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“ゴーストタウン”― 教訓を与える遺跡目ざめよ! 1980 | 9月8日
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杭を打ってそこを所有しました。この土地のおかげで,ベーカーは金持ちになりました。しかしながら,ベーカーはもうけるのと同じくらいに早くお金を使ってしまい,老衰のため故郷で貧民として死にました。
“カリブー”・カメロンはオンタリオから来ました。彼は南米の先端をまわって海路1万9,000㌔を,妻と幼い子供を伴って旅しました。不幸にも,赤ん坊は病気にかかって死に,妻も病気になって死にました。妻は金鉱地の困苦状態を嫌って,死に際し,オンタリオの故郷に埋めてくれるようにと頼みました。それでカメロンは,一時的に妻を,木の箱に納めたブリキのひつぎに葬りました。すぐその後,カメロンのグループは偶然,金を探し当てました。そこはカリブーで2番目に金の豊富な土地所有権請求地となりました。しかし妻と子供が死んでいたので,カメロンは一層深い悲しみを感じました。カメロンは妻の願いをかなえることを誓いました。そのため,1㍍から3㍍もの雪が降り積もる真冬の氷点下の寒気の中を妻の亡骸を携えてビクトリアに向かいました。
1か月以上を費やす荒野を通り抜けるきびしい旅行の後,カメロンのグループはビクトリアに到着し,そこでもう一度一時的に妻を葬りました。その後カメロンは金鉱地へ戻り,秋にはさらに数十万ドル金持ちになってビクトリアに戻りました。これだけあれば東海岸へ帆船で行くのに十分でした。カメロンはオンタリオ州のコーンウォールへ行き,そこで妻の3度目の埋葬をしました。今日,ベーカービルには“カリブー”・カメロンの墓標がありますが,カメロンはそこで文無しとして死んだのです。
カリブーで金持ちになったすべての者が最後には“文無し”になったわけではありません。中には富を上手に用いた者もいます。身代を築いてカリブーを離れ,その努力の有形の実を楽しむために故郷に戻ったり,他の所へ行ったりしました。またカリブーにずっととどまって,その地域の発展に寄与した人もいます。
ベーカービルと今日に対する教訓
ベーカービルは今でも遺物にすぎません。その歴史を保存すべく,関係者たちはベーカービルを“ゴーストタウン”の状態から復興するために働いてきました。
今日,ベーカービルの通りを歩く時,人々はどんなことを思い浮かべるでしょうか。有益にも,過去を熟考して,今日に対する教訓を持つ墓碑銘を思いに描くかもしれません。
その一つにはこう書かれていることでしょう。「物質の富に対する渇望は価値観をゆがめる」。富に対する渇望は自分の家庭を破壊するような行為にさえ人を駆り立てます。そうした人は幸福になるでしょうか。“カリブー”・カメロンを思い出してください。カメロンは金鉱を掘り当てましたが,彼については次のように言われています。『金はカメロンの良心を安んじるのに少しも役立たなかった。今やお金を持っていたが,それを分け合う妻子がいないので,妻と娘を失った悲しみをなお一層深くした。カメロンは最後までその悲劇から完全に立ち直ることはなかった』。―テモテ第一 6:8-10。
また,別の墓碑銘にはこう記されていることでしょう。「真に価値あるものを手に入れるために精力的に努力すべきである」。あなたにとって最も重要なものは何ですか。神の是認を得ることでしょうか。そうであるべきではありませんか。それは,金よりもはるかに貴重な,神の王国の支配下における永遠の命という賞を約束しています。―ルカ 13:24。
努力をいとわず,過去の記念物について考えを巡らす時,そこには学ぶべき教訓があります。
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命かそれとも信念か目ざめよ! 1980 | 9月8日
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命かそれとも信念か
米国の宗教ニュース欄担当特約寄稿家ジョージ・R・プラジェンズは最近,エホバの証人の輸血拒否の問題を取り上げました。プラジェンズは次のような見解を述べました。「もし我々が『命そのものよりも貴重なものがある』(戦時にこうした言葉が聞かれる)と本気で言うのなら,他の人が信念を曲げるより死を選ぶと言う時,なぜ我々は大きなショックを受け,動揺するのだろうか」。―1979年9月24目付,クリーブランド・プレス紙。
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