エホバの組織がはたす役割を認める
「人と交わりをしない者は口実を捜し,すべてのよい考えに激しく反対する」― 箴言 18:1。
1 エホバは人間にどんな欲求を与えられましたか。それが正しく満たされないとどうなりますか。
男そして男の助け手として女を創造した時,エホバ神は,彼らが地の上にふえて地を満たすことを目的とされました。時を経て地は完全な人間で満ちるはずでした。しかし,人口過剰になることはありません。他の人と無関係な生活を送る人がいることは,神のみこころではありません。人間は神の幸福な大家族として各国が周囲の人々を顧み,たがいに思いやりを示して生活することになっていました。交わることは人間の本性です。だれでも他の人との交わりを好みます。独房に監禁することは重い刑罰です。神のしもべの中にはそのような仕打ちを受けた者もいます。彼らは霊的また精神的な平衡を保つため,利用できるものをすべて役だたせることが必要でした。彼らは他の人間との関係を絶たれ,ひとりぼっちでしたが,その苦境の中にあってエホバの霊により強められました。それで,以前に神のことばから学んだことがらや以前に神の民と交わって得た助言や励みを思い起こしたのです。それらの事柄を心の中で絶えず思い返すことによって,信仰を強く保ち,他の人と交わる必要をみたしました。こうして霊的な平衡を保つことができたのです。
2 他の人と交わるように定められたエホバは,ご自分のしもべのどんな必要を認められましたか。
2 しかし他の人との接触を長期的にわたって絶たれると,精神の平衡を保つことが困難になるということは依然として事実です。人は交わり,良い仲間を渇望します。組織をとおしてのエホバの備えの重要さはこれによっても明らかです。新しい秩序の下に生命をかち得るには,神のみたまと言に加えて神の組織の益を受けることが必要です。エホバは愛をもって私たちを集め,一体とならせ,協力させ,すべての者が互いに益を受けるように図られています。それのみならず,私たちはエホバ,御子イエス・キリストそして無数の天使たちとの交わりに導き入れられました。これら天の被造物はエホバのお目的を遂行することにおいてエホバと密接に交わっています。彼らは象徴的に神の妻と呼ばれている天の組織です。私たち人間はそれを受ける立場に身をおくならば,神の妻である組織から母のような世話を受けられます。私たちは天使の存在を知覚せず,また聖書時代におけるごとく化体した天使の助けを受けることもありません。それでも天使はわたくしたちの必要をみたすために仕えています。―ヘブル 1:7,14。詩 34:7。マタイ 18:10。
3 (イ)エホバの見える組織の中核は当然にだれから成っていますか。(ロ)地上において主の関心事を一切管理することには何が含まれていますか。
3 当然にエホバの組織の見える部分は,霊によって生み出された弟子たちの残れる者を中心としています。残れる者はやがて天的政府の一部となり,天においてキリスト・イエスとともになる人々です。イエスはご自分のふたたび来られる時,彼らが時に応じて霊的な食物を供えるわざに励むことを預言されました。マタイの福音書 24章45節から47節のことばどおり,彼らは主の御国の,地上における関心事全部をいま委ねられています。それは神のことばに基づいた霊的食物を信仰の家の者に供えるだけでなく,世界的な伝道のわざを監督し,エホバに教えられるため彼らの中に来た正しい人の「大ぜいの群集」を世話するためです。(イザヤ 2:2-4)生命を受ける「羊」を一方に,死を受ける「やぎ」を他方に分ける大きなわざが行なわれています。キリストの「兄弟」すなわち忠実な「思慮深い僕」を構成する,霊に生み出された者たちの音信にどう応ずるかによって,各人はいずれかの側に分けられるのです。(マタイ 25:31-46)羊のような人々は,エホバがこれらの「兄弟」の残れる者を地上に残されたことを喜んでいます。恐れる者は崇拝に率先し,また多くの実質的な益をもたらす経路となっています。それは人々を助けて生命を得させるためです。
4 組織の一部になることに対して,世の中のたいていの人はどんな態度をとりますか。
4 今日この世の精神をとり入れた現代人の多くに見られる傾向は,組織の一部になるのを避けようとすることです。彼らにとってそれは規格化であり,自由を奪われることです。彼らは抗議し,反抗し,暴動をおこし,従うことを拒絶して挑戦し,社会一般の課す制限に対して反対を表明します。神そして合理的な規制に反抗する人は肉の弱さがさせる放縦にふけりながら罪をそれほど意識せず,他の人また組織に束縛されていないと思うかもしれません。しかしそれでも前の世代の人々と同じく年老いて死にます。人の哲学や行動の規範が変化しても,神の原則また生命を得るための要求は,変わりません。―箴言 19:20,21。ペテロ第一 2:16。ガラテヤ 6:7,8。
5 あらゆる束縛をはねのける人は何を悟っていませんか。賢明なむすこは何をしますか。
5 反抗的なむすこは必要な束縛や生活の条件をきらって,万事ととのった父の家をとび出し,親の教えを一切無視することによって“真の自由”を得たと考えるかもしれません。しかし反抗的なむすこが自分の未熟な行動を反省し,自由を得るどころか苦難と心痛の多い,そしておそらくは不面目な死にさえ至る道に迷い出たことを悟るように願うのが親の情です。どこかで立ち返らなければ,そのはてはみじめな死か,夢を破られての精神的な破綻に終わるでしょう。必要なしつけを受け入れ,愛ある両親の監督の下で円熟に成長し,やがていっそう大きな組織,すなわち会衆や社会の中で有用かつ幸福な人として場所を占める賢明なむすことは大変な相違です。―ルカ 15:11-32。
6 エホバの組織は何にたとえられますか。組織されていることによって,万事はどのように能率よく運ばれますか。
6 ゆえにエホバは,その民が家族すなわちエホバを父またかしらとする家族として組織的に一緒に働くための備えを賢明に設けられました。これは私たちの自由を不当に制限するためではなく,むしろ神から与えられた自由を正しく用いるのを助けるためです。私たちは互いに集まって神のことばについて語り,その説明を聞くことを楽しみます。周囲に住む人々に良いたよりを伝える使命をはたして一緒に働くとき,私たちは強められます。互いに一緒にいるので,各人がエホバにどのように奉仕しているかを知り合い,互いの荷を負うことができます。しかしこれは私的な事柄に不当に干渉することではありません。一つの組織として一緒に働くのでなければ,キリスト教の宣教に肝要なこれらすべての事柄を成し遂げられないでしょう。そのうえもしエホバが各人と個人的に交渉を持ち,この者には新しい真理,あの者には啓示,別の者には解釈,さらに他の者には働きの使命を互いに関係なく与えるならば,大きな混乱が生じます。むしろエホバはその組織をとおして働かれ,時にかなった食物をすべての人のために備えられています。すべての人が一緒に働いて福音を能率的に宣べ伝え,最大の成果を収めるために,一様な奉仕の教訓が与えられます。―コリント第一 14:26-33,40。ローマ 15:1,2。エペソ 4:16。
7 地上の組織にとって本部の所在地よりも大切なのはなんですか。
7 今日エホバの証人は全世界199の土地にいます。96の支部があってそのすべてはニューヨーク,ブルックリンの本部すなわちものみの塔聖書冊子協会と密接に結ばれています。残れる者の統治体の活動はこの本部を中心にして行なわれ,世界的な伝道の監督と,霊的食物をのせた出版物の準備がここで行なわれているのです。昔エホバがその民を試みつくして清め,霊を与えることをされなかったとすれば,そして神の民が神のことばと一致して働かなかったとすれば,彼らは事業の遂行のために法人化された他の宗教団体となんら異なるところがなかったでしょう。本部の所在地あるいは団体の名称さえも重要な問題ではありません。しかし福音を印刷して早く世界各地に送り出すうえで確かな利点があるために,中心の組織はニューヨーク市に位置しているのです。ユダヤ人をはじめサマリヤ人にとっても場所は重要な問題でした。それでサマリヤ人の女はイエスにこう語っています,「『わたしたちの先祖は,この山で礼拝をしたのですが,あなたがたは礼拝すべき場所は,エルサレムにあると言っています』。イエスは女に言われた,『女よ,わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが,この山でも,またエルサレムでもない所で,父を礼拝する時が来る……まことの礼拝をする者たちが,霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ,今きている。父は,このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。神は霊であるから,礼拝をする者も,霊とまこととをもって礼拝すべきである』」。(ヨハネ 4:20-24)それで場所は重要な問題ではありません。肝心なのは神のみたまを持つあなたです。
8 エホバの証人は末端においてどのように組織されていますか。
8 世界のどこにいてもそれは問題ではありません。また御父を崇拝するのに特定の方向にむいたり,特定の姿勢をとる必要はありません。必要なのは秩序です。形式的な儀式ではありません。問題は私たちの心です。私たちの霊すなわち行動を促す力は神の真理のことばと一致し,神の聖霊に従うものでなければなりません。心と思いと魂と力をつくしてエホバを愛することが求められています。しかし神に全く献身していても,自分のように隣人を愛し,また敵をさえ愛する責務がなくなるわけではありません。私たちと同じことをしている他の人々と無関係に神を崇拝し,神からの使命をはたすことはできないのです。ゆえにどこにいてもエホバの証人には,エホバの証人の統治体の監督下に組織された会衆とともに働く特権があります。二,三人のグループで会衆がまだ組織されていない場合も,グループの研究を行ない,他の人々をおとずれて福音を伝えているその群れは,本部から,また旅行する代表者の訪問から直接に益を受けます。鉄のカーテンの背後においても,兄弟たちは生命の冒険を冒してさえ,定期的にグループとして集まり,他の人々に組織的に伝道することの必要を認めています。
あなた個人に及ぶ益
9 はじめてエホバの証人と接する時,人は組織からどんな援助を受けますか。
9 典型的な会衆を例にとり,クリスチャンであるエホバの証人の他の大ぜいと同じようにしてあなたが会衆と交わるようになったと仮定しましょう。事物の新しい制度の下で生命を求めるあなたは,エホバの組織からどんな益をすでに受け,またこれから受けますか。まずあなたに永遠の生命の希望がもたらされたのは,おそらくその会衆のメンバーの一人があなたの家をおとずれ,短い聖書の話をして聖書に対する関心を呼びおこし,組織によって準備された聖書の手引きを置いていったからでありましょう。小さな区域の割当てが作成され,その中にあなたの家も含まれていて,それが会衆のそのメンバーに与えられたのです。世界中の他の奉仕者と同様,その人も組織から受けた教訓に従って割り当ての区域内で福音を伝道していました。その教訓はいろいろと実際的なことを述べていますが,中でも区域内のすべての人に神の国の福音を伝えるように努めること,関心を示した人をなんども訪問し,聖書研究をすることを教えています。その人はふたたびおとずれ,ある期間あなたと聖書を研究しました。
10 集会また会衆内の他の人々との交わりは,どのように助けとなりますか。
10 知識を得,理解が深まるにつれやがてあなたは会衆の集会の一つに出席するようにとのすすめに応じました。出席を重ねるうちに,集会はつりあいのとれた霊的な食物を供えるために準備されていることがわかます。一般的な励みや助言のほか,神のことばの深い事柄が教えられます。真理の新しい点を学び,また以前学んだ点を復習する喜びも味わいます。(マタイ 13:52)宣教を遂行する方法に関して教訓が与えられます。「時に応じて食物」をそなえる神の経路に対するあなたの認識は日毎に深まったことでしょう。あなたは演壇から他の人が話すのを聞き,また聴衆の参加の時には答えを述べました。のちにあなたは神権宣教学校にはいり,話し方,話を組みたてること,聖書の調べ方,反論の仕方などの訓練を受けたに違いありません。そこには違ったふんい気があり,あなたはクリスチャンの交わりを楽しみました。このすべてはあなたを霊的に強め,将来の奉仕の備えとなります。このような益はエホバの組織と交わり始めたからこそ,受けるようになったのです。―ヘブル 10:23-25。
11 すべての人が「口で告白して救われる」のを助けるため,組織は何を備えていますか。
11 エホバの求められることをますます知るにつれて,エホバのクリスチャン証人の会衆の成員であることは単に平信徒であること,つまり説教を聞いたり寄付盆に寄付を入れたりするのとは違うことが明らかになります。事実どの集会でも寄付盆が回されることはありません。信仰は死んだものではなく生きたものであるべきです。それであなたは学んでいる良い事柄を他の人に告げたいと望むようになるでしょう。あなたを教えた人が戸別訪問の証言のわざに一諸に行くことをすすめた時,あなたはそれに応じ,語ることによって宣教を遂行する最善の方法を学びました。あなたは組織の行なうもう一つの訓練を受けたのです。この訓練によって人は神のより良い奉仕者になります。―使行 20:20,21。ヘブル 13:15,16。ヤコブ 1:22-25。
12 監督と補佐のしもべは組織の面でどんな益をもたらしていますか。
12 交わりはじめてまもなく気づくように,会衆にはその必要とする事柄を行なうために任命されたしもべがいます。これらの人は統治体によって任命される前に,監督および補佐のしもべに対する聖書の標準にかなっていなければなりません。(テモテ第一 3:1-10,12,13)しもべは上役ではなく,また自分たちが仕える人々からへつらいを求めたり,期待したりしません。また無報酬で兄弟たちのために喜んで働きます。キリスト教国の多くの宗派の指導者とは大変な相違です。しもべは集会,講演を準備し,行事を計画するのに忙しく働きます。彼らは適当な集会の場所を準備し,伝道のわざに必要な物を準備するためにすすんで事を行ないます。会衆全体の働きをしらべ,また円熟した人の特別な援助を必要とする個人について知るため,必要な記録が保たれ,検討されます。病気の人や弱い人を必要に応じて訪問することも行なわれます。―ヨハネ 13:12-17。ヘブル 13:7。
13 円熟に成長する過程において遭遇する問題を解決するに際して,組織からどんな助けを得ますか。
13 円熟したクリスチャンに成長する過程においては,問題にも遭遇し,落胆したこともあり,霊的な兄弟姉妹との間に誤解の生じたこともあったでしょう。しかしあなたは信仰を強く保ち,また聖書の原則を適用することの必要を悟っていました。(コロサイ 3:12-14)あなたは学び,訓練されました。神を喜ばせ,生命の報いを得ることはあなたの願いです。会衆内のしもべたちは,あらゆる事情の下で援助の手をさしのべるために任命されています。彼らはクリスチャンである他の人の自由を奪うことはせず,すべての人が平和のうちに働くように援助し,霊的また道徳上の危険から会衆を守ることに関心を払っています。ペテロは次のように助言しました。「あなたがたにゆだねられでいる神の羊の群れを牧しなさい。しいられてするのではなく,神に従って自ら進んでなし,恥ずべき利得のためではなく,本心から,それをしなさい。また,ゆだねられた者たちの上に権力をふるうことをしないで,むしろ,群れの模範となるべきである」― ペテロ第一 5:2,3。
14 組織は大会によってどんな益を与えるように図りますか。
14 あなたは巡回のしもべの訪問をはじめて経験した時のことを覚えていられるでしょう。巡回のしもべは宣教を改善するための提案をして会衆を助け,また励みを与える話をしました。あなたは巡回大会そして近くの都市での大きな大会にも出席されたことでしょう。大会の宿舎係に宿舎を申し込み,また大会では自発奉仕に参加されたことと思います。他の多くの人とともに水の浸礼を受けてエホバのみこころを行なうための献身を象徴したのも,大会においてであったでしょう。これらの大きな霊的な益は忘れることのできないものです。このすべてはだれによって設けられたものですか。それはエホバの忠実な組織です。これらのとりきめはエホバがイスラエル国民また初期クリスチャン会衆のために設けられたものと類似しています。―サムエル上 7:16。申命 16:16。使行 2:41,42; 13:2-4; 14:21-28。
15 エホバの組織と地上におけるその目的に関して,人は何を認識するようになりますか。
15 エホバの組織とともに働き,組織によって備えられるものの益を認識する必要は,すべてのとりきめの中にエホバの御手の働きを認める時ますます明白になります。これはメンバーを獲得するためだけの組織ではなく,生命を得るように人々を助ける組織です。統治体から一会衆内のしもべに至るまで,すべてはあなたの霊的な兄弟であり,エホバのみこころを最善の方法で成し遂げることに関心を払いエホバがその民に次第に授けられる霊的な益がすべての人に及ぶように心を配っています。あらゆる出版物,すべての支部,工場,学校,集会,宣教活動は,御国の福音をあかしとして全世界に宣べ伝えるためのものです。これは,エホバの証人が用いている法人ものみの塔聖書冊子協会の定款に示されたこの団体の目的です。この法人団体の存在する意義はこれ以外にはありません。エホバの見える組織をしらべれは調べるほど,それが使徒時代の初期クリスチャン会衆と同様に運営されていることがわかるでしょう。―マタイ 28:18-20; 24:14。使行 15:6,22-29; 16:4,5。
16 兄弟姉妹たちを集めることによって,組織は,人が愛と他のみたまの実を培うことをどのように助けますか。
16 エホバの組織と交わることによって,なんと貴重な祝福や経験が得られたではありませんか。霊的な兄弟,姉妹と会い,一緒に働くことがなかったならば,彼らに対する愛を培う機会はほとんどなかったに違いありません。また次第に成長して強くなり,他の人を助けることができるようになっても,その機会がなかったことでしょう。同様に自分が他の人に見られることもなく,したがって弱点を克服してエホバのより良いしもべとなるように援助されることもなかったに違いありません。あなたは人の前に出るのがはずかしい内気な人でしたか。そうであれば集会で答えることや公の伝道によって,他の人に語ることに上達したはずです。人に語ることは避けたいと思うよりも,喜びになりました。あなたは短気でしたか。自制心を培い,柔和な気質を養う間,あなたは周囲の人に忍耐を要求することになったかもしれません。しかし他の人々と一緒に働き,また他の人の援助や忍耐によってこれを克服できました。問題や事情がどんなものであっても,エホバの組織と密接に交わり,組織から多くの益を受けるほうが,それらによりよく対処できます。人は長年の経験からそのことを知るでしょう。―テサロニケ第一 5:11。ガラテヤ 6:2。
17 エホバの組織内のいろいろな人はどんな事態に面していますか。
17 他の人を知るようになるにつれて,彼らも新しい喜びを見いだし,エホバから特権を与えられたのに加えて,克服しなければならない問題や弱さをかかえていることがわかります。健康のすぐれない人がいるかと思えば経済的に恵まれない人がおり,小さな事のためにわずらう人がいる一方,のんきすぎる人がいます。夫に反対されている姉妹,ときどき子供が手に負えなくなる父親,善行に少しあきた人,忙しくて手がまわりかねる人,いま結婚すべきかどうか迷っている兄弟,専門的な技術を持ち,そのため仕事をやめて全時間の伝道を始めるのをためらう人,いわば肉体にとげを持ち,肉の弱さと戦っている人,あるいは迫害や反対に耐えなければならない人がいます。ある人はこの世的な習慣が深くしみ込んでいるため,それを克服するために戦わねばなりません。ある人の妻は感じやすい人ですぐに気を悪くします。他の関心事のために心がわかれている若い姉妹がいます。責任の荷が重すぎると感じており,平衡を失いかけているしもべがいるかもしれません。
18 これらの事態はどのように生じますか。それに対処するため,エホバの組織に堅くつくことはなぜ必要ですか。
18 エホバがこれらの事態をもたらしたのではありません。しかしエホバはそれを許されたのです。自分が自分に招いた問題つまり良い判断によって避けられたはずの問題もあります。ある問題は自分の力でどうすることもできません。悪魔が地上の手先を使って反対をひきおこす場合もあります。しかしおおかたは人生につきものの問題であり,不完全さのゆえに起こる,また古い世にあって新しい事物の制度の下における生命を求める以上,当然に起こる問題なのです。エホバの組織から孤立して日々これらの問題に取り組もうとしても,成功しないでしょう。教訓,助言,励まし,兄弟たちの親切な援助が必要なことは明白です。神の組織から離れ去るなら,冷い世にあって顧みられることのない孤独な「羊」になります。(ペテロ第一 4:7-11)エホバの証人と定期的に交わって自分を新たにすることをせず,常に悪い交わりをしていると,エホバへの愛と真の崇拝に対する熱意はすぐにさめてしまうでしょう。(ペテロ第二 2:20)そしてふたたび世にのみ込まれて世とともに滅びるかもしれません。―箴言 18:1。
19 エホバが設けられた三つの主要な備え,みたま,みことば,組織について何を認めなければなりませんか。
19 さて私たちは今ここにいて将来を見とおしています。忍耐を怠らず,またエホバがみたま,みことば,組織によって備えてくださるものに対し,常に認識をあらたにしてゆきますか。この三つはともに働いて私たちに日々,祝福と益をもたらします。それらのものなしでやって行くことはできません。しかし大切なのはそれらのものをどう利用するかです。このことを忘れてはなりません。自分の精神を見守り,この世の精神に影響されないようにすることが必要です。エホバの聖霊の導きに従わなければなりません。個人的に,また会衆とともに神のことばを学び,神のことばを生活の中で真の力にしなければなりません。エホバのクリスチャン組織を認識し,それとともに密接に働くことが必要です。そのもたらす益を軽く見てはなりません。私たちが永遠の生命を得るために必要なものをご存じである,生命の与え主はそれを備えられました。