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貧しい国々の言い分目ざめよ! 1975 | 3月22日
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態度は変化している
そのような隔たりが広がっているため,豊かな国々にも重大な結果が生じています。それは,豊かな国々が“第三世界”の国々の原材料に,ますます依存するようになったためです。しかし,“第三世界”の諸国は,自国の資源がどのように使われ,またその代価がどのように支払われるかに関して態度を変化させてきました。
その一例は,石油を産出する開発途上国が取った処置で,それは工業諸国すべてを震撼させました。幾十年もの間,貧しい産油諸国は比較的安い価格で石油を売らねばなりませんでした。ところが最近になって,それらの国は一致結束して石油の価格を4倍に引き上げることに同意しました。イランの国王は,それらの国の態度が変化したことを代弁してこう述べました。「安価な石油の時代は終わった。それとともに,搾取の時代も終わったと言わねばならない」。
石油の価格に生じたことについて評した後,西ドイツのシュミット首相はこう述べました。「石油の価格をめぐるこの苦闘に続いて,他の重要な原材料の価格をめぐる同様の苦闘が,明日にでも始まるかもしれない」。この見解を強めるものとして,アルミニウムの原鉱ボーキサイトに富むジャマイカの首相は次のように言明しました。
「開発途上諸国はもはや従来の価格基準に従って先進諸国に原材料を供給してゆくことはできない。インフレの世界にあって,原材料の価格を製品のそれと関連させたものとするのは重要なことである」。
貧しい国々は豊かな国々に対する,まぎれもない挑戦状を書きました。貧しい国々は,工業諸国が二世紀余にわたって立ててきた仮説をもはや黙認しません。それは,貧しい国々から安い原材料をいつでも入手できるという仮説です。事態はもはやそうではなくなりました。
しかし,貧しい国々の大半は豊富な原材料に恵まれていないというジレンマに陥っています。その大半は,豊富な鉱物や石油資源を持ってはいないのです。それらの国はおおかた農業国ですから,不作の年には他国へ輸出できる頼みの綱となるものは何もありません。それで,不作の年には自国のために必要な食糧その他のものを買う資金の持ち合わせがなくなります。これこそ現在,アフリカ,アジア,ラテン・アメリカの諸国で起きている事態なのです。
このようなわけで,ある貧しい国の怒れる詩人は次のように書きました。「どのようにして熱い太陽に耐えるのか。身を焼かれることによってである。どのようにして雨から身を守るのか。ずぶ濡れになることによってである。どのようにして飢えを追い払うのか。飢えに悩むことによってである。どのようにして病をいやすのか。死によってである」。
今日の地上の事物の体制がうまくいっていないことは何と明白なのでしょう! 人類は,すべての国の人々に益をもたらし得る新しい体制を痛切に必要としています。そのような益をもたらすことができ,またもたらすのは,来たるべき神の新秩序だけです。
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翻訳の価値目ざめよ! 1975 | 3月22日
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翻訳の価値
● 翻訳の価値についてカナダの一著述家は次のように述べました。「何々という本の価値を正しく評価するにはそれを原語で読まねばならない,と知識人が言うのを耳にするのは珍しくないが,ラルフ・ウォルドー・エマーソンは次のように書いている。『どんな本であれ,真の見識や広範な人間感情など,著作の中の真に最善の事柄は翻訳可能である』」。この点を証明するものとして,この著述家は最も多くの言語に翻訳された本である聖書に言及し,こう付け加えました。「聖書ほどに大変革をもたらす影響を及ぼした,あるいはそのような世界的な規模の効果を及ぼした本はない……あらゆる人種の人々はそれら翻訳された聖書を通して戦争,不道徳,犯罪,青少年の非行,人種また宗教上の偏見,無神論,絶望感など世界を悩ましている種々の大問題に対する答えを見いだしているのである」。
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