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初期クリスチャンは忠実をためされたものみの塔 1958 | 5月15日
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はキリストが御国の力をもつて再臨されるのを信じているという知らせが,ドミテヤンの耳にはいつたということです。ドミテヤンは,キリストが生れた時のヘロデと同じように,それに非常な脅威を感じ,誰かが王位をうばいはしないかと恐れたのです。そこで彼は,事情をつぶさに調べあげました。全般的な布告が発せられていなかつたにもかかわらず,ある者は殺されました。
しかし,小アジアでは,キリスト教が,2,3年の中に急速に広まり,益々役人の注意を引きました。その地域の地方総督であつたプリニーの甥は,皇帝トレイジエンに事情を報告しました。このことによつて,トレイジエンは西暦112年,クリスチャンに関する次のような手紙を書きましたが,これは公式の法令となりました,『彼らを捜索してはならない。もし彼らが告訴され,有罪を宣告されたならば,左記の制限にもとづいて罰せられるべきである。すなわち,被告がクリスチャンであることを否定し,われわれの神々に祈ることによつてそのことを証明すれば,彼はその悔い改めによつて……許されるべきである。』
裁判官たちは,『祭壇に少しばかりの穀粒を投げる』という,ちよつと考えると何でもないような条件によつて,囚人たちを釈放することを申し出ました。しかし,クリスチャンは,自分の利益のために悪魔を崇拝するような行いをされなかつたキリストの手本に従つて,彼らの忠実をしつかりと守りました。裁判所のこのような努力も効力がないと分ると,裁判官たちは,収賄という手段に訴えました。そして犠牲者は拷問にかけられたのです。その拷問では,『6 異教徒には犯罪としか思われないそのように不屈で,頑固な心を屈服させるために,ありとあらゆる残酷な方法が使用された。』このように役人の手による処分が,何年間も続けて行われましたが,しかしすべての事件が裁判所で取り扱われ,クリスチャンを圧迫したいと願つていた僧侶たちが,全く禁止されていたわけではありません。反対に,彼らは,やはり,公共の競技で,クリスチャンの死を要求する力をもち,群衆を興奮させていました。さらに,『4 総督は罪を受けることなく,クリスチャンを意のままに迫害する権力を持つていた。』
信仰のあついクリスチャンたちは,この世の事柄に関しては中立を保ち,すべての正しい法律を守りましたが,しかし,彼らはヱホバのみを崇拝し,その忠実をかたく保持しました。ローマは,神よりも帝国を重んずることを要求し,それを強調しました。『5 クリスチャンたちは,神聖冒瀆と重い不忠の罪,帝国の神々を崇拝することを拒絶した神聖冒瀆の罪,慣例によつてブドウ酒と香を捧げ帝国の尊厳の体現である皇帝を崇拝しないという叛逆の重い罪にとわれた。しかし,クリスチャンたちは,生命の力を持つヱホバ神に全き確信を置き,断固として宣言しました,『人間に従うよりは,神に従うべきである。』(使行 5:29,新口)真のクリスチャンは,この世の一部ではありませんから,この世から憎まれます。しかし,彼らは,生ける神に忠実を保ちますから,神は永遠の生命を与えて彼らに愛を示され,彼らは永遠に神に奉仕するでしよう。
参照
1 「有名な歴史家の記した大事件」第3巻,E・P・G・ギゾット著,246頁。F・W・ファーラー著,142頁。
2 「文明への道程」「世界史」1937年,ヘッケル,シグマン著,237,238頁。
3 「キリスト教の歴史」J・S・C・アボット著,238,239,255,256頁。
4 モーシエイムの「教会史の研究」第12回改証版,55-57頁。
5 「キリスト教とローマ帝国」W・E・アディス著,54,55,59,69頁
6 「キリスト教の歴史」エドワード・ギボン著,233-235頁。
7 「聖書,神学上の文献図書」キリスト教会の歴史,クルックスとJ・ハート著,165-168頁。
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『これ以上に良いものはない』ものみの塔 1958 | 5月15日
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『これ以上に良いものはない』
1955年8月16日付「ハウストン・クロニクル」に出たニュース電報は,英国マーシャルの一牧師の言葉を報じた。『当地の牧師フィリップ・フランシス師の固く信ずるところによれば,この世が必要とするものは原子戦争である。「たしかに,原子戦争以上に良いものはない。」彼が教区の雑誌に書いた挑発的な記事について,昨夜,新聞記者から質問攻めにされた55歳の教区牧師はこう語つた。彼はその記事の中で次のように述べている,「火薬時代から原子時代に移り変るのを嫌悪する著名な人々は恐ろしいことを警告しているが,我々がそれを気にかける必要はない。」「原子戦争は世界にとつて良いものであろう。……それは,現在の悪を一掃して世界政府を招来する唯一のものである。」』しかし,聖書の示すように,この事をする唯一のものは神の戦争,ハルマゲドンである。それは『地を滅ぼす者どもを滅ぼ』すであろう。
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