員会は例年集会を開き,国際連盟を提唱したウイルソン大統領の計画を支持しました。そして次のような注意すべき言葉を含む言明文を発表したのです。

18 『世界の戦争危機は過ぎ去つた,しかし世界の危機は現存している。……真理と正義,および公正と人道主義の為に世界を組織する時は来た。この目的を達成する為に,クリスチャンである我々は来る平和会議の際に自由国の連盟設立を強くすすめるものである。そのような連盟は,単なる政治方便ではない。それは神の御国の地上における政治的な表現である。……勝利を得ても正義の宿る新しい地が来ないとするなら,戦死した英雄たちは犬死にしたことになる。教会は多くのものを与え,多くのものを得る。教会は神の御国の予言的な栄光というようなものを新しい国際制度に与えることにより力強い制裁を与えることができる。……教会は善意の精神を与えることができる。その善意の精神がないなら国際連盟は永続しないであろう……国際連盟は福音に根ざしている。福音のごとく……その目的は「地上に平和,人々に対して善意」である。福音書のごとく,それは宇宙的な訴えを持つている。我々はすべてのクリスチャン,神を愛するすべての人々,そして人を愛するすべての人に向つて次のことを呼びかける。すなわち古い文明の灰の中から新しい世の明白な輪郭が生ずるよう真心こめて働き,祈るようにと呼びかける。その新しい世の輪郭は,公正,協力,兄弟愛そして奉仕というキリストの理想に基づくものである。』

19 この宣言書についてはどのような事がなされましたか。1919年の5月には,教会の連合会議は何を誓いましたか。

19 その宣言を1919年のパリー平和会議に伝える為,連合会議の議長および教会の他の代表指導者たちからなる特別の委員が任命されました。その教会人の特別委員は,フランス,パリー政府の役員にこの宣言書を提出したと記録されています。a 次には,1919年の5月,その教会連合会議は決議を裁決し,アメリカ上院議員による国際連盟是認を支持し,かつ国際連盟の成功に向つて専心すると誓いました。b

20 いわゆる『唯だ一つしかない光』は,どのように吹き消されましたか。国際連盟に関連してキリスト教国の教会については何と言えますか。

20 後日,国際連盟を提唱したアメリカ制度は,c次のような標語を掲げました,『現在のような暗い世にあつて,なぜ唯だ一つしかない光を吹き消してしまうのか。』しかし,1939年にはナチの指導者アドルフ・ヒットラーはその『唯だ一つしかない光』を吹き消してしまいました。そして,第二次世界大戦の底なき坑の暗闇の中に国際連盟は消え去つたのです。国際連盟を成功させようと努めたキリスト教国の教会全部の努力は失敗し,それにたいする彼らの祈りには天からの応答がなかつたのです。教会の連合会議が『神の御国の地上における政治的な表現』と呼んだものは失敗し,第一次世界大戦で戦死した英雄たちは犬死にしました。彼らは戦争に勝とうと協力し軍事的な勝利を得ましたが,その勝利からは『正義の宿る新しい地』は生じなかつたからです。国際連盟に対するキリスト教国の教会の行為と態度については,正直に言つて何と言えるでしようか。こうです,聖書はそれらの宗教制度を冒瀆の罪ありと批難し,そして神の御国と国際連盟を結びつけることにより空しい計画の偶像を建てた,と批難します。彼らは神の真の御国の代りに憎むべき贋造を提唱して全人類をはなはだしく欺き,そして最高の神に大きな批難をもたらしました。

21 神の御国が国際連盟と共に失敗したかどうかについて,ヱホバの証者はどのように示しましたか。いま,国際連合はなぜ失敗しますか。

21 神に感謝すべきことには,国際連盟が立てられても神の御国は失敗しませんでした。国際連盟は永遠の死を遂げても神の御国は支配しつづけました。1920年以来ヱホバの証者は国際連盟を『荒らす憎むべきもの』と暴露しました。それはヱホバの予言者ダニエルの予言したものであり,またこの世の終りについてのイエス・キリストの予言の中に述べられているものです。(ダニエル 11:31; 12:11。マタイ 24:15)ヱホバの証者は国際連盟と神の御国には何の関係もないと示し,国際連盟の失敗を宣言しました。彼らは,『この御国の良いたよりは,全国民への証の為に全世界に宣べつたえられるであろう』というイエスの予言的ないましめを行うのに専念しました。(マタイ 24:14)その御国は,地上における『政治的な表現』を持つていません。今日の国際連合の中にも表現されていないのです。カトリックと新教のキリスト教国の教会が国際連合にできるだけの協力をして,第三次世界大戦の回避を図る為の成功を祈るなら,その通りにさせなさい。国際連合は決して成功せず,また神の御国の祝福と協力を受けることは決してありません。丁度その前にあつて冒瀆をなした憎むべき国際連盟と同じようです。

異邦人の時は終る

22 著名な英国の牧師の注意は,ルカ伝 21章23,24節にどのように向けられましたか。それで,1917年にはどんな宣言書が出されましたか。

22 これらのすべての事柄は,神の御国が支配しており,1914年の秋から支配しているという歴史的な証拠になつています。この世の人々で,そのことを認識している人は先ずいません。第一次世界大戦の最高潮に近づいたとき,多数の著名な英国牧師は,世の出来事の意味について分り得たことを出版しました,中東における非常な出来事から,彼らは世の終りについてのイエスの予言の言葉に注意を向けました,『地には大きな悩みがあり,この民には怒りがのぞむであろう。彼らは剣の刃で倒れ,全国民に捕われるであろう。エルサレムは異邦人の時が成就するまで異邦人に踏みつけられるであろう。』(ルカ 21:23)1917年12月9日,英国のアレンビー将軍はトルコ人から古代エルサレムを占領しました。そのとき,これらの牧師はロンドンに集まつて宣言書を出したのです。その宣言書は,英国首都の新聞紙上に出版されました。その新聞報告は,こう述べています,

『次の宣言書は,英国の極めて著名な牧師たちが多数集まつて,最近に公表されたものである,

『「第1 ― 現在の危機は,異邦人の時の終りを指し示す。

『「第2 ― 主の出現はいつ何時でも期待できる。主は復活の夜に弟子たちに明白に表われたと同じく明白に表われるであろう。

『「第3 ― 完成した教会は,『主とともに永遠に』存在するため変化するであろう。

『「第4 ― 不信のイスラエルは自分達の地に復帰するであろう,そして後になつてキリストが表われることによりイスラエルは改宗するであろう。

『「第5 ― 再建をはかる人間のすべての計画は,我らの主の再臨に従属しなければならない。全国民は彼の支配に従うからである。

『「第6 ― キリストの支配下にあつて,聖霊は全人類の上にいつそう多く降下するであろう。

『「第7 ― この宣言書に含まれる真理は,現在の大問題に対処するクリスチャン性格と行為を決定する際に最も実際的な価値を持つものである。」』

23 8人の英国の牧師の出したこの宣言書について,ロンドンの新聞はどんな註解を公表しましたか。

23 新聞報告は,5つの宗派に属していてその宣言書に署名した8人の牧師の名前を出版した後に,次のように述べていました,『この名前は著名な名前であつて,世界最大の伝道師の中に属する。それぞれ異る宗派に属するこれらの著名人が,そのような宣言書を出すということは,極めて意味深い事柄である。』d

24 それら8人の牧師は何でしたか。1926年までには,彼らは神の御国に対する態度をどのように示しましたか。

24 その宣言書に署名した8人の牧師は,その期待した事柄については失望しました。別の言葉で言えば,彼らは偽りの予言者だつたのです。1926年までには彼らはヱホバの証者に反対しました。ヱホバの証者は,今支配している神の御国の良いたよりを全世界において熱心に伝道していました。

25 なぜ,『異邦人の時』はそれら牧師たちの期待を失望せしめましたか。そして,誰にとつて異邦人の時の終りは,或ることの終りを意味しましたか。

25 前述の『異邦人の時』は,牧師の期待を裏切つて牧師たちは失望しました。というのはアレンビー将軍が1917年にエルサレムを占領して後,また英国が国際連盟からパレスチナの委任統治を委ねられた後の時には終らなかつたからです。今日ではアラブが古代エルサレムを占拠して,岩屋根として知られているマホメットの寺院が,ヱホバ神に献げられた昔の宮のあつた所に立てられています。なぜそうなのですか。その理由は,イエス・キリストの予言した『異邦人の時』は,トルコ人からのエルサレム占拠以前に終つたからです。『異邦人の時』は,第一次世界大戦がキリスト教国の諸国家の上に臨んだ1914年に終りました。諸国家は,ヘーグ法廷として知られている国際裁定の永久法廷の下に服していたのです。『異邦人』という言葉は,文字通りには『諸国民』という意味です。イエスは非ユダヤ人の諸国民を意味する為にその言葉を用いました。ユダヤ人のものであるエルサレムは,異邦人によつて踏みつけられる,つまり非ユダヤ人によつて踏みつけられるとイエスは語つているからです。それですから,その『異邦人の時』が終るということは,キリスト教国の諸国民を含めてこの世の非ユダヤ人の諸国民にとつて何事かが起つたということです。それは何ですか。

26 それら異邦人の時の初まりには何が生じましたか。その出来事は,実際には何を意味しましたか。

26 その『異邦人の時』が始まつたときに非ユダヤ人の諸国民に生じた事柄を知ることによつて答を知ることができます。一つのことに,異邦人はエルサレムを踏みつけ始めました。それはユダヤ人の首都なる都市の滅亡だけを意味しません。それ以上のことを意味しました。それはヱホバ神の王国を踏みつけるということを意味しました。古代のエルサレムは,神が御自分の御名を置かれた都市です。賢明な王ソロモンがヱホバ神に建てた宮は,モリア山上にありました。ヱホバの見える代表者である王は,大祭司によつて油を注がれ,エルサレムで支配しました。そして,王の座位は『ヱホバの座位』と呼ばれたのです。(歴代志略上 29:23)エルサレムあつたイスラエル国民の政府は,神権政府でした。それは,地的な神の国の縮図でもありました。エルサレムは『大いなる王の都』であるとイエス・キリストは語つています。それですから,エルサレムを踏みつけることは,神の王国を踏みつけるということになります。―マタイ 5:35。

27 エルサレムの滅亡するすこし前に,予言者エゼキエルはその王に向つて何と言いましたか。

27 踏みつけることは,神の予定の時に始まりました。ダビデ家に属する王で,エルサレムにある地的な『ヱホバの座位』に坐つた最後の王はゼデキヤでした。エルサレムが始めて滅亡した時よりも約4年前に,予言者エゼキエルは霊感を受けてゼデキヤ王に向い次の言葉を告げました,『なんじ刺し透さるる者,罪人イスラエルの君主よ。なんじの罪その終を来らしめて汝の罰せらるる日いたる。主ヱホバかく言う。かぶりものをさり,かんむりを除り離せ,是は是ならざるべし。卑きものは高くせられ,高きものは卑くせられん我くつがえすことをなしくつがえすことをなし,くつがえすことをなさん。権威を持つべき者の来る時まで是は有ることなし。彼に我これを与う。』― エゼキエル 21:25-27。

28 キリスト前607年の6月と7月,異邦のバビロン人はエルサレムについて何をしましたか。

28 キリスト前607年の6月,ゼデキヤ王は侵入を受けたエルサレムの都から遁走した際に捕われました。そして,バビロンのネブカデネザル王は彼を盲目にしてバビロンの捕虜となし,バビロンで牢死させました。翌月の7月,異邦人であるバビロン人はエルサレムとヱホバの宮のものを掠奪し,それから古代における神の模型的な王国の首都と宮を亡しました。

29 それで,『異邦人の時』は何時始まりましたか。どんな出来事と共に始まりましたか。

29 それから2ヵ月の後に,荒廃したユダの地にとどまつていた少数のユダヤ人は,恐れを感じてエジプトに逃げ去りました。そして,ユダの地は人間と家畜のいない荒廃した地になりました。それで,キリスト前607年の10月1日頃に『異邦人の時』は始まつたのです。非ユダヤ人の国民である異邦人は,バビロンによる世界支配を行い始め,神の王国について憂慮する必要はなくなりました。ヱホバ神御自身が,その王国を覆したからです。その理由は,神の王国にたいするユダヤ人の感謝がなくなつたことによります。

30 ダビデ家による王国は,どの位の期間覆えされましたか。なぜ19世紀前に神は地上のイエスに御国の力を与えなかつたのですか。

30 予言者エゼキエルを通してヱホバの述べられた言葉はこうです,すなわち王国の権利を持つ者が来る時まで王国は無いであろう,そしてその者が来る時にヱホバは王国を彼に与えるというのです。1900年むかし,天からの神の子は,ダビデ王の王統に属する地上の人間イエス・キリストになりました。ヱホバ神はイエスに聖霊を注いでキリストにならせました。このようにして神はイエス・キリストと御国の契約,すなわち永遠に続く御国の契約を結ばれました。イエスは常にこの御国について伝道しましたが,神はその時には御国をイエスに与えなかつたのです。イエスが中東のエルサレムで地上の人間の王になるということは,神の御意ではありませんでした。予言によると,イエスが死んで死人の中から復活し,そして天に戻つて神の右に坐し,そのところで王になるというのが神の御意でした。―ヘブル 1:3,8,13。

31 イエスが勝利の中にエルサレムに入つたとき,どのような言葉が叫ばれましたか。しかし,過越しの日には何が起りましたか。

31 西暦33年のユダヤ人の過越祭より4日前,イエスは驢馬に乗り,勝利の中にエルサレムに入りました。ユダヤ人の群衆は次のように叫びました。『我らの父ダビデの来るべき御国に祝福あれ』『ヱホバの御名によつて王として来る者に祝福あれ!』『ヱホバの御名の中に来る者,イスラエルの王に祝福あれ』しかし,過越しの日には,ユダヤ人の祭司にみちびかれた違つた種類の群衆がイエスの死を求める叫びを挙げました。そして,ローマの兵士はイエスを杭にかけて死に至らしめ,彼の頭上には『ユダヤ人の王,ナザレのイエス』という罪状を掲げました。―マルコ 11:10。ルカ 19:38。ヨハネ 12:13; 19:12:22。

32 イエスが死んで3日目には何が生じましたか。後に彼は誰のところに昇りましたか。なぜその時に御国の力は与えられなかつたのですか。

32 イエスが死んで3日目にヱホバ神は彼を死人の中からよみがえしました。その後,復活したイエスは,人間の目には見えない霊界から,忠実な弟子たちに現われました。その年の五旬節<ペンテコスト>より10日前に,イエスは弟子たちの視界から消えて昇天して天に戻り,生命を救う人間の犠牲の価値をたずさえて神の御前に現われました。罪なき死にいたるまで彼は神の御国に忠実であつたために,神の御国の王座に坐る権利を有する者と証明しました。しかし,神はその時には御国の力を彼に与えなかつたのです。それは神の時ではありませんでした。それよりも2ヵ月以前に,イエスはこの世の終りについての予言を与えました。イエスの言葉によると,『異邦人の時』はすでに始まつており,地的なエルサレムで象徴される神の御国は,神の御国を踏みつける異邦人の時が終るまで異邦人によつて踏みつけられるということでした。そのときには,神の御国に敵対する異邦人なる敵には何が生じますか。

33 それで,イエスは神の右にあつて何をしなければなりませんでしたか。何時まで?

33 霊感を受けて聖書を書いた人は,イエス・キリストについて次のように述べています,『この人は罪の為に犠牲を永久に捧げて神の右に坐した。そしてその時から彼の敵を承足とするまで待たれる。』(ヘブル 10:12,13)それで,イエスは異邦人の時の終るまで待たねばならなかつたのです。

『定められた終りの時』(ダニエル書 8:19)

34 ロンドン宣言書に署名した人々は,異邦人の時の終つた時を知らないことについてなぜ弁解することができませんか。それら異邦人の時が何時終つたかについてどのように計算しますか。

34 ロンドン宣言書に署名した8人の牧師は,『異邦人の時』の終る時について知らないなどと弁解することはできません。特に1877年以来,ヱホバの証者は本や,冊子や,雑誌や聖書パンフレットを広く出版し,また口頭の言葉によつて,異邦人の時の終る神の定め給うた時は西暦1914年の初秋であると宣べ伝えました。初めてエルサレムを亡したバビロンの王ネブカデネザルに与えた夢によつて,ヱホバ神は神の御国を踏み砕く異邦人に定められた時は七つの時であると示しました。それぞれ一つの時は360年に匹敵します。すると,七つの時は,360年の7倍の期間,つまり2520年つづくことになります。(ダニエル 4:16,23,25,32)その七つの時は,キリスト前607年の初秋にエルサレムとユダの地が荒廃したときに始まりました。それですからその七つの時は20世紀の1914年の初秋すなわち10月1日頃に終つたことになります。e

35 1914年に『異邦人の時』の終つたことは,実際に何を意味しましたか。そのとき以来,ヱホバの証者は何を公表していますか。

35 キリスト教国を含めて全世界は異邦の国々です。それでは,西暦1914年に『異邦人の時』の終つたことは何を意味しましたか。踏みつけることが終つたことを意味します。それは中東のエルサレムの遺跡を踏みつけたのではなく,神の王国を踏みつけていたのです。キリスト前607年に異邦人の時が始まつたことは,ユダヤ人内の神の模型的な王国が亡びて,異邦人が神の許し給うた世界支配につくということでした! 1914年に異邦人の時が終つたことはその逆を意味したのです。つまり,踏みつけていた異邦人が倒れて神の御国が起きたことを意味します。それは神の御国の誕生を意味します。神の御国は地上の昔のエルサレムで誕生せず,天で誕生しました。イエスはその天で異邦人の時の終る時まで神の右に坐して待つていたのです。そして,ヱホバ神はイエス・キリストに御国の活動力を与えました。イエスは御国の権利を持つていたからです。それですから,西暦1914年以来ヱホバの証者は全世界に向い『神の御国は支配している!』と公表しているのです。―黙示 11:15。

事実の証跡

36 世の終りを予言した際に,イエスは何を与えませんでしたか。何時神の御国が支配し始めたかを知る為,何を認めるよう私たちは読者にすすめますか。

36 1914年という年を認め,かつ,その年に神の御国が支配する証拠であることを認めよ,と私たちは読者に強くすすめません。その年ということ以上に,もつと深い大切なことがあるのです。その年に生じた事,およびその年を確証する事柄を認めるよう私たちは読者にすすめます。イエスは世の終りについて予言した時,日時を示しませんでした。イエスは,日時よりも更に確かなものを与えました。それにより神の御国が支配し始めたということを知ります。イエスは世の出来事と状態を説明しました。聖書を書いた3人の人は,イエスの語つたことについてそれぞれの記録をつけています。今から約350年のむかし,すなわち1611年に出版された欽定訳(英文)を引用します。

37 イエスの使徒たちは,どんな質問をイエスにしましたか。世の終りの時の始まりを示すことは何であると,イエスは言いましたか。

37 イエスは,ローマ人によつてエルサレムとその宮が西暦70年に滅ぼされることを予言しました。それで或る使徒たちがイエスのところにひそかに来てこう尋ねました,『われらに告げ給え。これらの事は何時あるか。又なんじの来り給うと世の終とには何の兆あるか。』世の終りの時まで偽りのキリストがいるであろう。そして昔と同じく戦争や戦争のいくさがあるであろう。しかしそれらは世の終りを示すものでないと,イエスは語りました。『されど未だ終にあらず』それから,イエスは世の終りの時の初まりを示す証跡として次のように語りました,『民は民に,国は国に逆いて起たん。また処々に飢饉と地震とあらん。これらはみな苦難の始めなり。』― マタイ 24:1-8。

38 ルカは,他の詳細な事柄の他に,世の状態についてどんな言葉をつけ加えていますか。

38 それらの事柄がみな結集するとき,それらは世の終りの時の悲しみの始め,苦難のくるしみの始まりを示します。弟子ルカの記録も同じことを述べています。ルカは他の詳細な事柄の外に次のような言葉をつけ加えています,『異邦人の時みつるまでまた日,月,星に兆あらん。地にては国々の民なやみ,海と波との鳴り轟くによりてうろたえ,人々おそれ,かつ世界に来らんとする事を思いて胆を失わん。これ天の万象,震い動けばなり。』― ルカ 21:24-26,

39 いつそしてどんな事柄と共に世界の苦難の出来事は始まりましたか。今日なぜ全人類は震えていますか。

39 今日歴史上かつてない程の共産主義の脅迫やスパットネックの存在する核時代,誘導弾時代,宇宙時代に,諸国民はなやみうろたえています。私たちが証拠を示す必要はありません。すべての人はそれを認めねばならないのです。しかし,諸国民のこの苦難の期間は何時始まりましたか。この時代と共に始まりました。それが第一次世界大戦と共に始まつたということについて世界の歴史家たちは同意します。全世界の諸国民と国々を総動員しての戦争が1914年に始まつたことについて世界は忘れ得ません。悲しみの初まりの部分としてイエスの述べた他の言柄がつづいて生じました,すなわち飢饉,疫病,そして地震です。昨年の(1957年)12月4日には,『歴史上で最大の地震の一つ』と呼ばれる地震が外部モンゴリアに起りました,その地震はゴビーアトラス山脈をふるい,『山々を動かし,河の流れを変え,新しい山々や谷をつくり上げ,新しい水路を開いた。』(1958年1月23日,マサチューセツ州,ニューベッドホード・スタンダード・タイムス紙)しかしながら,今日の全人類は世界の出来事や発展と可能性の故に震えています。

40 一連の世界の出来事は,なぜ1914年に偶然に始まらなかつたのですか。その時からの出来事は何を証明しましたか。

40 長くつづいている世界苦難の出来事は,1914年に偶然に始まつたのではありません。『異邦人の時』が1914年に終つたから,それらの出来事が始まつたのです。1914年に始まつたということは,その年に『異邦人の時』が終つたということ,およびキリスト教国の牧師全部がそのことを否定しても,とうてい反証できないことを示します。1914年以来の世界の出来事は,イエス・キリストが真の予言者であつたということを証明するだけでなく,1914年に彼が権利を有する御国の力に来たこと,および天の御国における臨在がその時に始まつたことを証明します。油注がれた王メシヤによる神の御国は生まれました。キリスト教国をも含む異邦の諸国民は,もはや地上における世界支配権を持つていません。神の御国は支配し,統治します!

41 御国の設立を示す見える証拠として,イエスはその予言にどんな特色をつけ加えましたか。この予言的な特色はどのように成就されていますか。

41 イエスは世の苦難の始まりと,彼の真の弟子たちにたいする迫害と憎しみを予言しました。それから後に,神の御国が1914年に天で設立されたことを証明する別の見える証拠をつけ加えられたことは正しい順序であります。すなわち,『御国のこの良いたよりは全国民への証の為に全世界に宣べ伝えられるであろう。それから全き終りは来るであろう。』(マタイ 24:14)設立された御国のこの良い便りは,1914年以来全国民に証として伝道されていますか。ロンドン宣言書に署名した牧師やキリスト教国の他の宗教牧師にその答を求めるなら,答は否!であります。しかし,今日,全世界164の国々や島々で伝道を報告しているヱホバの証者に答を求めるなら,その答は圧倒的に然り!であります。第一次世界大戦の終結以来,ファシスト主義,ヒットラー主義すなわちナチ主義,共産主義,第二次世界大戦そしてキリスト教国のカトリックと新教牧師はヱホバの証者を中止させることができませんでした。御国の良いたよりは『異邦人の時』の終りの後に伝道されると,イエス・キリストは予言的に語りました。全くその通りに,この良いたよりは今まで伝道されて来ており,今でも伝道されています。しかし,キリスト教国の牧師はこの特別異常な出来事について霊的に盲でありつんぼであり,また唖でもあります。

終りの意味

42 御国の設立ということから見るとき,世の終りはなぜ近いですか。ダニエルの予言はこの事実をどのように確証していますか。

42 世の終りは近いか?という答を求める質問が生じます。聖書の予言と世界の状態からの答は,然りであります。キリスト教国をも含むこの世と神の御国は友ではありません。両者は交ることができません。イエス・キリストは処刑される為に引き渡される直前ローマの総督にむかい『私の国はこの世のものでない』と語りました。彼は弟子たちにこう告げました,『あなた方はこの世のものではないが私はこの世からあなた方を選んだ。このため世はあなた方を憎む。』(ヨハネ 18:36; 15:19)神の御国は,約束された新しい正義の秩序を代表します。使徒ペテロは,仲間のクリスチャンたちに宛ててこう語りました,『されど我らは神の約束によりて義の住むところの新しき天と新しき地とを待つ』(ペテロ後 3:13,欽定訳)神の御国は,その新しい秩序を設立します。すると,この古い世は全く絶滅されねばなりません。予言者ダニエルは,神の王国の干渉なしになされる異邦人支配が過ぎ去るこの日を見こして,次のように語りました,『この王たちの日に天の神ひとつの国を建て給わん。これは何時までも滅ぶること無からん。この国は他の民に帰せず,かえつてこのもろもろの国を打ち破りてこれを滅せん。是は立ちて永遠にいたらん。』(ダニエル 2:44)神の御国によるその亡びは,この古い世に対するハルマゲドンを意味します。

43 諸国民は何処に向つて前進していますか。いまでは,どの位の期間前進してきましたか。

43 1918年に第一次世界大戦が終結して以来,この世の神サタン悪魔にみちびかれている異邦人の諸国民は,神の御国に対する最終の決定的な戦をいどもうとハルマゲドンに向つて前進しています。すると,1958年までには40年間前進していることになります。そして国際連盟にもせよ,または国際連合制度にしても,その前進を中止させることができず,あるいは神の御国に対する武装を解くこともできません。『全能の神の大いなる日の戦争』が始まる前に,どの位の期間この前進はつづくでしようか。

44 世の終りの近いことを示す為に,イエスはこの時代について何を予言しましたか。

44 人類のこの時代は,その正常な終りに近づいています。イエスは次のように予言しました,すなわち第一次世界大戦中に異邦人の時の終ることと世界の苦難の始まるのを見たこの時代は,世界がハルマゲドンで亡びるときにその苦難の終るのを見るであろう,という予言です,『この時代は,すべてのことが起るまで決して過ぎ去らない。天と地は過ぎ去らない。天と地は過ぎ去る。しかし私の言葉は決して過ぎ去らない。』(マタイ 24:34,35。黙示 16:14,16)私たちはその日とその時を知りません。しかし,世の終りは近づいています。

45 この世の終りについて心配すべきか否かについて,私たちはどのように知りますか。この理由の故に,私たちはどんな嘘を心から取り除かねばなりませんか。

45 世の終りについて心配憂慮すべきではありません。新しい世,すなわち新しい天と新しい地で成り立つ神の正義の新しい世は,この古い世がハルマゲドンで終つた後に始まるのです。それについて悲しく思うべきですか。悪魔サタンの古い世の終りと,神の御国の新しい世の近づいている証跡を見るなら,大いによろこびなさいとイエスは忠実な弟子たちを教えました。キリスト教国の牧師の教える宗教的な偽りや,現代科学者の理論的な偽りは,次のように述べます,すなわちこの世の終りとは私たちの住むこの地球の終りを意味し,また天から光を与える太陽や月や,星の終りを意味するというのです。私たちの心から,そのような偽りを取り除きましよう。―伝道之書 1:4。

46 この地についてなぜ神の御国はイエスの祈りに答えて来ますか。それで必らず終るにちがいないものとは何ですか。

46 イエス・キリストは,天に居られる御父に次のように祈れと弟子たちを教えました,『あなたの御国が来ますように。あなたの御意が天のごとくに,地でも行われますように。』(マタイ 6:10)神の御国は来ます。それはこの地球を亡ぼす為ではなく,サタンの世を亡ぼす為です。神の御国は,この地球を焼滅する為ではなく,神の御意を天のごとくこの地上にも行わせる為に来ます。その理由からも,この地球は神の造り給うたものとして保存するに価値あるものです。そして,神は善意者たちすなわちあがなわれた人間,向上した人間,そして完全な人間の住居としてこの地球を永遠に保存します。イエスが人間として生まれたときに御使たちの歌つた歌,『上なる天では神に栄光あれ。地上では善意者の中に平和あれ』は永久に真実です。(ルカ 2:14)サタンの世とその諸国民は,この地上における神の御意に対しても,又は宇宙のどの場所における神の御意に対しても反対しています。サタンの世とは,見えざる天にいる悪鬼共と,見える地上にいる悪しき人間と諸国民とで構成されている制度のことです。それで,サタンの世は不敬虔な組織制度ともろ共に必らず終結し,滅ぼされてしまいます。―エペソ 2:2,3。

47 世の終りに何が存続しますか。イエスは,ノアの時代のどんな出来事を用いてこのことを示しましたか。

47 この地球は世の終りにも存続します。地上にいる善意者も,いま支配している神の御国の特別な保護によつてこの世の終りに存続します。この世の終りは,ノアの時代の不敬虔な世の終りのようであろうと,イエスは予言しました。天からの大洪水は,その昔の世を亡しました,しかしノアとその家族および選ばれた鳥と動物は方舟内にいて生き残り,清められたこの地上で人間生活を再び新しく始めたのです。ハルマゲドンの時にはノアの日の洪水の際の稲妻よりも多くの火があるでしよう。しかし善意者たちはこの悪しき世の終りに生き残り,神の新しい世における地上で生活を始めると保証されています。―マタイ 24:37-39。

48 それでは,なぜ善意者たちは将来の政府についてよろこぶべきですか。

48 あなた方善意者たち,よろこびなさい! それは,宇宙の最善の政府である神の御国の下で生活することを意味します。その新しい世では,地上のどの場所に住もうとも,あなた方は唯一つの神権政府すなわちイエス・キリストによる神の御国の下にいるのです。

49,50 (イ)その政府は,人間による政治政府の為し得なかつたどんな事柄を為しますか。(ロ)アダムに起因する死を亡ぼすことは誰を益しますか。そしてどのように?

49 その政府は,『異邦人の時』の全期間中に人間の政治政府の為し得なかつたことを人類に対して為します。その政府は,人類からサタンの見えざる悪鬼制度の干渉を取り除きます。それは又地上から不敬虔な共産主義や,政治にくちばしを入れる牧師たちや,そして神の御意に反するすべてのものを取り除きます。それは人間の『最後の敵』である死を地上から取り除きます。この死は,人類の最初の父であるアダムの原罪の故に私たちすべてが受けついできたのです。アダムを通して死はこの世に入つて来ました。―ロマ 5:12。コリント前 15:25,26。

50 アダムに起因する死を亡ぼすことは,ハルマゲドンを生き残る人々に益するだけでなく,記憶の墓の中にいて死の眠りについているすべての人々にも益します。キリストによる神の御国に忠実に従い,また栄光を受けた忠実な弟子たちに服従する故に生き残る地上の生残者たちは,アダムから受けついだ死の処罰から自由にされます。彼らは心と身体のあらゆる不完全さから癒され,ついには神の像と状にしたがい完全な人間になります。記憶の墓に眠つている人間,または海で生命を失つた人間については,王なるイエス・キリストは地上にいたときに死人を生命によみがえすために,用いた力を再び用いるでしよう。彼は御自身の約束を成就し,死せる人間を地上の生命に呼び起します。その生命には,神の御国の支配下にあつて祝福された機会がことごとく与えられるのです。『義者と不義者両方の復活がある。』と神の御言葉は述べています。―使行 24:15。ヨハネ 5:28,29。黙示 20:13。

51 彼らは何に従つて裁かれますか。最終の試験を通過する人々は,どのような報いを受けますか。

51 新しい世の地上で生活しているすべての人は,神なるヱホバと,王なるイエス・キリストに対する行動にしたがつて裁きを受けます。神の御国は,全地を快い楽園となします。神と神の御国に対して変ることのない献身と従順を捧げ,最終の裁きの試験を通過する人々は,みなこの地的な楽園<パラダイス>内で完全な人間としての生命の権利という報いを永久に頂きます。彼らは地的な楽園<パラダイス>内で神の御意を常に行います。

52,53 (イ)人々はいま何について神に頼るべきですか。(ロ)私たちは今何を称えますか。それについての私たちの祈りは何ですか。

52 それですから,いま善意を持つすべての人々をして地球の政府に関しては神に頼らせなさい!

53 すべての者は,いま支配している神の御国を称えます! 間もない,その定められた時に神の御国が古い世の終りをもたらすように! 人類の永遠の救をもたらし,かつイエス・キリストにより神に朽ちざる栄光を捧げるために,神の御国が永遠の新しい世を設立されますように!

[脚注]

a 1. 1919年1月号『連合会議報告』(英文)12-14頁を見なさい,また1919年会議年鑑報告の11頁をも見なさい。

b 2. 1919年6日号『連合会議報告』(英文)94頁を見なさい。

c 3. 法人団体国際連盟協会,以前にはニューヨーク東39番通り6番地に国家本部を設け,レイモンド・ビー・ホスヂックがその会長でした。

d 4. 『現存する万民は,決して死することあらじ』(版権1920年)39,40頁を見なさい。また1926年7月28日の『黄金時代』(英文)693頁をも見なさい。

e 5. ヱホバの証者はこのことについて詳細な証拠を示しています。そして,異邦人の時の終りについて更に資料を得たいと望む方には容易に入手することができます。400頁の広告欄を見なさい。

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