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トランジスター ― 小粒ながらも電子工学の世界の力持ち目ざめよ! 1972 | 2月22日
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ヒ素の原子は原子1個につき五つの最外殻電子を持っているが,ゲルマニウムは四つの電子しか持っていないため,電子が多くなるからだ。それらの電子は非常にたやすく励磁して自由電子となる。
では,ホウ素やアルミニウムが半導体に添加されたらどうであろうか。これら二つの元素は最外殻電子を三つしか持っていない。だからゲルマニウムに比べて電子の不足が生じるため「空孔」ができ,その結果p型半導体が得られる。
半導体の層からできている
それで,トランジスターはp型半導体を二つのn型半導体でサンドウィッチ状にはさんだ層からなっている。これはn-p-n型トランジスターと呼ばれる,また,n型半導体を二つのp型半導体ではさんだ層からなるトランジスターもあり,これをp-n-p型トランジスターと呼ぶ。
増幅作用が起きるのは,これら半導体の接合箇所である。そのふたつの接合箇所を境にしてどちらの方向に電位,つまり電圧がかかっているかによって電流が自由に流れたり止まったりするから,接合箇所は整流する弁と考えられる。
超小型化
トランジスターは真空管に比べると小型で電力もほとんど必要としないが,トランジスターが可能にしたものよりさらに小型の電子回路の開発が新たになされた。それが集積回路,略称ICである。この新たに開発された回路では,トランジスターと,回路を構成する他の部品がいっしょにまとめられてひと続きの層になっている。その小さな箱は一つの回路の単一の部品(たとえばトランジスター)ではなく,回路そのものなのである。集積回路は超小型化を可能にした。
世界科学出版物年報サイエンス・イヤー誌(1968年版)は次のように述べている。「今日のICは6ミリ平方,厚さが1,000分の1センチである。トランジスターと同様,ICは熱として電力をほとんど消費しないから,冷却する必要が比較的少ない。…受像管と拡声器を除きすべてをICで作製したテレビ受像機は小さなマッチ箱に納まるだろう」。
全回路と,一つの回路の個々の部品との違いを,2リットル入りのミルクの容器と同じ大きさの箱を使って説明してみよう。その箱には,従来の部品100個ほどからなる回路一つがはいる。ところが集積回路の場合はどうであろうか。その同じ空間におよそ10億個はいるのである。
このように新たに開発された回路は実に驚嘆すべきものだ。超小型化の技術における人間の進歩は,電子工学の世界の小粒な力持ちであるトランジスターに負うところがはなはだ大きい。しかし,超小型化の技術それ自体はなにも目新しいものではない。人間の創造者は人間の頭脳を超小型化された。創造者はその狭い空間に約1,000億個の部品が働けるよう,人間の頭脳を設計なさったのである。
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ラビの推奨のことば目ざめよ! 1972 | 2月22日
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ラビの推奨のことば
◆ アメリカのミシガン州,デトロイトに住むあるユダヤ教徒の婦人は聖書を学びたいと思いました。ある日,婦人は,聖書を学ぶため教会かユダヤ教の会堂へ行かせてほしいと夫にたのみましたが,夫はそれを許さなかったので,彼女は,「では,成り行きを見守っていらしてね。わたしに聖書を教えたいという人がだれか来てくれますわ」と言いました。まさにその日の午後,エホバの証人がその付近の区域で戸別訪問を行ない,ある証人は最初にその婦人の家を尋ねました。聖書を学びたいと祈りのうちに願い求めていた婦人は,聖書を学ぶ援助をしたいとのエホバの証人の申し出に喜んで応じました。
しばらく聖書を学んだ後,その婦人は,エホバの証人のひとりとしてバプテスマを受けたいと夫に話したところ,夫はたいへん憤慨して,ラビを呼びました。ラビのことばはたいへん興味深いものでした。なぜなら,彼はこう語ったからです。「わたしたちの国では自由が認められているのですから,わたしたちは自分の望む仕方で崇拝を行なえます。エホバの証人はりっぱな人たちですし,彼らの崇拝は清くて純粋です。彼らは新約聖書を用いており,わたしたちはそれを用いてないという点を除けば,彼らに反対すべきことは何もありません。そのうえ,『汝らの事ふべき者を選べ』としるされているのです」。
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