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傷ついた労働組合運動のイメージ目ざめよ! 1974 | 8月22日
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を割っては,まるでビルにかみつき返されでもするかのように駆け戻ってきました」。別の目撃者はこのように言いました。「あの恐ろしさをことばで表現することはできません。怒りに燃えたった,どう猛な野獣のようでした」。この騒ぎで2万5,000㌦(約750万円)から5万㌦(約1,500万円)の被害が出たものと推定されていますが,逮捕された人はひとりもいませんでした。
しかし,こうした衝撃的な事件が生じたのは一度だけではありませんでした。フィラデルフィアでは,1,000人から成る組合労働者の一団が非組合員の建てている建物を襲い,45分ほどの間に30万㌦(約9,000万円)を超す損害を与えました。テネシー州のメンフィスでは,160万㌦(約4億8,000万円)の経費をかけて完成間近であったビルがダイナマイトで爆破され,50万㌦(約1億5,000万円)近くの被害が出ました。事実1972年には,172件のこうした事件がアメリカの26の州で生じ,損害額は数十億円にも上りました。非組合員の働いている建築現場で起きたこうした争いによって,作業員や時には警察官までが激しく打ちたたかれ,中には不具になった人さえいます。こうした争いのさなかに殺された人も少なくありません。
ミシガン州のカルカスカで50万㌦(約1億5,000万円)以上もの損害を出した暴力事件が起きましたが,デトロイト・フリー・プレス紙はそれについてこう報じました。「非組合員による建築作業に反対するどんなすぐれた論議がなされようとも,組合員による暴力行為は許せない。組合は,一般大衆からの支持を失いつつあるだけでなく,労働者自体からの支持も失いつつある。大衆の持つ労働組合に対するイメージを元に戻すことは……かなり難しい仕事となろう」。
なぜこうした暴力行為が起きるのでしょうか。ひとつの理由は,組合に仕事を頼むと経費が天井知らずにかさんでいくため,ますます多くの仕事が組合労働者から非組合労動者に移されていることにあります。1972年2月24日号のエンジニアリング・ニューズ・レコード誌の報道にあるように,組合所属のある職工長は,一度も道具を手にせずに一年間で9万4,000㌦(約2,820万円)の収入を得ました。また同誌には,ある種の組合が雇用者に圧力をかけて,特定の仕事に関して必要以上の人員を雇わせる,“水増し雇用”として知られている慣習の例についても数多く挙げられていました。
他にも,こうした暴力行為を助長する要素があります。力と資金力に富む労働組合は,政治家の運動資金に多額の寄付をします。そのため,組合が暴力的な犯罪行為に関係しても,どんな政治家もそれに触れたがりません。
明らかに,問題は労働組合だけに限られていません。世界の事物の全体制が腐敗と貪欲さとで射ぬかれています。聖書がずっと以前に予告していたとおりのことがまさに起きています。(テモテ第二 3:1-5)聖書は同時に,矯正策についても指摘しています。その矯正策は,指導部を前任者と同じように不完全で権力の座に飢えている他の人々で置き換えるといった当座しのぎの方策ではありません。むしろ聖書は,神の王国にわたしたちの注意を向け,その王国がまもなく地上のすべての事がらをどのように管理するかを説明しています。そうなってはじめて,義が行き渡ります。―ダニエル 2:44。ペテロ第二 3:13。
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死なないようにして運転する目ざめよ! 1974 | 8月22日
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死なないようにして運転する
◆ 夏になり,交通量が増えている。これは,多くの人が休暇を楽しんでいるからだろう。しかしそのため,多くの国で死亡者の数が明らかに増えている。アメリカの高速道路上だけでも,昨年5万6,000人が死亡し,200万人以上が負傷した。損害額は200億㌦(約6兆円)にも上った。こうした数字を低くすることができるだろうか。全米安全協議会の名誉会長ホワード・パイルは,高速道路上での死亡者を減らすかぎとなる点について,最近次のように語った。「各運転者が,関係者全員に対する理性的な配慮を払いつつ行動していたなら,死亡率は大幅に減少していたであろう」。パイル氏の概算によると,それにより「85%から90%」も減少したはずである。
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