他の人を助けるために円熟した奉仕者になる
少年でも,自分が成長し,父親のようになることを夢見ます。クリスチャンとしての生活に一歩をしるした者はだれでも,霊的な円熟を目ざさねばなりません。なぜですか。円熟性は大きな価値のあるものだからです。クリスチャンは他の人に依存するかわりに,他の人々が円熟するように助けることにより,大きな幸福を味わうことができるでしょう。―使行 20:35。
イエスは,エホバの円熟した奉仕者として,他の人々を助けることにおいて模範を残し,ことに使徒ペテロに同じことをするように命じました。(ヨハネ 21:15-17)ペテロがそのことをした方法の一つは,他の人を教えることでした。ペテロは次のように記録しています。「語る者は,神の御言を語る者にふさわしく語り,奉仕する者は,神から賜わる力による者にふさわしく奉仕すべきである。それは,すべてのことにおいてイエス・キリストによって,神があがめられるためである」― ペテロ第1 4:11。a
神に心からよりたのむには,霊的に円熟していなければなりません。そして円熟するには,時間がかかります。子供が大人に成長する場合と異なり霊的な円熟は必ずしも一定の時間を必要としません。子供がいかに努め,よく食べても,成長を早めることはできません。しかし円熟するための霊的な成長は,おそいこともあるいは比較的早いこともあり得ます。それで,他の人が何ヵ月もかかって遂げる進歩をわずか2,3ヵ月で遂げる人がいます。霊的な成長の早さを左右する2つの大きな要素は,霊的なことがらの認識の度合いと,エホバ神に対する献身の深さです。―マルコ 12:30。ヘブル 5:12-14。
このことに関連して,非常に大切なのは,正しい種類の霊的な食物を定期的に取り続けることです。神のみことばの理解を助ける手引きとともに聖書を学んで,霊的な食物をとることができます。クリスチャンの知識,信仰,愛が建て起こされ,又他の人の言いあらわすことばによって善行が励まされるクリスチャンとの交わりも大切です。(ヘブル 10:23-25)祈りも欠くことのできないものです。「常に祈りなさい」。(ローマ 12:12)そうすれば好色にふけるような誘惑にあうとき,「不品行を避けなさい」という聖書の助言を思い起こして,誘惑に打ち勝つことができるでしょう。―コリント第1 6:18。
子供でも,すこやかにたくましく成長するには,運動が必要なように,クリスチャンも霊的に健康になり円熟するには,他の人に伝道するという運動が必要です。エホバの証人の神権宣教学校は,この点で良い助けとなっています。どの会衆においても,特に男子にとって,プログラムに参加する他の機会が時々あります。そのような割り当てをよろこんで受け,熱心に準備し,心をこめて果たさねばなりません。そうすることによって,より円熟に進むでしょう。―ヘブル 6:1-3。
円熟し,他の人を助ける特権に目ざめる時,愛と忍耐の重要さを心にとめてください。援助しようとする人にやさしくふるまわなければなりません。使徒パウロも,テサロニケ人に「母が子供を育てるように」ふるまいました。個人的なつらい問題に対しては,思いやりを示さねばなりません。とはいっても,クリスチャンは他の人の問題に干渉してはなりません。むしろ問題に関連した原則を示すことによって,人々が問題をはっきり見きわめ,問題を処理する際に賢明な決定を下すことができるようにします。―テサロニケ第1 2:7。ガラテヤ 6:5。
家庭聖書研究を司会することが,他の人を助ける理想的な方法であるとはいっても,それがお座なりのものであってはなりません。個人的に研究して聖書の知識を取り入れる必要をいつも力説し,エホバの御名と御国に対する認識を深めさせ,大いなるバビロンを含むサタンの組織と,エホバの組織のちがいを明白にしなさい。―黙示 18:4。
進歩的な人には,あなたが他の人を訪問するとき,一緒に行くように励ませるでしょう。しかし,無理に奉仕に誘ってはなりません。聖書の中の実例とか,自分の,あるいは年鑑の野外奉仕の経験を話して,野外奉仕への意欲を高めます。家から家の宣教に参加するよう少しずつ励ましてください。学んでいる人が進歩するにつれ,ふつう一度に一つだけの改善点を指摘し,建て起こす助言を与えるように励ますことを忘れてはなりません。―使行 20:20。
そうです。エホバの証人のクリスチャン各人は他の人を助け,ついで援助されたこれらの人々がさらに他の人を助けることができるよう自分の円熟に努めましょう。―テモテ第2 2:2。
[脚注]
a 詳細な点は,1965年8月1日号「ものみの塔」をごらんください。