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海底で神のくすしきみ業を見たことがありますか目ざめよ! 1977 | 4月8日
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生活を営んでいます。アローフィッシュはウニの鋭いとげの間で生活しています。エボシダイという小魚はカツオノエボシの危険な触手の間で生活して,外敵から身を守っています。普通の魚なら,その触手に刺されて麻ひし,カツオノエボシに食べられてしまうところです。
こっけいなのはヤドカリとイソギンチャクの相互に有益な共同生活です。時々,ヤドカリが背中の貝殻にイソギンチャクを乗せることがあります。こうして,イソギンチャクはヤドカリの背にくっ付いたままえさのあるところへ連れて行ってもらい,ヤドカリはイソギンチャクの有毒な刺胞によって外敵から守られるのです。
どう猛なサメでさえコバンザメという相棒を伴っています。コバンザメの頭の上部には大きな吸盤があります。サメの下腹に吸い付いているコバンザメは,体の掃除をする“報酬”として,サメの食べかすにあずかることができます。
海のエネルギー節約家
海洋の比較的小さな動物は大抵あまり動き回らなくてもえさにあずかることができます。清掃魚のように,えさを自分のところへ持って来てもらう魚もいます。しかし,海洋の大型の魚の場合は事情が違います。十分の食物にありつけるかどうかは,主として泳ぐスピードに左右されます。それで当然想像できるように,多くの魚は非常に速く泳ぐことができます。これらスピード泳者の最高速度を正確に計ることは極めて困難です。というのは,いつでもそのような速いスピードで泳いでいるわけではないからです。魚は,普通,注意深い獲物を急襲するときにだけ,電光石火のような動きを見せます。しかし,一定の距離間の速度は測定されています。といっても,この場合も,厳密に測定することは困難です。マグロは,体温が海水の温度より高い唯一の魚ですが,体が海水よりも重いため,絶えず忙しく泳ぎ回っています。毎時14㌔ほどのスピードであれば,マグロはいつまででも泳いでいられるようです。ある報告によると,バショウカジキは時速80㌔の速さで泳ぐごとができます。カマスも非常に速いスピードで泳ぎます。トビウオは,海面から飛び上がって空中を滑空する直前に,時速56㌔までスピードを上げると言われています。マグロやイルカやマカジキなどはこれよりも速いとされています。“翼”を羽ばたくようにして泳ぐ巨大なイトマキエイでさえ,水面上に飛び出してかなりの距離を飛べるほどのスピードで泳ぎます。
これらの魚は,いわば筋肉とエネルギーの“塊”です。しかし,それだけではこうしたスピードを説明するのに不十分です。水の密度は空気の密度の約800倍もあるという問題があります。粘性も空気の場合の約50倍で,それだけ抵抗が増します。船の場合には,水の抵抗や乱流によって生じる抗力が要因となるため,水面を“切り開いて進む”ためには多くのエネルギーを費やさねばなりません。船舶設計技師はこうした問題を克服する方法を考えてきました。彼らは,「マグロなどの魚が,数理学者が計算したよりももっと速いスピードで泳げるのはなぜか。マグロやサメが乱流を起こさずに水中をすべるように泳ぐのはなぜか」といった疑問に取り組んできました。
その結果,幾つかの答えが得られました。まず第一に,これらの魚はまさに流線型そのものです。潜水艦の設計技師がまねてきたのはこうした魚の形でした。速く泳ぐ魚は,ひれを体にぴったりとくっ付けることができます。うろこには,水圧に順応して乱流の発生を抑える働きがあるようです。しかし,長い間神秘とされてきた,スピードの最大の秘密は,弾性に富む柔軟なその皮膚の構造にあります。強くてしなやかなイルカの皮膚の下にはクッション役をする脂肪の層があり,乱流が生ずると皮膚が伸縮して,それを相殺してしまいます。加えて,速く泳ぐ海洋動物の多くの皮膚は,透過性で粘液に覆われています。細糸状の皮膚も,魚が水を乱さずに滑べるように泳ぐ上で好都合です。同様の糸状の物質を用いて実験的に船を造ってみたところ,水の抵抗を実に70%も減らすことができました。しかし,この方法は経費がかかりすぎるため,実用化の見込みはありません。
退屈することのない海洋の探査
創造者は陸地にありとあらゆる種類の生物を造られました。人間は,そのような自然の驚異を注意深く調べることによって,思考力をいつまでも活発に働かせることができます。一方,海洋にも,陸上に劣らぬ,数々の自然の驚異が見られます。そこには,実に奇妙な生物が生息していますが,そのすべては相互依存の関係においてそれぞれ重要な役割を演じているのです。とはいえ,その詳細な働きについては,依然なぞに包まれているものもあります。
例えば,三つの心臓を持つウナギの形をしたメクラウナギがいます。三つある心臓の一つには神経が通じていません。その口というのは単に丸い穴で,歯は舌についており,鼻孔は一つしかありません。メクラウナギは海底にすんでいて,通常は体を半ば泥の中に埋めています。この魚は多量の粘液を分秘します。長さ25㌢から38㌢のメクラウナギを,水の入った小さなバケツに入れて激しく揺すると,数秒のうちにバケツの中味は粘液の大きな塊になって,それをそっくり引き上げることができるほどです。体の軟らかいメクラウナギは,胴体をくねらせて自分の体で結び目を作ることができます。何のためにそのようなことをするのですか。獲物の魚の体に,やすりのような舌でより効果的に穴を開けるためです。粘液が分秘されるため,メクラウナギの体はぬるぬるしていてつかむのが困難です。しかし,メクラウナギは結び目で体をしぼり出すようにして,粘液を自分でぬぐい取るのです。こうして,余分の粘液が大切なえらの開口部をふさがないようにするのです。
フジツボの名は良く知られていますが,これも一風変わった生物です。ある種のフジツボは,船底に付着して船足を鈍らせ,燃料を余分に消費させるので船員からひどく嫌われています。このフジツボが一度付着すると,取り除くことはほとんど不可能です。この小さな生物は,わずか0.0762㍉の厚さで1平方㌢当たり493㌔の“せん断力”に耐えられる非常に強力な接着剤を作り出します。この接着剤は,高温や低温にも,また強い酸や強いアルカリにも,さらに水の侵食や有機物の侵食作用にも耐えるセメントのようなものです。これは,事実上どんな物質をも永久的に接合してしまいます。この接着剤は,塩水中で固まり,その後も塩水に冒されることがないので,医薬用としても価値があるようです。歯科医にとっては,歯の詰め物を固定する理想的なセメントと言えます。整形外科の分野でも,折れた骨の接合剤などとして有用な働きをすることでしょう。持久力のあるこうした接合剤は産業界でも重宝されるはずです。科学者たちは,この優れた粘着物質を分析し,それを化学的に作り出そうと懸命に努力していますが,現在までのところ成果を上げていません。
フジツボは,ふ化し,幼年期を過ぎると,このセメントでかっこうの恒久的な家を造り,その中(実際にはその“上”)に住みます。4つの傾斜面を持つ火山の形をした殻の上部には“噴火口”が開いていて,そこから羽毛状の足を出してプランクトンを寄せ集め,口に運ぶのです。フジツボは,岩や貝殻,クジラ,船,時には固くなった廃油の塊にも付着します。中には,他のフジツボの上にくっ付くものもいます。
フジツボの多くは雌雄同体ですが,一般種のほとんどは自家受精をしません。恒久的に固着しているのに,どのようにして交尾の相手を見つけるのでしょうか。フジツボにとって,これは問題ではありません。フジツボは身を寄せ合って群落を作るため,隣りの適当な相手を選べば良いのです。伸縮自在の長い管を操って隣りにいる相手に橋をかけ,交尾をします。
ある種のフジツボは船には付着しないで,水中の岩に付着します。このフジツボは多くの人から好まれていますが,それは船に付着しないだけでなく,1.4㌔ほどの重さになり,エビやカニに風味が似ていてごちそうになるからです。
これまでの事柄を考え合わせると,詩篇作者の語った次の言葉に,わたしたちは同意せざるを得ません。
「船で海に下って行き,
広大な水の上で商いをする者たち,
彼らこそエホバのみ業を見た者。
深みにおけるその驚くべきみ業を」
― 詩 107:23,24,新。
水面下の,それも非常に深い世界をのぞくなら,自然の驚異をまだまだ目にするはずです。人間は陸地に住む自分たちに益となっている多くのものを海で発見したとはいえ,これまでのところは,海洋の“一部をかいま見た”にすぎないことを認めざるを得ません。海の深いところには,依然数多くの驚異が隠されています。そこには,無尽蔵の知識の宝庫があり,新たな食物や富も見いだされるはずです。「海に下って行き」その驚異を調べる人は尽きることのない喜びを味わうことでしょう。
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真理は子供の心を変化させる目ざめよ! 1977 | 4月8日
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真理は子供の心を変化させる
今日,子供の教育の面で問題をかかえる家庭が増えています。しかし,神のみ言葉である聖書は,多くの家庭に助けを与えてきました。一人の主婦はその事に感謝し次のように述べています。
「私には大きな悩みがありました。それは小学校二年生になる長男の問題でした。長男は主人の両親にとって初孫でしたので,ほとんど主人の父と母の手で育てられました。そのうえ,カトリックの幼稚園に入園する時も,父はたくさんの寄付をしたため,長男は特別扱いされ,わがままいっぱいに振る舞うようになりました。
「ところが小学校に入学したとたんに問題が生じました。寄付のゆえにえこひいきするカトリックの幼稚園とは違い,小学校はすべての子供を同じように扱いますので,長男はそれまでと勝手が違うのに気付き,大変な学校ぎらいになってしまいました。毎日,電柱にしがみつき大きな声で泣きわめきます。どうにか電柱から引き離すと,かばんを放り出し私にかみつく状態でした。そのような毎日が続き近所のうわさにもなったため,私は子供と一緒に死んでしまおうかとも考えました。主人も出張先から飛行機で帰り,なんとか子供をなだめて学校まで連れていくといった日もありました。
「エホバの証人の伝道者の訪問をうけたのはそのような時でした。『目ざめよ!』誌を紹介され,良い内容に思えたので予約しました。その時ちょうど問題の長男が玄関におりました。伝道者は,『とても良い本をプレゼントしましょう』と言って,『偉大な教え手に聞き従う』という本を手渡しました。思いがけないことに長男はすぐにその楽しそうな本を読み始め,気に入った所は何度も読み返していました。不思議に思い私もその本に目を通してみました。なるほど良い記事があります。それで『従順はあなたを守る』の章を3歳になる次男も交えて一緒に話し合いました。このような事を何度か繰り返してゆくうちに,私は長男の態度がびみょうに変化しているのに気付きました。今まで開こうとしなかった心のうちを少しずつ見せ,話しかけてくるようになり,学校にも自分から行くようになりました。私は本当にびっくりしました。『偉大な教え手に聞き従う』の本が子供を変化させたのです。
「それから二年経過して,現在長男は明るい子供に成長しました。読書ぎらいな私がエホバの証人との家庭聖書研究に応じ,エホバ神のご意志を知ることができたのも,長男が『偉大な教え手に聞き従う』の本によって変化を遂げたからです。そして私も真理を学び変化することができました」。
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