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北の果てから来る「金の羊毛」目ざめよ! 1974 | 12月8日
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もっとも一頭の雄は,囲いの柱に向かって自分の若い力を試すことを始め,またしては柱を折ってしまいました。そこでとうとうコンクリートの柱が立てられました。角で柱を押す彼の酔狂は,たった一度の試みで治ってしまいました。
野生の状態にあるときには雌は2年ごとに1頭の子を生むだけですが,囲いの中では毎年生みます。飼い主に毛の手入れをしてもらうので,飼いならされたジャコウウシのほうがつやつやしています。
毛はシーズンごとに,はさみを使わずに,取り除きます。ですから毛の抜ける時期には,野生のジャコウウシのようなもじゃもじゃした様子はなくなります。健康なジャコウウシは,少なくとも20年間,そしてあるものは毎年60ポンドの毛を産すると信じられています。エスキモーの村人たちは,このりっぱな毛で物を編む新しい技術を学んでいます。多くのエスキモー婦人は,幅40㌢,長さ1.2㍍,重さ1オンス弱のスカーフを編みます。
ジャコウウシの飼育計画が非常にうまくいっているので,北部ケベック州のオールド・フォート・チモにジャコウウシの飼育場が作られました。アラスカと北部ノルウェーにはジャコウウシの牧場が建設されました。アイスランド,グリーンランド,カナダのノースウェストテリトリーズのベイカー・レイクなどでも,同様の計画が進められています。
よく遊び,ひとなつっこい
時がたつにつれてジャコウウシは,遊び好きの性質があることを示しはじめました。飼い主は時々ジャコウウシにリンゴをごちそうします。それで動物たちは,そのごちそうを求めて,柔らかい鼻を飼い主の手に押しつけます。犬たちがそばに来ると,ジャコウウシは本能的に彼らをオオカミとみなし,“ハリネズミ陣”を張って防御態勢をとります。そういうときに飼い主は知らないまにその円陣のまん中に入れられて,自分の保護下にあるものに“保護されて”いることがあります。
彼らに与える飼料を,そりに乗せてトラクターで引いて行くと,子どものジャコウウシたちは代わる代わるそりの上に飛び乗り,次のものに突き落とされるまでそれに乗っています。ある遊びでは,大きくて強いジャコウウシが,小高い場所の頂上を占拠し,彼を倒そうとする遊び仲間に挑戦します。彼を倒したものは,次のものに王位を追われるまで,その小山の「王さま」です。
子どもたちでさえ,このひとなつっこい北極のツンドラの住民の背に乗ることができます。彼らは人間をすっかり信用しています。ジャコウウシを飼った経験のある人たちに言わせると,これらの動物は,木戸を開けようとしていたずらをしたり,かぎをこじ開けたり,人間のポケットから物を失敬することさえする,『動物界のあいきょう者』です。彼らは羊のように,飼い主に自分の名前を呼ばれるとその声にこたえます。柔らかな毛を背負ったこれらの動物は,「世界一危険な狩猟獣」などではなく,北極の愛情こまやかな動物なのです。
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アルコール中毒の犠牲者目ざめよ! 1974 | 12月8日
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アルコール中毒の犠牲者
◆ アルコール中毒のために,「われわれは毎年一クラス分の医学生を失っている」と,サンフランシスコ陸軍病院のアルコール中毒解消研究班の指導医師は語っている。アメリカにおけるあらゆる職種の中でアルコール中毒の割合の最も高いのは医師であると言われている。
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