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アルコール飲料 ― それについてどれほど知っていますか目ざめよ! 1972 | 5月8日
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ものである。他の果実酒を蒸留してもブランデーができる。あるいはぶどう酒から作ったブランデーやエチルアルコールにくだものの風味を加えることもある。ジンは穀物 ― たいていライ麦 ― で作った蒸留酒で,杜松の実の風味が添えられている。ラムは砂糖きびから作る蒸留酒であり,味のないウォッカは芋類や穀類から作られる。多種多様のリキュールやコーディアルはブランデーとか他のアルコール類に甘味や香味をつけたものである。
蒸留酒はいちばんアルコール分が強い。アルコールの含有量はふつう“標準強度”で測られる。アメリカでは,標準強度の数字は容積で量ったアルコールの含有率の約2倍になっている。したがって,標準強度100のウィスキーは約50%のアルコールを含んでいることになる。比較してみると,わずか2%のアルコールを含むものも中にはあるが,ビールのアルコール含有量はふつう約4ないし6%である。ドライテーブルワインのアルコール含有量は14%を越えない。
使用者への影響
品物によってそのアルコール含有量に大きな違いがあるから,アルコール飲料を飲む人は賢明にも,ラベルを調べて自分が飲むアルコール類の強度を確かめる。
人が飲酒後ふだんと違った行ないをするのは,一般にはその人の血液中に吸収されたアルコールの量による。相当量の血液が脳に行くから,アルコールはそこに集中する。したがって,少量のアルコールでさえ,中枢神経系に対して抑制薬の役目をする。
飲んだ酒の量およびそのアルコール含有量のほかに,どんな場合でも一度に血中濃度に大きな影響を与える要素がたくさんある。たとえば,飲む速度,アルコールが血流中に吸収される速度,また飲む人のからだの大きさなどがある。研究によると,他のすべての条件が同じであれば,体重約100㌔の健康体の男子は,体重70㌔の男子よりも毎時5㍉㍑多くの純粋アルコールを排出することができる。したがって,ふつう,小柄な人のほうがアルコール飲料の影響を受けやすい。
からだの仕組みは1時間にほんのわずかなアルコールしか排出しないから,血流中のアルコールの含有率が有害な影響をもたらすほど大きくならないように注意しなければならない。飲みたい人は,節度を保つことにより,からだの仕組みに協力することができる。また,アルコールの吸収速度を遅くして,アルコールを排出する時間をからだに与え,アルコールの血中濃度が上がらないようにもできるが,それには,酒を少しずつ時間をかけて飲むことが必要だ。また,食物を取ったり,吸収速度を遅くするミルクやクリーム,トマトジュースを飲むのもよい。
一方,ソーダのように発泡飲料の中の炭酸ガスは吸収速度を速める。シャンペンのほうがふつうのぶどう酒よりも酔いが速いのはそのためである。
アルコール含有量が10ないし35%の酒類は非常に速く吸収されることが知られている。だから,ウィスキー(アルコール分が多い)を飲んでから,すぐビール(アルコール分が少ない)を飲むと,胃の中で血流中に速く吸収される混合物が胃の中にできるため,ウィスキーだけを飲んだ場合よりもはるかに著しい影響があるようだ。
いくつかの危険
アルコール飲料は,人間がこれを作りはじめた時以来,悪用されてさまざまな問題を起こしてきた。20世紀になって危険はさらに増加した。その一つは,アルコール飲料の製造に化学添加物が過度に用いられることだ。一例をあげると,5年ほど前,いつも相当量のビールを飲んでいた人50名が死亡したが,その死因には添加物が関係していた。その添加物とはコバルト塩であった。泡の“頭”をしっかりさせ,早く消えないようにするために,ビールはその添加物で処理されていたのである。
別の危険の原因は,少なからぬ人が薬つまり麻薬を多量に使用することだ。多くの麻薬の場合,それが血流にどの程度確実に影響を及ぼすか知られていない。そのために,そうした麻薬がアルコールと結合してどんな影響を及ぼすかを確定することはいっそうむずかしくなっている。それにもかかわらず危険が存在するのである。R・B・フォーニイ,F・W・ヒューズ共著の「アルコールと他の麻薬類の相乗作用」と題する本は次のように述べている。
「一時的な作用を持つバルビツール酸塩類は夜の睡眠を誘い,熟睡させる薬として非常によく知られているが,アルコールとの相乗作用は危険なほど深い睡眠を誘発することがありうる。不注意な人には,特に危険である。それらの麻薬は日中に鎮静作用を起こさせる低催眠剤の中に用いられたり,その低催眠剤の効果を強めるために鎮痛剤と組み合わせて用いられる。睡眠剤として,あるいは日中の鎮静剤として,一時的な作用を持つバルビツール酸塩を処方された患者には,アルコールを併用してはならないことを忠告すべきである。アルコールを併用した場合,普通の鎮静剤にアルコールがプラスされて,危険な付加物が生まれる。その結果,催眠状態,あるいはそれに近い状態が引き起こされ,その人自身および社会にとって危険をはらむ状態が生まれる。
「バルビツール酸塩と,アルコールといった薬の組み合わせのために,不注意による自殺の起こる危険もある。薬とアルコール類を同時に飲む傾向の強い人は,飲んだ薬の量を忘れて,不注意にも薬を何度も飲むことがある。眠りにつく前に意識が混乱し,記憶が失われ,そのために無謀にもさらに薬を飲んでしまう。わけなく致死量を消費して人事不省に陥り,計画していなかった死を招くのである」。
アルコール飲料をたしなむクリスチャンは,不節制な飲酒の危険を知っているから,注意する必要のあることを認識して,「あなたがたは,食べていても,あるいは飲んでいても,すべての事を神の栄光のためにしなさい」という聖書の賢明な助言に従う。(コリント前 10:31)確かに,自分と神との関係を最も重んじている以上,不節制な飲酒のために感覚が鈍って混乱すれば,神にほんとうの誉れを帰すことができないことを真のクリスチャンは知っているのである。
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北極からの水?目ざめよ! 1972 | 5月8日
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北極からの水?
● のどが非常にかわいて,さわやかな水を一杯飲みたいと感ずるさい,読者はおそらく,そのために北極に行こうなどとは夢にも考えないであろう。しかし,北極の水を運んでくることについてはどうであろうか。アメリカ,テキサス工科大学のティンコ・バン・ヒルカマ教授は北極の水を飲料水の不足している都市に運ぶ提案について報告している。
1971年に出たある記事の中で,もしグリーンランドの氷山の一つを,飲料水の不足している都市に船で引いてくることができるとすれば,普通の大きさの氷山一つで人口6万の都市にまる1年間おいしい飲料水を存分に供給できる,と説明した。しかしながら,次のようにつけ加えた。「グリーンランドの氷山は形がそろっておらず,しばしばひっくりかえったりするので,氷山を船で引いてくるのは危険である」。
とはいえ,同教授は大型の引き船を用いれば,安定した上部の平らな氷山を南極からオーストラリアまで引いてくることが可能だと考えている。そのような船旅には六,七か月を要し,4億6,000万円ほどの費用がいり,氷山の半分は溶けてしまうであろうが,それでも400万もの人々に1年間おいしい水を供給できよう,と同教授は報告している。配管,揚水装置その他の設備を整える費用を計算に入れても,「そうして入手できる水は,現在用いられている最も有効な脱塩装置から得られる水よりもずっと安くつくであろう」とのことである。
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