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  • アイルランドの騒乱のただ中で生活する
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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1974
塔74 12/1 709–713ページ

アイルランドの騒乱のただ中で生活する

アイルランドをしつように悩ましつづけてきた問題が,1968年から1969年にまたがる冬に再び爆発し,公然たる闘争に発展しました。それ以来,恐ろしい流血行為と,財産の大規模な破壊が繰り返され,爆破,射ち合い,暗殺などで1,000人以上が死亡しました。このほか幾千人もの人びとが,手足をもぎ取られたり,容姿をそこなわれたり,負傷をしたりしました。どうしてでしょうか。

その根本的原因は,プロテスタントとローマ・カトリック教徒の間の宗教および政治上の反目にあります。一方の側は,英国の支配と関係を持つプロテスタントであり,他方は,アイルランド独立闘争とつながりを持つカトリック教徒です。悲しいことに多くの人は,歴史があまたの教訓を残しているにもかかわらず,暴力こそ紛争に決着をつける方法だと考えています。

プロテスタント的背景

私は1917年に北アイルランドのベルファストで生まれました。私の生涯に大きな影響を及ぼしたものの一つはオレンジ団でした。これは新教主義に献身したひとつの社会団体で,その名称は,1690年のボイン川の戦いで,オレンジ家のウィリアム王が,英王ジェームス2世に対して収めた有名な勝利にちなんでつけられたものです。

オレンジ党員にとって,一年のうちの最大行事は,その勝利を記念して毎年7月12日に行なわれる大パレードです。たくさんの横笛と太鼓は行進に精彩を加え,興奮をかきたて,激情を刺激します。ひとつの楽隊の先頭の鼓手であった父について歩いたのを,私は今でもよくおぼえています。それは,アイルランド北部におけるプロテスタントの力と優勢さを誇示する大がかりなパレードです。もちろんこれはその二つの社会の間の反感をあおります。

態度を変えてクリスチャンの中立を守る

私が態度を変えたのは,1950年代の半ばでした。かつてはこちこちのプロテスタントであった私の母は何年もの間,エホバの証人と,つかず離れずの状態で交わっていました。しかし,われわれ子どもは,国家主義的な精神とプロテスタントであるという優越感を吹き込まれていたので,母が言うことはあまり意に介しませんでした。

私は国内で最大のプロテスタント教会であるアイルランド教会の正会員になりました。しかし,エホバの証人は,親切ではありましたが,しつこく尋ねてきました。そのうちに彼らは私の妻と聖書の勉強をはじめました。その後まもなく私も,彼らの集会に出席しはじめるまでに関心をかき立てられました。よく教えられたので私は聖書の知識に速く進歩し,妻も私も1956年に,エホバの証人の手によるバプテスマを受けました。今や聖書の真理は,以前もっていた偏狭な,憎しみに満ちた態度を私から取り除き,真のクリスチャンの資質に対する認識を私の心の中に育ててくれました。―ガラテア 5:22,23。

エホバの証人たちは,彼らの周囲で化膿している党派の争いについては厳正中立を守ります。起こってくる宗教上,政治上の紛争には,どんな形でも参加しません。ですからたとえば,二度と宗教問題を口にしたら頭にハンマーをくらわせてやる,といって職場仲間のカトリック教徒をおどしたことなどは,過去のこととなりました。

それにしても,中立を守る人は,自分の身に必ず及ぶ圧力にどのように対処することができるのだろう,とあなたは思われるかもしれません。宗教と政治にかかわる熱狂的な論争に直面して,その人はどのようにクリスチャンとして中立を守ることができるでしょうか。それは,その人の生活や家族の生活にどのような影響を及ぼしますか。私の家族や友人たちが経験したことをいくつかごらんになれば,この質問に対する答えは得られるでしょう。

正しい見方を保つ

私はベルファストの大きな病院のひとつで働いているので,恐ろしい爆弾攻撃の悲しい犠牲者を多数目撃します。そういう悲劇はほとんど毎日のように起こっており,とくにベルファストやロンドンデリーのような都市では激しいものがあります。

足のない人,腕のない人,はては手足をもぎ取られた人などが,絶えず病院にかつぎ込まれてくるのを見ると,衝撃を受けます。その衝撃は多くの場合人びとに激しい反感をいだかせます。ですから,正義の新秩序にかんする神の約束をしっかりと思いにとどめておかないかぎり,正しい見方を保つことは困難です。―ペテロ第二 3:13。

生命と財産の危険は常に存在します。たとえば,クリスチャンの友人のひとりは,事務所ばかりある大きな区画をひとつ管理していましたが,そこがテロリストの爆弾攻撃の目標となりました。彼とその家族が,やっとの思いで建物から外に逃げ出したとたんに,90㌔の爆弾が爆発し,建物と彼らの持ち物を全部破壊してしまいました。

しかし,ある人はそういうことに煩わされてはいられません。私たちのクリスチャン会衆に属するひとりの友人は,寝室の窓を銃弾で粉みじんに砕かれましたが,そのとき,「ベッドを別のへやに移せばいい。今夜はぐっすり眠るんだから」という気持ちになっただけだと言いました。私の兄弟はあるとき,知らないまに,保安隊とテロリストの銃撃戦のまっただなかに置かれていました。別のときには彼らに車を盗まれました。

ある日など,私の家から75㍍ほどしか離れていない真向いの建物の中で,25㌔の爆弾が爆発し,周辺の家が多数大損害をこうむりました。

そのとき私たちは,クリスチャンの大会に出発する準備をしているところでしたが,私たちはこの事件に妨害されるつもりはありませんでした。家のほうは応急処置だけしておいて,騒ぎをあとに大会に出発しました。創造者エホバ神が与えてくださる力と希望こそ,こうしたあらしを切り抜ける助けとなります。

会衆の集会に出席する

クリスチャンの集会に定期的に出席することは,わたしたちの崇拝の一部です。しかし,集会に行くまでの間に,神経をさかなでされるような経験をしかねないのです。自動車爆弾の危険は常にあります。爆発物のいっぱいつめ込まれた自動車が,爆発するばかりの状態で目標地点に駐車されているのです。あるときなど,私たちの車から15㍍ほど離れたところで,一台の自動車がなんの前ぶれもなく急に爆発しました。爆発する爆弾の閃光と,飛び散るがれきに混じって人びとが地面にたたきつけられているのを見るのは恐ろしいものです。

時々私たちは,危険地域や,問題がよく起こるので知られている場所を避けて,非常な遠回りをします。あやしげな車があるときもう回させられるので,時間がかかることを覚悟していなければなりません。また,保安隊が,爆発物を積んでいないかどうか自動車を徹底的に調べることもありますから,集会に確実にまに合うようにするには,そうしたことを計算に入れて,十分早く家を出なければなりません。

旅行者は,ハイジャクを企てる者にドアをあけられないよう,中からかぎをかけておくのが多くの場合賢明です。ある家族は,会衆の集会に行く途中,信号に止められ,車の列の中で待っていました。すると驚いたことに,テロリストたちが,車を奪おうとして,ひとつの車から次の車へと素早く動きながらこちらにやってきます。その家族の車は一箇所かぎがこわれていました。幸いに,テロリストたちが近づいている間に信号が変わり,彼らは発車しました。さっそくドアのかぎを修繕したことは言うまでもありません。

こうした事がらのために,いろいろ都合の悪いことがありますが,ベルファスト地方のわたしたちの会衆の集会はすべて普通どおり行なわれています。集会に出席しているときに負傷をした人はひとりもいません。

自警団員

中立を守ることを非常に困難にしたのは,ベルファストおよびロンドンデリーでとくに盛んであった,自警団を組織する運動の発生でした。これらのグループは,カトリック教徒の居住地区とプロテスタントの居住地区とが非常に接近しているところで結成されました。それらの地区は,紛争の発火点となる可能性が強いのです。そのような地区の住民は,人を殺したり財産を破壊したりする傾向のある過激派の侵入に対して,自衛組織を作ります。

ですからエホバの証人たちは,地区の警備に参加するようにと,善意からではありますが隣人たちから大きな圧力をかけられることが少なくありません。たとえば,あるクリスチャンの兄弟は最近,近所の人びとが自警団を組織することを決定したときに,その町内に引っ越してきました。全部の住民が特別集会に召集されました。その集会に出席しなかった唯一の家族であったエホバの証人の家族が,少しばかり心配したことは言うまでもありません。すでにその町内のいくつかのカトリック教徒の家族が,家に投石され,追い出されていたのです。

特別集会が終わったあと,玄関のドアをノックする音が聞こえました。二人の婦人が自警団員のために,食料品その他のものを集めていたのです。その家族は,エホバの証人としての自分たちの中立の立場を説明しました。婦人たちは何も言わずに帰りました。―ヨハネ 17:15,16。

しかしながら,自衛熱は広まり,物質面での援助の要求は増大しました。寒い冬の夜立ち番をする人たちに暖かい衣服をあてがうためのお金が要求されました。また,紛争がエスカレートした場合に,その地区から婦女子を避難させるための基金も集められました。寄付集めが行なわれるたびに,その家族は,エホバの証人のクリスチャンとしての立場を説明しました。

緊張が高まり,家屋その他の財産の破壊が際限なく続くにつれ,順応させ味方をさせようとする圧力も大きくなりました。ベルファストを広範囲にわたって荒廃させた驚くべき量の破壊を見なければ,情勢の重大さと,住民の必死の自衛とを十分に理解することはできません。この町内に住んでる証人は,次のように語りました。

「自警団員は,私たちの中立の立場にだんだんがまんができなくなりました。私が彼らに保護されながら暖かいベッドの中でぐっすり眠っている間,みんなは地区の保護のために自分の分を果たしているのだ,と彼らは言いました。

「毎晩2,3時間町内を歩き回って,あやしい事を何でも報告すればそれでいいのだ,と私は言われました。牧師も自分の番がきたらそうしているのだから,私なんかクリスチャンではない,と彼らは主張しました。私の立場に対する反感はしだいに強くなっていましたが,自分の良心がその活動への参加を許さない理由を私は再び説明しました。

「この問題に関係している聖書の原則に言及すると,彼らは一人また一人と去りはじめました。しかし,テロリストの活動で私の家が焼けているのを見ても援助はしない,と彼らは言いました。

「私は残った一人の自警団員に,初期のクリスチャンたちが,1世紀のエルサレムの破滅のときに紛争に全く加わらなかったことについて説明することができました。クリスチャンたちは,近所の人びとから非難されても,ローマ帝国の軍隊にも組せず,国家主義的なユダヤ軍にも味方せず,厳正な中立を守りました。しかしそれは,初期のクリスチャンたちが自国民に対して無関心であったというのではなく ― イエスは,エルサレムに起こることを予想して涙を流された ― 彼らの忠誠が神の王国に向けられていたこと,そして彼らは世の政治闘争に巻き込まれないようにしていたということを私は指摘しました。

「こうした点や他の点を論じ合ったのち,残っていた人は,私たちの立場が理解できた,と言いました。それ以来私たちは何も言われなくなりました」。―ヨハネ 18:36。

このことは,真のクリスチャンが,この体制によってこの体制の型にむりにはめ込まれたくない場合に抵抗しなければならない,強い圧力のあることをよく示しています。

バリケード

時々人びとは,自分たちの住んでいる地域を自分たちで勝手に封鎖します。防御用バリケードを築き,望ましくないと見た人物の通行を禁止します。

あるとき,私の婿とその家族が住んでいる地区で,ひどい射ち合いと殺し合いがありました。人々の心に憎悪の念がみなぎり,毒々しい怒りと憤りがつのりました。さっそくバリケードが築かれました。

そのバリケードのひとつが,婿の家の横の出入口を完全にふさいでしまいました。ほんの1㍍も動かせば,たいへんな不便を感じないですみました。そこで婿は,バリケードを築いた人たちに,それを動かすように言ってみようと思いました。しかし彼らは,道理にかなった話し合いに応ずるような気持ちはありませんでした。彼らのうちのひとりは怒って,私の婿はその地区の防衛に協力していないのだから,文句を言う権利はないと言いました。

彼らの敵意を見て婿は,議論するだけのかいはないと考え,不便を忍ぶことにしました。

家族の討論

常にクリスチャンらしく正しくふるまい,不必要なトラブルを避けるのに,私の家族にとってたいへん助けになっているひとつのことは,家族で定期的に討議を行なうことです。この不穏な状態のもとで発生するさまざまな事態に対処するにはどう行動すべきかについて話し合うのです。どうすることが賢明であり,聖書が認めている行為でもあるかを,前もってはっきり知っておくと,たしかに助かります。

適切な行動によって命が救われるのであれば,それらの問題を繰り返し検討することがたいせつです。たとえば私たちは次のようなことを時々復習します。暴力が発生したならば,その問題地点から必ず直ちに逃げること。どうなるか見ようとして待たないこと。また,トラブルが起きている時には屋内にとどまり,窓から離れていること。地面に触れながら飛ぶ銃弾や散乱するガラスは相手を選びません。

戸別伝道

また,わたしたちがよく討議する問題は,どうすれば,神の目的にかんする正確な知識を得るよう人びとを助ける戸別訪問活動を最もよく行なうことができるかということです。現在見られるような混乱のただなかでこの伝道のわざを行なうには,非常な巧みさと慎重さが必要です。

当然のことながら人びとは非常に疑い深く,見知らぬ人を恐れます。ドアをノックする音が,人殺しの一団の来訪を告げるものであったことが,ベルファストでは幾度もあるのです。人びとは自分の家のしきいの上で射殺されるのです。

保安隊でさえ自由に,あるいは安全に近づくことのできない地区がベルファストにあることは,考慮すべき事実なのです。時々,おとり捜査員が戸別訪問者を装って来ることもあります。ですから,近所でよく知られていない人はみな疑われるのです。

エホバの証人は幾度か,過激派からカトリック教徒とプロテスタントの両方が住んでいる特定の地域から出るようおどされました。私たちは立ち止まって議論するようなことをせず,直ぐにその場を去り,暴力が発生するまで待ちませんでした。時々私たちは特定の地域を完全に避けます。しかしのちほどそれらの地域の人びとを再び訪問します。しかし,訪問中は非常な注意が必要です。

実際的な知恵を働かせるのは重要なことです。たとえば,紛争が頂点にあったときには,私たちは晩の伝道活動を大幅に減らしました。また,しっかりした身分証明になるものを持っているのがよいことを発見しました。これは保安隊に調べられたときに役だつだけでなく,家の人の恐怖心を静めるのにも役にたちます。

カトリック教徒にもプロテスタントにもならずにクリスチャンでいられる,聖書を信ずる者でいられる,ということは,ここの多くの人びとにとってはなかなか理解できないことなのです。しかし,エホバの証人が異なっており,中立であること,政治上の事がらやカトリック,プロテスタントなどとも一切関係を持たないことに気づきはじめている人たちもしだいに多くなっています。

聖書の真理が与える影響

私はとくに,ローマ・カトリック教徒の人びとの間で公に宣べ伝えるわざを楽しんでいます。現在は,ローマ・カトリック教徒の若い夫婦と,定期的に家庭聖書研究を行なっています。この夫婦は,聖書のすばらしい真理と,真の平和および安全にかんする聖書の約束を理解しつつあります。一年間の楽しい交わりののち,聖書の真理が,幾世紀もの間人びとを分け隔て多くの騒ぎを引き起こしてきた障壁を打ちこわすのを見るのは,本当にうれしいことです。

今私は,次のクリスチャンの大会を楽しみにして待っています。この元カトリック教徒の家族から初めて,その大会で,神のご意志を行なうべく献身したことを水のバプテスマによって表わす計画を立てた人が出たのです。私の友人のひとりは,わたしたちの間に親密な友情があるのを見るのはなんとすばらしいことだろう,と言いました。ひとりは以前熱心なカトリック信者,もうひとりは以前こちこちのプロテスタントだったのです。

最悪のトラブルは一時おさまっているとはいえ,混乱は依然として存在します。事態は非常に緊張していて,火山のように爆発寸前の状態です。この状態が生み出す精神的,感情的ストレスは非常なものです。家族も私も,ここ北アイルランドの騒乱のさなかに住んでいながら,それに全く無関係でいられることを,私は神に感謝しています。―寄稿。

[710ページの拡大文]

『聖書を正しく教えられて,以前の偏狭な態度はなくなり,真のクリスチャンの資質を理解するようになった』。

[711ページの拡大文]

『善意によるものとはいえ,自警団を支持させようとする大きな圧力が隣人たちによってしばしばエホバの証人に加えられた』。

[712ページの拡大文]

『初期クリスチャンたちの忠誠は神の王国に対するものであった。そのために彼らは,世の政治上の闘争に引き込まれるのを避けた』。

[713ページの拡大文]

『人びとは,エホバの証人が他とは異なっており,政治上の事がらやカトリック,プロテスタントなどとも一切関係を持たないことに気づきはじめている』。

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