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「わたしたちの主とそのキリストの王国」が代わって支配するものみの塔 1978 | 6月15日
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標ぼうする国々は,人間社会の平和を最もよくかく乱する勢力となってきました。それらは平和の君キリストの一致した臣民とはなっていません。―イザヤ 9:6。
6 キリスト教世界の諸国民は,自分たちが平和の君の臣民でないことを,どのように示しましたか。
6 1914年から18年の世界大戦によって世界の平和を打ち砕いたのは彼らではありませんでしたか。最終的にその戦争に加わった28の国家や帝国のうち20か国以上はキリスト教を標ぼうする国々でした。それらはどんな事をめぐって戦い合いましたか。世界支配をめぐってでした。イエス・キリストが世界を支配するためではなく,いずれの国にせよその世界的な争闘に勝利を収めたところが世界を支配するためでした。しかし,この第一次世界大戦はその争点に決着を付けるものとはなりませんでした。その21年後,彼らはさらに大々的に戦い抜こうとしました。そして今,第二次世界大戦から32年たっても,世界支配の問題は世の諸国家の満足する決着を見ていません。政治情勢は,三度目の全世界的武力戦の危険を増大させています。
7 自国の主権を第一に考える世の諸国民は,エホバのクリスチャン証人が彼らに対して行なったどんな発表を払いのけましたか。
7 現在に至るまで,それぞれの国家主権を第一に考える国々は,エホバのクリスチャン証人が暴力的な迫害に面しながらふれ告げてきた事柄を全く無視してきました。何をふれ告げてきたのですか。このこと,つまり,戦争に悩まされていた1914年の初秋に,諸国民が神の王国の干渉を受けずに世界を支配することを許された期間は終了した,ということです。イエス・キリストの預言の言葉を用いれば,「異邦人の時」,「諸国民の定められた時」が終了したのです。それは,宇宙の主権者エホバ神が「わたしたちの主とそのキリストの王国」を設立する定めの時でした。エホバ神はキリストの王国を誕生させました。中東のエルサレムでなく,天のご自身の右に設立されたのです。(ルカ 21:24,文,新)それは天で起きたゆえにわたしたちには見えませんでしたが,その事の証拠はわたしたちの目の前にあり,見える「しるし」としてイエス・キリストがわたしたちに予告された事柄の中に見られます。―マタイ 24,25章。マルコ 13:3-37。ルカ 21:5-36。
「わたしたちの主とそのキリストの王国」に入る
8 いつからその「しるし」は読めるようになりましたか。それはどんな発表の行なわれる時であることを示唆しましたか。
8 1914年における異邦人の時の終了以来わたしたちの目前で展開されてきたその「しるし」に,わたしたちのうち何人が注目し,またその意味を読み取ったでしょうか。そのしるしは,その時こそ,天の大きな声が,「世の王国はわたしたちの主とそのキリストの王国となった。彼はかぎりなく永久に王として支配するであろう」と布告する,定めの時であったことを示しています。―啓示 11:15。
9 この「王国」は,コロサイ 1章13節の中で述べられている王国とどのように比較できますか。その中ではだれが王として支配すると言われていますか。
9 その布告にもう一度耳を傾け,その述べるところに注意してみましょう。それは,『彼らはかぎりなく永久に王として支配するであろう』ではなく,「彼はかぎりなく永久に王として支配するであろう」となっています。では,王としてかぎりなく永久に支配すると言われているのはだれですか。それはその布告の中で言われている最初の方で,キリストすなわち油そそがれた者を所有する方であるにちがいありません。それは「わたしたちの主」と言われている方にちがいありません。天において「わたしたちの主」と呼ばれているのは第一位の方であり,「そのキリスト」は第二位の方,従属的な立場にある方です。したがって,その政府は,「わたしたちの主とそのキリストの王国」と呼ばれていて,ヨハネが啓示を書く35年ほど前に使徒パウロが述べていた王国,コロサイ 1章13節の中で言われている「ご自分の愛するみ子の王国」よりも規模の大きい,範囲の広いものです。ゆえに「世の王国」を支配する時が来たとき,本当に統治を開始するのはエホバです。エホバは「地の主」です。―啓示 11:4。ゼカリヤ 14:3-9。
10 したがって,これは「とこしえの王」にとって何の始まりになりますか。
10 「わたしたちの主」という表現を前述のように適用することがまちがいでないことは,24人の長老たちが神のみくらの前で拝したときに言った次の言葉によって裏づけられています。「いまおられかつておられたかた,全能者なるエホバ神よ,わたしたちはあなたに感謝します。あなたはご自分の偉大な力を執り,王として支配を始められたからです」。(啓示 11:16,17)ですからこれは,「とこしえの王」なる神の宇宙支配における特別の期間の始まりを示しています。―テモテ第一 1:17。啓示 15:8。
11 神の「女」が生んだ象徴的な男の子はどんな役割を果たしますか。しかし基本的にはだれが王権を行使しますか。
11 エホバ神の王権は,神の天の「女」が子孫を生むことに関連して言われている事柄の中においてさえ,ほめたたえられています。その子孫は,「あらゆる国民を鉄の杖で牧する」男の子として描かれています。それは,その象徴的な男の子が,地の政治国家をすべて,粘土の焼き物を打ち砕くときのように粉砕することを意味するものにちがいありません。ですからその男の子は統治する役目を有しています。しかし,基本的にはだれが王権を行使するのでしょうか。そのことは,「そして彼女の子どもは神のもとに,そのみ座のもとに連れ去られた」という言葉ではっきり説明されています。―啓示 12:1-5。
12 その象徴的な男の子を王位に就けるのはだれですか。したがってそのあとだれが王国を持つと言われていますか。そしてだれに権威が与えられましたか。
12 この象徴的な男の子を王位に就けるのは神です。神はすべての正当な支配権の源です。その象徴的な子は神の王権に従属する地位を与えられました。神の統治機関としてそれは全く新しいもの,西暦33年のペンテコステ以来すでに存在していたもののようではなく,生まれたばかりの子供のように新しいものとして語られています。したがって,この象徴的な男の子の誕生後天で戦争が起こり,ついに勝利を収め,サタンと配下の悪霊たちが追放されたとき,天で次のように言う大きな声が聞こえました。「今や,救いと力とわたしたちの[だれの]神の王国とそのキリストの権威とが実現した! わたしたちの兄弟を訴える者,日夜彼らをわたしたちの神の前で訴える者は投げ落とされたからである」。(啓示 12:7-10)またしても,王国はわたしたちの神のものであると言われています。神こそ実際に統治する方で,キリストすなわち油そそがれた者イエスは,主なる神の支配下で,補助的な方法で支配する「権威」を得られるのです。
13 1914年に異邦人の時が終了したとき,エホバに関し問題になっていたのは何でしたか。それはずっと昔わたしたちの地に対してどのように表明されましたか。
13 エホバ神の王権に重点を置いて問題がこのように述べられていることには,確かな聖書的理由があります。1914年に異邦人の時が終了して「世の王国」の引き継ぎが行なわれるときに問題となるのは神の宇宙主権です。それより2,520年前,エホバは異邦諸国民の間でご自分を代表する一つの王国を地上に有しておられました。それはエルサレムのダビデの王家の王国でした。ダビデとその後継者の王たちは,「エホバの王座」に座す,と言われました。(歴代上 29:23,新)ダビデは死ぬ少し前,エホバの神殿を建築するためにたくさんの寄付を行ないましたが,そのとき次のように言いました。「ああエホバよ,王国もあなたのものです。すべてのものの頭として自らを高めておられる方よ」。(歴代上 29:11,新)したがって,ダビデの王家の王国は,地に対するエホバ神の宇宙主権の一つの表明でした。
14 神はダビデと王国のための永遠の契約を結ばれましたが,ダビデの子孫が王位を占めることはどのように中断しましたか。
14 神がダビデ王と結ばれた永遠の支配権のための契約と一致して,ダビデの王家は,西暦前607年の夏まで,エルサレムの「エホバの王座」に座し続けました。その悲劇の時に,バビロンの軍隊はエルサレムを攻略して破壊し,ゼデキヤ王はバビロンに追放の身となりました。その年の陰暦第七の月チスリの半ばまでに,ユダの地は完全に荒廃しました。追放されたユダヤ人の生存者たちは70年後にエルサレムとユダの地に帰還したものの,王冠をつけ笏を持つ王としての権利を有するダビデの子孫の占めるべき「エホバの王座」は,エルサレムに再建されませんでした。なぜでしょうか。
15 地に対するエホバの主権の行使が中断されることは,ネブカデネザル王の夢の中でどのように示されましたか。
15 なぜなら,その時は,西暦前607年のユダの地の荒廃以来始まった異邦人の時となっており,2,520年間,つまり西暦1914年まで続くことになっていたからです。この地に対するエホバの主権は,ネブカデネザルが夢で見た高い樹のようでした。その樹は切り倒され,根株だけが地中に残されました。そして若木がそれから芽を出すまでに,「七つの時」がその切り株の上を過ぎるよう定められました。そういう理由で,切り株の周りには鉄と銅の帯がかけられ,「七つの時」が終わるまで,そのままの状態にとどまることになりました。(ダニエル 4章)この描写の通り,異邦人が妨げられずに地を支配する「七つの時」が終わるときには,エホバの宇宙主権がこの地に対して再び表明されます。
16,17 (イ)その定められた時に,どの王国がエホバの所有となることになっていましたか。そしてどんな宣言を行なうことは適切でしたか。(ロ)大いなるバビロンの滅びるとき,エホバの支配権を確証してどんな発表が行なわれることになっていますか。
16 神の物事の予定表の中の,この定められた時が来ると,事態は『世の王国がわたしたちの主とそのキリストの王国となる』ことを必要とするようになります。(啓示 11:15)異邦人の諸強国が長期間支配してきたこの地に対する完全な主権を,神が再び主張されることを祈り求めてきた天と地のすべての者にとって,それは当然非常に大きな喜びの理由となるでしょう。詩篇 97篇1,9節(新)の,「エホバは自ら王となられた! 地は喜びに満ちよ。多くの島々は歓べ。あなたは,ああエホバよ,全地の上の至高者だからです。あなたののぼることは地のすべての神々に勝って非常に高い」という宣言がなされることになっているのは,その時であって,西暦33年のペンテコステの時の聖霊がそそがれた時ではありません。(詩 99:1もご覧ください)その後臨む大いなるバビロン(偽りの宗教の世界帝国)の破滅は,エホバの王権を確証します。ハレルヤと共に,次の叫びが鳴り響くことでしょう。
17 「あなたがたはヤハを賛美せよ。全能者なるわたしたちの神エホバは,王として支配を始められたからである」― 啓示 19:6。
18 そのときだれが王として支配権を執りますか。そしてみ子にどんな賜物を与えますか。
18 この宣言は,異邦人支配の「七つの時」の終了にあたって,わたしたちの地に対する統治を再開される方が,主権者なる主エホバである事実を,はっきりと浮き彫りにしています。偉大な力を執り,「世の王国」を引き継ぐ方はエホバです。(啓示 11:15-17)それからエホバはみ子イエス・キリストに「世の王国」に共に関与することを許されます。したがって「そのキリスト」は,主権者なる主エホバからの賜物として,以前あずかったことのないものにあずかるのです。これは神が約束しておられた賜物です。それはエホバが,エルサレムのダビデの王統の王国を覆し荒廃させようとしておられたときのことでした。ダビデ王の子孫で王の地位にある最後の者に対し,エホバは次のように言われました。「ターバンを取り除き,冠を取り外せ。これは同じではなくなる。……破滅,破滅,破滅,わたしはそれを生じさせる。これはまた正当な権利を持つ者が来るまでは確かにだれのものにもならない。わたしは必ずそれを彼に与える」― エゼキエル 21:25-27,新。
19 ルカ 21章24節のイエスご自身の預言によると,イエスが「正当な権利」を得たものを,西暦33年のペンテコステにおいてさえ与えられなかったのはなぜですか。
19 イエス・キリストは,人間としておられたとき死に至るまで忠実であることによって,「正当な権利を持つ者」であることを証明されました。イエスはダビデの永久の相続者です。イエスに「正当な権利」のあるものは,西暦33年,イエスが昇天された後イエスに与えられたのではありません。天に昇る44日前,イエスはルカ 21章5-36節に記録されている預言をされました。その預言の中でイエスは,当時存在していたエルサレムに臨む破滅を予告されました。その破滅は,西暦70年に,ローマの軍隊の手によって実際にもたらされました。そのことに関してイエスはこう言われました。「人びと[ユダヤ人]は剣の刃に倒れ,捕われとなってあらゆる国民の中へ引かれてゆくでしょう。そしてエルサレムは,諸国民の定められた時が満ちるまで,諸国民に踏みにじられるのです」。(ルカ 21:24)ですからイエスは,ご自分が「正当な権利」を得たものを,西暦33年に与えられたのではありません。その年のペンテコステにさえ与えられませんでした。
20 エゼキエル 21章25-27節によると,イエスは何に対して「正当な権利」を得ましたか。ダビデは永遠の相続者に何を残すことしかできませんでしたか。
20 イエス・キリストが「正当な権利」を得たものというのは地上の王国であるダビデの王国でした。その「ターバン」と「王冠」を戴いたのは,ダビデの後継者の王たちでした。(エゼキエル 21:25-27)完全な人間としてのイエスは,ダビデの王族に生まれました。そのためにイエスは当然ダビデの王国を得る見込みがありました。(ローマ 1:3,4。ルカ 1:32,33)ダビデは地上に住む王でしたから,自分自身が持っていたもの,すなわち地上の王国以上のものをイエス・キリストに残すことはできませんでした。み使いガブリエルはイエスの地上の母親であるユダヤ人の処女マリアに,神がイエスに「その父ダビデの座」をお与えになることを告げました。この王国は西暦33年にイエスが天に戻り,神の右に座した時に与えられたのでしょうか。ダビデの王国は西暦前607年に覆され,異邦人が世を支配する「七つの時」の間,すなわち西暦前607年から2,520年の間,無活動の状態でいることになっていました。―使徒 1:6。
21 それでイエスは,ダビデの王国に対する権利を行使する前に,神がどんな行動を取られるのを待たねばなりませんでしたか。
21 したがって栄光を受けたイエス・キリストは,ダビデの地的王国の権利の行使を,西暦1914年の異邦人の時の終了まで,神の右で待っていなければなりませんでした。(ヘブライ 10:12,13)イエスは,エホバ神が宇宙主権者としてその「偉大な力」を執られ,異邦人の時を終わらせて「世の王国」をご自分のものにされるまで待たねばなりませんでした。そのあと神はイエスを,ダビデ王の永久の相続者としてご自分と共に,「世の王国」,すなわち地上の全人類を治める王国にあずからせることができました。―啓示 11:15。
22 したがって,新しい王国が生み出されたのはいつでしたか。このことは聖書の預言の中でどのように描写されていましたか。
22 こうしてネブカデネザル王が夢の中で見た象徴的な「石」は,西暦33年ではなくて1914年に,エホバの宇宙主権を象徴する大きな山から切り出されました。(ダニエル 2:34,35,44,45)エホバ神がその「足」を象徴的な「オリーブ樹の山」の上に立て,その山が真ん中で裂けて,一つは北のほうに,もう一つは南のほうに移り,二つの山になったのもその時でした。(ゼカリヤ 14:4,9,新)これは,啓示 12章1-5節で描写されているとおりに神の天の「女」が男の子を産むことに相当します。このようにして新しい「王国」が生み出されました。それはわたしたちの地に対する神の主権の新しい表明です。その時神は,ご自分の指定した王を,その「正当な権利」を行使させるべく即位させました。象徴的な銅と鉄の帯は,地に対する神の中断された主権の「根株」の周りから取り除かれました。定められていた「七つの時」はいまや根株の上を過ぎ去ったのです。―ダニエル 4:23,26,新。
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今こそ宇宙主権者を迎える定めの時ものみの塔 1978 | 6月15日
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今こそ宇宙主権者を迎える定めの時
1,2 ダニエル 7章は,栄光を受けた「人の子」がだれの前に連れて来られ,また何を与えられたことを描写していますか。
宇宙主権者は,「日を経た方」であるエホバです。栄光を受けた「人の子」イエス・キリストは,西暦1914年,「世の王国」の支配にあずかるべくエホバのところへ来られました。
2 預言者ダニエルはそのことを次のように予告していました。「そこへ,天の雲と共に人の子のような者が来るのであった。その者は日を経た方に近づき,彼らはその者をその方のすぐ前に連れて来た。そして,その者には,支配権と尊厳と王国が与えられた。もろもろの民,国民,またもろもろの言語の者がすべてその者に仕えるためであった。その支配権は,過ぎ行くことなく,いつまでも定めなく続く支配権,その王国は滅びに至ることのないものである」― ダニエル 7:13,14,新。
3 ダニエル 7章27節によると,ほかにだれが,いつまでも定めなく続くその王国に入れられていますか。
3 その王国は後日,この「終わりの時」に,霊によって生まれたキリストの弟子14万4,000人をその中に携え入れました。ダニエル 7章27節(新)に予告されていたとおりです。「王国と,支配権と,全天下のもろもろの王国の偉観とは,至上者に属する聖なる者たちの民に与えられた。その王国はいつまでも定めなく続く王国であり,すべての支配はまさに彼らに仕えかつ従う」。―ダニエル 12:4。啓示 14:1-3; 20:4,6。
4 今日の「大群衆」は,どんな天的政府の臣民ですか。
4 日を経た方は,油そそがれたみ子イエスを,「世の王国」においてご自分の仲間とされるので,世の王国は「わたしたちの主とそのキリストの王国」となります。(啓示 11:15)こうして人類の世の人々はすべて,宇宙主権者エホバとそのキリストの地的臣民になります。これら地的臣民には現在では,啓示 7章9-17節の幻の中で紹介されている「大群衆」が含まれています。この幻が初めて理解されたのは,西暦1935年のことでした。
5 啓示 3章21節によると,西暦33年のペンテコステから63年後に,イエスは何を待ち望むよう,霊によって生まれた弟子たちを励ましておられましたか。
5 今日,その「大群衆」は,「わたしたちの主とそのキリストの王国」には,二人の要人,すなわち主なるエホバとそのみ子キリスト・イエスが関係しておられることを,よく理解しています。また,自分たちが臣民として属するこの特別の政府が,西暦33年のペンテコステからではなく,西暦1914年から始まったことも,よく理解しています。したがって「大群衆」は次のことも観察しています。すなわちキリスト・イエスは,ペンテコステから63年たったあとなお,その王国を待ち望むようにと,霊によって生まれた弟子たちを励まし,「征服する者には,わたしとともにわたしの座にすわることを許そう。わたしが征服して,わたしの父とともにその座にすわったように」と述べておられるということです。(啓示 3:21)彼らはまだ,『神の相続人,キリストと共同の相続人』として,来たるべき天の王国を受け継がねばなりませんでした。(ローマ 8:17)イエス・キリストは神の主要な相続人で,イエスの弟子たちは副次的な相続人です。―ヘブライ 1:1,2。
6 ペテロ第二 1章10,11節によると,霊によって生まれた弟子たちはすでにその王国の中にいましたか,それともまだこれから入るところでしたか。
6 ですから,地上にいた,霊によって生まれた弟子たちを「キリストと共同の相続人」とする王国は,西暦33年のペンテコステに聖霊をそそがれて以来彼らが入っていたものではありません。そういう理由で使徒ペテロは西暦64年ごろ,つまりペンテコステから30年後に,第二の手紙を書き,仲間のクリスチャンたちを次のように諭しました。「これらのことを行なってゆくなら,あなたがたは決して失敗することはないからです。事実,そうすることによって,わたしたちの主また救い主イエス・キリストの永遠の王国に入る機会が,あなたがたに豊かに与えられるのです」― ペテロ第二 1:10,11。
7 どんな手段によって彼らはその王国に入る機会を与えられますか。それでイエス・キリストとのどんな一時的な関係は過ぎ去りますか。
7 神の定めの時が来れば,キリストと共同の相続者の14万4,000人は,「第一の復活」という手段により,天の王国に入る機会を豊かに与えられます。そのときには,彼らはもはや,「[神の]愛するみ子」の支配を受けて地上で住む,霊によって生まれた臣民ではなくなるでしょう。栄光を受けたイエス・キリストとその一時的な関係は,永遠になくなるでしょう。彼らはキリストと共に,天の不滅不朽の王となるのです。(テモテ第二 2:11,12。啓示 20:4,6)これは,西暦33年のペンテコステ以来,そして彼らがまだ地上で生きていた間,彼らに適用されていた一時的な臣民の状態が永久に過ぎ去ったことを意味します。(コロサイ 1:13)地上で清く忠実に生きてきたために,彼らは「キリストの,そして神の王国」を相続します。―エフェソス 5:5。
8 キリストの千年統治は1914年に始まりましたか。予告されていた「しるし」はこの点に関し何を示していますか。
8 14万4,000人の共同相続者と共に行なうイエス・キリストの千年統治は,「世の王国……わたしたちの主とそのキリストの王国」が発足した1914年には始まりませんでした。イエス・キリストにとってそのとき実際に始まったのは,正式な王の「臨在」,すなわちパルーシアです。マタイ 24章3節によると,使徒たちはそのことについて尋ねていました。王国の権を帯びてのイエスの「臨在」は,西暦33年のペンテコステに聖霊をそそぐべく神がイエスをお用いになったときに始まったのではありません。(テサロニケ第二 2:2)予告されていた「しるし」が見えるようになり,神のみ子が王国の権を持って「世の王国」に見えないさまで臨在しておられることが分かったのは,1914年の異邦人の時の終了以後のことにすぎません。
9 「しるし」が現われることから,弟子たちは何が近いことを知るべきでしたか。なぜ彼らは元気をなくさないようにすべきでしたか。
9 この王国は,現在の邪悪な事物の体制を滅ぼす任務を帯びています。イエスは,不吉な「しるし」をつくり上げる事柄について述べた預言の中で,この破壊的業を遂行するばかりのときの王国に言及し,使徒たちに次のように言われました。「このように,あなたがたはまた,これらの事が起きているのを見たなら,神の王国の近いことを知りなさい」。(ルカ 21:31)この王国は,任命された業を遂行することによって,まだ地上にいるキリストの忠実な弟子たちがこれ以上異邦諸国民に圧迫されないよう彼らを救出します。これによって,イエスが弟子たちに次のように言われた理由が分かります。「これらの事が起こり始めたなら,あなたがたは身をまっすぐに起こし,頭を上げなさい。あなたがたの救出が近づいているからです」― ルカ 21:28。
10 霊によって生まれた残りの者の「救出」はいつ行なわれますか。それには何が含まれますか。
10 まだ地上にいる霊によって生まれたキリストの弟子たちの残りの者は,「これらの事柄」が西暦1914年に起こり始めたのを見ました。彼らが現在の邪悪な事物の体制から救出されるのは,神の主権の山から切り出された王の「石」が,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」で,地に対する世の政治的支配権の「像」を打ちかつ破壊するときです。(ダニエル 2:44,45。啓示 16:14,16)彼らの「救出」にはまた,後日死人の中からの「第一の復活」により地から取られて,「わたしたちの主また救い主イエス・キリストの永遠の王国」に招き入れられることも含まれています。(ペテロ第二 1:11。啓示 20:4,6)そのために彼らは王として千年の間イエス・キリストと共に支配することができます。その間,悪魔サタンと配下の悪霊たちは縛られて底知れぬ深みに閉じ込められていますから,姿を隠して人類の諸事を牛耳るということはもはやできません。―啓示 20:1-3。
11 そのとき,ほかにだれが救出されますか。しかし異邦諸国民は,どんな「定め」を無視しているために,その救出にあずかれませんか。
11 羊のような人々の「大群衆」にとっても救出は近づいています。彼らは今,霊によって生まれた残りの者たちと共に,「わたしたちの主とそのキリストの王国」を支持する立場を取っています。しかし,異邦諸国民は,詩篇 2篇1-9節(新)にあるように,王国の「定め」について知らされてきましたが,それを無視してきました。「なぜ諸国家は[西暦1914年以来]騒ぎ立ち,諸民族はむなしいことをつぶやいているのでしょうか。地の王たちは立ち構え,高官たちは一団となってエホバに逆らい,かつその油そそがれた者[キリスト]に逆ら(います)。……わたしはエホバの定めについて語ろう。彼はわたし[キリスト]にこう言われました。『あなたはわたしの子である。このわたしが,今日,あなたの父となった。わたしに求めなさい。そうすれば諸国民をあなたの相続財産として,また,地の果てをあなたの所有物として与えよう。あなたは鉄の笏をもって彼らを砕き,陶器師の器のように彼らを粉々にするであろう』」。―啓示 7:9,10; 11:15。
王国の伝道と関連を持つ中立
12 異邦人の時は1914年に終わりましたが,エホバの証人は世の政治に対してどんな立場を取りますか。
12 「わたしたちの主とそのキリストの王国」は,1914年以来,異邦諸国民のしている事に干渉する権限を有しています。これは,エホバのクリスチャン証人が世の政治に手出しをする権利があるという意味ですか。彼らは,ちょうどカトリック教徒やプロテスタントがしているように,いずれか特定の政党にくみし,あるいは既成の政府に反抗する企てや革命に加担してもよいでしょうか。絶対にそういうことではありません! エホバの証人は,「世のもの」とならないようにすることによって,子羊イエス・キリストの模範に固くつき従ってきました。彼らは,1914年に天で誕生した王国をしっかり擁護しています。(ヨハネ 17:14,16。啓示 12:1-12)世の紛争に対するクリスチャンの中立を守るがゆえに激しく迫害されてはいても,自分たちの天の指導者イエス・キリストの語った次の預言的な言葉を遂行しています。「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」― マタイ 24:14。マルコ 13:10。
13 異邦人の時の終了と同時にキリストの千年統治が始まらなかったのはなぜですか。
13 王国に対するこの証しの業は,この事物の体制が終わってキリストの千年統治が始まるその前になされねばなりません。したがって,1914年に神の王国が天で誕生したことはキリストの千年統治の始まりではないのです。聖書の預言によると,この事物の体制が終わる前に多くの事柄がなされねばなりません。キリストが霊によって生まれた14万4,000人の弟子たちと共に行なう千年統治のための道を開くのです。―啓示 20:4,6。
14 サタンは自分が底知れぬ深みに入れられないうちに,諸国民に関して何を成し遂げることを決意していますか。なぜですか。
14 悪魔サタンは,自分および配下の悪霊の使いたちが千年のあいだ底知れぬ深みに投げ込まれるより前にすべての国の民を滅びに陥れ,こうしてキリストの千年統治の間それらの民がキリストの臣民となるのを阻もうと思い定めています。そのために,世の諸国民すべてをハルマゲドンの戦場へと導いており,その所でエホバ神およびそのキリストと再び戦おうとしています。(啓示 16:13-16)こうして悪魔サタンはハルマゲドンで異邦諸国民を撃つ永遠の災いに対して責任を持つことになります。(啓示 12:12; 19:11-21)わたしたちはそのような悲しい滅びを諸国民と共にしないためにはどうしたらよいでしょうか。
15 サタンの支配下にある異邦諸国民と共に行進することを拒否したため,エホバの証人はどんな経験をしてきましたか。なぜですか。
15 わたしたちは,ハルマゲドンにおける全能者エホバ神との戦いに向かって行進する異邦諸国民と共に行進することを拒まねばなりません。それを拒否するゆえにエホバのクリスチャン証人は多く
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