脚注
a ある人々の言うところによれば,この預言は二人の「油そそがれた者』のことを述べています。その人々の考えでは,ひとりは7週(49年)後に,もう一人はさらに62週(434年)後に現われます。しかしこれは聖句の述べるところでも,西暦一世紀のユダヤ人がこの事柄について抱いていた見方でもありません。例えばギリシャ語七十人訳は,ヘブライ語本文に「七」および「六十二」「週年」とある二つの期間を結びつけてひとつにしています。ヘブライ語の述べるところをこのように見れば,ただひとりのメシアが69週(483年)後に現われることになります。
西暦紀元初めのユダヤ人がこの預言に対して抱いた見解につき,十七世紀のユダヤ教律法博士メナセ・ベン・イスラエルはその著デ・テルミノ・ビタエ[「生命の終わりについて」]の中で次のように書いています。「ある者たちはこれらの70週を次の意味にとるのを常とした。すなわちその期間の終わりにメシアが現われ,彼らを全世界の支配者にするということである。事実,当時ローマに対して武装蜂起した者たちは皆この考えを抱いていた」。