あなたは聖書の価値を認めますか
メリー・ジョーンズは今から200年ほど前,大西洋沿岸からさほど遠くないウェールズの片田舎,ランフィアンシェル村に生まれました。両親はしがない織物工で,自分の聖書も持てないほど貧しい暮らしをしていました。しかし,娘には聖書の物語を話して聞かせ,暗記していた聖句を繰り返し口にして,神に対する愛を教え込みました。メリーは近所の人のウェールズ語の聖書を読ませてもらうことが多かったので,自分の聖書を買うことを決意し,わずかばかりのお金を貯め始めました。
1800年,メリーが16歳の時,40㌔ほど離れたバラという小さな町で,わずかな数のウェールズ語の聖書が売られているという話を聞きました。メリーはひるむことなく,そこまで歩いてゆくことを決意し,実行に移しました。それも裸足で幾つもの丘を越えて行ったのです。しかし,町に着いた時にはすでに聖書は売り切れていました。またメリーは,自分が貯めたお金では少なすぎて聖書は買えないことも知りました。
その町の牧師は,メリーの聖書の知識と聖書に対する愛に深く感動しました。いろいろと努力をしたのに買えなくて失望の涙を流す彼女を見て,親切な牧師は自分の聖書を彼女に与えました。そして,「注意深く読み,勤勉に勉強し,神聖な言葉を大切に記憶にとどめ,その教えに従って行動しなさい」と言いました。
この話は後に,ロンドンの宗教冊子協会の委員会で話されました。そしてその会合で,翻訳聖書をウェールズの人だけでなく,全世界の人々に供給することが決定されました。ささやかとはいえ,19世紀にはこれをはじめとして,数々の聖書協会が発足しました。それ以後,外国語の聖書が登場する速度は次第に速くなり始めました。
ものみの塔聖書冊子協会は,1884年に法人化され,現在では200以上の言語で聖書や聖書研究の手引きを印刷しています。当協会は全世界で,現代語の「新世界訳聖書」を7,200万冊配布してきました。原語のヘブライ語とギリシャ語から翻訳された「新世界訳」は,現在では18か国語の聖書全訳または部分訳を入手することができ,さらに12か国語に翻訳する作業が行なわれています。
ほとんどすべての人が聖書に接することができるようになった今,あなたは聖書をどのようにみなしておられますか。聖書の価値を認めておられるでしょうか。聖書を大切に扱い,読んでおられるでしょうか。
[3ページの図版のクレジット]
The Story of Mary Jones and Her Bibleという本より