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主題と要点をきわ立たせる神権宣教学校案内書
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聴衆はほとんどノートをとらなくても,話の結論までついて行けます。
11 もう1つの要素。要点の選定と用い方は聴衆および話の目的によって異なります。この理由で,学校の監督は自分が助言者として前もって任意に選んだ論点に基づいてではなく,研究生の要点の用い方に基づいて,その選び方を評価すべきです。
12 要点を選定するには,肝要な事がらだけを選んでください。それで,こう自問してください。ある論点が肝要かどうかは,どうしてわかるのだろうか。それを省いては話の目的が達成できない場合,それが肝要な論点なのです。たとえば,あがないの教理を知らない人とあがないについて話し合う場合,地上におられたイエスが人間であったことを確証するのは肝心です。さもないと,イエスの犠牲が,対応する質のものであることを立証するのは不可能になります。したがって,これは論議の要点の1つと考えられるでしょう。しかし,その人に対して,三位一体が誤った概念であることをすでに証明していたとすれば,イエスが人間として占めておられた立場を論ずるのは,単なる二次的な事がらとなるでしょう。なぜなら,相手はその点をすでに認めているからです。次に,イエスのあがないの対応する価値を確証するのは比較的に簡単でしょう。このような場合,イエスが人間であられたことを考慮するのは,肝要な論点ではありません。
13 ですから,次のように自問してください。聴衆はすでに何を知っているだろうか。わたしの目的を達成するには何を確証しなければならないのだろうか。もし,この最初の質問に対する答えを知っているなら,あなたは資料を集め,聴衆が知っている事がらはすべて一時的に除外し,残りの論点すべてをできるだけ少数の項目に分類することによって,2番目の質問にも答えられるでしょう。それからの項目は,あなたがどんな霊的な食物を聴衆に提供しようとしているかを明示する標識となります。そうした表示つまり要点は決しておおったり,隠したりしてはなりません。それらは要点ですから,目だたさねばなりません。
14-17. あまり多くの要点を取りあげるべきではありません。理由を述べなさい。
14 あまり多くの要点を取り上げない。どんな論題にしても,肝要な論点はごくわずかです。たいていの場合,その数は五指に満たないでしょう。このことは,話をする持ち時間の長短にかかわりなくあてはまります。あまり多くの論点を目だたせようとする,よくある落とし穴に陥ってはなりません。食料品店があまり大きくなって,商品の品目がふえすぎると,どこに何があるのか尋ねなくてはならなくなります。聴衆が一回の話でほどよく把握できる異なった考えは,ごく限られています。それに,長い話であればあるだけいっそうわかりやすく話さねばならず,かぎとなる論点はいっそう強力かつ明瞭に説明しなければなりません。ですから,聴衆にたくさんの事がらを覚えさせようとしてはなりません。ぜひとも覚えて帰ってもらいたいと思う論点を幾つか選定し,次いで,それらの論点を話すのに持ち時間全部をかけてください。
15 論点が多すぎるかどうかは,どうしてわかりますか。簡単にいえば,ある考えを省略しても,話の目的をなお達成できるなら,それはかぎとなる論点ではありません。話をうまくまとめるために,それをつなぎとして,あるいは思い出させるのに役だつものとして含める場合があるにしても,省略できない点と同様に目だたせるべきではありません。
16 もう一つの点ですが,おのおのの論点を首尾よく,また疑問の余地なく説明するには,じゅうぶんの時間が必要です。短時間に多くを話さねばならないときには,聴衆の知っている事がらを話すのは最小限にとどめてください。聴衆があまり知らない事がら以外はすべて除外して,肝心な点だけをはっきり述べてください。そうすれば,聴衆はそれらの点を容易には忘れないでしょう。
17 最後に,あなたの話はわかりやすいという印象を与えるものでなければなりません,これは必ずしも,提供される資料の量にかかっているわけではありません。要点を分析する仕方にかかっているのかもしれません。たとえば,品物を床の中央にいっしょにして積み上げているような店にはいろうものなら,万事ごちゃごちゃで戸惑ってしまい,何も捜せないでしょう。しかし,万事正しく陳列され,関連している品物はすべてまとめて,品目標識によって明示されているなら,見た目にも気持ちよく,どの品物でも容易に見つけられるでしょう。自分が考えた事がらをほんの2,3の主要な考えのもとに分類して,あなたの話をわかりやすいものにしてください。
18. 要点はどのように発展させるべきですか。
18 主要な考えは別々に発展させる。主要な考えはおのおの独立していなければならず,また別々に発展させなければなりません。これは,話の紹介のことばや結論の中で,本論の主要な題目のあらましを簡単に述べたり要約したりすべきではない,という意味ではありません。しかし,話の本論では,一時に1つの主要な考えについて話し,重複させたり,話を前に戻したりするようなことは,つながりや強調のために必要な場合だけにすべきです。それで,項目別の筋書きの作り方を学ぶのは,要点が別々に展開されているかどうかを見定めるのに大いに役だちます。
19-21. 補助的な点はどのように用いるべきですか。
19 補助的な点によって主要な考えに注目させる。証拠となる点や聖句その他提供される資料は,主要な考えに注意を向けさせ,それを敷えんするものであるべきです。
20 準備するさい,二次的な点すべてを分析し,論点を明確にしたり,証明したり,敷えんしたりなどして,問題の要点に直接貢献する事がらだけを残し,無関係な事がらはみな除外してください。それは問題を混乱させるだけです。
21 主要な考えと関連している点はいずれも,話し手のことばによって,そうした考えに直接結びつける必要があります。そうすることを聴衆にゆだねてはなりません。結びつきを明らかにしてください。どのように結びつくかを述べてください。普通,話さなければ,理解してはもらえません。おもな考えを表わす,かぎとなることば,もしくは要点となる考えを時々繰り返すことによって,そうした目的を果たせます。補助的な点すべてを用いて話の要点に注目させ,かつおのおのの要点を主題と結びつける技術を修得すれば,あなたの話はほれぼれするほどにわかりやすいものとなり,その結果,話しやすくて,しかも忘れがたい話を行なえるようになるでしょう。
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聴衆との接触とノートの用い方神権宣教学校案内書
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研究 28
聴衆との接触とノートの用い方
1. 聴衆との接触の重要性と,この点でノートの用い方が果たす役割を説明しなさい。
1 聴衆との十分な接触を保つことは,人を教える点で大きな助けとなります。それは聴衆の敬意をかち得るものであり,話し手はいっそう効果的に教えることができるようになります。話し手は聴衆との間にきわめて親密な接触を保ち,聴衆の反応をことごとく直ちに感じ取れるほどであるべきです。聴衆とのそうした接触を保てるかどうかを決める上で,ノートの用い方は重要な役割を果たします。詳しいノートは接触を妨げるおそれがありますが,ノートの用い方に熟達すれば,普通より多少長いノートを用いねばならない場合でも,それは接触をはばむものと
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