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歴史に予表されていたキリスト教世界の荒廃者ものみの塔 1971 | 3月1日
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そして,その終わりは洪水によるでしょう。また,その終わりまで,戦争があるでしょう。定められている事柄は荒廃です」。(ダニエル 9:26,新)この預言は,「荒廃の忌まわしいもの」,つまり,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」が,『きたるべき指導者』と,その率いる「民」であることを明らかにしています。
21 歴史が明らかにするところによると,ルカ伝 21章20,21節と調和して,荒廃をもたらした「民」と「指導者」はだれですか。
21 歴史の示すところによると,「きたるべきひとりの指導者の民」,つまり,イエスが西暦29年に,「指導者なるメシヤ」として油を注がれた後,実際に到来し,エルサレムの都とその神殿の神聖な場所を廃滅させた民はだれですか。それは,ローマ皇帝ウエスパシアヌスのむすこチツス将軍,すなわち「指導者」の配下にある軍隊の「民」でした。この事実は,ご自分の使徒たちの質問に対する,イエスの次のことばと調和します。「エルサレムが,野営を張った軍隊に包囲されるのを見るなら,その時,その荒廃が近づいたことを知りなさい。その時,ユダヤにいる人々は山にのがれはじめなさい」― ルカ 21:20,21,新。
22 (イ)エルサレムの周囲に「野営を張った軍隊」は,だれに属していましたか。(ロ)ゆえに,ダニエルとイエスの預言の中で述べられているどんなものは,同一であることがわかりますか。
22 西暦66年にエルサレムを包囲した,「野営を張った軍隊」,および西暦70年に同じ都を包囲した,「野営を張った軍隊」は,いずれも第六世界強国,すなわちローマの軍隊でした。西暦66年,その都を包囲したのは,シリアから下ってきた,ケスチウス・ガルス将軍の率いる軍隊でした。ガルス将軍の率いる,その軍隊の「民」が意外にも退却した後,エルサレムとユダヤにいたクリスチャンのユダヤ人は,イエスの助言に基づいて行動し,「山にのがれ」はじめました。改宗したそれらユダヤ人は,神に油を注がれた,「選ばれた者たち」の中にはいっていたのです。西暦70年にエルサレムを包囲した,「野営を張った軍隊」は,チツス将軍に率いられたローマの4軍団でした。つまり,西方に第12軍団,北方に第5,15軍団,そして東側に第10軍団が配置されました。それらの軍団の軍事力は最終的には,抵抗するユダヤ人を餓死させる目的で,ローマ人がエルサレム周囲一帯に構築した防壁によって補強されました。したがって,ルカ伝 21章20節(新)に述べられている,「野営を張った軍隊」,ダニエル書 9章27節(七十人訳)に述べられている,「荒廃の忌まわしいもの」,マタイ伝 24章15節(新)とマルコ伝 13章14節(新)に述べられている,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」は同一のものです。
23 ローマ帝国自体が「けん悪すべきもの」であったかどうかは,どのように明らかにすることができますか。
23 以上のことから,第六世界強国であるローマ帝国は,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」ではなかったことがわかります。ローマ帝国は紀元前63年,(紀元前40-37年を別にして)ポンペイウス将軍の時代からユダヤを占領し,クリスチャン使徒パウロがエルサレムで群衆に襲撃された西暦56年ごろ,さらに下って,西暦66年のユダヤ人の反乱に至るまで,(使徒行伝 21章31節から23章31節まで)エルサレムにローマ軍隊を駐留させていました。ユダヤのユダヤ人が,その反乱後独立を享受した数年の間,エルサレムの内外にはローマの兵士はひとりもいませんでした。
24 (イ)結局,「けん悪すべきもの」の役割は,だれによって確かに果たされましたか。(ロ)荒廃者はそのために神から恵みを受けましたか。
24 もちろん,西暦70年,チツス将軍配下の,「野営を張った軍隊」は,ローマ帝国の軍隊であり,第六世界強国である,その帝国を実際に代表するものでした。しかし,「神聖」とみなされ,かつ,エホバのお名前と崇拝が関係していた,問題の都を荒廃させるわざを直接遂行したゆえに,その「野営を張った軍隊」が,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」だったのです。彼らは,エホバの預言者たちの預言を成就していたとは言え,エホバからの恵みをなんら受けませんでした。彼らはやはり異邦の軍隊であり,兵士により神々として崇拝される,ローマ軍旗を携えていました。
25 今日のローマ軍隊が,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」かどうかに関しては何が言えますか。
25 20世紀の今日,ローマは依然,都市として存続しています。しかし,ローマの軍隊は,その全体にしろ一部にしろ,現代の「荒廃の忌まわしいもの」,あるいは,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」を構成していません。それは,ローマが,4世紀のコンスタンチヌス帝の時代から,「キリスト教」を奉じていると唱えてきたからではありません。ローマ帝国は遠い昔に終わりを告げ,第七世界強国である英米二重世界強国がそれに取って代わりました。
26 特にダニエル書 11章31節と12章1節との預言を考慮する際,第七世界強国に関してどんな質問が生じますか。
26 この第七世界強国は,キリスト教を奉ずると唱えていますが,この強国の軍隊が,現代の,「荒廃をひき起こす,けん悪すべきもの」なのですか。神の預言(ダニエル書 11章31節と12章11節)によると,「荒廃をひき起こすけん悪すべきもの」は,この20世紀において驚くべき役割を演じることになっていました。それはなんですか。それはまた,予告されていた,宗教的キリスト教世界を荒廃させる者となるでしょうか。わたしたちは,さらに検討を進めねばなりません。
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「けん悪すべきもの」によるキリスト教世界の荒廃ものみの塔 1971 | 3月1日
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「けん悪すべきもの」によるキリスト教世界の荒廃
1 どんな事柄を考えると,キリスト教世界の荒廃に関して疑問が生じますか。
キリスト教世界は,数百に上る宗派によって代表されており,その教会員は9億を上回ると記録されています。そのようなおびただしい数の人々を包含する強大な組織が荒廃し,破滅に帰する,ということがいったいありうるのでしょうか。ところが,それがありうるのです。
2 そのような,およそ信じがたいことを言い出したのはだれですか。どのようにしてですか。
2 しかし,そのような,およそ信じがたいことを言い出したのはだれですか。それは預言をするかたです。しかも,その預言は,今日に至るまで一つとして成就せずに終わったことがないのです。聖書の著者で,全能の神であられるエホバ神こそ,そのかたです。エホバ神は,ご自分の子イエス・キリストをも含め,幾人もの預言者によって,そのことを予告されました。キリスト教世界の崩壊の預言的な型は1,900年前に作り出されました。その預言的な型は,それ自体,真実の預言であることを,まもなく実証するでしょう。どうしてそう言えるのか,どのようにしてそうなるのか,と読者は不思議に思われるでしょう。
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