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「神の秘義」に対する地上の敵『その時,神の秘義は終了する』
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攻撃も侵略もせず,だれをも傷つけたり詐取したりする意図はないかのように装いました。しかし現実には,「龍のごとくに話しはじめた」のです。「大いなる龍」悪魔サタンがエホバ神にいどみ,全人類を支配する権利を要求したのと同じく,二本の角を持つ地の野獣も,帝国の力および陸海両軍の力の権により,全地と七つの海を支配する権利を要求しました。龍のように地とその諸民の多くを飲み込み,営利的な詐取と海軍基地の建設を目的としてそれを植民地化したのです。「日の没することのない大英帝国」と言われるようになったのも,もっともなことです。それに加えて,北アメリカ合衆国は南北アメリカ全土を支配するようになりました。このように,地的「野獣」の,羊のような二本の角が与えた印象は,全くの偽りでした。
52 この非常に強力な二重世界強国を出現させたサタンの目的は,明らかに何であったと考えられますか。
52 「大いなる龍」の,王冠を頂いた第七の頭は,七つの世界強国すべての中で最強のこの二重世界強国を,目に見えない様で統御していました。しかもそれは,明らかに,「神の秘義」の敵として最強の世界強国を龍が必要とする,その時においてだったのです。
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「野獣の像」『その時,神の秘義は終了する』
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第23章
「野獣の像」
1,2 啓示の幻に示されているように,「第一の野獣」は何を使って自分に対する崇拝を要求しますか。
像は長い間,偶像礼拝のために用いられてきました。「第一の野獣」すなわち,サタンの世界的な政治組織は,偶像化されることを好み,人びとが像を用いて自分を偶像化するよう促します。いえ,実際にはそうすることを要求するのです。それも,第七の頭を用いてそうします。使徒ヨハネに与えられた啓示の幻が示すところによると,この像に関する提案は,「別の野獣」つまり,二つの角を持つ,地から上って来た野獣によってなされます。しかし,この二本の角を持つ地の獣が,海から出てきた「第一の野獣」の七番目の頭と同じものであることを思い起こすと,「第一の野獣」がどのように像に関する提案を行なうか,興味をそそられます。それは自分が崇拝されるよう提案するのですが,その提案を第七の頭によって行ないます。啓示 13章14,15節でヨハネがこの点をどのように描写しているか,注意してみてください。
2 「そして,野獣の前で行なうことを許されたしるしによって,地に住む者たちを惑わし,一方では,剣の一撃を受けながら生き返った野獣のために像を作るようにと地に住む者たちに言う。またそれには,野獣の像に息を与えることが許された。それによって野獣の像はものを言うようになり,また,野獣の像をどうしても崇拝しない者たちを殺させるようにするのである」。
3 二つの角を持つ地の獣は悪魔サタンと全く同じ話し方をします。どのようにですか。それが地の住民を惑わすことに成功するのはなぜですか。
3 「大いなる龍」である悪魔サタンは,常に偶像礼拝を奨励してきました。ですから,やはり「龍のごとくに話す」,二本の角を持つ地の獣も,それに倣い,人類史の非常に重大な時期に偶像礼拝に関する提案を行なうのです。地の獣はそれにより,さらに「地に住む者たちを惑わし」ます。第七世界強国として地から上って来た時以来,それは「[第一の]野獣の前で行なうことを許されたしるしによって」人類を惑わし,神およびメシアによる王国から人類を遠ざけてしまいました。それが地の住民を惑わすことに何の不思議があるでしょうか。地の野獣の行なう「しるし」自体,それが「偽預言者」と同一物であることを明白にしています。「偽預言者」の口からは,「かえるのように見える三つの汚れた霊感の表現」の一つが出ます。それらの表現は,「人の住む全地の王たち」とその軍隊を,エホバ神と戦うハルマゲドンの壊滅的な戦争へと集めるのです。―啓示 16:13-16。
4 二本の角を持つ地の獣と「偽預言者」が同一のものであると,どうして分かりますか。
4 この「偽預言者」が二本の角を持つ地の獣と同じであることを示す鍵は,ハルマゲドンの戦争に関する記述,つまり「第一の野獣」が捕らえられるところを描写した啓示 19章20節に見いだされます。それと共にだれが捕らえられますか。「それとともに,野獣の前でしるしを行ない,それによって,野獣の印を受けた者とその像に崇拝をささげる者とを惑わした偽預言者も捕えられた」。
5 「偽預言者」が「野獣のために像を作るよう」通告を出した時がいつかは,どのようにして確かめることができますか。
5 重大な時期に,二本の角を持つ地の獣は「偽預言者」として,「剣の一撃を受けながら生き返った野獣のために像を作るようにと地に住む者たちに言う」のです。(啓示 13:14)この時「第一の野獣」は,西暦1914-1918年の第一次世界大戦における手痛い敗北を象徴する「剣の一撃」をすでに受けていました。したがって,「野獣のために像を作るように」との通告は,1918年11月11日に休戦条約の調印をもって終わりを告げた,第一次世界大戦以後に出されたに違いありません。その通告はパリ平和会議において発せられました。人びとはそれにこたえて,偶像礼拝のための「像」に相当する何を作りましたか。
6 「野獣の像」はどんなものであるはずですか。その成就は今日どこに見いだされますか。
6 人間の作った「像」を崇拝のために用いることは,エホバ神の律法によって禁じられています。それは,唯一の生けるまことの神を崇拝し,神のメシアによる王国を信頼することから人びとを引き離すからです。偶像礼拝に用いられるその像は,「第一の野獣」に型を取りました。その野獣は海から上って来たものであって,新しいエルサレムのように天から下って来たものではありません。サタン悪魔である龍は,その「第一の野獣」に「自分の力と座と大きな権威」を与えたのです。したがってその「第一の野獣」は,世界を包括する,サタンの見える政治組織を象徴しているに違いありません。(啓示 13:1,2; 20:1,2,10)ゆえに,人間の手になるこの偶像が「野獣の像」であるためには,同じく政治組織であること,そして世界的な規模また範囲を持つものであることが要求されます。国際連盟およびその後身である国際連合は,そのとおりのものであることを証明しました。世界の平和と安全のためのこの国際的な政治組織は,現代における「野獣の像」なのです。
「像」を作る
7,8 かつての英国の首相ロイド・ジョージ氏の声明は,二つの角を持つ地の獣が「[第一の]野獣の像」を作るよう人びとに命じたことを証明しています。どのようにですか。
7 二本の角を持つ地の獣が象徴的な「[第一の]野獣の像」を作るよう命令したことは,歴史の事実に照らして明らかです。1919年の平和会議に出席した最も重要なメンバーの一人は,当時の英国首相ディビッド・ロイド・ジョージでした。1931年初頭,ロイド・ジョージ氏は英国で行なった演説の中で,自分が和平のために尽力したことを国民に思い起こさせ,自分自身に関して次のように述べました。
「1919年パリで開かれた主要連合国の政治家たちによる集まりにおいて,最初の決議案を提出したのは,40年前にこの町で選出された議員であるこの私です。後の国際連盟規約はその時の会議に基づいており,私が率いた内閣は,同会議が召集される前,いや休戦条約の調印前から,その決議の原則を実行に移すため慎重に計画を練り,その準備に当たった,世界でただ一つの政府です。その時の内閣は,大戦の成り行きが最も憂慮された時にあっても,地上に平和を確保する国家連合の設置を立案するため,委員会を構成していました」。a
8 この点を確証するものとして,ロイド・ジョージ氏は「回顧録」の28章でこう述懐しています。
「平和会議の席上明らかになったことであるが,平和連盟の設立に関し,実際的な構想を打ち出すために手段を講じていたのは,ただ英国政府のみであった。ウィルソン大統領はばく然とした考え,警抜な詞句の域を出ず,自分の考えを具体化する試みはまだしていなかった」― 1935
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