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  • ギリシャ哲学 ― キリスト教の教えを豊かにしましたか
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エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1999
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ギリシャ哲学 ― キリスト教の教えを豊かにしましたか

「キリスト教は異教のギリシャやローマの文化と対立していたが,実際には古典時代の哲学を大いに吸収した」― アメリカーナ百科事典(英語)。

“キリスト教”思想に決定的な影響を及ぼした人物の中では,“聖”アウグスティヌスが押しも押されもしない地位を占めています。新ブリタニカ百科事典(英語)は,アウグスティヌスの「精神は,るつぼである。新約聖書の宗教がギリシャ哲学のプラトン的伝統と渾然一体になっている。またその精神によって,この融合の結果が,キリスト教世界の中世におけるローマ・カトリックとルネサンス期におけるプロテスタントに伝えられた」と述べています。

アウグスティヌスの遺産は実に長く存続しています。ギリシャ哲学がキリスト教世界にどれほど影響を及ぼしたかについて語ったダグラス・T・ホルデンは,こう述べました。「キリスト教神学は,ギリシャ哲学とあまりにも混ざり合ったため,9割までギリシャ思想を持ち,ほんの1割だけのキリスト教思想を持つ人々を育て上げた」。

学者の中には,そうした哲学的影響が揺らん期のキリスト教の質を向上させ,その教えを豊かにし,キリスト教をいっそう説得力のあるものにした,と固く信じている人もいます。そのとおりでしたか。ギリシャ哲学はいつごろ,またどのように影響を及ぼすようになりましたか。実際,ギリシャ哲学はキリスト教の教えを豊かにしましたか。それとも,キリスト教を堕落させましたか。

次のような風変わりな四つの用語を調べて,西暦前3世紀から西暦5世紀にかけて幾つかの物事がどのように進展したかをたどってみると啓発されます。その用語とは,(1)“ヘレニズム的ユダヤ教”,(2)“キリスト教的ヘレニズム”,(3)“ヘレニズム的キリスト教”,および(4)“キリスト教哲学”です。

“ヘレニズム的ユダヤ教”

1番目の“ヘレニズム的ユダヤ教”とは,確かに矛盾した言葉です。ヘブライ人の元の宗教は,まことの神エホバにより設けられたものであって,それを宗教上の誤った考えで汚してはなりませんでした。(申命記 12:32。箴言 30:5,6)ところが,宗教上の誤った慣行やそれにまつわる考え方,例えばエジプトやカナンやバビロニアに由来する影響などのために,腐敗が生じて崇拝の純粋さが失われるおそれが最初からありました。残念なことに,イスラエルは真の崇拝が甚だしく腐敗させられるのを許しました。―裁き人 2:11-13。

それから何世紀かたった後,西暦前4世紀に古代パレスチナがアレクサンドロス大王の支配するギリシャ帝国の一部になったとき,そうした腐敗はかつてないほどひどくなり,長く続く有害な遺産が残されました。アレクサンドロスはユダヤ人を募って自分の軍隊を補充しました。ユダヤ人はこの新しい征服者と接触した結果,宗教思想の面でも強い影響を受けました。ヘレニズム思想はユダヤ教の教育にも浸透しました。大祭司ヤソンはホメロス研究を奨励するために西暦前175年,エルサレムにギリシャ風の学院を設立したことで知られています。

興味深いことに,西暦前2世紀後半に物を書いた,あるサマリア人は,聖書歴史をヘレニズム的歴史文献として著わそうとしました。実際,「ユディト書」や「トビト書」といったユダヤ教の外典は,ギリシャの好色的な伝説にそれとなく言及しています。ギリシャ思想をユダヤ人の宗教や聖書と調和させようとしたユダヤ人の哲学者が少なからず登場しました。

この点で最も高く評価されている人物は,西暦1世紀のユダヤ人フィロンです。フィロンはプラトン(西暦前4世紀),ピタゴラス学派,ストア学派などの学説を援用しました。ユダヤ人はフィロンの考え方から大きな影響を受けました。ユダヤ人の著述家マックス・ディモントは,ギリシャ思想がユダヤ文化の知的な面に浸透したそのような状況を要約して次のように述べています。「プラトンの思想,アリストテレス論理学,およびユークリッド幾何学で思想を豊かにされたユダヤ人の学者は,新しい道具を用いてトーラーと取り組んだ。……そして,ユダヤ人特有の啓示にギリシャ的理念を加味するようになった」。

やがてローマ人は,ギリシャ帝国を併合し,エルサレムを手中に収めました。その結果,さらに重要な変化が起きるようになりました。西暦3世紀には,プラトンの考えを発展させ,統合しようとする思想家たちのさまざまな哲学的また宗教的学説が最終的に形を整え,今日まとめて新プラトン主義として知られるものになりました。この学派は背教したキリスト教に大きな影響を及ぼすことになりました。

“キリスト教的ヘレニズム”

西暦紀元の最初の5世紀中,一部の知識人は,ギリシャ哲学と啓示された聖書の真理との間に関連性があることを実証しようとしました。「キリスト教の歴史」(英語)という本はこう述べています。「クリスチャンの形而上学者たちは,西暦前の何十年かのギリシャ人を,神に関する知識を得ようと果敢に,しかしやみくもに努力する人間,あたかもイエスを古代アテネの稀薄な空気の中から魔法で呼び出し,異教徒の貧弱な頭をしぼって何とかしてキリスト教を考え出そうとする人間として描写しようとしていた」。

そうした思想家の先駆者だったプロティノス(西暦205-270年)は,主にプラトンのイデア論に基づいて一つの体系を展開しました。プロティノスは,体とは別個の魂という概念を導入したのです。E・W・ホプキンズ教授はプロティノスについて,「彼の神学は,キリスト教の見解を主唱する人たちに少なからぬ影響を与えた」と述べています。

“ヘレニズム的キリスト教”と“キリスト教哲学”

西暦2世紀以降,“クリスチャン”の思想家たちは意を決して異教徒の知識人を感服させようとしました。使徒パウロが,「聖なる事柄を汚すむだ話」や「誤って『知識』ととなえられているものによる反対論」に用心するようにと,はっきり述べていたにもかかわらず,それらの教師は周囲のヘレニズム文化の哲学的要素を自分たちの教えに取り込みました。(テモテ第一 6:20)フィロンは,聖書とプラトンの考え方を調和させることが可能かもしれないということを示す例になったようです。―ペテロ第二 1:16と比較してください。

もちろん,実際に犠牲になったのは聖書の真理でした。“クリスチャン”の教師たちは,キリスト教がギリシャ・ローマのヒューマニズムと調和していることを示そうとしました。アレクサンドリアのクレメンスやオリゲネス(西暦二,三世紀)は,新プラトン主義を,“キリスト教哲学”となった考え方の基盤にしました。ミラノの司教アンブロシウス(西暦339-397年)は,「最新のギリシャの学問を,キリスト教の学問と異教のそれとの別なく取り入れており,注目すべきことに,異教徒の新プラトン主義者プロティノスの……著作をも取り入れて」いました。そして,教育のあるローマ人に,古典に基づいて解釈したキリスト教を示そうとしました。アウグスティヌスもこの先例に倣いました。

それから1世紀たった後,シリア人の修道士と思われるディオニュシウス・アレオパギタ(偽ディオニュシウスとも呼ばれた)が,新プラトン主義と“キリスト教”神学とを合体させようとしました。ある百科事典によれば,ディオニュシウスの「著作により,中世のキリスト教教理や霊性は大方,紛れもない新プラトン主義の思潮を基盤とするものになり……こうして今日まで,キリスト教教理の宗教的性格や礼拝の関係する性格の様々な面が定められて」きました。『人間の伝統にしたがう哲学やむなしい欺き』に用心するようにと述べた使徒パウロの言葉が何と甚だしく侮られているのでしょう。―コロサイ 2:8。

腐敗させる汚染源

「クリスチャンのプラトン主義者たちは天啓を優先させ,プラトン主義の哲学は聖書の教えと教会の伝統とを理解し擁護するために用いることのできる最善の道具であるとみなした」と言われています。

プラトン自身は,不滅の魂が存在することを確信していました。意義深いことに,“キリスト教”神学に忍び込んだ,特に顕著な偽りの教えの一つは,魂は不滅であるという教えです。この教えを受け入れるならキリスト教をいっそう大衆に訴えるものにすることができるという理由があったにしても,それを受け入れることは決して正当化できるものではありません。使徒パウロはギリシャ文化のまさに中心地アテネで宣べ伝える業に携わった際,魂に関するプラトンの教理を教えるどころか,復活に関するキリスト教の教理を宣べ伝えました。話に耳を傾けたギリシャ人の中には,パウロの述べることを受け入れ難く感じる人が大勢いたのに,パウロはそうしたのです。―使徒 17:22-32。

ギリシャ哲学とは逆に,魂とは人が持っているものではなく,人そのものであることを聖書ははっきり示しています。(創世記 2:7)人が死ぬと,魂は存在しなくなります。(エゼキエル 18:4)伝道の書 9章5節はこう述べています。「生きている者は自分が死ぬことを知っている。しかし,死んだ者には何の意識もなく,彼らはもはや報いを受けることもない。なぜなら,彼らの記憶は忘れ去られたからである」。聖書は,魂は不滅であるという教理を説いていません。

人を欺くもう一つの教えは,人間となる以前のイエスの立場に関するもの,つまりイエスはみ父と同等であるという考えに関する教えでした。「最初の3世紀間の教会」(英語)という本は,「三位一体の教理……はユダヤ人の聖書やクリスチャンの聖書とは全く異質の源に由来するもので(あった)」と説明しています。その異質の源とは何でしたか。その教理は,「プラトン哲学を奉じた教父たちの手で育てられ,キリスト教に接ぎ木された」のです。

実際,時がたち,教父たちが新プラトン主義の影響を徐々に受けるようになるにつれて,三位一体論者は地歩を固めてゆき,やがて3世紀の新プラトン主義哲学により,相いれない事柄を調和させる,つまり三者から成る神をただひとりの神であるかのように思わせることができたようです。そして哲学的論法を利用し,何と神は三つの位格でありながら,ただひとりの神であり,それぞれの個体性を保持できると主張したのです。

しかし聖書の真理から見て明らかなとおり,エホバだけが全能の神であられ,イエス・キリストは神より位の低い方で,創造されたみ子であり,聖霊は神の活動する力です。(申命記 6:4。イザヤ 45:5。使徒 2:4。コロサイ 1:15。啓示 3:14)三位一体の教理は唯一まことの神を辱め,人々を混乱させ,神から離れさせています。人々は神を理解することができないためです。

キリスト教思想に対する新プラトン主義の悪影響の犠牲になっているもう一つの事柄は,聖書に基づく千年期に関する希望です。(啓示 20:4-6)オリゲネスは千年期説信奉者を断罪したことで知られています。キリストが千年間支配するという,確かな根拠のある聖書のこの教理にどうしてそれほど反対したのでしょうか。カトリック百科事典は,「自分の教理の根拠となっていた新プラトン主義からすれば……[オリゲネス]は千年期説信奉者に同調できなかった」と答えています。

真理

以上,物事が進展した幾つかの過程について述べましたが,それはいずれも真理とは全く無関係です。ここで言う真理とは,聖書に見られるキリスト教の教え全体のことです。(コリント第二 4:2。テトス 1:1,14。ヨハネ第二 1-4)聖書は真理の唯一無二の源なのです。―ヨハネ 17:17。テモテ第二 3:16。

しかし,エホバの敵,そして真理や人類の,また永遠の命の敵 ―「人殺し」で「偽りの父」である悪魔サタン ― は,そうした真理を不純なものにするため,様々なよこしまな方法を用いてきました。(ヨハネ 8:44。コリント第二 11:3と比較してください。)サタンが用いてきた極めて強力な道具の一つは,キリスト教の教えの主旨や本質を変えようとして利用してきた,異教のギリシャ哲学者たちの教えです。実際,それらの教えはサタン自身の考えを反映するものです。

こうして,キリスト教の教えとギリシャ哲学は不自然な仕方で融合させられましたが,そのねらいは,聖書の真理を稀薄なものにし,真理を求める柔和で誠実な人たちにとって真理の説得力と魅力を弱めさせることにあります。(コリント第一 3:1,2,19,20)また,そのために,真理と虚偽との間の境界線もはっきり見えないようにされ,極めて明快な聖書の教理はともすれば汚されてしまいます。

今日,会衆の頭であるイエス・キリストの指導のもとで,真のキリスト教の教えは回復されてきました。また,真理を求める誠実な人は,真のクリスチャン会衆をその実によって大変容易に見分けることができます。(マタイ 7:16,20)エホバの証人は,そのような人々が純粋の真理の水を見いだし,わたしたちのみ父エホバが提供しておられる永遠の命という相続財産をしっかりとらえることができるよう喜んで援助したいと願っています。―ヨハネ 4:14。テモテ第一 6:19。

[11ページの図版]

アウグスティヌス

[10ページの写真のクレジット]

Greek text: From the book Ancient Greek Writers: Plato's Phaedo, 1957, Ioannis N. Zacharopoulos, Athens; Plato: Musei Capitolini, Roma

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