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幾世紀も先の歴史が事前に書き記されたいきさつものみの塔 1977 | 10月1日
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出来事を事前に記した聖書預言が細部に至るまで成就しているのを調べるのは,実に信仰を鼓舞するものです。しかし,聖書の予告は遠い過去にかかわるものばかりではありません。その多くは今日著しい成就を見ており,さらに,輝かしい幸福な将来を享受する方法をあなたに示しているのです。次の記事はそのような預言を幾つか取り上げています。
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聖書預言に見る古代バビロンから20世紀までの歴史ものみの塔 1977 | 10月1日
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聖書預言に見る古代バビロンから20世紀までの歴史
聖書の予告した事柄は,古代に著しい成就を見ました。では,聖書が20世紀に関する事柄をも予告しているのをご存じでしたか。
聖書のダニエル書の中には,古代バビロンから現代に至るまでの主な世界強国の興亡を物語る,預言的な幻が記されています。例えば,西暦前6世紀に,ダニエルは四つの象徴的な獣の夢を見ました。これらの象徴的な動物に関するダニエルの描写によると,その動物は次のようなものでした。
(1)初めは鷲のような翼を持っているが,後にそれを失い,人間の特質を帯びる獅子。(2)多くの肉をむさぼり食う熊。(3)四つの翼(ただでさえ速いその速度をさらに増す)と四つの頭を持つ豹。そして,(4)実在するどんな動物にも相当しない,「恐ろしく,すさまじく,際立って強い」野獣。この四番目の獣には,大きな鉄の歯,十本の角,そして別の「小さな」角があり,その小さな角には目と「大仰な事を語る口」が付いていた。―ダニエル 7:3-8,新。
バビロンから「人の子」による支配まで
これら四つの獣は何を表わしているのでしょうか。聖書の記述によると,それらの獣は「王」あるいは王国を象徴しています。(ダニエル 7:17)獅子は,この幻が与えられたときに中東で最も有力な強国だったバビロンを表わしています。(エレミヤ 4:5-7)熊は,世界強国としてバビロンの後に興った王国をさしています。それはメディア-ペルシャであることが明らかになりました。翼のある四つの頭を持つ豹は,ギリシャ帝国を描いたものです。豹の四つの頭について言えば,アレクサンドロス大王の死後,将軍たちが支配力を得ようと争い,やがてそのうち四人がそれぞれ四つの異なった地方に支配権を確立しました。この幻に登場する四番目の象徴的な獣は,ギリシャ帝国をのみ尽くした世界強国,すなわちローマを表わしています。
この四番目の獣の十本の角,および目と「大仰な事を語る口」のある別の角は何を表わしているのでしょうか。(ダニエル 7:8,新)聖書は時として,支配者や支配王朝を象徴するのに角を用いることがあります。(ダニエル 8:2-10,20-22。ゼカリヤ 1:18-21。ルカ 1:69-71)十という数は,満ち満ちた様,全体,あるもののうち存在している要素すべての総和を表わします。(マタイ 25:1。ルカ 15:8; 19:13,16,17)歴史は,ローマ帝国がやがて様々な国へと分割されていったことを示しています。第四の獣の十本の角は,ローマが崩壊した結果生じた王国すべてを表わしていると思われます。
十本の角の間から現われた「小さな」角である英国は,それまでローマ帝国の弱小な属国にすぎませんでしたが,西暦18世紀に世界一の商業および政治上の強国となって頭角を現わしました。英国と米国はその緊密な結び付きと,全般的な行動の一致ゆえに,今日ではしばしば英米世界強国と呼ばれています。この強国は,聖書中の「小さな」角の描写によく当てはまります。
英米世界強国はいまだに存在しているのですから,四つの獣に関するダニエルの幻は,古代バビロンの時代から今日に至るまでの人類史の発展を予告していることになります。しかし,連綿と続く人間の政治上の王国が終わった後にはどんなことが起きるのでしょうか。ダニエルはさらに次のように述べています。
「わたしが夜の幻の中でずっと見ていると,見よ,天の雲と共に人の子のような者が来るのであった。その者は日を経た方に近づき,彼らはその者をその方のすぐ前に連れて来た。そして,その者には,支配権と尊厳と王国とが与えられた。もろもろの民,国民,またもろもろの言語の者がすべてその者に仕えるためであった。その支配権は,過ぎ行くことなく,いつまでも定めなく続く支配権,その王国は滅びに至ることのないものである」― ダニエル 7:13,14,新。
「人の子」イエス・キリストが,『もろもろの民,国民,またもろもろの言語の者すべて』に対する支配権を手中に収め,しかもこの時代にそうされるということを考えただけでも心が躍るではありませんか。この時代に生活している人々は,すばらしい祝福を期待して待つことができます。
ネブカデネザルの夢に現われた像
似たような意味の事柄を伝えているのは,ネブカデネザルの見た預言的な夢です。このバビロニア人の王は,人間の形をした巨大な金属製の像を見ました。ダニエルは,その像の「頭は良質の金,その胸と両腕は銀,その腹と股は銅,その両脚は鉄,その両足は,一部は鉄,一部は型取った粘土でした」と説明しています。―ダニエル 2:31-33,新。
ダニエルは,金でできた頭がネブカデネザルを表わしていると説明しました。つまり,拡張して考えれば,ネブカデネザルをもって始まるバビロニア人の支配者の王朝です。(ダニエル 2:37,38)銀でできた胸と両腕は,続いて興ったメディア-ペルシャ世界強国を予表していました。銅でできた腹と股は,「別の王国,[バビロンから数えて]三番目」のものを表わしていました。(ダニエル 2:39,新)これはギリシャ世界強国です。像の次の部分である鉄の両脚は当初ローマを表わしていました。しかし,ローマが像の鉄の部分すべてに当てはまるわけではありません。どうしてですか。
それは鉄が像の両足にまで伸び,型取った粘土と混ざっているからです。そして,この像の両足について,聖書はさらにこう述べています。「一つの石が人手によらずに切り出され,像の鉄と型取った粘土でできた両足を打って,それを砕きました。その時,鉄も型取った粘土も銅も銀も金も皆共に砕け(ました)」― ダニエル 2:34,35,新。
ネブカデネザルの夢のこの部分は何を意味していましたか。ダニエルは次のように説明しています。「天の神は,決して破滅に至ることのない一つの王国を建てられます。そして,その王国は,ほかのどんな民にも渡されることはありません。それはこれらすべての王国[像全体で表わされていた]を打ち砕いて終わらせ,それ自体はいつまでも定めなく立ちます」― ダニエル 2:44,新。
地のすべての王国の存在を打ち砕いて終わらせ,神の支配がそれらに取って代わるという事態は,ローマ帝国の時代には起きませんでした。ですから,この像の鉄のような特徴は,ローマに続いて興った世界強国である英米に受け継がれました。ゆえにこの幻は,古代バビロンの時代から,「人の子」イエス・キリストの手中にある神の王国が地上の支配権を掌握するまでの人類史の主な出来事を予告している点で,四つの獣に関する幻と対比されます。
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