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ベトナム戦争 ― 宗教は人々をどこへ導いたか目ざめよ! 1972 | 10月8日
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そうでないと,道徳的に正しくない殺し方をしたことになる。もしわたしたちの兵士が敵を憎むように教え込まれているなら,敵を殺すことは道徳的に正しくない行為である」。18
僧職者は戦死した人に誉れを与えることによっても,戦争を支持していることを明らかにしました。アイオワ州デモインのルーテル教会牧師マーチン・ハーザーはある葬儀において次のように語りました。「兵士が正当な[ベトナム]戦争で義務を果たして死ぬなら,それは国に尽くした輝かしい死であるばかりか,本人にとって祝福された最期である。…天使が彼の魂を天に携えたであろうし,彼が平和を今享受していることを私は確信している」。19
宗教は人々をどこへ導いたか
アメリカの教会がベトナム戦争をその初期の段階において支持したことは明らかとなっています。それはどんな結果を招きましたか。
一つには,同じ教会員同志が戦場で互いに殺し合うという事態に至りました。例えば,北ベトナムには推計100万人のカトリック教徒がいますが,北ベトナムの司祭たちはどんな立場を取りましたか。ニューヨーク・タイムズ紙はこう報じています。「ハノイのパデュアにある聖アンソトニオ教会の司祭ヨセフ・ングエン・バン・クエ氏は,…[北ベトナム]の軍隊に入隊する青年をきまって祝福すると話した」。20 ですから,同じ教派の会員たちが戦場で殺し合ってきたのです。しかも僧職者たちの祝福を受けてです。
しかしながら前に注目しましたように,最近になって変化が見られるようになりました。事実,各宗派が合同で,戦争の終結を促す「悔悟と行動への要請」を発表しました。21
それにしても宗教指導者はなぜ自分たちの見解を変えたのでしょうか。この質問に対する答えを頼りに,宗教はしばしば何によって取るべき立場を決定するか,したがって人類をどこに導くかを明らかにすることができます。
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宗教団体の方向を決定するのは何か目ざめよ! 1972 | 10月8日
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宗教団体の方向を決定するのは何か
ベトナム戦争をその当初容認することにより,教会は戦闘に加わるのが正しいと考える方向に人々を導きました。ところが今になって,ある教会組織やその役員は戦争を非難し,戦争参加は誤りだと言明します。
なぜこのように変わったのですか。教会は今や会員たちが聖書の教えに調和して生活するよう指導しているのですか。それとも他の要因が宗教の指導方針を決定しているのでしょうか。
オレゴン・ジャーナル誌は最近,『教会人は群集に同調しているに過ぎない』と評しました。22 つまり,人々が戦争にほとんど反対を表明しなかったときには教会はそれを支持し,一般の人が長びく戦闘と流血にうんざりしてくると,僧職者は戦争に反対しはじめたということです。
メソジスト教会の出版物「合同メソジスト」の論説委員オールデン・ムンソンはこう説明を述べています。
「度重なるミライのような酷薄な事件,それに戦争に関する史上最も充実した報道が全国民に影響を与え,教会も遂に反戦の空気の中をとぼとぼと他のあとに付いて行くことになった。…1965年以来,ベトナム一般市民の犠牲者の推計は男女子供合わせて100万から400万人に上るが,教会は今ごろになってやっと驚きの色を表わしている」。23
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