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海外で苦悩するドル目ざめよ! 1971 | 11月22日
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たとえば日本は,自動車,テレビ・セット,ラジオなど,多くの品物を他の国々に売る。そして,それによって得たお金の一部を,中東からの石油の購入に当てる。なぜ石油を買うのか。日本はこれというほどの石油を生産しないからである。石油がなければ,日本の産業は行きづまってしまうだろう。そこで,大量に生産する物を売り,そのお金で,あまり生産できない物を買うのである。
増大する問題
1944年に協定を見たこの制度は,国々が収入にほぼ見合った支出を行なう限りにおいては効果的であった。それは週給1,000ドルの人が,今週は1,000ドル少々使うかもしれないが,来週は1,000ドルも使わないというのに似ている。もうけただけのものを使うようにして,差引勘定の平衡を保てば,ある期間問題はない。
ところが,常習的に収入以上のお金を費やすなら,やがて問題が生ずる。世界貿易の面で一国が同様のことをすれば,やはり問題にぶつかるのである。
1950年,アメリカは他国でお金を使ったので,外国人は米貨を86億ドル所有していた。しかしそれは問題にはならなかった。アメリカは228億ドルの金準備があった。莫大な余剰である。他国はいつなんどきでも,ドルを金に交換することができた。1950年にはまだ,ドルは『金も同様』であった。
しかしながら,10年後の1960年には,その余剰の金は姿を消していた。外国所有のドルの総額は,アメリカの金保有高を越えた。そして1970年までに事態はいっそう悪化した。ある推測によると,外国人は430億を上回るドルを所有していたが,アメリカは110億少々の金しか保有していなかった。外国人に対して支払い能力の4倍の借金があったわけである。
しかも事態はよくなっていない。実際のところ,1970年は最高に不安定であった。その1年だけで,アメリカは,海外での取引で100億ドルという驚くべき大きな赤字を出した。また1971年の最初のわずか3か月間に出した赤字は実に合計55億ドルであった。
かりに他の国々が,自分たちの所有するドル全部を金に換えることを要求してきたならばどうなるだろう。ニューズウィーク誌は次のように答えている。「アメリカが窓を閉じ,国際金融体制を……一時混乱に陥れることはほとんど確実である。国際経済という不思議の国が日常生活に影響をおよぼすのはこのしゅんかんである。その混乱は,1930年代のスランプに似た世界的デフレーションという結果を招くであろう」。
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渡り鳥のチャンピオン目ざめよ! 1971 | 11月22日
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渡り鳥のチャンピオン
● 北極あじさしは他のどんな渡り鳥よりも遠距離を飛行する。毎年,北極の最北の島々から南極までの約3万5,400キロもの往復旅行をして帰って来る。人間が用いる複雑な運行装備なしに,それほどの遠距離をわずかな狂いもなく旅行する。
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