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あなたの体内にあるこの驚くべき液体目ざめよ! 1976 | 7月8日
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血小板
ふるいの中に水を入れて運ぶことを想像してごらんなさい。もし血小板がなかったならば,循環系の内部に血液を保っておくことはそれと同じぐらい難しいでしょう。血小板は無色の柔軟な細胞質の小円板です。これはそれほど印象的でないように聞こえますか。血小板の働きはどうしてそのようなものではありません。もし切り傷をつくると,数秒もたたないうちに血小板は傷口をおおい,また互いにくっつき合います。こうして血小板は傷口をふさぎ,出血を止めるのです。どんな“凝固剤”によって血小板は傷口の出血を止めるのですか。またなぜそれは血液の流れの中では血液を凝固させないのですか。これもまた深いなぞに包まれています。また血小板はいっそう耐久性のある血栓の形成を促す成分を含んでいます
これで血液の“固体”すなわち固形成分を簡単に考慮した訳ですが,その重要な働きが感銘を与えるものであったとすれば,血漿すなわち血液の体積の55パーセントを占める液体成分についてはどうですか。
残りの55パーセント
おいしい食事は心を楽しませます。しかし食物をいったん消化したならば,それが体の役に立つためには細胞に運ばれねばなりません。静かに,しかし能率的に血漿はこの事を行なっており,こうして体の細胞すべてに栄養分を供給しています。それは炭水化物,脂肪,たん白質,鉱物質,塩分およびビタミン類をその必要とするところへ届けます。
血漿は栄養分を供給するこの仕事から“から手”でもどる訳ではありません。二酸化炭素のほかにも老廃物を細胞から除き去らねばなりません。血漿はこの事を行なっており,したがって排せつの面で重要な役割を果たしています。例えば,尿素と尿酸は血漿によって体細胞から腎臓へ運ばれ,そこで排せつされます。
もしあなたが暖か過ぎると,皮膚に近い毛細血管がひろがって血液は余分の熱を体表面に運びます。反対に寒い時は,血液は体のいっそう内部にとどまっており,体の熱を逃がさないようにします。こうして血液は体温の調節に貢献しており,体温を華氏で約98.6度(摂氏37度)という一定の温度に保つのに役立っています。
圧力のかかっている血液が血管から漏れないようにしている血小板の役割を思い起こしてください。この重要な働きは止血と呼ばれています。止血の働きに重要な成分あるいは要素は血漿中にも多く含まれています。それらは血液の凝固に肝要なものです。そのひとつ,あるいはそれ以上を欠いている危険な状態が血友病です。しかしこれはまれな病気であり,たいていの人はあやまって身を切ったり,けがをしたりすると,非常に複雑な過程が始まって血は凝固します。フィブリノーゲンは血漿中に含まれる重要なたん白質で,傷口が繊維の丈夫な層と細胞でふさがれるのは,ひとつにはフィブリノーゲンの働きによるのです。こうして傷口がふさがると,それ以上の出血は止まり,傷は体の持つ力でひとりでに治ります。
血漿はまたアルブミンを含んでいます。その働きは血液の流れの中に水分が保たれるようにすることです。これによって血漿は液体の状態に保たれ,体内を流れることができるのです。浮腫つまり体に腫れがある場合,血液を調べるとアルブミンのレベルの低下していることがあります。これはアルブミンのレベルの低下によって,血液中の水分が毛細血管の壁を通って漏れており,体組織の中にたまったのです。
血液の持つ,驚嘆すべき特性を考える時,血漿に含まれているグロブリンを見過ごすことはできません。有害な細菌あるいはビールスが体に侵入すると,体の防御組織は抗体と呼ばれる特別な分子を生み出してそれに抵抗します。これらの抗体はグロブリンに含まれているのです。抗体は侵入者を殺すか,中性化するかして,次いで白血球が侵入者を食べてしまいます。
これらの抗体はすばらしい記憶力を持っています。それは世界中の科学者を驚嘆させるほどのものです。あなたは子供の時,水ぼうそうにかかったことがあるかもしれません。たとえあなたがその病気のことを忘れてしまっても,あなたの抗体は忘れていません。抗体が存在して作用しているかぎり,あなたは二度とその病気にはかかりません。もし水ぼうそうのビールスが体内に侵入すると,抗体は直ちにビールスを攻撃します。人は一生の間に数多くの,異なった特定の抗体を自然に作り出しており,それによって多くの病気から守られています。
グロブリンおよび抗体は,ジフテリアなどの病気にすでにかかっている人を治療するために時として用いられます。病気がそのまま進行して悪くなる危険を避けるため,医師はすでにその病気に対する抗体を有する動物あるいは人間の血から作られた血清をすすめることがあります。a
人間の血液について最も広く知られていることのひとつは,さまざまな血液型の存在です。A型の血液あるいは他にもよくある血液型としてB型,AB型,O型などが一般に知られています。ある血液型の人が別の型の血液を輸血されると,おそらく重い病気になり,死亡することもあります。それで病院では血液銀行からの血液と患者の血液の型とを“適合”させることに努めます。現在までのところ,十五種類の異なった血液型が識別されています。
しかしあなたの血液には抗体,ホルモン,たん白質および他の成分が独自に組合わされており,その組合せは数え切れないほど複雑なものであるゆえに,医師はあなたの血液をだれか他の人の血液と完全に“適合”させることができるでしょうか。1966年にサイエンス・ダイジェスト誌は次の事を述べていました。「血液は人によって異なるが,その相違をきたす要因として知られているものの数を考えると,完全に適合した輸血は一万件にひとつに過ぎないものと推定される」。
あなたの血液が他のだれのものとも違う独自のものであるという事は,その記事の書かれた時以後に明らかになった事柄に照らしてみてもますます確かです。それで1974年にはリーダース・ダイジェスト誌に次の事が出ています。
「[ある人の]血液は世界中の他のどの血液とも異なっており,指紋と同じぐらい独自のものである可能性が増している。事実,大きなスタジアムに座っている各人から血液の標本をいま採取し,一年後にもう一度,採血して各人の血液の特性に基づき,前に座っていたと同じ席につかせることもあながち不可能ではない」。
輸血によって肝炎や梅毒などの病気がうつる可能性は言うにおよばず,輸血した血液から危険な反応が起こる可能性は,医学界において次第に広く認められるようになっています。これらの諸問題は,動物や人間の血を体内にとり入れて命を支えることを禁じた聖書の知恵を強調するに過ぎません。―創世 9:3,4。使徒 15:19,20。
血液がその組成や働きにおいて驚くべきものであることは全く確かです。しかもその成分のいくらかと,日ごとに命を支え,命を守るその働きについて基礎的な知識を得ただけで,創造者が血を命の象徴にされていることを十分に認識できます。創造者はこう言われました,「其は肉の生命は血にあればなり……是をもて我[汝らに]いへり 汝らの中何人も血をくらふべからず」― レビ 17:11,12。
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長寿は「偶然ではない」目ざめよ! 1976 | 7月8日
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長寿は「偶然ではない」
米国ウィスコンシン大学のロバート・サンプ博士は,「高齢」になるまで生きることは,単に遺伝学上の偶然ではない,という結論を出しました。平均寿命よりも長く生きた人々の生活の型を分析した結果,同博士はこう語りました。「それは終生持っていた習慣によるものである。これらの老人には,性格の面である一定の型が見られる。その生涯は極端な事柄を避ける穏和なもので,平静さ,他の人への関心と将来に対する希望を伴うものであることを我々は知った」。
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