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ムラサキウマゴヤシ 驚異の飼料目ざめよ! 1979 | 9月22日
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以上,またトウモロコシの三倍の蛋白質が得られることを明らかにしました。
ミネソタ大学の畜産学部の推定では,乳牛一頭当たりの年間飼料代は1955年の64㌦(約1万2,800円)から1965年の94㌦(約1万8,800円),1977年の301㌦(約6万200円)へと増加しています。この点を考えると,これまで考慮した事柄に大きな意味のあることが分かります。
トラクターに引かれた草刈り機が再び視野に入って来ます。微妙なにおいの漂う,もう一筋の刈り取られた草の列が風景を富ませます。汗だくのドライバーが歯を見せて笑いながら,トラクターを止めます。クエンは,鉄道のまくら木のような,黒ずんだ,長くて分厚いもので,草刈り機の黄ばんだ内部をこすります。そこには大きなスクリューで付けたかのようなみぞが付いており,そのみぞには,押しつぶされたムラサキウマゴヤシがこびり付いています。「あのゴムのローラーが生の繊維を砕き,葉を押し固めて,ちょうど良い状態にします。花を保存するのに押し花にするようなものですよ。こうしておくと,葉が粉々になったり,失われたりするのを防げます。これによって,そしゃくする時の労力は20%ほど少なくてすむんです」。
上質のムラサキウマゴヤシの栽培と刈り入れ
上質のムラサキウマゴヤシを栽培し刈り取るのは,商売であるだけでなく,科学の一分野ともなりました。上質のムラサキウマゴヤシを栽培することはどこから始まりますか。それは優秀な苗木を育てることからです。ムラサキウマゴヤシには様々な種類があり,種類によって収量が40%も違ってきます。最適の品種を選び,肥料を正しく施し,これを開花期の前に刈り取ると,単位面積当たりの蛋白質の量は,劣悪種を植えた場合と比べて,80%も多くなります。
ですから,適当な時に,水はけの良い肥よくな土壌にこれを植えるようにします。そして,薬剤を散布して病気にかかるのを防ぎます。ムラサキウマゴヤシのかかりやすい病気として知られているものは60種類を超えています。ムラサキウマゴヤシ以外の草が25%以上混じっていてはならず,雑草は全く紛れ込むことのないようにしなければなりません。
ムラサキウマゴヤシは栄養価の点で群を抜いているだけでなく,土地を肥よくにする点でも優れていることが明らかになりました。その深い根は,一ヘクタールの土地に最高175㌔の窒素を堆積させます。農家の人は,ムラサキウマゴヤシを始めとする牧草を植える以上に,土壌がやせるのを防ぐ有効な手段を見いだしていません。土壌がやせるというこの問題は深刻化しています。
土地がやせるのを防止する作物
米国では,ムラサキウマゴヤシなどの飼料は必要量の五分の一ほどしか栽培されていないようです。そのため,米国の国土はこれまで以上に干ばつの被害を受けやすくなっています。作物栽培学者(作物栽培の科学的知識と技術面における専門家)は,土壌の水分が枯渇していく大きな理由は大コーンベルト地帯で行なわれている大量栽培法にあると非難しています。1973年から1974年にかけて,牧草の栽培から他の作物の栽培に切り替えた360万ヘクタールの土地を調べたところ,その半分以上が,土地や水利の管理の不手際によって被害を受けていました。
どの場合を見ても,土地はまず,やせるにまかされています。土壌は一ヘクタールにつき30㌧の割合で失われていました。一ヘクタール当たりの土壌の損失が12.5㌧を超えるようになると,専門家は事態を深刻に受け止めます。良い状態にあるべきコーンベルトの土壌保護事業団によると,一ヘクタール当たり37.5㌧から250㌧もの災やく的な規模で土壌が風に飛ばされたり,水に流されたりしています。
牧草場を後にして帰ろうとしたとき,クエンが鋭い目つきで空を見上げました。牧草を機械で手際良くこん包して丈夫な梱にする前に,草の水分が20%ほどになるまで乾燥するよう,晴天の続くことを願っているのです。初めに雨が降ると,蛋白質価の五分の一までが失われてしまう場合があるからです。
貯蔵後は通気を良くして,温度の上昇とかびの発生を防ぐことが必要です。さもないと,ムラサキウマゴヤシの蛋白質のさらに五分の一が失われることになります。
最後に,わたしは,「あなたは作物栽培学者ですよ。この作物を最良の状態で栽培することは,作物の栽培に関する技術と科学的な知識を習得した人以外にはできません」と言いました。
「わたしのことは別にして,確かに技術と科学的知識が必要ですね」と,クエンが答えました。「牧草の世界では,ムラサキウマゴヤシは緑の黄金として知られています」。―寄稿。
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ダチョウ ― 地上最大の鳥目ざめよ! 1979 | 9月22日
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ダチョウ ― 地上最大の鳥
南アフリカの「目ざめよ!」通信員
「ほら聞こえるでしょう」。大きな音があたりの草原一帯に再び響き渡りました。
「ライオンかな」。
「いや,雄のダチョウが雌の注意を引こうとしているんだ」。
草原地帯の農夫とその友人は四輪駆動の小型車を後にして,腹ばいになって注意深く前進して行きました。やがて樹木のない開けた所に求愛中の一つがいのダチョウが見えました。何と大きな鳥なのでしょう。間違いなくダチョウは地上最大の鳥です。それでもダチョウの踊りは実に優雅です。
求愛ダンス
雄鳥の求愛タンスを見ていると魅了されてしまいます。この珍しい踊りのためにダチョウは鳥獣類の中で第一級の演技者に数えられています。普通,交尾期になると雄鳥の羽毛は最も鮮やかな色になります。体と翼は黒,翼の大きな羽は白,そして尾の部分の羽は白みがかった褐色になり,首の皮の周りには白い環ができます。雌鳥の羽毛は薄い灰色で,皮膚は暗灰色をしています。成熟した雄鳥の皮膚は青みがかった暗灰色で,交尾期には足やつま先の前の部分やくちばし,額,目の辺りが明るい緋色になります。
雄鳥はまず最初に翼を持ち上げて美しい羽毛を見せ,つま先で立っているようなかっこうで優美な円を描き,華麗な“ワルツ風”の動作を始めます。それから雌鳥に静かに近付き,その前にひざまずいたり腰を下ろしたりします。体を揺すぶり,翼を幾分持ち上げてそれを前後に動かしながら辛抱強く雌鳥に誘いをかけます。自分の背中の弓なり
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