ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 大都市が崩壊しつつある理由
    目ざめよ! 1976 | 5月8日
    • 輸送機関の計画も公害防止の点ではほとんど成果をあげていません。「いっこうに解消されない交通まひは都市計画者の夢を打ち砕いている。―すなわち高速輸送機関ができれば,『人々は車に乗ることをやめ,高速道路から車が少なくなる』という期待ははずれた」― ニューヨーク・タイムズ・マガジン,1975年10月19日号,84ページ。

      国立科学院の報告によると,米国の連邦基準の制定によって幾らか改善されたものの,田舎の空気は今なお依然として『たいていの都会の空気よりずっときれい』です。工業の集中は大都市の汚染を非常に増し加えています。しかし都市は人々に職を与えるため,また歳入源として工業を必要としています。環境基準に合わせるには多くの費用を必要とするために,不況にあえぐ多くの企業はその存亡にかかわるとして規制をゆるめる事を求めています。こうして都会の“悪循環”の中で公害はひどくなります。

      ……人間らしさを失わせる

      大勢の人間が狭いところに密集すると,多くの人の中にある悪い所が余計に表われてくるようです。ひしめき合って住む事は人々を暖かい親しい関係で結び合わせるかと言えば,それとは正反対の場合が決して少なくありません。ロンドンからの報道は「病気の老人がアパートで死んでも,訪問者がないため,死後何週間も発見されない」ことを伝えています。「これは二十年前には絶対になかった」ということです。大都会に住む人なら知っているように,これは何もロンドンだけに限られてはいません。

      狭いアパートと都会の路地に閉じ込められている子供たちもまた被害者です。彼らは,のびのびと自然に親しみ,その中でさまざまの発見をする田舎の子供の喜びをほとんど知りません。物をこわし,破壊し,だめにする事が,多くの場合,興奮や経験の必要を満たす彼らの方法となっています。その結果である破壊行為や,きずをつける落書きは都市をさらに荒廃させ,また犯罪の種をさらにまくことにもなります。

      こうして世界の大都市の多くは,それ自体で力を増し加え悪化する,都市を荒廃させる一方の悪循環に巻き込まれています。しかし市政当局は事態を改善することに努めていないのですか。

      市政当局

      イリノイ大学の政治学教授ミルトン・ラコブは次のように断言しています。「今日,米国の大都市で良く治められているものはひとつもない。また都市の直面する問題,都市の政治と行政の体制に要求されている事柄,そしてこれらの要求にこたえ得ない体制の無能力を考えれば,市政に成功する大都市があるとは思われない」― ニューヨーク・タイムズ,1975年10月23日付,39ページ。

      長続きのする安定した指導力を欠いている事は,多くの大都市の市政当局にとって足かせとなっています。ある都市のあがきについてビジネス・ウィーク誌は次のように述べています。「市政を執る人々は選挙によって選ばれており,政治の性質上『今日は職にあっても明日の身の上は分からない』という哲学で事を行なっている場合が多い」。

      指導者のこのような腰掛け的な態度は市の職員をむしばんでいるかもしれません。市に勤める人々の生産性は他の勤労者よりも低いと言われています。同じ仕事をするのにも多くの人を雇わねばならず,それは市の財政をさらに圧迫します。どうしてこうなのですか。米国最大手のひとつである都市公務員労働組合の一幹部はこれを次のような言葉で述べています。「都市公務員にしてみれば,自分の仕事ぶりに市が無関心ということになれば,自分もやる気をなくす。……我々は規律を受けることを好む。規律とは気にかけている人がだれかいるという事である。統率力こそ我々にとって必要なものだ」。

      真に心を用いるというよりも,政治的な動機に動かされている多くの官僚は都市問題に“金を投げつけて”問題を追い払おうとする傾向があります。問題の根本に達することのない,浅薄で金に傾倒したその施策は巨大な規模に達することが多く,都市の活力を吸い取るものとなります。いま世界の大都市の多くは,このような政策のもたらした災害ともいうべき結果を痛感しています。

      たとえそうであるにしても,たいていの政府は苦境に立つ都市を“救い出し”,負担を国民全体に肩代わりさせる用意があります。ゆえにすべての大都市が経済的な破たんに直面していると言うのは言い過ぎかもしれません。中には問題にうまく対処しているように見える都市もあります。しかし時勢は都市の味方ではありません。

      今日,多くの都市が置かれている窮状は,英国の都市の状態に関する次の報告によく示されています。

      「その組織はすりへっている。その行なう事業は,ますます多くが要求されているというのに規模も効果も減少しているのが普通である。政府が,ニューヨークと同じような破産状態にある市を“救い出す”事を拒絶するとは考えられない。それで都市はますます効果の少なくなる事業に多くの予算を使いながら苦闘してゆく事になろう。都市における生活の価値と同様,生活水準も低下の一途をたどるであろう。都市生活は交通と同じく,その進みがますます遅くなると思われる」。

      これはパトリック・ゲッデズの理論にいうパソポリス ― 病んで縮かんだ,死期を迎えた都市 ― が,今日の大都会の運命であるという事ですか。大都市にとって解決策はないのですか。

  • 都市問題の唯一の救済策
    目ざめよ! 1976 | 5月8日
    • 都市問題の唯一の救済策

      いいえ,より多額の金銭を投入し,社会福祉を充実させる計画が都市問題の救済策となるのではありません。そのような「援助」は都市の財政的破たんを早めたにすぎません。そうした計画は根本的な問題に触れてはいないのです。全米都市問題協議会の会長,ソル・リノウィツはこう書いています。都市の首脳部は往々にして,「人口過密のスラム街のことを,平静を保たせるため幾らかのお金を投げ込めばよい,へいで囲まれた飛び領土のようにみなしている。そうした見方は災いを招くだけである」。

      では何が救済策となりますか。専門家たちは根本的変化が必要であると言います。リノウィツ氏はこう語っています。「[市]債<ポンド>は財政的崩壊を回避するのに役だつ。しかし,相互の信頼と尊敬のうちに……人々を結び付ける別の種類の結束<ボンド>をどのように案出するかを学ぶまでは,我々の都市の中心問題を処理したことにはならない」― 1975年10月25日付,ニューヨーク・タイムズ紙。

      それに加え,米国テキサス州ヒューストンで,数百人の著名な科学者,学者,その他を集めて開かれた最近の会議において,別の根本的変化が提案されました。伝えられるところによると,多数の専門家は,次のことを勧めています,「暗たんとした,破壊をもたらす未来……」を避けるため,「人々は大都市から農村地方に戻るよう奨励されて,少人数でより集約的な仕事に従事することが必要である」― USニューズ・アンド・ワールドリポート誌,1975年11月3日,88ページ。

      しかし市民の大半が,どれほど早い時機に『相互の信頼と尊敬という結束を案出することを学ぶ』と思われますか。また,会社や,産業や市民の大半が,生産意識のより低い,より不便な生活様式に進んで戻ると考えられますか。たとえ政治指導者がそうした革新を図ったとしても,自分では制御できない力のために途方に暮れてしまうでしょう。そうした遠大な変化をもたらすのに必要な,先見の明のある指導力と権能がどこかに見いだされますか。

日本語出版物(1954-2026)
ログアウト
ログイン
  • 日本語
  • シェアする
  • 設定
  • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
  • 利用規約
  • プライバシーに関する方針
  • プライバシー設定
  • JW.ORG
  • ログイン
シェアする