-
世界展望目ざめよ! 1979 | 10月8日
-
-
の腕から取った筋肉や血管,皮膚でこれを覆った。当人の足から二本の指を移植して,これを手の指にした。25歳になるその患者には正常な触覚があり,自分の“指”を使って食べたり,書いたり,マッチを擦ったりすると言われている。中国人の採用した個々の技術は知られていたが,米国における同様の試みは失敗に終わった,と米国ではその道の権威者であるマサチューセッツ総合病院のウイリアム・M・ハリス博士は語っている。同博士によると,「一連の既存の技術を使って,それを新しく組み合わせ,きわめて難しい問題の解決に当たったところが特異なのである」。
騒音は血圧を高める
◆ 実験用のサルに,典型的な“ブルーカラー”労働者が耳にする騒音を聞かせるとどうなるだろうか。三週間にわたって,サルの血圧は43%もはね上がった。マイアミ大学医学部の研究員アーネスト・パターソン博士は,「自分の血圧が30%も上がった状態が少しでも続いているのを知れば,ひどく不安になるだろう」と語った。高血圧は脳卒中や腎機能不全,ある種の失明と関係があるものと考えられている。実験動物の一日は目覚時計の音や電気かみそりのうなる音,テレビ番組の背景音などで始まった。次に30分間,カーラジオの音を含む,ラッシュ時の交通騒音が流された。“仕事日”には,ブルドーザーやディーゼル発電機やくい打ち機の音,昼食時の食堂の音などを録音したものが折りにふれて流された。日が暮れると,動物たちはフットボール試合のテレビ中継を聞かされた。夜は,冷暖房装置のモーター音や時折低空で飛ぶ飛行機の音,その他の騒音を耳にしながら眠った。これらの騒音は,いずれも政府の基準値以下で,“安全”と考えられているものである。
インフレに見舞われる諸教会
◆ 最近,英国国教会の総会は,教会で執り行なう結婚式と葬式の値上げを決定した。7月1日付けで,葬式はそれまでの22㌦(約4,400円)から27㌦(約5,400円)に,結婚式は32㌦(約6,400円)から40㌦(約8,000円)に値上げされた。
同様に米国では,ウィスコンシン州,ミルウォーキーの大司教管区司祭評議会で,正規の教区司祭が行なえない場合に特定の秘跡を執り行なって手助けをした他の司祭に支払われる費用が引き上げられた。告解を聞いたり,ミサを執り行なったりした場合の報酬は倍になった。中には,「洗礼,結婚式,葬式および特別なミサを執り行なって報酬を受けるという固定給の制度」に不快の念を抱く司祭たちもいる,とミルウォーキー・ジャーナルは伝えている。ある司祭は,同評議会に対して次のように不満を述べた。「この制度全体がひんしゅくを買っている。これでは秘跡で商売をしているに等しい。プロテスタントの友人たちから,我々が秘跡を売っているという言葉を聞くことになろうが,それもあながち間違いではないだろう」。規定料金の高い州へ出張する司祭さえいるという話も聞かれた。
賃金が最も高いところ
◆ 伝えられるところによると,今や日本は,製造業に従事する人々に世界最高額の賃金を支払う国である。タワーズ,ペリン,フォースターおよびクロスビー国際経営コンサルタントによれば,スウェーデン,ベルギー,ドイツ連邦共和国でも,時給の平均は米国を上回っている。
生きた汚染測定装置
◆ ナイル・カワカマスと呼ばれる魚は,健康であれば,毎分400回から800回の割合で弱い電気パルスを発する。ドイツ連邦共和国のゲッピンゲンでは,上水道の汚染を判定する助けとして,実験的にこの魚が用いられている。市の上水道の水が流れると,魚の入ったタンク内の電極が魚の発する電気パルスを検知する。電気衝撃が緩慢であれば,魚が元気を失っている証拠である。「衝撃電流の発生ひん度が危険値を下回ると,警報が鳴り,問題の原因に適切な処置が施されるまで,同市への給水は停止されることがある」と,ニューサイエンティスト誌は報じている。この同じ目的のためにこれまで用いられてきた淡水魚の場合,毎日検査をし,えさを与えねばならなかった。一方,ナイル・カワカマスは週に一度えさを与えればよく,検査も電子監視装置で行なわれる。
長寿を全うする
◆ ヨルダンの西岸で最近死亡したアラブ人の男性は140歳であったと言われている。AFP通信によると,アーマド・アブデル・ファター・エススウェッティという名のその人には223人の子孫がいたようである。この人は「たばこを吸わず,酒を飲まなかった」と言われている。
人造器官
◆ 医師たちは,最近とみに金属やプラスチック製の代用器官を患者の体内へ入れているが,それは一体どれほど有用だろうか。運動医学の権威である整形外科医デイビッド・バックマンは率直にこう語った。「テレビを見ていると,医学によって,老化した人体の諸器官を,元来備わっている器官よりも優れた人造器官に置き換えることが可能になったように思えてくる。残念ながら,これは非常にばかげた話である。今日我々の用いている人造のひざや腰はおおかたの運動に伴う筋肉の緊張や圧力に耐える力がなく,それを付けた患者は競技に加われないことが多い」。
いかがわしいテレビ番組
◆ 全米風紀連盟の調べによると,テレビ画面に映し出された,性を扱った場面の98%は結婚関係外のものであった。一年間にわたって『ゴールデンアワー』の番組を見た人は,あからさまな場面といかがわしい場面を含めて,2万回近くも性に関連した場面を見させられたことになる。飲み物が使われる場面で一番多く映し出されていたのはアルコール飲料であったことをも,その報告は指摘していた。ゆえに,絶えずテレビを見る人,とりわけ感じやすい年ごろの若者たちは性の不道徳やアルコール中毒に慣らされているという結論を下さざるをえない。
堕胎の増加
◆ ワシントン特別区の人口危機対策委員会によると,現在世界中で,四件の妊娠のうち一件は堕胎に終わっている。年間少なくとも4,000万件の堕胎が行なわれており,そのうちの半数は非合法であると見る向きもある。こうした非合法の堕胎は出産適齢期の女性の死因の主なものとなっている。同委員会は,堕胎の件数がこれからも増加すると見ている。より多くの人が小人数の家族を望むようになっている上に,堕胎に代わる家族計画事業が不足し,出産適齢期の女性が増加しているからである,と同委員会は告げている。
打つ手がない
◆ アメリカ社会保健協会の会長ウイリアム・カニック・ジュニアの話では,約500万人のアメリカ人が治療法の知られていないある種の性病にかかっている。しかも,この病気は急速に広まっている。これは単純性疱疹二型ウイルスによって引き起こされ,生殖器の周囲にできるかいようで識別される。その症状は二ないし五週間続き,「激しい痛み」を伴うと言われている。出産時に,産婦の体内に疱疹によるかいようがあると,赤子がこれに感染する危険が極めて大きい。ひとたびこれに感染すると,赤子の半分は死亡するか脳に障害を被る。また,これに感染した女性が子宮頸部のガンにかかる率は普通の人の五倍に上る。「様々の異なった相手と性関係を持つのをやめる健康上の理由があるとすれば,それは外陰部疱疹である」と,アメリカ社会保健協会は語っている。それで,聖書の高い道徳規準にかなった生活を送り,淫行や姦淫,同性愛行為を避けることこそ最善の道である。
-
-
聖書理解の助け ― 武器,武具目ざめよ! 1979 | 10月8日
-
-
聖書理解の助け ― 武器,武具
「知恵は主要なものである。知恵を得よ。自分の得るすべてのものをもって,悟りを得よ」― 箴 4:7,新。
武器,武具 聖書では,防御および攻撃用の武具のことがしばしば指摘されていますが,これはそのような武器の用語解説を意図したものではありませんから,武器の製造や利用についての詳細が述べられているわけではありません。サムエル前書 17章4-7節を読むと,聖書時代に用いられていたよろいや武器に関する概念をある程度知ることができます。そこにはペリシテ人の巨人ゴリアテが持っていた装備について記されています。この力のある反対者は最後に,エホバに対する確信を抱く羊飼いの少年ダビデと相対して,打ち負かされました。
特に,ヘブライ語聖書は文字通りの剣,槍,盾その他の武器について再三述べていますが,それと同時に一貫して,エホバに信頼することの必要性や益を強調しています。(創世 15:1。詩 76:1-3; 115:9-11; 119:114; 144:2)ゴリアテに対するダビデの次のような言葉は,エホバに対する信頼の程を明示しています。「あなたは剣と槍と投げ槍とをもってわたしに向かって来るが,わたしはあなたがなぶったイスラエルの戦線の神,万軍のエホバの御名をもってあなたに向かって行きます。この日にエホバはあなたをわたしの手に引き渡し……そして,この全会衆はエホバが剣や槍をもって救うのではないことを知るでしょう。戦いはエホバのものだからです」。(サムエル前 17:45-47,新)軍勢にではなく,エホバの霊に依存するのが肝要で,効果的であることが示されています。(ゼカリヤ 4:6)それで,エホバは,その比喩的な妻,つまりシオンに対する愛を確認して,「あなたに逆らって形造られる武器はどれも効を奏さ(ない)」ということを保証されました。―イザヤ 54:17,新。
クリスチャン・ギリシャ語聖書では,文字通りのよろいや武器はほとんど注目されていませんが,霊的なイスラエルは,「夜はずっとふけ,昼が近づきました。それゆえ,やみに属する業を捨て去り,光の武具を着けましょう」と諭されています。(ローマ 13:12)使徒パウロは,『右手と左手に義の武器』を持っており,霊的なイスラエルの仲間の成員に,「わたしたちの戦いの武器は肉的なものではなく,強固に守り固めたものを覆すため神によって強力にされたものなのです」と語りました。―コリント第二 6:7; 10:4。
パウロはまた,「悪魔の策略にしっかり立ち向かえるように,完全にそろった,神からのよろいを着けなさい」とクリスチャンに勧めた後,「信仰の大盾」や「救いのかぶと」などの霊的な装備について語っているので,わたしたちは古代の武具についてかなり完全な見解を持つことができます。―エフェソス 6:11-17。
特に意味深いのは,預言者イザヤやミカを通してエホバ神がなさった,霊感による約束です。その約束は,「終わりの日」に,エホバによって教え諭される人々が「その剣を鋤の刃に,その槍を刈り込みばさみに打ち変え」ることを保証しています。(イザヤ 2:2,4,新。ミカ 4:3)そのような平和を待望し,エホバに信頼を置いた,古代イスラエルの,義を求める気持ちのある住民のように,霊的なイスラエルの成員と,平和を愛するその仲間の者たちも,『太陽で,盾』であられる神エホバに依り頼みます。(詩 84:11,新)彼らはその王国のもとで「主は,地のはてまでも戦いをやめさせ,弓を折り,やりを断ち,戦車を火で焼かれる」という約束が成就されることを知っています。(詩 46:9,口)ですから,詩篇作者が,「わたしは自分の弓を頼まず,わたしのつるぎもまた,わたしを救うことができないからです。しかしあなた[エホバ]は,われらをあだから救い,われらを憎む者をはずかしめられました。われらは常に神によって誇り,とこしえにあなたのみ名に感謝するでしょう」と宣言したのも,ふさわしいことでした。―詩 44:6-8,口。
-