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愛をささやく鳥たち目ざめよ! 1974 | 8月8日
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があります。というのは,雪解け時に巣が害を受けないように巣の床を上げる基礎としてそれらの小石が用いられるからです。)
恋人のところに小枝を持って行く雄のゴイサギも,実際家です。雄鳥は自分の選んだ雌鳥に小枝を一本ずつプレゼントします。その雄鳥に関心があると,雌のゴイサギは贈物を受け取るだけでなく,自分でも小枝を探し集め,ふたりで子どもを育てるための巣を作り始めます。
恋人のために歌をうたう
鳥の世界にはすばらしくじょうずな歌い手たちがいますから,羽毛で身を飾った多くの求婚者が,愛を伝えるおもな手段として,恋人のために歌をうたうのは少しも不思議ではありません。たとえば,雄のルリノジコは恋人の後を追って,彼女がついにその魅惑的な歌に答え応じるまで,ほとんど休むことなく何時間でもうたい続けます。
こうした歌はほんとうに雌鳥の心を動かすのでしょうか。その答えを得るために,ミソサザイを用いて実験が行なわれました。心臓能力計を巣の中に置いて調べたところ,雄鳥が歌う度に,雌鳥の心臓の鼓動数の増えることが明らかになりました。
しかし時には,雌鳥よりも雄鳥の数のほうが多いということもあり,その場合には雄鳥が愛の歌をしんぼう強くうたってもなかなか配偶者を得られないことがあります。たとえばコリンウズラの場合,雌よりも雄のほうが多いことが少なくありません。雄鳥が相手を見つけることができなかったとすると,コリンウズラは(アーボブホワイトと)元気の良い求愛の歌を一夏じゅうでもうたい続けます。ある夏の日に,動物学者たちが,繁殖期に入ってもまだ相手のいない雄のコリンウズラを午前4時から午後7時半まで観察したことがあります。それによると,そのコリンウズラは1分間に8回の割合で合計1,430回も求愛の歌を繰り返しました。しかし相手が見つかると,さえずるのをやめ,父親になる備えをしはじめます。
また,鳥という鳥がみな美しい声で歌うわけではありません。アカゲラはじょうずな歌い手ではないので,木の枝のうろの上をこつこつたたいて雌鳥の注意を引きます。雄のエリマキライチョウは,落ちた丸太の上にとまり,翼を勢いよくはばたかせて恋の歌をかなでます。こうすると,腹話術者が出すようなこもった調子のドーンという音が出ます。曲が終わる直前には,はばたきの速さは1秒間に約20回にもなります。
ダンスと曲芸
翼のある求婚者の中には,単に歌をうたったり,飾りの羽毛を誇示したりするのではなく,それ以上のことをするものがいます。つまりダンスをするのです。そして多くの場合雌鳥も,自分が関心をもつことを表わすためにそのダンスに加わります。のどの部分が鮮紅色の雄のハチドリが,羽を整えておめかしした雌鳥を見て関心を持つと,空中ではなやかな“振子ダンス”を演じます。求愛中の雄鳥は,振れ動く振子のように3㍍ほどの大きな弧を描いて飛びます。そして飛んでいる間じゅう,燃えるように赤いのどの部分が良く見えるようにしています。その申し込みを受け入れると,雌鳥も曲芸飛行に加わります。次いで二羽のハチドリは垂直飛行に移り,昇ったり降りたりします。雄鳥が上昇する時には雌鳥が下降し,それを繰り返します。そのすぐ後で二羽のハチドリはつがい,生まれてくる子どもたちを育てる仕事の準備に取りかかります。
日が沈んでしばらくすると,空中で求愛ダンスをしながら速いスピードで飛ぶアメリカヤマシギの姿が目に映ることでしょう。その飛び方を,ある観察者は次のように描写しています。「雄のアメリカヤマシギは,大きなら旋軌道を描きながら月に向かって昇ったり降りたりして飛んでいた。そしてその間じゅう,下方の沼地に隠れている雌鳥に聞こえるように翼は長い音を響かせていた。最高の飛行高度に達すると,ヤマシギは壮観な急降下を始めた。長い登りの間じゅう空中に響いていた規則正しい翼の音は,時おり柔らかい旋律を伴う不規則な響きに変わった。ヤマシギはしだいにスピードを増しながら勢いよく急降下した。しかし地面の近くまで来ると,翼を広げて降下速度を急激に落とした。そして,数分前に飛び立った場所のすぐ近くに降りた」。こうした求愛飛行を何度か見て魅せられた雌鳥は,隠れ家から出て,雄のヤマシギとともに飛び立ちます。
水鳥のなかには,カイツブリのように水の上でダンスをするのがいます。求愛中の水鳥は,足で水を勢いよくかいて直立した姿勢になり,体全体をほとんど水から浮き上がらせます。このようにロマンチックな気分で,水面をぱちゃぱちゃ動き回るのです。
恋人を誘うための家
鳥の世界で行なわれる実に驚嘆させられる求愛行為の一つは,ニューギニアやオーストラリアに生息するニワシドリのそれです。ニワシドリ科の各種の鳥の雄は,小枝を集めてそれぞれ特徴のある家を作ります。その家は長さ一ないし二㍍,高さ一㍍強で,花やイチゴなど,実にさまざまな色彩の材料で飾られています。中には,その求愛の家にペンキを塗るニワシドリさえいます。用いられるペンキは,色とりどりのイチゴや炭をかんで調合したものです。普通は口ばしでペンキを塗りますが,中にはブラシの代わりになるように樹皮や草などを探してきて,それでペンキを塗るニワシドリもいます。鳥冠のないニワシドリは自分のあずまやを飾るだけでなく,口に花をくわえて雌鳥のところに行きます。
求愛の家とそれを建てた雄鳥のこっけいなしぐさに魅せられると,雌鳥はあずまやの中に入り,つがいます。すると奇妙なことに,雌のニワシドリはその求愛の家を飛び立って,別の場所に自分の巣を作り,一人で子どもを育てます。
春は,鳥たちが自分の姿を見せびらかしたり,歌をうたったり,贈物をしたり,ダンスをしたり,家を建てたりして,それぞれの方法で愛を表現する季節です。それは実にはなやかな光景です。何千種にも上る異なった種類の鳥のことを考えるとき,神を恐れる人々は,こうした鳥の世界に愛に満ちた創造者のきわめて多彩な知恵の証拠をそこに見るのです。―エフェソス 3:10。
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良い印象目ざめよ! 1974 | 8月8日
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良い印象
親は,子どもたちがどれほど「感受性に富んでいる」かを知っています。子どものそうした経験の中には,おとなの目から見ると全く子どもじみていると思えるものもあります。しかし,若者たちは子どものころのこうした経験から,生涯を通じて益をもたらす教訓を学び取ることができます。
テキサス州のサンアントニオで開かれたエホバの証人の地域大会で,あるクリスチャンは,10歳の少年が正直に関するそうした教訓を学ぶ手助けをしました。その少年は両親といっしょに大会に出席していました。そして,その日のプログラムが終わった後に,「大会の敷地」の一部であった遊園地を通って宿舎のモーテルに帰りました。その後まもなくして,ものみの塔協会はその少年から次のような手紙を受け取りました。
「『神のお名前』地域大会はほんとうにすばらしいものでした。各部門はとてもよく運営されていました。宿舎のモーテルに帰る途中めったにない事が起きました。新しい財布をポケットから落としてしまったのです。わたしはとてもあわてました。財布にはお金が3㌦と図書館の閲覧券が入っていました。わたしたちはサンアントニオに戻って,大会の敷地の中をくまなく探し歩きました。翌日,大会の落とし物係に行って調べましたが,ありませんでした。30分ほどしてもう一度調べてみました。そうしたらあったのです。……
エホバがみなさんとともにおられますように。
[署名]」。
自分はクリスチャンであると主張するすべての人が,正直に関するこうした教訓を子どもに対して与えることができるなら,それはなんとすぐれたことではありませんか。
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