王国会館をどう見ますか
かわき切った地にあるオアシスのように，それぞれの土地にあって，王国会館は霊的に気分をさわやかにする場所としての役割を果たしています。あらゆる階層の人々がエホバについて学ぶため，この建物にやって来ます。彼らはそこを，わたしたちの神エホバに全面的に献げられた「家」とみなしているのです。
あなたご自身も王国会館をそのようにみなしておられますか。集会や，兄弟姉妹たちとそこで交わること，そこでのいろいろな活動を援助することを楽しみにしておられますか。
王国会館の手入れをする点でのあなたの役割
王国会館は週に数回使用されますから，当然のこととして掃除や維持が必要です。あなたはそこをきちんと清潔に保つよう援助するという特権のあることを認識しておられますか。王国会館はその使用や必要度に応じて，一定の予定に従って掃除されるべきです。全員が，子供たちでさえ，あずかることができるでしょう。このようにすればすべての人は，王国会館の維持に伴う責任について学び，それをいっそう良く認識するでしょう。清潔できちんとした王国会館に足を踏み入れること，またそのような王国会館に新しい人々を招待することは良いことではありませんか。
普通，掃除は書籍研究の群れごとに取り決められます。長老たちは群れを毎週交代制にし，書籍研究司会者か群れの中の他の兄弟の指示のもとに掃除が行なわれるよう取り決めたいと思うかもしれません。掃除の際行なわれるべき事柄のリストを掲示できるでしょう。掃除を行なうとき使えるよう，必要品や備品が整えられるべきです。一人の奉仕のしもべが，必要品の注文や維持に要する事柄の確認など，王国会館の維持に関する全般的な責任を取るよう割り当てられるかもしれません。しかし，会館の世話に全員があずかるなら，数人だけの人に重荷がかかることはないでしょう。
王国会館の全体的な外観も調べるべきです。内側または外側に新しく塗装する必要がありますか。修繕の必要なところがありますか。庭や駐車場は注意を必要としているでしょうか。芝生や植え込みがあるなら定期的な手入れが必要です。会衆の予算の範囲内で会館の内部をより魅力的なものにする方法がありますか。応々にして，比較的費用をかけずにちょっと手を加えるだけで，装飾をいっそう感じのよいものにすることができるものです。清潔な，実際的な仕方で調度の整った，またふさわしく維持されている集会の場所は，エホバとその民をよく反映するものです。
すべての人が備品を壊したり家具に傷付けないよう注意すれば，維持費は最小限に保たれます。また，じゅうたんや床の上にガムやあめなどを落としたり，赤ちゃんのミルクをこぼすこと，会館に入るのにはき物を拭うのを怠ることなどはすべて床の手入れを大変難しくするものであることはご存じでしょう。壁やいすのあるものは簡単にしみが付いたり壊れたりします。不注意のために見苦しい目ざわりなところができ，それを修理するために多くの時間や費用がかかるかもしれません。各人が少しの時間を取って注意深くするなら，すべての人に感謝されるでしょう。
王国会館で若い人たちの姿は見ていて喜ばしいものです。彼らは，両親と相並んでエホバからの教訓を受け，どうすれば効果的なエホバの若い賛美者になれるかを学ぶべきです。しかし，王国会館にいるということは，家にいるとか庭にいるといったこととはちがいます。会館にいる間，子供たちから目を離さず彼らを制御する責任は親にあります。集会の前または後に，不必要に手洗いに行ったり遊びに行ったりすることは思いとどまらせるべきでしょう。無規律な子供が『こころままになしおかれ』るなら，恥をもたらします。（箴 29:15）長老たちがこうした事柄についてあなたに話しかける時は，それに答え応じ，感謝を示してください。彼らは王国会館を，その地域社会でエホバの清い崇拝を十分に代表するものとして保つことに関心を抱いているからです。
拡大に備えて計画する
エホバの証人の集会への出席は着実に増えているので，新しい王国会館を取り決めることについて考慮しなければならない時が訪れるのは避けられないでしょう。既に多くの会館はあふれるほどいっぱいになっています。このことは，小さな王国会館を計画したために，それが完成するころには手狭になっているといった結果になるような，短期的な計画を避けることの必要を強調するものです。また，新しい王国会館を得る可能性を探り，将来の拡大に備えて基礎を置くまでにあまりに長く待ち過ぎるという危険もあります。わたしたちは前を見なければなりません。わたしたちは終わりの時が相当経過しており，「大患難」が近いことを知ってはいますが，どれほど近いかを知っているわけではありませんから，この体制の終わりが到来する前途に向かって全速力で前進するよう計画すべきです。
場合によって存在する状況は異なり，当面の必要や期待されている事柄は様々でしょう。借りる方がもっと好都合であることに気付く場合もあるでしょう。しかしある国においては，諸会衆は土地を買い，自分たちの必要にかなった王国会館を建てるのが実際的であることを知った所もあります。
だれが計画を進めますか。長老たちすべてがこの責任を感じるべきです。会合する時，この事柄は彼らの定例の討議項目とされるべきです。わたしたちは予期される拡大に対してどのように備えをしているでしょうか。王国会館は既に二，三の会衆によって使用されているかもしれません。新しい会館は必要でしょうか。いつ？ 一つの会衆が会館を持ち，新しい会館を得るのはその会館に集まる他の一つまたは二つの会衆の問題であるとみなすようなことがあってはなりません。これは狭い，近視眼的な見方です。むしろ，すべての人の関心は，今日エホバがご自分の組織に対する祝福としてもたらしてくださる増加の世話をするため，わたしたちすべては何を行なえるだろうか，ということであるべきです。
長老や，彼らから指名された他の人びとは建てるための土地を探すことに率先しますが，すべての人はその可能性を念頭に置くことができます。ふさわしい土地が寄付されることもあります。明らかに寄付とか買うことによって土地を入手する以上のことが関係しています。その所在地にはどんなタイプの隣人がいるでしょうか。ある一帯の土地は安いかもしれません。しかしそこに会館を建てることは会衆の最善の益になりますか。都市計画法も考慮に入れねばならず，時にはその土地に何を建てるかに関して，土地に対する制限が課されていることもあります。駐車方法については何が要求されていますか。給排水その他の設備についてはどうですか。会衆は，その土地に，必要とされる型とサイズの王国会館を建てることが可能であり，その土地の明確な権利証書を得ることが可能であることを確かめるべきです。
ある場合，既に存在している建物を買い取り，建築法規に従いながら会衆の必要に合うようそれを改造するのが実際的であることを見いだした会衆もあります。しかし，そうした建物やその中の備品を徹底的に調べることを忘れないでください。
王国会館の資金をまかなう
会衆が王国会館を入手する可能性について論じている時，あなた個人はその企画に対して寄付をすることや，当面必要としない資金を貸し付けることが可能であるとお気付きになるかもしれません。加えて，エホバの祝福によって毎月どれほどの額を定期的に寄付できるか，心に決めたいと思われるかもしれません。これは全く自発的なもので十分の一税や割当てではありませんが，長老たちは計画をつくるための助けとして，交わっている人々からこの点に関する情報を求めるかもしれません。金額を記した無記名の紙片が集まれば，この評価を下すのに十分でしょう。
新しい王国会館を建てる
建築の計画にあたって注意深い考慮が払われるべきです。設計図を書き，図面の認可を得るために国または市の取締当局と連絡する点で建築家のサービスを利用するのがしばしば得策です。ある土地ではそのことが法によって要求されているかもしれません。他の会館を視察したり，できればその設計図を調べることは大変有益な結果になるかもしれません。兄弟姉妹から長老たちに提案がなされるかもしれず，決定を下すにあたって長老たちが会衆内外の，不動産の購入や建設に経験のある兄弟たちに相談するのは賢明なことです。
計画に要するおよその費用は，会衆の望みと余裕に従った建物のタイプによって推定できます。お金を賢明に使うことを常に念頭におくべきです。しかし経済的な建物は，耐久性のあるものにするようもう少しの費用が払われた場合や最初から十分な大きさにしているか，もう少し良い備品を入手した場合に比べて，長い目で見た場合，維持費が高くつくかもしれません。同時に会衆に無理な経済的負担をかけないことも考慮されるべきです。わたしたちは王国会館が魅力的であるよう望みます。しかし，毎週毎週確実にまた十分に役を果たさねばならない設備にけちけちしながら，会館の方を美しくするというのは実際的な知恵とは言えません。たとえば，出席者が集会から十分に益を得るためには，良い照明，音響設備，暖房，換気，座席の設備は肝要です。
長老たちは建設のわざを監督するのに建設委員を選び，一人を調整司会者に指名するのが良いと結論することも多いでしょう。できれば少しでも建築や事業に何らかの経験を持つ兄弟たちをこの委員に選ぶのは大切です。設計および会衆の意向に調和した一般的な決定事項は建設委員がその日その日に即して行なうという方針で行けます。しかし，長老の一団との良い協力がなければならず，建設委員は一団に対して責任を負い，彼らに相談すべきです。長老たちは何であれ大きな変更が必要と思われたり，異常な進展に気付いたならそのことに関して決定を下すでしょう。建設が進むにつれて変動する物価や予期しない問題に直面するなどして当初の見積りに変更の生じることはあり得ることです。
二つ以上の会衆が，協力して土地を購入し，会館を建てるかあるいは既設の建物を改造するような場合，行なわれる企画に関し長老全員による徹底的な討議がなされるべきであり，建物の形式，およその費用，資金の調達などに関して合意が達成されるべきです。関係する諸会衆はその長老団を通して何が勧められているかをはっきりと知るべきであり，それにより各会衆は確実な情報に基づいて最終的な決定を下せるでしょう。企画に協力するとの全体的な合意および基本的な理解事項は関係諸会衆による承認の後，書面に記され，長老全員によって署名されるべきです。長老団と関係する会衆の間の良い協力の必要は強調してもし過ぎることはありません。
長老団は，建設のわざを全部兄弟たちによって行なえると決定するかもしれず，状況によって建設会社に請け負わせるのが良いと判断される場合もあるでしょう。あるいは特定の取付け工事を下請け業者にさせて，ある仕事は兄弟たちで行なえるかもしれません。あなたは大工，タイル工，配管その他の職が上手にできますか。もしそうでしたらたぶん，あなたは大いに助けになるでしょう。でも自発奉仕をするのに巧者な働き手でなければならないという必要はありません。整地作業や資材運び，何かを取り付けること，掃除などしなければならない仕事はたくさんあるでしょう。そして姉妹たちも軽い作業や働く人たちの食事を備えるなどの奉仕ができます。会衆内また隣り合う会衆の人々の自発的な努力を十分に生かすことは，エホバの民の間からすぐれた職人たちが用いられた荒野での幕屋の建造やソロモンの神殿の建設の例に倣うものです。―出エジプト 35:34，35。歴代下 2:11-16。
宣べ伝えるわざが不必要に妨げられないために，王国会館をできるだけ早く完成させるのは望ましいことです。長老団は野外での定期的な奉仕の機会の明確な取り決めが必ずなされるようにすべきです。建設のわざの点でできることが限られている人たちの中には，その期間，野外奉仕を増し加えられることに気付く人もいることでしょう。もちろんのことですが，だれも王国会館のことで熱心に働くあまり自分の家族がなおざりにされることのないよう注意を働かせるべきです。家族研究，集会，野外奉仕が，たとえ建設の期間中ある程度限られるにしても，含められるよう良い予定表を持つならこの点で助けになるでしょう。計画を完成させるためには長時間にわたる激しい労働が必要になるかもしれません。しかし，エホバは魂をこめてご自分に仕える人々を祝福されます。―コロサイ 3:23，24。
王国会館の建築で共に働く時，神の霊の実，特に愛，辛抱強さ，柔和，自制を表わす多くの機会があるでしょう。（ガラテア 5:22，23）あなたがこうすべきであると思っている通りに物事が運ばれるわけではない十分の理由が普通あるものです。このことを思いに留め，物事をするには一つ以上の方法があることを覚えていれば，わざを監督するよう任命された人々と協力してゆくのに助けとなるでしょう。
日本では諸外国に比べ土地が大変高いので兄弟たちは新しい土地を買って王国会館を建てる場合よりも，既在の建物を借りて改装して王国会館としたり，ビルの大きなホールを借りて王国会館としている所が多いようです。しかし上記どちらの場合でも王国会館を手に入れるためには相当の費用が要るので，相当長期間そこを使用できるよう何らかの法的な手続きを踏んで，兄弟たちの権利を確保しておくのは大切です。建物を借り，改修や内装に相当の時間，労力そして費用をつぎ込んだのに短期間の使用でそれを所有者にすぐ返さねばならないというのでは兄弟たちの益とはなりません。例え献身した兄弟が土地や建物を提供してくれ，会衆がその土地に王国会館を建てたり，兄弟の持つ建物に手を加えて王国会館とするような場合でも，何か口約束のようなものでなく，何らかの法的な手続きをして会衆の権利を確保することは大切です。だれも将来を予測したりすることはできないからです。きちんとした合法的な約束をしておかなかったため，後で問題が生じた所も少なくありません。
建物が完成したなら，献堂式のプログラムを取り決めるのはふさわしいことです。長老団は適当な事柄を決めることができます。この催しのために週末が選ばれるかもしれません。多くの会衆では2，3時間の「開館披露」を取り決め，その時，地域社会の人々は来て新しい建物を見学し，よく知ることができます。その目的のための招待状を印刷するか，プログラムを組むかは自由です。協会ではそうしたプログラムは印刷しないので，プログラムはその土地で準備されるでしょう。献堂式の話に先立ち，王国会館の建設や会衆の歴史に関する2，3の経験を聞くよう取り決める会衆もあります。献堂式のプログラムが土曜日に行なわれるなら，日曜日に，「ものみの塔」研究と共に特別な公開講演を取り決められるかもしれません。
王国会館の運営
王国会館を所有するのはだれですか。実際のところ，どの会衆も，王国会館を「所有している」と感じるべきではありません。それはエホバの崇拝に献げられているのです。建物を建てる，または借りる会衆は，会館に関連した責任を自分の管理のもとに委ねられているのであり，長老団は王国の関心事に最大の便宜がはかられるよう，王国会館の運営を賢明に取り運ぶ責任があるのです。
不動産を購入する場合には，その前に会衆が宗教法人を結成することが強く勧められています。もし会衆を宗教法人として都道府県に正しく登録すれば，宗教法人が宗教目的のために用いる不動産に関しては税法上の特典があり，不動産を登記したり，不動産を所有することに関連して税金の免除を受けることができます。会衆が宗教法人を組織する場合「エホバの証人……会衆」として単独の宗教法人を組織すべきであり，ものみの塔聖書冊子協会の名称を用いたり，ものみの塔聖書冊子協会に包括された宗教法人団体とすべきではありません。いくつかの会衆は実際に宗教法人を組織し，王国会館を実際に所有しているので，宗教法人を設立することに関してお尋ねがあれば喜んで情報を提供できます。法人を結成することを決定するなら，法人の定款に従って，交わっている円熟した兄弟たちの中から役員を選ぶことができるでしょう。法人の役員が王国会館を管理することはなく，長老たちが監督の責任を持ちます。移転，死亡などにより必要が生じた時以外，年々役員を変える必要はありません。
施設をフルに使い，出費を低く保つため，三つの会衆が同じ王国会館を使用している例がたくさんあります。
どうすればこうした事柄を全員に対する愛ある配慮をもって決められるでしょうか。二つ以上の会衆が会館を使用しているあるところでは，会衆は，関係する会衆の全部の長老たちが会合して王国会館の事柄を決定するのが最善であることを見いだしています。このようにすれば，連絡や説明の不足によって生じる問題を最小限に抑えられ，エホバへの奉仕に献げられた建物にみな共通に関与し，その管理を良く行なう責任も共通のものとなるでしょう。この取り決めの下では，一つの会衆が支配して他の会衆が「借家人」に過ぎなくなるということはありません。長老たちは異動することがあり，後続の長老たちが口頭の了解事項を何も知らないこともあり得るので，そうした取り決めは書面にして，その写しを各会衆のファイルに入れておくのは良いことです。
王国会館に集まる会衆が一つだけである場合は，長老たちは集会の時間として最善と思われるところを考慮し，その推薦を会衆に提出して討議を行ない，できるだけ大勢の都合にかなうようにして，可能な変更を加え，（献身した奉仕者たちによる多数決で）最終的な決定をします。しかし二つ以上の会衆が会館に集まる場合は，上に述べた事柄に従い，全会衆の長老たちは集まって集会時間の希望を話し合い，関係している全部の人のために最善の取り決めをつくりたいと思うかもしれません。集会の時間の点で選択の余地がある場合は，その問題は長老たちだけにではなく，各会衆の決定にかかっていることはもちろんです。
ある場合，集会の時間を一年ごとぐらいに交代する，もしくはそうすることを申し出るのは望ましいと気付いた会衆もあります。十分な意志の伝達と協力は，一つの会衆がある点でいつも得をしているといった感情をかもし出すこともなく，相互の理解と満足に寄与します。また巡回監督の訪問，結婚式などに行なわれる集会についても，良い協力は必要なものです。
同じく，長老すべては最初に集まって，会館の日々の運営や維持のために知識を持つ長老たちから成る委員を決めても良いでしょう。その結果，全般的な運営や維持，それらに付随する請求書の支払いに関係した通常の問題を決めるのに，長老団もしくは（もし二つ以上年会衆があれば）全部の長老団全体がひんぱんに集まることを避けられるでしょう。特別の承認なしに平常の運営に対してどれほどの額まで使えるかについての一線のような方針を定めることができるでしょう。
この取り決めの下で，難しい問題や予期しない大きな支出があれば，それは長老たちの群れ全体が決定するよう知らせることができるでしょう。長老たちが大きな支出をしても良いと感じたなら，彼らの共同の推薦は事情の説明と予想される費用も含めて関係諸会衆に提出できます。次いで会衆は最終的な決定を行なえます。
王国会館はわたしたちが集まり合うことを可能にするエホバの備えの一つです。王国会館で取り決められている幸福で報いの多い活動はエホバの霊的パラダイスの備えの一部です。それらの備えはすべての人があずかるためにあります。しかし，それらを当たり前のものとみなすのは賢明ではありません。わたしたちはそれらを感謝し，王国会館の世話をよく心がけるべきです。ダビデ王は，『人われに向かひて いざエホバのいへにゆかんといへるとき我よろこべり』と述べました。（詩 122:1）ダビデや古代の忠実な他のしもべたちがエホバへの真の崇拝に献げられた建物の建設や使用に対して示した見方にわたしたちすべても倣いましょう。