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二つの角をもつ獣ものみの塔 1963 | 4月1日
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強国となり,ついでアメリカが19世紀の初期にそれに合してアングロ-アメリカ世界勢力を形成しましたが,確かにそれは,アレキサンダー大帝やナポレオンがしたような,武力による征服ではありませんでした。この世界勢力は,外交,通商,宗教等,いわば小羊のごとき手段をもって,その目的を達成しました。しかし小羊のごときさまをよそおいながらも,それは,龍の声,強力な声,サタン悪魔である龍に似た声をもっています。
この二つの角をもった獣は,世界強国であるがゆえに,先の獣の持つすべての権力を働かせて,世界を威圧します。悪魔の世界の中で顕著な地位を占めているがゆえに,その目的と手段は,世界の諸国に影響をおよぼし,諸国をして,神と神の御国ではなく,悪魔の組織制度に献身させました。
英米合成世界勢力は,黙示録 16章13節の龍および獣とつながりをもっていて,そこでは,「にせ預言者」と呼ばれています。このにせ預言者が二つの角をもつ獣と同一のものであることは,事実から見ても,また黙示録 19章20節がにせ預言者について述べていることから見ても明らかです。そこでは,「にせ預言者は」,13章で,二つの角をもつ獣が行なったと述べられている事柄と同じ事柄を行なったことが描写されています。「獣は捕えられ,また,この獣の前でしるしを行って,獣の刻印を受けた者とその像を拝む者とを惑わしたにせ預言者も,獣と共に捕えられた」。にせ預言者という名前はふさわしい名前です。それは,獣すなわちサタンの見える組織制度の代弁者として語り,しかも龍のように物を言ったからです。にせ預言者は,海の獣と運命を共にするでしょう。なぜなら,「この両者とも,生きながら,硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた」からです。この火の池は,第二の死であることがほかの箇所に示されています。つまりそれは,永遠の滅亡もしくは破滅のことです。―黙示 19:20; 20:14。
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赤い獣ものみの塔 1963 | 4月1日
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赤い獣
使徒ヨハネが,黙示的まぼろしの中で見た第4番目の,すなわち最後の獣は,現代に,黙示録の成就としてやはり最後に出現することになっていました。「わたしは,そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ,また,それに七つの頭と十の角とがあった。あなたの見た獣は,昔はいたが,いまはおらず,そして,やがて底知れぬ所から上ってきて,ついには滅びに至るものである。地に住む者のうち,世の初めからいのちの書に名をしるされていない者たちは,この獣が,昔はいたが今はおらず,やがて来るのを見て,驚きあやしむであろう。…七つの頭は,この女のすわっている七つの山であり,また,七人の王のことである。そのうちの五人はすでに倒れ,ひとりは今おり,もうひとりは,まだきていない。それが来れば,しばらくの間だけおることになっている。昔はいたが今はいないという獣は,すなわち第八のものであるが,しかしかの七人から出てくるものであって,ついに滅びに至るものである」。―黙示 17:3; 8:11,新世。
これらの三つの獣,すなわち赤い龍(サタン悪魔),海から上ってきた獣(悪魔の見える組織制度),赤い獣が,よく似ていることに注目してください。いずれも七つの頭と10の角をもっています。10の角は,どの獣の場合も,全部の権力を象徴します。ところが七つの頭は,龍の場合は,悪霊の君たちを通して7つの世界強国を支配する龍の権威を表はします。海から上ってきた獣の場合,七つの頭は七つの世界強国そのものを象徴します。赤い獣の場合は,これらの7つの世界強国は,現代の一つの組織あるいは実在するもの,に属する七つの頭として現われます。この赤い獣は,「七人から出てくる」もので,第8番目であるとはっきり述べられていますから,それらの七つの世界強国の中のどれか一つの国を表わすものではありません。それでこの獣は,何らかの形で,七つの世界強国全部を包含していなければなりません。この獣は,最初に国際連盟として知られ,いま国際連合として知られている実在物を象徴していると言えます。それは,サタンの見える組織制度と同じように世界的なものではありませんか。七つの世界強国の残存者がこの世界的組織に包含されてはいませんか。そして事実上,第8の世界強国をつくりあげてはいませんか。この獣の10の角は,地上のすべての王もしくは支配者を象徴します。
「昔はいたが今はおらず,やがて来る」というこの預言の言葉は,赤い獣になんとよくあてはまるのでしょう。その獣は国際連盟として昔いました。1920年1月10日から存在しはじめています。そして,第二次世界大戦の間,つまり1939年から1945年まで,この獣は事実上いませんでした。というのは,世界の諸国家が,国際連合の編制されるまで国際連盟の解体を正式に宣言しなかったとはいうものの,国際連盟を無視したからです。さて,国際連盟の後継者が形成されるにおよんで,この赤色の獣は再び存在するようになりました。そして世界は過去17年の間,この8番目の世界強国である国際連合を,賛美のまなこをもって見つめてきました。
ヨハネの時代に,「そのうちの五人はすでに倒れ,ひとりは今おり,もうひとりは,まだきていない。それが来れば,しばらくの間だけおこることになっている」と書かれている7人の王たちについては何が言えますか。これらの王は,龍および海から上って来た獣という象徴によって指摘されているところの,聖書の歴史と預言に出てくる七つの世界強国と同じものです。ヨハネの時代には,すでに5人が倒れていました。エジプト,アッスリヤ,バビロン,メデア-ペルシャ,ギリシャがそれです。6人目は当時存在していたローマで,のちに神聖ローマ帝国として存在をつづけました。また,これから来ることになっていたもうひとりの王は,二つの角をもつ獣であるアングロ-アメリカ世界強国です。それがしばらくの間だけおるということは,この二つの強国の終りが近いことを示しています。
この赤い獣は,黙示録の中で,もう一つの形で現われます。聖書の預言の中では,多くの人物や実在物は,時に一つ以上の形で現われることがあるので,これは別に驚くべきことではありません。いずれもみなよくあてはまった適切なものです。しかし,人,組織,国,政治的実在を,異なった面から示すために使われます。したがって私たちは,アングロ-アメリカ世界強国が,海から上って来た獣の7番目の頭として,また小羊のような2本の角を持ちながら龍のように物をいう獣として,その宣伝活動のゆえに偽預言者として示されているのを知りました。ここの赤色の獣の場合も同じです。この獣は第8の世界強国とも呼ばれており,また黙示録 13章14,15では,「先の獣」すなわち海から上った獣の「像」と呼ばれています。「さらに,〔二つの角をもつ獣は〕先の獣の前で行うのを許されたしるしで,地に住む人々を惑わし,かつ,つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを,地に住む人々に
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