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それらは真の幸福をもたらすことができますか目ざめよ! 1982 | 3月8日
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が,[1914年に]戦争がぼっ発すると自らの無力さをさらけ出した。それを構成していた各国の機関の大半は,自国の政府の側に付き,国際的労働者階級の連帯という考えを捨て去った」― ブリタニカ百科事典(英語版)。
それ以来,社会主義運動は分裂してゆき,その意味するところは人により異なったものになりました。進歩的な保守政権と似たりよったりのものから,独裁主義的で全体主義的とも言えるものまで,世界中の様々な政府がこの社会主義という名称を用いています。ですから,“社会主義”という言葉は,それが物質の繁栄と幸福の存在する,階級のない社会での世界的な兄弟関係をもたらすと考えていた誠実な多くの人々にとって,あまり意味のないものと化してしまいました。
フランスの労働組合の指導者であるエドモン・メールがル・モンド紙上に次のように書いたのも少しも不思議ではありません。「労働運動が社会主義を築き上げるというその念願を達成する点で歴史的に失敗してきた結果……労働者と知識人の別を問わず闘士の多くが,長期的な希望まで捨ててしまう事態が生じた。……若い人々は特に,このように社会主義の希望が弱められたことから影響を受けているように見える」。
ですから,資本主義,共産主義,社会主義のいずれを手段とするかにかかわらず,物質の繁栄と真の幸福をもたらす体制を求める人類の努力は失敗に終わっています。アメリカの社会学者ダニエル・ベルは次の点を認めています。「急進的なインテリ層にとって,古くからのイデオロギーはその“真実味”およびその説得力を失ってしまった。“青写真”を引き,“社会工学”を通して社会的な調和の取れた新しいユートピアをもたらし得ると信じる,真剣な考え方の持ち主はもはやほとんどいなくなった」―「イデオロギーの終焉」。
しかし,このように物質の繁栄や幸福を求めるのは自然なことです。では,人間の経済および政治の諸体制はどうしてそれを達成できないでいるのでしょう。次の記事はその質問を検討しています。
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物質的な繁栄だけで十分ですか目ざめよ! 1982 | 3月8日
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物質的な繁栄だけで十分ですか
物質的な繁栄を願うこと自体は間違っていません。しかし,それだけで真の幸福がもたらされるでしょうか。資本主義,共産主義そして社会主義は真の幸福の主要な構成要素を忘れているのではありませんか。そして,この肝心なものの欠如は,人々を本当に幸福にする点でこれらの諸体制が失敗している理由の少なくとも一部となっているのではないでしょうか。
資本主義,共産主義あるいは社会主義を成功させるための活動に自分の全生涯をささげた人々の誠実さを否定することはできません。そして,その各々の体制は,特定の国々の特定の人々の生活水準を引き上げる点で成果を収めてきました。しかし,それらの体制はその国々の大多数の人に真の幸福をもたらしたでしょうか。犯罪や暴力や戦争を終わらせましたか。これらの諸体制の中に,自殺や麻薬中毒やアルコール中毒を除き去った体制が一つでもあるでしょうか。幸福な人々は自殺をしたり,麻薬によって“逃避”したり,アルコールで“うさを晴らし”たりするでしょうか。
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