世界展望
「知識が,全くお話にならないほど不足している」
● 「聖書に関する知識が,全くお話にならないほど不足している」という言い方をしているのは,世論調査にかけては世界でも有名なジョージ・ギャラップ2世である。そして,今こそ「警鐘を鳴らすべき時だ」と述べてから,「調査の対象となった人々のうち10人中8人までは自分をクリスチャンと考えている」が,「イエス・キリストが山上の垂訓を行なった……ことを知っていたのは10人中4人にすぎなかった」と続けている。このギャラップの報告について,トロント・スター紙は論評を加え,「米国民の40%は『教会に属していない』。それは,彼らが[特殊な祭日以外には]過去6か月間教会に行っていないことを意味する」と述べている。ギャラップは,1週間にわたって「教会の発展」について論じ合ったアメリカの第7回東方正教会全米会議の集会に言及した。この会議では,聖書の知識は強調されなかった模様である。
大規模な再定住
● インドネシアは,昨年の終わりまでに,同国の1万3,700を数える島々の幾つかに250万人のジャワ島人を再定住させる計画を進めた。なぜだろうか。米国ルイジアナ州ほどの広さしかないジャワ島に9,100万人が住んでいるからである。そのように狭い土地でこれほど大勢の人を養うのは大変な仕事である。ジャワ島人の大半は農業を営んでいるが,農地は非常に狭く,メートルの単位で測定されるほどだという。ところが,大部分の農民たちは土地を所有しておらず,自らの必要を十分に賄う分もない。この移住計画は,「すべての人を当惑させるに違いない」と,ウォール・ストリート・ジャーナル紙は驚いている。政府は,「一区画の土地,木造の小屋1軒,1年分の食糧,2年分の種,一式の菜園用具,キッチンポット,かや」を付与すると約束している。インドネシアは,1988年までにあと400万人を移住させる計画である。
宇宙飛行士の問題
● ソ連の宇宙飛行士バレンチン・レベデフが7か月にわたる飛行期間中に記した日記は,地球を3,300回まわる生活がどんなものかを明らかにした。共産党の機関紙プラウダによれば,同飛行士はこのように書いている。「自分は生き長らえることができるのか,仲間と一緒にこんなに長時間働くことができるのか,心の平静と自制心を保つことができるのか,自分でも自信がない」。そのあと日記は,この飛行士の最も対処しにくい問題が「地上との交信を常に冷静に行なうこと」であったことを明らかにしている。「密室の中にいることから生ずる疲労」のためである。よく眠れないこと,あるいは全く眠れないことがたまにあり,それとなくではあるが,食物について,また清潔さを保ちにくいことについて不平を述べ始めている。この日記によると,5か月後に心配が増えたことが分かる。「私は鼻歌を歌い,宇宙ステーションの中を行きつ戻りつしている。地球に帰る時が本当に来るのだろうかと考えるようになった」。ホームシックも深刻な問題となった。
ほほえみの価値
● 「喜びに満ちた心は顔色をよくする」という聖書の箴言は,科学的な研究によっても確証されている。(箴言 15:13)「顔の筋肉を収縮させて,喜びなどの感情に独得の表情をするだけで,普通にはそうした感情と結びついている神経系に影響を及ぼし得ることを研究者たちは発見した」。主任研究員であるエックマン博士は,この発見は非常に驚くべきものであると述べている。同博士は,顔の筋肉の動きは,心拍や呼吸,および他の重要な不随意な機能をつかさどる神経系と結びついていると考えている。その記事が明らかにしたところによると,俳優は,「感情を表に出して演じると身体に影響がある」ことを知っているという。
カナン人の要塞が発見される
● ロサンゼルス・タイムズ紙の伝えるところによると,イスラエル人の考古学者たちは「ダビデ王が征服する前のカナン人の時代にエルサレムの主要な公共建造物として使われた巨大な石造りの要塞の土台」と思われるものを発見した。エルサレムの発掘を担当しているヘブライ大学の考古学者イガル・シロ教授は,カナン人の要塞の土台の上にダビデ王が自分の城塞を築いたと主張する。その要塞は210平方㍍以上の面積を占めていたと同博士は説明している。その遺跡は「現在ではダビデの町として知られる」場所で発見されたが,そこはソロモンが神殿を建てた場所の真南に当たり,オスマントルコが建造した現在の旧市街の壁の外側に位置している。
上品な服装は威厳を増し加える
● ブラジルの下院における威厳と卓越性の雰囲気を保つため,最近リカルド・イツァール副議長は,背広とネクタイをきちんと着用するよう男子議員全員に要求する一つの決議を提出した。そのような服装をしない人々は,議会にとどまることを許されない。なぜだろうか。「国会議員が公の場に出る時の外観は,自尊心を有することを示す謹厳さや行儀作法の標準にかなったものであるべきだ」と同副議長は語った。そしてさらに付け加えて,国会活動は,議事堂の厳粛な雰囲気にかなった服を用いることを代議士に義務づける,と述べた。イツァール氏は,自分の同僚の中に,労働者に見せようとしてブルージーンズやTシャツを着て議会に現われる人がいる一方,以前筋肉労働者だった人々がきちんとした服装で来るという事実を念頭に置いていたようである。新聞の論説委員たちはすぐさま,政治家が行儀作法を守ることは感謝されるが,倫理的な規準に従うならもっと感謝される,と指摘した。
多量の犠牲
● 回教徒は9月17日に,アブラハムが自分の息子の代わりに雄羊を犠牲にしたことを祝った。ロンドンのエコノミスト誌の報告では,「200万のメッカ巡礼者たちのために,オーストラリア,ブルガリア,トルコ,アルゼンチン,ウルグアイから空輸された120万頭の羊が[殺されることになっていた]」。この肉は全部どうなってしまうのだろうか。その報告は,「大体は焼かれて埋められるが,それを活用する方法を見いだすための努力も払われている」と述べている。今年は約10万頭が犠牲にされ,そこから1万7,000㌧の肉が取れたが,それらは冷凍されて,スーダン,パキスタン,ジブチなどの難民収容所に空輸されることになっていた。来年は肉を液体窒素で冷凍にしよう,という提案もあった。
ポルノ ―「解放をもたらす力」?
● 「当時[10ないし15年前],きわめて知的な人々は,ポルノは性的に人々に解放をもたらす力になると論じた[が],むしろそれは,苦々しい,暴力的で陰険な怒りに変わった」と,トロント・スター紙は伝えている。この記事によれば,いったんポルノが自由に手に入るようになれば,「消費者の関心はすぐに尽きてしまう」というのが以前の考えだった。ところが,ポルノに対する欲求は「飽くことを知らない」ものであることが分かり,それを望む人々も増えていった。20年前の人々は,ポルノに対する自由な態度がどんな結果をもたらすか,「最悪の悪夢の中でも想像だにしなかった」と,スター紙は評している。
仕事をするサル
● 『タイ国はサルのための学校を開き,他の国で農作業を行なわせるために卒業生を送り出すかもしれない』とUPI通信は伝えている。競争する40匹のサルが「超人的な素早さで」ココナツの木を登るのを見たスラート・タニ地区の知事,ニフォンド・ブンヤパタロは,「サルは果物のすばらしい摘み手になる」と断言する。最も能力のあるサルで,30秒に8個のココナツを摘んだ。鼻高々のその所有者は,そのサルを1,300㌦(約31万2,000円)で買いたいという申し出を拒んだ。調子がよい日にはそのサルは,「1,400個のココナツを摘むことができる」からである。同知事は,卒業証書を授与することと,訓練を受けたサルをマレーシア,シンガポール,フィリピンなどの国々に派遣することを提案した。
ココナツの木から取れる木材
● ジャマイカ島で,木材としての価値を持つココナツの木が病気にかかって枯れているのが見つかった。幾千本というココナツの木が,密度においてはマホガニーに,強さにおいては杉に勝るとも劣らないと言われる木材に変えられている。ココナツから取れた木材は,家具の製作に,手芸用に,また床や壁を張るのに用いることができる。既にココナツの木材を用いているフィドコ社の社長ガイ・シメスは,それは「無駄にされている資産である」と言っている。致死的な「黄化病」によって枯れてしまう樹木を活用すれば,経済的に助かるだけではなく,枯木を片づけることにもなる。
果断な犬
● 73歳になるブリトン・ブライアン・ミラーは,階段から転げ落ちた。この老人の家は,助けてくれる人たちのいる所から16㌔離れた山の中にあった。ミラーは「レディー(コリー犬)が唯一の希望だった」と回想している。意識を失った主人の目を覚ますことができなかったレディーは,一番近い家まで16㌔走って,夜中にそこに着き,その隣人の言葉によれば,「ひどくほえ続けた」。「外へ出てみると,レディーが私の上着のそでを口でくわえ,それを引っ張り始めた。何かがあったに違いないと思った」とその家の人は言った。それでその隣人は犬を連れてミラーの住む山小屋へ車を走らせ,ミラーをロンドンの病院に運んで命を助けたが,「危ないところだった」と医師たちは言った。
決して忘れられない地震
● 1983年9月1日に,推定1,600万人の人々が,地震訓練に参加した。訓練は東京とその近くの九つの県で行なわれたが,訓練に際しては交通機関が止まり,学童は身を守るため机の下にもぐり,それから校庭に避難した。なぜこれほど大規模な訓練が行なわれたのだろうか。1923年9月1日に起きた関東大震災60周年を記念するためであった。この地震に見舞われたのは東京および近隣の地域で,14万2,800人の人命が奪われ,東京は火の海と化した。地震学者たちは,「また大地震の起きる可能性が大いにある」と警告している。
伝書バトをめぐる理論
● 伝書バトがどのように自分の家に帰る道を見いだすのかということは長い間議論の的だった。ドイツ連邦共和国のジービーゼンにあるマックス・プランク動物行動学協会の4年間にわたる研究によると,最新の理論は「12年前に初めて提唱された,説得力にとぼしかった理論の正しさを確証するかに見える。つまり,鳥は嗅覚を用いて家に帰る道を見いだすという理論である」。その報告によれば,最初の実験で,「嗅覚細胞の機能を麻酔剤で抑えたり,鼻に覆いを付けたりした鳥は遠い距離だと家に帰る道を見いだすことができなかったという事実」が確証されている。
問題はヤギだった
● 「アイスクリームを運んでいた2㌧車のトラックが,215フィート[66㍍]も丘を下り,ヒッコリーの木に引っ掛かった。車を動かしたのはヤギだった」と,ニューヨークのデーリー・ニューズ紙が伝えている。この運転手は注文を取るために車を止め,ドアを開けたままにしておいた。そのため好奇心の強いヤギが車の中に飛び込み,偶然にブレーキがはずれてトラックが動き出した。トラックの方の被害は5,000㌦(約120万円)だったが,ヤギは無傷だった。
ピストルの安全性?
● 「1981年にFBI(米連邦捜査局)が記録した2万53件の殺人事件のうち,半数はピストルによるものだった」と,反暴力全米連合の最高責任者であるベツィー・ゴットバウムがウォール・ストリート・ジャーナル紙への寄稿文の中で述べている。同女史はこう付け加えた。「55%までが,被害者の家族,友人,知人などによって行なわれた。米国では毎年ピストルによる偶発的な死が約800件あり,1日につき子供一人が死んでいる。毎年推定6,600人のアメリカ人がピストルで自殺をしている」。小火器法があるワシントン特別区では,家庭内の殺人事件は半数に減ったと言われるが,近くのボルチモア市では,なお事件が増え続けている。ゴットバウムは,護身用にピストルを使おうとする人は,「5倍も重い傷を負いやすい」こと,また強盗に抵抗する人々は,「抵抗しない人よりも8倍も殺害されやすい」ことを指摘した。