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世界の分裂の源
● 誠実で,献身的に見える世界の指導者たちの多くが努力を重ねているにもかかわらず,世界がこれほど分裂しているのはなぜでしょうか。フィリピンの教育者プリモ・L・トンコは,国際版英文「PHP」誌の中でその一つの要素について論評し,次のように語っています。
「国歌や国旗は多くの場合,国に対する極端な,あるいは盲目的な愛という,極めて問題の多い人間感情を呼び起こす。そうした愛は,時として『正しかろうと,間違っていようと,祖国は祖国』とまで臆面もなく言うほどの熱狂的な国家主義者に人を仕立て上げてしまうきらいがある」。
トンコは,「国家主義的な態度」が,征服,植民地化,搾取,そして抑圧などのための,絶え間のない戦争で,歴史のページを」塗り上げており,「その結果,現在世界を分裂させる原因となった,あらゆる種類の偏見,疑い,そして憎悪を引き起こした」と述べました。
それから同氏はこう問いかけます。「分裂し混乱した我々の世界に今ある悲惨な事態の原因となったこうした慣行を捨て去り,撤廃することによって,歴史の潮流を分裂から一致へと変える時が来ているのではなかろうか」。
聖書に基づく訓練の結果,世界中のエホバの証人はすでにずっと以前からこうした事柄を行なってきました。すでに特異な国際的一致を示しているエホバの証人は,そのような国家主義的慣行やそれが助長する憎しみに満ちた紛争に参加しません。
チンパンジーと言語 ― 人間に近いか
● チンパンジーにある種の記号言語を教え込めるというのは,チンパンジーが進化論の尺度で計って小さな子供の知的レベルにまで達したことを意味しているのでしょうか。サイエンス誌に最近載せられた研究論文は,そうではないことを示しています。標準的な記号言語に関する事前の訓練を全く受けずに,母親とどれほど意思の疎通を図れるかを見るため,一歳半から四歳までの耳の聞こえない子供六人を観察することが行なわれました。
子供たちは物や行動を表わすために独自の記号を作り出しただけでなく,しばしば幾つかの記号を結び合わせて文に似たものを作りました。子供の母親は,この“言語”にほとんど影響を及ぼしていませんでした。事実,幼児たちは,「自分の母親よりも……多くの複数の記号から成る句を作った」と研究者たちは述べています。
しかし,チンパンジーの言語の芸当はどうでしょうか。それについては次のように報告されています。「[人間の赤ん坊の]こうした能力は,チンパンジーの貧弱な言語能力と比べて雲泥の差がある。チンパンジーは手で意思表示をする訓練を受けて学ぶようではあるが,そのような訓練なしに言語に似た意思伝達方法を自分で編み出すことは一度も示さなかった」。
「一方,難しい状況の下にあっても,人間の子供は,構造的な意思伝達体系を編み出す生来の傾向を示した」と同報告は伝えています。こうした「生来の傾向」があるのはなぜですか。人間が進化の所産ではなく,「神のかたちに」創造されたからに外なりません。―創世 1:26,27,口。
“金持ち部落”の子供たち
● 米国精神病学会のある会合は,金持ちの子弟の情緒問題について検討しました。一人の精神病医は自分の治療した,大金持ちの子弟15人について語り,それら“金持ち部落”の子供たちを“情緒的怪物”と描写しています。ロサンゼルス・タイムズ紙の報道によると,彼らは概して,「内向的で,自己中心的であり,幾分うつ病の気があり,退屈し,浅薄で,仕事に関心を持たず,価値や目標や理想に欠け,あらゆる失意から抜け出す方法があるという概念をもて遊んで」います。
こうした貧弱な人格を形成する原因は何ですか。この精神病医は次のように語っています。「これらの患者の大半について言えるのは,諸悪の根源は金銭ではなく,親子の間柄だということである。彼らは見捨てられた子供たちであり,この子たちには子供を大切にして関心を示す親がいない。家族は金銭面で得ただけのものを感情面で失い,場合によっては常識まで失ってしまった。子供を育ててゆく上で極めて単純で常識的な行為さえ,その親たちにとっては想像もつかないことになっている」。
それゆえ聖書は,金銭そのものではなく,『富もうと思い定めること』および「金銭に対する愛」が「あらゆる有害な事がらの根である」と述べているのです。こうした欲望を動機付けとしている親は,何にもまして,「多くの苦痛で」自分だけでなく,自分の子供の「全身を刺した」ことを見いだす場合が少なくありません。―テモテ第一 6:9,10。