あなたは神のみ名に対してどんな態度を取りますか
あなたは神が存在しておられること,また身の回りに見られる数限りない美しい物を備えてくださった,つまり創造してくださったことを,すでに心の奥底で確信しておられるに違いありません。ところが,神に対して本当に深い敬意を抱いているのに,それでもなお,神を身近に感じてはいないかもしれません。神は自分にとって,縁遠い,深遠な存在と思えるのです。
しかし,神を知って,神を本当に愛するようになり,その方を宇宙的な家族の父と認め,その大きな家族の一員になることは,何にも増して重要な,急を要する事柄です。一個の人間としての見地からすれば,愛ある父としての神を知り,敬い,従うようになることは生死にかかわる問題です。また,全地球的な見地からすれば,今日の人類の置かれている恐るべき混乱状態に終止符を打つ唯一の解決策は,この世界的な家族を作り上げることにあるのです。神の預言は,この古い事物の体制が全地球的な大変動へと向かっており,神と隣人を本当に愛している者しかその大変動を生き残れない,ということを極めて明確にしています。(詩 37:10,11,28,29)しかし,こうお尋ねになるかもしれません。……
「どうしたら神を本当に知ることができるか」
学問のある分野で研究を行なっていて,その分野の著名な教師を深く尊敬するようになったとしましょう。そして,その教師をもっとよく知り,もっと多くを学びたいと思っているのに,その教師は遠く離れた国に住んでいるとしましょう。そのような場合にどうしますか。その人の書いた文献すべて,またその人について書かれている事柄は何でも読もうとするのではありませんか。その人物とその教えについてすでによく知っている他の学生と話し合うのではありませんか。その後,その人に手紙を書き,個人的な難しい質問や問題を尋ねたところ,非常に満足のゆく答えが与えられたとします。この優れた教師に対する賞賛の念と敬意は大いに深まり,その助けを得た結果,その教師を慕うようになるでしょう。
最も偉大な教師であられるエホバについても,それと同じことが可能ですか。確かに可能です。(イザヤ 30:20,21)でも,どのようにしてですか。
『その方の書かれた文献』― すなわち聖書 ― をお読みになったことがありますか。読もうとして,理解しにくい部分があることに気づかれたかもしれません。では,聖書を読んでいて質問を持った,アフリカのある国の役人の模範に倣ってみてはいかがですか。その人はどうしたでしょうか。エホバの証人であるフィリポに助けを求めました。使徒 8章26節から39節を開いて,この興味深い出来事に関する記述をお読みになるのはいかがですか。
さて,あなたにも今日,同じことができます。聖書を読んで質問があれば,エホバの証人に尋ねてみてはいかがですか。証人たちは,天の父エホバに関する知識を求める人々を,いつでも心から喜んで援助してきました。その上,誠実な研究者に啓発を与える,聖書に基づく出版物が(この雑誌のほかにも)あります。
実際のところ,経験豊富な聖書研究者と共に聖書について話し合えば,エホバに関する知識と,エホバに対する敬意や愛を大いに深めることができます。例えばエホバは,「憐れみと慈しみに富み,怒ることに遅く,愛の親切と真実とに満ちる神」であられることを学ぶでしょう。(出エジプト 34:6,新)ゆゆしい罪を犯しながらも,悔い改め,寛大に扱っていただいたダビデの場合と同じく,あなたもエホバの憐れみと忍耐の数多くの例に注目されるでしょう。―サムエル後 12:13,14。詩篇 51篇。
また,エホバが悪の存続を許された理由やまだ悪と腐敗をぬぐい去っておられない理由を理解できます。しかし,それは太陽が明日の朝昇るのと同じほど確実に起きることなのです。(箴 2:21,22。ペテロ第二 3:7)また,エホバの大いなる辛抱強さ,無限の知恵と理解,地を清めて平和と楽園を復興させるというすばらしい目的などを認識するようになるでしょう。―イザヤ 65:17,21-25と比較してください。
「探しつづけなさい」
しかし,困難な事態や反対に直面することがあるかもしれません。ご家族や友人の中にさえ,エホバの言葉を研究するあなたの努力をけなしたり,あなたに助けを与えてくれている人を中傷しようとしたりする人がいるかもしれません。イエスは弟子たちに,そのような事を予期しておくようにと警告されました。―マタイ 5:11。
しかし,人類の将来の鍵を握る崇高なかたが存在されることを確信したなら,そのかたとそのみ子であるイエス・キリストとを知ろうとする自分の決意を守り通してください。次のように語られたのは,まさにそのみ子でした。「彼らが,唯一まことの神であるあなたと,あなたがお遣わしになったイエス・キリストについての知識を取り入れること,これが永遠の命を意味しています」。イエスはまた,こう言われました。「探しつづけなさい。そうすれば見いだせます。たたきつづけなさい。そうすれば開かれます」。―ヨハネ 17:3。マタイ 7:7。
そうするなら,エホバが実際にはどれほど身近な存在で,どれほど近づきやすいかたかを知って,快い驚きを経験することでしょう。一群のアテネ人を前に行なった公開の話の中で,使徒パウロは,「神は,わたしたちひとりひとりから遠く離れておられるわけではありません」と語りました。(使徒 17:27)また,神の霊感を受けた一預言者はこう書いています。「あなたがたはエホバを捜し求めなさい,なお見いだされる間に。近くにおられる間に呼びかけなさい」― イザヤ 55:6,新。
そうです,『神に呼びかける』のです。「神に近づきなさい。そうすれば,神はあなたがたに近づいてくださいます」。(ヤコブ 4:8)真理を捜し求めているのなら,また,ゆゆしい問題や罪のために意気消沈させられているなら,「優しいあわれみの父またすべての慰めの神」であられるエホバに呼びかけるのです。(コリント第二 1:3)その際,「すべて,労苦し,荷を負っている人よ,わたしのところに来なさい。そうすれば,わたしがあなたがたをさわやかにしてあげましょう」と語られた,み子イエス・キリストの名によって呼び掛けます。―マタイ 11:28。
エホバに近づこうとする努力が自分の生活に,満足のゆく,大きな相違をもたらすことに気づき,うれしく思われることでしょう。不安を引き起こし,混乱をきたす偽りの宗教の教理や見解が頭の中から一掃されます。また,神の預言の言葉と目的を研究すると,世界がどうしてこれほど問題や腐敗や恐れに満ちているのか分かります。そして,そのようにして聖書を検討してゆくと,地球と神の王国の下でその地に住む特権にあずかる人々との前途には,すばらしい将来の待ちかまえていることが明らかになります。―マタイ 6:9,10。
人間の歴史上のこの暗い時期にあって,理解と先見の明と霊的な光が差し迫って必要とされています。詩篇 119篇105節(新)は,神についていみじくもこう述べています。「あなたの言葉はわたしの足のともしび,わたしの通り道の光です」。
そうです,神のみ言葉は,現在の生活におけるすばらしい新たな道筋を明らかにし,将来に対しては壮大な展望を与えます。それは,真の神エホバに関する正確な知識とそのかたに対する深い愛へと導きます。
神のみ名に対する態度
どの人種や民族に属していようとも,物に動じない,親切で,愛のある家族の頭は大いに賞賛されるものです。良い父親は生みの親であるというだけでなく,扶養者であり,助言者であり,保護者であり,いざというときの助けとなる友です。そのような父親は子供から尊敬され,愛されます。
父親がそのような人であれば,子供はどんな場合でも
― 父親をほめるのではありませんか。
― 父親が批判されれば,父親を擁護するのではありませんか。
― 父親の不興を買わないようにするのではありませんか。
― 父親の名を誇りに思うのではありませんか。
エホバの世界的な家族の成員になった人は,どんな場合でも神をたたえます。神のみ名を隠そうとする運動を支持せず,その偉大なみ名を諸国民に知らせることに鋭意専念します。(詩 105:1-3)そして,『賛美の犠牲,すなわち,そのみ名を公に宣明するくちびるの実を神にささげる』備えをいつもしています。―ヘブライ 13:15。
そのような人は,どんな場合でも,み父が批判されれば,そのみ名を擁護することを切に望みます。み言葉を注意深く研究した結果,『地獄の火と責め苦』という神をはずかしめるような教理を論ばくできます。そして,「神は愛」であることを示せます。(ヨハネ第一 4:8)さらに,神は「死んで」はおらず,現に生きており,この地上で起きている事柄に心を砕き,人類に対するご自分の目的を壮大な最高潮へともってゆこうとしておられることを指摘できます。
この世界的な家族の成員は,み父の不興を買うことは何一つしないよう努めています。「あなたの神エホバの名をいたずらに取り上げてはならない」という古代の戒めを心に留めているのです。(出エジプト 20:7,新)不完全で,ダビデ王と同じように間違いを犯しやすいとはいえ,エホバを愛する人は高い行動基準を保とうとします。その基準には,正直さ,身体および道徳上の清さ,そして偶像礼拝・貪欲・強欲を避けることなどが含まれます。(ルカ 12:15。コリント第一 6:9,10。ヘブライ 13:18。ヨハネ第一 5:21。啓示 19:8; 21:8)エホバを愛する人は政治的な紛争や暴力から離れています。そうした紛争や暴力は,神の名において行なわれているといわれますが,実際にはみ名に大きな恥辱をもたらしています。(イザヤ 2:4。ヨハネ 15:19)しかし,神のしもべは政府や民事当局に敬意を払い,法を守り,税金をきちんと納める市民です。また,職場では正直に一日働き,「神の名……が決して悪く言われることのない」ようにします。―テモテ第一 6:1。ローマ 13:1-7。
み名を負うことを誇りとする
良家の出であれば,自分の父親の名を誇りとしておられることでしょう。今日エホバの名を負う人々にしても同じことです。全世界に広がる,大規模な国際的家族は,エホバの証人という名称により,天の父のみ名を負っていることを誇りにしています。(イザヤ 43:10,12。啓示 7:4-10)エホバの証人は,創意に富んだ人間の働きによって増し加わる知識や種々の利器を高く評価する一方,『天と地と海とその中のすべての物を作られた生ける神』を認め,そのかたをほめたたえます。その神こそ,「天からの雨と実りの季節を与え,食物と楽しさとをもって[人間の]心を存分に満たされた」方です。(使徒 14:15-17)さらに神は,み子というこの上ない賜物を与え,わたしたちがその方を通して「永遠の命を持つ」ようにしてくださいました。(ヨハネ 3:16)エホバの賛美者たちはその賜物すべてに対して深い感謝の念を抱いています。―ヤコブ 1:17。
自分たちの創造者に対する深い感謝の念の表われとして,この献身した,世界的な家族は,栄光に満ちた,唯一のみ名を神聖なものとすることに貢献しています。神ご自身の聖なる書物であるヘブライ語聖書とクリスチャン・ギリシャ語聖書の双方において,み名の正当な位置付けを認めることによってそれを行なっています。そして,主人であるイエス・キリストやその一世紀の追随者の足跡に従って,今の時代に対する肝要な音信を熱心に広めています。すなわち,神の王国は間近に迫っており,それこそ人類にとって唯一の希望であるという音信です。―マタイ 4:23; 24:14; 28:19,20。
訴え
わたしたちは,真の神エホバとそのみ子イエス・キリスト,そして『神の名を全地で宣明』している一つに結ばれたこの幸福な家族についてもっとよく知るよう訴えます。これは急を要する事柄です。(出エジプト 9:16。ローマ 9:17)それは現在の生活を一変させるだけでなく,来たるべき「大患難」を生き残り,神の約束された新しい事物の体制でとこしえに生きる道へと導くことにもなります。―マタイ 24:21,22。ペテロ第二 3:13。
あなたの命そのものが自分の追い求める道にかかってくるのは事実です。聖書は,「エホバのみ名を呼び求める者はみな救われる」との保証を与えています。(ローマ 10:13。ヨエル 2:32)あなたは,エホバの献身した崇拝者として,信仰のうちに神のみ名を用いて神に呼びかけますか。
[15ページの図版]
聖書に現われる神のみ名は全世界に宣明されている