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    ものみの塔 1980 | 2月1日
    • 神の戦いを目前に控えた時代のクリスチャンの中立

      「平和を預言する預言者についていえば,その預言者の言葉が実現するとき,真にエホバが遣わされた預言者が知られるようになるのです」― エレミヤ 28:9,新。

      1 なぜ,秘術を非とするエレミヤ記 27章9節の言葉は,そのまま今日の世界情勢にも当てはまるのですか。

      「だから,あなたがたは,『あなたがたはバビロンの王に仕えはしない』と言っている,あなたがたの預言者,占いをする者,夢見る者,魔術を行なう者,呪術を使う者に聴き従ってはならない」。遠い昔,バビロニア帝国の全盛時代に語られたこれらの言葉は,そのまま今日の世界情勢にも当てはまります。なぜでしょうか。世界には今なお,夢見る者,魔術を行なう者,占い師,呪術を使う者が数多くいるからです。(エレミヤ 27:9,新)ワシントンのような世界の首都は,心霊術者がたむろしていることで知られており,途方に暮れた政治家たちは本気でそれらの秘術者たちにお伺いを立てます。政府の役人たちに助言や勧告を与えるのですから,易者,透視者,霊媒,夢を解き明かす者,将来の出来事を予言する者などの秘術者たちは,世の政治に重大な影響を及ぼすことができます。しかしこれらの心霊術者たちは,直接には政治に介入していません。

      2 世界の状態の推移を予告しているゆえに,聖書は政治問題に介入していますか。この点についてヨハネ第一 2章15-17節はどんな答えを与えていますか。

      2 ここに,あらゆる形の秘術を避けるよう読者に勧め,しかもこの20世紀の世界の状態の推移に関するあまたの預言を収めた古い本があります。その本は,現代の政治上の事柄について多くのことを語っています。では,そのことから,この本はわたしたちの時代の政治に介入していると言えるでしょうか。この本は,読者が人間の政治に手を出し,政治指導者に干渉することを勧めているのでしょうか。聖書はそのような本だと非難しようとする政治家たちに対し,そうではない,とわたしたちは答えます。聖書の最後のほうにある本の中で,クリスチャンの使徒ヨハネは次のように書いています。

      「世も世にあるものをも愛していてはなりません。世を愛する者がいれば,父の愛はその者のうちにありません。すべて世にあるもの ― 肉の欲望と目の欲望,そして自分の資力を見せびらかすこと ― は父から出るのではなく,世から出るからです。さらに,世は過ぎ去りつつあり,その欲望も同じです。しかし,神のご意志を行なう者は永久にとどまります」― ヨハネ第一 2:15-17。

      同じ使徒ヨハネが記した聖書巻末の本は,この世と世の政治がどのように過ぎ去るかを説明しています。

      3 宗教指導者はクリスチャンに,政治に対するどんな態度を勧めていますか。彼らはその裏付けとしてどんな聖書的な事例を指摘しますか。

      3 ところが,クリスチャンの中立を非とする発言を行ない,クリスチャンたるものはすべて今の世界の政治問題に積極的に関与する責務があると唱える宗教指導者たちがいます。法王,総主教,大司教の中にさえそのように言う人がいます。この主張を聖書から裏付けようと,彼らは,西暦前7世紀の祭司ヒルキヤの子であったエレミヤのような,昔のヘブライ人の預言者を引き合いに出します。事実,この記事の冒頭に引用されているエレミヤ記 27章9節の言葉は,エドム,モアブ,アンモン,ティルス,シドンの各王国から派遣された外交使節たちに語るよう,エホバがエレミヤにお命じになった言葉の一部でした。(エレミヤ 27:1-4)それで今は,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」が急速に近づきつつあるのですから,昔のこの時代に神がどのようにエレミヤをお用いになったかを調べてみましょう。エレミヤの例は,今日の真のクリスチャンが,キリストの取られた中立の立場を捨て,世の何らかの政治活動に手を出すことを正当化するものでしょうか。考えてみましょう。

      4 エホヤキムの治世第一年に,エホバはエレミヤを通し,ある状況のもとで神殿とエルサレムに対し何を行なうと言われましたか。

      4 話は西暦前628年,つまりバビロニア人がエルサレムを滅ぼす21年前にさかのぼります。この年はエルサレムを治めた最後から三番目の王,エホヤキムの治世の第一年にあたります。それから四年目にエレミヤは,バビロンのネブカデネザル王に関する,またエドム,モアブ,アンモン,ティルス,シドンなど20以上の王国に注がれるエホバの「杯」に関する預言を行ないます。(エレミヤ 25:1-3)エレミヤは問題の起こった年代を次のように記しています。

      「ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの王政の初めにこの言葉がエホバからあって言った。『エホバは言われた。「エホバの家の中庭に立て。あなたは,エホバの家で身を屈めるために入って来るユダのすべての都市の者に関し,わたしが彼らに話すようあなたに命ずるすべての言葉を話さねばならない。一言も取り去ってはならない。多分彼らは聴き,各々自分の悪の道から立ち返るであろう。わたしは,その行動の悪ゆえに彼らに施そうと考えている災難を悔やむであろう。またあなたは彼らにこう言わねばならない。『エホバは言われた。「わたしがあなたがたの前に置いたわたしの律法のうちを歩むことにより,わたしがあなたがたのもとに遣わす,すなわち早く起きて遣わしている預言者なるわたしの僕たち,あなたがたは彼らの言うことを聴かなかったのであるが,その言葉に聴き従うことにより,あなたがたがわたしの言うことを聴くことをしないなら,わたしとしても,この家をシロのそれのようにし,この都市を地のすべての国々の民に対する呪いとするであろう」』」』」― エレミヤ 26:1-6,新。

      5 前述の音信を伝えることによってエレミヤは祭司職と政治を混同していたと言えないのはなぜですか。

      5 エレミヤは祭司でしたが,神からのこの命令に従うことによって祭司職と政治的手腕を混同しようとしてはいませんでした。エレミヤは国家の益のためにエホバからの警告を与えていたに過ぎません。神からのその警告に留意するかどうかについては,政治支配者と国民の意志に委ねました。ユダ王国の国民はその神としてのエホバと国家的な契約関係にありましたから,エホバにはユダ王国に警告を与える権利と責任がありました。モーセを通して与えられた律法の中で,神はこの国民に警告を発し,神と人間の間の契約を破るとどんなことが生ずるかを示されました。ですから神の預言者エレミヤは,祭司としての手腕を政治家のそれと混同しようとしていたのではなく,契約関係にある神からの警告を人々に伝えていたにすぎません。人々がそれでもなおこの契約を履行しないときは,シロの幕屋の場合と同じように,エルサレムの神殿からもエホバの契約の箱が取り去られます。

      6 エホバからのどんな任務を受けていなかったために,エレミヤ級はキリスト教世界の政治問題に介入しなかったのですか。同世界について,エレミヤ級はイエスのどんな言葉に留意していますか。

      6 エレミヤはここで,国政に干渉する今日のキリスト教世界の僧職者の先例を残したわけではありません。現代のエレミヤ級に属する人々は,どんな国またどんな国家陣営の政治であろうと,政治には口を出す権限がないことを理解しています。キリスト教世界の諸国家の政治に対しても同じです。キリスト教世界がその主張に反して,エホバとの契約関係にないことをエレミヤ級は悟っています。同世界は,モーセよりも偉大なイエス・キリストを仲介者とする新しい契約に入っていると主張しますが,その主張には事実の裏付けがありません。したがってエレミヤ級に属する人々はキリスト教世界の諸国家に指図を与えたり,そうした国々の政治に積極的に関与したりする任務はエホバ神から与えられていないことを十分にわきまえています。彼らは非キリスト教諸国においてのみならずキリスト教世界においても,エホバの警告を忠実に伝えていますが,それは世の政治に関与することではありません。彼らは「世も世にあるものをも」愛することなく,「彼ら(は)世のものではない」というイエスの言葉に値する者の立場を保ちます。(ヨハネ 17:14,16。ヨハネ第一 2:15)したがって厳正中立を守り,どんな政治問題にも立ち入ることをしません。

      宗教上の反応

      7 エルサレム法廷で答弁を終えるにあたり,エレミヤは,エレミヤ記 26章12-15節によると,何と述べましたか。

      7 他の祭司たちやいわゆる「預言者たち」はエレミヤを,神殿への入口のところで君たちが行なう裁きの庭に,またそこにいた民の前にひきずり出します。祭司と預言者たちは人心を乱す事柄を語ったとしてエレミヤを糾弾し,「この人は死の裁きに値します。彼はまさしく,あなたがたが自分の耳で聞いたとおり,この都市に関して預言したからです」と言います。(エレミヤ 26:7-11,新)エレミヤはそれに対する答弁を終えるにあたって,エルサレムの法廷に対し次のように述べます。「ただ,もしあなたがたがわたしを殺すのであれば,無実の血を自分自身と,この都市と,その住民の上に置くことになるということを是非知っておいてください。真実に,エホバがわたしをあなたがたのもとに遣わして,これらのすべての言葉をあなたがたの耳に語るようにさせられたからです」― エレミヤ 26:12-15,新。

      8 エルサレムの“愛国主義者”に似て,キリスト教世界の僧職者はエレミヤ級に対し,どのような行動を取りましたか。

      8 エレミヤの血を追い求めた彼らは,何とはなはだしい国家主義の精神を示したのでしょう! この精神は法廷を熱狂させたに違いありません。それは,これに似た愛国的な主張が,現代の法廷を熱狂させたのと同じです。彼らを矯正しようとするエホバの訴えは無視されました。彼らは神のみ前に犯した罪には知らぬ振りをし自らの良心をなだめたのです。現代の油そそがれたエレミヤ級の関係した裁判の場合も同じでした。キリスト教世界の宗教指導者も,同様にきびしく処罰することを要求しました。彼らは自らのやましい良心のうずきから逃れようとして,エレミヤ級を殺せ,という叫び声を真っ先に上げたのです。

      9 エレミヤの裁判で裁判官の君たちは宗教的な勢力に屈しましたか。彼らが災いを避けたいと思ったのはなぜですか。

      9 エレミヤを死の宣告から救い出そうとした君たちの中にシャパンの子アヒカムがいました。これらの君たちは宗教上の圧力に屈することなく,エレミヤをエホバのまことの代弁者として認めていました。彼らは神の忠実な僕の罪のない血について神からとがめられることを望まず,エレミヤに有利な無罪の判決を下します。エレミヤの答弁から,人々は歴史に残るいくつかの実例を思い起こす気持ちになります。例えば,彼らは,ミカがユダとエルサレムに対して預言していたよくない事柄が起きるときに約100年ほど近づいていたのです。ヒゼキヤ王は,人心をかく乱し国家に害を及ぼす言葉を語ったとのかどでミカを処刑することに反対し,流血の罪を着ないようにしました。「そういうわけであるから,わたしたちは自分の魂に対して大いなる災難を引き起こしていることになります」と述べて,年長者たちはエレミヤの件を注意深く扱うことに賛成論を唱えます。―エレミヤ 26:16-19,24,新。ミカ 3:9-12。

      10 預言者ウリヤに対するエホヤキム王の行動は,ヒゼキヤ王のそれとどのような対照をなしていますか。

      10 ミカを通して与えられたエホバの警告に真剣な考慮を払ったヒゼキヤ王と対照的なのが,ヒゼキヤの孫の孫に当たり,今エルサレムの王位について一年目のエホヤキムです。この王はシマヤの子ウリヤを殺害させることによって,統治の第一年を早くも血で染めました。預言者ウリヤはエホヤキム王の怒りを逃れるためエジプトに落ち延びていましたが,復讐心に燃えたこの王は,人をやってウリヤを捜し出させ,力づくでユダの地に引き戻します。それでウリヤは殉教します。ウリヤを引き取ることについてエジプトと交渉したかどうかは何も記録されていません。(エレミヤ 26:20-23)エレミヤはエホバの命によってあのような預言をしましたが,その預言を行なう一層の根拠を,こうして新しい王の同じ第一年の後半に得ていたのです。これに関連して,エホヤキムをユダの王にならせたのはファラオ・ネコであったことに注目しなければなりません。(列王下 23:34,35)そうすると,ファラオ・ネコはエホヤキム王の犯罪の片棒をかついだのかもしれません。

      11 それでエホヤキムは自らどんな災いを身に招きましたか。

      11 エホヤキムは自らの手で災いを作り出していました。その統治の8年目にネブカデネザル王はエルサレムを攻撃し,エホヤキムを新しい世界強国バビロンに隷属する王としました。エホヤキムは三年後に不慮の死を遂げたものと思われます。その死体は「雄ろばが葬られる」ように,エルサレムの城壁の外に投げ捨てられました。まさにエレミヤが預言した通りです。(エレミヤ 22:18,19,新。歴代下 36:5-8。列王下 24:1-6)何と恐ろしいことでしょう。

      12 昔のエレミヤと同じように,現代のエレミヤ級はどのように宗教的分子の手による死を免れてきましたか。

      12 ヒルキヤの子エレミヤのように,20世紀のエレミヤ級も死を免れてきました。法廷はあらゆる裁判において,またあらゆる国において,キリスト教世界の強力な宗教的分子のあくどい欲望に屈してしまったわけではありません。エホバ神の妻のような組織を地上で代表するエレミヤ級の宗教的権利や自由を認めた裁判官もいたのです。ですから生じた出来事は,啓示 12章15,16節に描かれていることに酷似しています。つまり「地」の一般民衆の民主主義的な要素が神の「女」を代表する者たちの援助に赴き,エレミヤ級を呑み込んで絶滅させようとするサタン悪魔の宗教的な手下のもくろみを相殺したのです。

      13 エレミヤ級の人々は何を宣明し続けていますか。その間もどんな問題について妥協を拒んできましたか。

      13 エレミヤ級の人々は,ユダとエルサレムの現代版,また今の事物の体制の他の政治的な部分に対して告げ知らせるよう神から命じられたすべてのことを宣明し続けています。ところによっては“地下に”もぐらなければならないとしても,自分たちの宣明する事柄を無理にも実現させようとして,既存の政府の転覆を図ったりはしません。妥協させようとしてあちこちの政党が加えるあらゆる圧力にも抵抗します。クリスチャンの中立を放棄しようとはしないのです。

      14 エレミヤ級は戦いがだれのものであり,その戦いの後に地上はそこに住む人々にとってどのようなものになる,と認めていますか。

      14 このように妥協を拒むことによって,エレミヤ級は「世のものではない」立場を保っています。彼らは,全能者であるエホバ神がご自分のことはご自分で処理されることを良く知っています。その戦いは神のものです。エレミヤ級の人々が戦うべきものではありません。目に見えない悪霊の勢力がその超自然的な力をもって地の支配者たちを象徴的にハルマゲドンと呼ばれる世界情勢に集めつつある以上,「全能者なる神の大いなる日の戦争」は間近い,という確信のうちに,彼らはクリスチャンの忠誠の立場を固く守っています。(啓示 16:13-16)ですからエレミヤ級は自分たちの断固たるクリスチャンの中立がエホバの宇宙主権を擁護するものであることを喜びとしています。エホバの主権がハルマゲドンにおいて勝利を収めるのを目撃したあと,この地球は,エレミヤ級とその仲間のクリスチャンの中立を守る人々にとって,この上なく快適な場所となることでしょう。

      エホバの僕なる王に対する陰謀

      15 なぜ今は,人類史上最大の国際的な陰謀の時なのですか。啓示 14章12節によれば,このことは神を恐れるクリスチャンにとってどんな意味がありますか。

      15 しかし今は,聖書に従っている真のクリスチャンが,その中立と忠誠について特別な試みを受ける時です。そして人類史上最大の国際的な陰謀がもくろまれている時です。というのは,今は,現在のところ151の加盟国を持つ国際連合の時代だからです。国際連合のことを国際的な陰謀または策略と呼ぶのはなぜですか。それは国際連合がキリストによるエホバの王国の義の支配にできるだけ長期間対抗し,支持を与えまいとする人間製の組織だからです。勝利を得るのはどちらでしょうか。メシアによるエホバの王国でしょうか。それとも国際連合でしょうか。これにはすべての人の安全と平和が関係しています。世界を守る機関としての国際連合の時代がいかに試練をもたらすかについて,啓示 14章12節には,次のように予告されています。「ここが,聖なる者たち,すなわち神のおきてとイエスの信仰を守る者たちにとって,忍耐となるところである」。―イザヤ 8:12,13と比較してください。

      16 どんな国際的な陰謀が19世紀前に企てられましたか。詩篇 2篇1-4節が部分的に成就したことは何を予示するものでしたか。

      16 19世紀前には,キリストご自身に反対する国際的な陰謀,または協力が見られました。神はイエスの殉教をもたらすためにこの陰謀をお許しになりました。(使徒 3:13; 4:27; 13:28,29。テモテ第一 6:13)このことは詩篇 2篇1-4節に予告されていました。この詩も,この詩節が19世紀前に部分的な成就を見たことも,「世の王国」に対する全権利がエホバとそのキリストの手中に収められる時にめぐらされる,このお二方への国際的な陰謀のことを予示するものでした。―啓示 11:15-18。

      17 現代の世界的組織がだれに敵対して働くことをエホバの証人は認めていますか。彼らは今,1919年に取ったどんな立場をしっかり保っていますか。

      17 真実のクリスチャンは,現在の国際的な陰謀がエホバとそのキリストに敵対して働くものであることを認めます。ですからそれらの人々は,キリストが示されたような中立を保ちつつ引き続き耐え忍び,1919年にシーダー・ポイント(オハイオ州)で開かれた国際聖書研究者協会の大会で取ったこの立場をしっかりと守っています。そしてキリストによるエホバの王国は,世界の平和と安全のために提唱された国際連盟や,後にそれを引き継いだ現在の国際連合と対立するものであることを唱道します。預言者エレミヤ自身も現代に生きていたなら彼らと同様の立場をとったことでしょう。エレミヤはエホバの王なる「僕」の支配に対抗する同様の陰謀について,霊感による警告を与えたからです。

      18 エホヤキムの治世の第一年に,エレミヤは何を作るよう命じられましたか。それはある音信と共にだれのところへ送られることになっていましたか。

      18 そういうわけでエレミヤ記 27章に記されている預言は,現代にまで及ぶ意味を含んでいるのです。預言者の記録の内容は次の通りです。

      「ユダの王,ヨシアの子エホヤキムの王国の初め[西暦前628年]に,この言葉がエホバからエレミヤにあって言った。『エホバはわたしに言われた。「自分のために帯輪とくびき棒を作れ。あなたはそれらを首に付けねばならない。そして,あなたはそれを,エルサレムに,ユダの王ゼデキヤのもとにやって来る使者たちの手により,エドムの王,モアブの王,アンモンの子らの王,ティルスの王,シドンの王とに送らねばならない。そして,彼らにその主人に対する命令を与えて言わねばならない。『イスラエルの神,万軍のエホバは言われた。あなたがたは自分の主人に言うべきである』」』」― エレミヤ 27:1-4,新。

      19 ふつうのヘブライ語本文によれば,エレミヤはいつエホバの音信を与えられましたか。エレミヤがその音信に従って行動したのはどんなときでしたか。

      19 ここで注目できるのは,ユダとエルサレムを支配した王として二人の名前が挙げられていることです。まずエホヤキム,そしてエホヤキムの兄弟のゼデキヤです。ゼデキヤはエホヤキムおよびその息子エホヤキンに次いで王位につきました。エレミヤ記 27章1節のエホヤキムの名前が正確なら,エレミヤはこの預言を西暦前628年に与えられ,11年の間それを宣明しなかったことになります。しかし,ヘブライ語の三つの写本,シリア語訳,アラビア語訳のエレミヤ記 27章1節には「エホヤキム」ではなく「ゼデキヤ」の名があり,ここは現代の多くの聖書翻訳者たちが問題の箇所として指摘するところとなっています。a それはともかく,エレミヤがエホバの命令に従って行動を起こしたのはゼデキヤ王の治世中,エドム,モアブ,アンモン,ティルス,シドンの五つの隣国からゼデキヤ王と取引きするための使者がエルサレムにやって来たときのことでした。この時,ネブカデネザルがバビロンの王となってから少なくとも8年が経過しており,同王はエホヤキン王をバビロンに連れてこさせ,そのおじにあたるゼデキヤをエルサレムの王として即位させていました。ゼデキヤは隷属する王としてバビロンに忠誠を示さなければなりませんでした。

      20 使いが五人やって来たことにはどんな意味がありましたか。これらの使者が秘術を使う者たちの言葉に聴き従わないように告げられたのはなぜですか。

      20 五つの隣国からの使者は,協議の上やってきました。それは申し合わせた行動でした。エレミヤがこれらの使者に告げるよう命じられたことからすると,ネブカデネザル王に一致結束して反旗をひるがえそうとする陰謀がすでにもくろまれていたことは確実です。予言者や秘術を行なう者たちも反逆を勧めました。そうした理由でエレミヤは使者たちに次のように告げることを命じられたのです。「だから,あなたがたは,『あなたがたはバビロンの王に仕えはしない』と言っている,あなたがたの預言者,占いをする者,夢見る者,魔術を行なう者,呪術を使う者に聴き従ってはならない。彼らはあなたに向かって偽りを預言しているからである。あなたがたをその土地から遠くへ連れ去ってしまうためである。わたしはあなたがたを必ず追い散らし,あなたがたは必ず滅びうせるであろう」― エレミヤ 27:9,10,新。

      21 その時代,悪霊たちは関係する諸国家を駆り立てて何をさせようとしていましたか。

      21 悪霊たちが今,政治支配者たちを「全能者なる神の大いなる日の戦争」であるハルマゲドンに集めていると同じように,この時もその同じ悪霊たちが,エホバの「僕」ネブカデネザルに対する謀反を結託して起こそうと使者を遣わした国々の政治支配者を駆り立てていました。(啓示 16:13-16)必然的に,これら諸国家は,ユダのゼデキヤ王がその治世の9年目に反乱を起こしたとき,何の異議も唱えませんでした。

      22 エレミヤがエホバからの音信をこれらの使者たちに語ったことは政治に介入することではありませんでした。なぜですか。エホバはその音信の中でご自分の主権をどのように強調されましたか。

      22 エレミヤがエホバからの音信を五か国連合の使者たちに宣明したとき,エレミヤは政治に介入していたのではありません。エレミヤの神エホバは「諸国民の王」であられ,五つの国々に国家の大事にかかわる警告を与えることによって良いことを行なっていたからです。エホバはエレミヤに述べた言葉の中で,ご自身の宇宙主権を次のように強調されました。

      「わたしは,わたしの大いなる力と,差し伸べた腕とによって,地と,人間と,地の表にいる獣とを造り,それをわたしの目から見て正しい者に与えた。そして今,わたしは,これらすべての地を,バビロンの王,わたしの僕,ネブカデネザルの手に与えた。また野の野獣をさえ彼に与えて,これに仕えさせた。そして,すべての国々の民はこの彼に,彼の子[エビルメロダク]とその孫[ベルシャザル]に仕えねばならない。彼自身の土地に関する時が来るまで。そうすると,多くの国々の民と大いなる王たちが必ず彼を僕として利用する」― エレミヤ 27:5-7,新。列王下 25:27。ダニエル 5:1,11,18,22。

      23 バビロンへの隷属状態はどれぐらい続くことになっていましたか。エホバの布告にさからう国には何が生じることになりましたか。

      23 それで,バビロニア帝国に併呑された諸国家が奴隷のくびきを負わなければならない期間は長期にわたることになっていました。事実,それは70年も続きました。このような隷属状態は,エホバから命じられてエレミヤが作り,ゼデキヤ王を訪ねた外国の使者に与えた帯輪とくびき棒によって表わされていました。これらの国々の反乱も,神の布告を変えさせることはできませんでした。

      「『そして,彼に,すなわちバビロンの王ネブカデネザルに仕えない国民……その国民にわたしは必ず剣と,飢きんと,疫病とをもって注意を向けるであろう』― エホバのお告げ ―『わたしは彼の手によって彼らを消滅させるに至るまで』」― エレミヤ 27:8,新。

      24 なぜエホバの僕なる王,イエス・キリストは,今,敵のただ中で支配しなければならないのですか。

      24 エレミヤ級の時代の今日も,昔のゼデキヤ王の時代と同じように,賢明なのは悪霊たちの助言にではなく,主権者なる主の助言に留意することです。(エレミヤ 27:9-11)わたしたちは確かに,エホバに仕える王イエス・キリストに対する国際的な陰謀に巻き込まれたくはありません。政治支配者,特にキリスト教世界の政治支配者たちは,油注がれたエレミヤ級の行なう度重なる宣明によって知らされてきたにもかかわらず,国際連合の中にとどまるほうを選んでいます。(エレミヤ 27:12-15。啓示 17:12,13)彼らは国家主権に固執し,エホバに仕える王のくびきの下に入ることを頑として拒みます。政治支配者は1914年に異邦人の時が終わったことなど眼中になく,自分たちが,エホバに仕える王の全世界的な支配権にはむかう全世界的な陰謀に加担していることを悟りません。しかしエホバの「僕」のネブカデネザルによってゼデキヤがユダの王となることを許されたことは,キリスト教世界の内外を問わず,現代の政治支配者たちにもあてはまります。彼らは1914年以降も,政治上の事柄を扱い続けることを許されています。結果としてエホバの僕なる王は,今,その敵のただ中で,陰謀をめぐらす人々のただ中で支配しなければなりません。

      25 (イ)支配者たちが関心を示すことを拒んだため,エレミヤ級は音信をだれのもとに向けなければなりませんでしたか。(ロ)今すぐに解放される,と述べる預言者がエホバの預言者であるなら,彼らはまだ残されている器物について何を祈るように求められましたか。

      25 政治支配者がエホバの僕,つまり天で即位したみ子の「くびき」の下に入らないことを表明している以上,エレミヤ級は何をすべきでしょうか。人々に,個人個人に注意を向けることです。エレミヤ級は陰謀に組する者たちを人々に暴露しなければなりません。

      「エホバは言われた。『「見よ,エホバの家の器物は今すぐバビロンから戻される!」と言って,あなたがたに預言している,あなたがたの預言者たちの言葉に聴き従ってはならない。彼らはあなたがたに,偽りを預言しているからである。彼らに聴き従ってはならない。バビロンの王に仕えて,生き続けよ。どうしてこの都市が荒れ廃れた場所になってよいだろうか。しかし,もし彼らが預言者であって,確かにエホバの言葉が彼らと共にあるのであれば,彼らが,どうか,エホバの家とユダの王の家と,エルサレムとに残されている器物がバビロンに至ることのないよう,万軍のエホバに願うがよい』」― エレミヤ 27:16-18,新。

      26 エホバのお告げによれば,器物はすぐに戻されるどころか,残されている器物に何が生じることになっていましたか。

      26 エルサレムには依然として神殿がありそれを幾本かの柱が支えていました。その中庭には「海」と呼ばれる大きな水盤や小型の可動式水盤のための運び台や,祭司とレビ人が用いたその他もろもろの器物がまだありました。これらすべての神殿の付属品はどうなるのでしょうか。

      「イスラエルの神,万軍のエホバは,エホバの家と,ユダの王の家と,エルサレムに残された器物に関してこのように言われたからである。『「それらのものはバビロンに持って行かれ,わたしが注意を向ける日までそこにとどまるであろう」― エホバのお告げ ―「そして,わたしはそれを携え上り,それをこの場所に戻す」』」― エレミヤ 27:19-22,新。

      27 (イ)エホバのお告げは国際的な陰謀について何を示していましたか。(ロ)それで,わたしたちはどんな道を選べば,新秩序でエホバの陸軍元帥による勝利の実にあずかることになりますか。

      27 このエホバのお告げは何を意味していたのでしょうか。それは,エホバの僕の支配にはむかう国際的な陰謀は水泡に帰す,ということです。事態を予告した宗教的な予言者や秘術を使う者たちが誤っており,盲信的な人々を破滅へと導いていたことが明らかにされるに違いありません。彼らに聴き従わないのはわたしたちの安全のためです。わたしたちは,国際連合などの国際組織にではなく,エホバの僕なる王イエス・キリストによるエホバの王国にこそ信頼を置かなければなりません。今の世界の政治問題や抗争に対するクリスチャンの中立という点で,わたしたちは,エホバが任命された方,来たるべきハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」でエホバがご自分の配下の陸軍元帥として支援される方と喜んでくびきを共にします。そうすることによってわたしたちは,エホバの義の新秩序における栄光ある勝利の実にあずかることになるのです。

  • キリスト教世界の偽預言者に対する神の裁き
    ものみの塔 1980 | 2月1日
    • キリスト教世界の偽預言者に対する神の裁き

      1,2 (イ)良い事が実現するという何の根拠もない預言によって,わたしたちはどんな誘惑にさらされますか。(ロ)今,決着をつけなければならない最重要な問題とは何ですか。何によってそれは前面に押し出されましたか。

      人情の常として,人は,良い事が今すぐ,自分の生きているうちに実現するという預言や予告を聞くのが好きです。このことは大きな誘惑となります。確かな根拠があり,権威ある源から出ているからというより,好感が持てるという理由で何かの予告を真実なものとして受け入れたくなるかもしれません。そのためにある行動に走り,結果として自分の身に害を招くことになるかもしれません。わたしたちの永遠の将来が関係している場合,その害は特に大きなものとなります。今はまさしくそうした状況にあります。なぜでしょうか。

      2 それは,決着をつけなければならない最重要な問題が,今,全人類の真ん前に置かれているからです。その問題とは,世界支配を行なうのはだれか,ということです。この顕著な問題を前面に押し出したものは,自由企業制の資本主義国家と統制が加えられている共産主義国家との間の終わりのない抗争ではなく,むしろ,エホバのクリスチャン証人たちが行なってきた,キリストによる神の王国をふれ告げる業でした。異邦人の時が1914年に終了した以上,その王国は支配していて然るべきです。

      3 (イ)そのため人々は,どんな問題について,はっきりした立場を取らなければなりませんでしたか。(ロ)異邦諸国家はなぜその主権をエホバに委譲すべきですか。

      3 約190の言語で世界中で行なわれている王国宣明の声を聞いてきた人々は,どうしても自分の立場を決めなければなりませんでした。彼らは今,キリストによるエホバの義の支配を支持する側にいるでしょうか,それともいないでしょうか。わたしたちの住むこの地球は創造者の財産であって,被造物である人間のものではありません。創造者の本である聖書の時の計算によると,キリスト教世界の諸国家を含め,地上の国々が世界を支配することを創造者から許されていた期間は,1914年の初秋に尽きました。神はこの異邦人の時の終わりをどのように印づけられたでしょうか。それは,王として支配するためにその「偉大な力」を執り,天的なみ子イエス・キリストを,天からの世界支配に加えることによりました。(啓示 11:15-18)したがって,み子は現在統治しておられます。(エゼキエル 21:25-27)今こそ異邦諸国家がその主権をエホバに委譲すべき時なのです。

      4,5 (イ)西暦前614年の昔に,中東はどんな災厄を迎えようとしていましたか。(ロ)その時に,エルサレムの神殿の器物はどうなっていましたか。その器物に関するハナニヤの預言はどんな場合にのみ実現可能でしたか。

      4 西暦前614年の昔にも,ユダ王国は同じような局面を迎えていました。世界的災厄が近づきつつありました。どこから? 神が『北の氏族』と呼ばれたところからです。それは北方のルートを通って中東を攻略することになっていた世界強国バビロニアのことでした。(エレミヤ 1:13-15; 25:9,26)中東はすでにバビロンの王ネブカデネザルの統治下にありました。エルサレムのエホヤキムがバビロンに隷属する王となった西暦前620年以後は特にそう言えます。エホヤキムの兄弟であるゼデキヤは聖都を治めた最後の隷属する王となりました。ネブカデネザルが忠誠の誓いをさせてからゼデキヤを王位につけたのです。ネブカデネザルはエルサレムから自国へ帰る際に,王位を剥奪されたエホヤキンとユダヤ人の貴人たちを連れて行きました。またエホバの神殿から神聖な器物をバビロンに持ち帰り,偽りの神々の家にそれを置きました。エルサレムから略奪したこれら神聖な器物や他の貴重な品物はいつまでバビロンにとどめ置かれることになっていましたか。この問題はゼデキヤの治世第四年に,激しい論議の的となりました。

      5 アズルの子でハナニヤという名の偽預言者はおこがましくもエホバの名によって語り,「丸二年」という具体的な数字を挙げます。それは二年以内にバビロンが滅ぼされ,エジプトが世界強国に返り咲かない限り,実現するものではありませんでした。バビロンに敵対的な予告をすることにより,ハナニヤは,バビロンのネブカデネザルに対抗して多くの国々が蜂起することを願う人々を支援していたのです。ですからこれは,エレミヤが以前に宣明していたエホバの布告や忠告とは相入れないものでした。

      6 エレミヤ記 28章8,9節によれば,ハナニヤの預言はエレミヤ以前の預言者のそれとどのように異なっていましたか。

      6 ハナニヤがユダの地に対する偽りの希望を吹きこんだため,エレミヤは,すべての祭司と民の前で行なった神殿での答弁を終えるに際し,次のように述べました。「昔から,わたしよりも,またあなたよりも前にいた預言者たちについていえば,彼らもまた,多くの地や,大いなる王国に関し,戦争と災難と疫病とを預言したものです。平和を預言する預言者についていえば,その預言者の言葉が実現するとき,真実にエホバが遣わされた預言者が知られるようになるのです」― エレミヤ 28:1-9,新。

      7 イエス・キリストは1914年以降のわたしたちの時代について,何を予告されましたか。今日,真実を語るものについて,どんな疑問が生じていますか。

      7 エホバの預言者のうち最大の方であられるイエス・キリストが予告されたことによれば,1914年以降のわたしたちの時代には,戦争,飢きん,疫病,地震などの災いが起き,このすべては人類史上類例のない「大患難」でその頂点を迎えます。(マタイ 24:4-22)今日,エホバの証人たちは,イエスの預言が1914年以来どのように漸進的に成就してきたかを指摘しています。イエスは,間近い将来,この世代のうちに,今の世のための永続的な平和がもたらされるとは予告されませんでした。ではエホバが遣わした者,エホバの名において語っている者とはだれですか。イエスの述べられたことと正反対の預言を行なうキリスト教世界の僧職者ですか。それとも現代のエレミヤ級でしょうか。どちらが真実を語っているかは将来の出来事が証明するでしょう。

      8 エレミヤの答えを聞いたあと,ハナニヤはどんな過激な行動に出ましたか。それからあることが起こる時についてどんな預言をしましたか。

      8 偽預言者ハナニヤは,多くの国々がエホバの「僕」に対抗して蜂起すれば,必ず成功すると信じて疑わなかったに違いありません。ハナニヤは次のような過激な行動に出たからです。

      彼は「預言者エレミヤの首からくびき棒を取り,それを砕いた。そしてハナニヤは民すべての目の前で言った。『エホバは言われた,「このようにわたしは丸二年以内にすべての国々の民の首からバビロンの王ネブカデネザルのくびきを砕くであろう」』」― エレミヤ 28:10,11,新。

      9 それからエホバは,くびき棒について何を話すようにとエレミヤにお告げになりましたか。なぜですか。

      9 しかしこのような預言は,それがエホバのみ名によって宣明されたからといって実現するものなのでしょうか。そうではありません。エホバは,ハナニヤの預言したことを果たされると同時に,まったく逆のエレミヤの預言を成就させることはおできになりません。ですから,エホバが「僕」と言明された者に対する国際的な反逆は,必ず失敗します。次いでエホバはエレミヤに次のように述べられました。「行って,あなたはハナニヤに言わなければならない。『エホバは言われた,「木のくびき棒をあなたは砕いたが,その代わりに鉄のくびき棒を作らなければならなくなる」。イスラエルの神,万軍のエホバはこう言われたからである。「鉄のくびきを,わたしはこれらの国々の民すべての上に置き,バビロンの王ネブカデネザルに仕えさせる。彼らはこれに仕えなければならない。また,野の野獣をも,わたしは彼に与えよう」』」。(エレミヤ 28:12-14,新)その結果,ハナニヤが扇動した国際的な陰謀は成功しませんでした。そればかりか,「野の野獣をも」ネブカデネザルの手に渡すため,エホバは国際的な陰謀者たちの土地をネブカデネザルに与えることになりました。

      宗教上の首謀者は当然の報いを得る

      10 ハナニヤのようにエホバに対する国際的な陰謀を支持する僧職者に関して,エレミヤ級はどんな行動を取る権限が与えられていますか。

      10 今日,キリスト教世界の僧職者の地位にある預言者たちは,キリストによるエホバの王国に敵対する国際的な陰謀をあからさまに支持しています。その中のだれに対してであっても,死を宣告する権限はエホバの証人にありません。が,霊感によるエホバのお告げを取り上げ,それを一つの級としてハナニヤが予表していた僧職者階級の偽預言者たちに適用することはできます。ではここで,エレミヤが示した預言的な行動を調べてみることにしましょう。

      「次いで預言者エレミヤは預言者ハナニヤに言った,『ハナニヤよ,どうぞ,聴きなさい! エホバはあなたを遣わされなかったのに,あなたがこの民を偽りに頼らせるようにさせました。それゆえに,エホバは言われた,「見よ,わたしはあなたを地の面から追い払う。今年,あなた自身必ず死ぬ。あなたはエホバに対しあからさまな反逆を語ったからである」』」― エレミヤ 28:15,16,新。

      11 (イ)ハナニヤはいつまで生きましたか。(ロ)キリスト教世界の僧職者は,ハナニヤに似て,何に関して有罪ですか。そのためエレミヤ級は何を指摘しなければなりませんか。

      11 多くの国々を集めてエホバに対するあからさまな反逆を起こそうとした首謀者のハナニヤは,その後約2か月間生き延びたに過ぎません。「そうして,預言者ハナニヤはその年[西暦前614年]の第七の月に死んだ」と記されています。(エレミヤ 28:17,1,新)古代のこの預言的な劇に照らしてみるとき,現代のキリスト教世界の僧職者階級の偽預言者たちはどうでしょうか。彼らは政治支配者たちを支持し,古代のネブカデネザルよりはるかに偉大な,エホバの僕なる王のくびきの下に入ることを拒んでいます。エレミヤ級はこの点についてそれらの僧職者と袖を連ねることはできません。これらの僧職者が人々を災いへ導いているということを知らせ続けなければならないのです。

      12 エホバは,すでにバビロンに流刑にされたユダヤ人のために,偽預言者アハブとゼデキヤに関する音信をエレミヤに与えました。その音信とはどんなものですか。

      12 中東の政情が不安定だった昔のその時代に,すでにバビロンに捕らえられていたユダヤ人の中にも偽預言者がいました。ネブカデネザルの国に流されたユダヤ人たちに偽りの希望を吹き込んでいたえせ預言者たちに,神はエレミヤを通して次のような音信をお与えになりました。

      「それで,あなたがたは,わたしがエルサレムからバビロンへ追いやった流刑の民すべてよ,エホバの言葉を聞きなさい。イスラエルの神,万軍のエホバはコラヤの子アハブに関し,またマアセヤの子ゼデキヤにこのように言われた。彼らはわたしの名によって,あなたがたにこう偽りを預言している者たちである。『見よ,わたしは彼らをバビロンの王ネブカデネザルの手に渡し,彼はあなたがたの前で必ず彼らを打ち倒す。そして,彼らから,呪いがバビロンにいるユダの流刑囚の全集団に関してなされ,こう言うであろう。「エホバがあなたを,バビロンの王が火で焼いたゼデキヤや,アハブのようにされるように!」 彼らがイスラエルで無分別なことを行ない,その友の妻と姦淫を犯し続け,わたしが彼らに命じなかった言葉をわたしの名によって偽って語り続けるからである。「そして,わたしは知っている者であり,証人である」― エホバのお告げ』」― エレミヤ 29:20-23,新。

      エホバの「僕」であるネブカデネザルがゼデキヤとアハブを火で焼いたことには,政治上の理由が十分にあったに違いありません。この二人はエホバの助言に逆らい,帝国バビロンの国益に反する行動に走っていたからです。

      13 ユダヤ人の流刑囚はバビロンからすぐに解放されることを期待すべきでしたか。エレミヤの手紙は彼らに何をすることを勧めましたか。

      13 前述の言葉は,流刑にされた年長者,祭司,預言者,遠隔の地バビロンにいる民にエルサレムから送られたエレミヤの手紙の一部です。この手紙は,エルサレムのゼデキヤ王がバビロンのネブカデネザル王に派遣した,シャパンの子エラサとヒルキヤの子ゲマリヤという二人の使者の手に託して送られたものでした。(エレミヤ 29:1-3)エホバがエレミヤのこの手紙の中で流刑囚に告げておられたのは,バビロンからすぐに解放されると期待してはならない,バビロンにとどまり結婚して子孫をふやすように,ということでした。エホバは語られました。反逆を企てるのではなく,「わたし[エホバ]があなたがたを流刑に処した都市の平安を求め,その都市のためにエホバに祈れ。その平安のうちに,あなたがた自身の平安もあることになるからである。……エホバは言われたからである,『バビロンで七十年が満ちるに応じて,わたしはあなたがたに注意を向けるであろう。わたしはあなたがたをこの場所に連れ戻すことにより,わたしの良い言葉をあなたがたに対して確立する』」― エレミヤ 29:4-10,新。

      14 エレミヤ級は古代の預言者のように,あらゆる場所に住むバプテスマを受けたクリスチャンに,どんな諭しを与えていますか。

      14 エレミヤの残した型に従い,現代のエレミヤ級も,献身しバプテスマを受けたエホバの証人たちすべてに,霊的な意味で「外国人また寄留者」として住む国で,法律を守り平和を保つ市民となるよう諭します。(ペテロ第一 2:11-15)「上にある権威」に相対的な服従を示すことにより,彼らは神との平和も保っています。―ローマ 13:1-4。

      15 バビロンにいた偽預言者シマヤは何を行ないましたか。シマヤはエルサレムの神殿の「最高の監督者」にどんな不平をもらしましたか。

      15 エレミヤの手紙がしたためられ送られる前に,当時バビロンで流刑の身にあった一人の偽預言者つまりネヘラミのシマヤが,エルサレムの神殿の「最高の監督者」であった,マアセヤの子ゼパニヤに手紙を書き送っていました。そのためエホバは,バビロンの流刑囚にあてたエレミヤの手紙の中でこの点にふれ,次のように語られました。

      「そしてネヘラミのシマヤは,あなたは言うであろう,『イスラエルの神,万軍のエホバは言われた。「あなた自身があなたの名によって,エルサレムにいる民すべてと,祭司,マアセヤの子ゼパニヤと,すべての祭司とにこう手紙を書き送ったためである。『エホバが祭司エホヤダの代わりにあなたを祭司とされましたが,それはあなたがエホバの家の最高の監督者となって,気違いで預言者のように振る舞う者に対するためで,あなたはその者を足かせとさらし台にかけなければなりません。さて,そうであれば,あなたがたに対して預言者として振る舞っているアナトトのエレミヤをなぜあなたは叱らなかったのか。だから,彼はバビロンの我々に人を遣わして言う,「それは長引く! 家を建ててそこに住み,園を設けて,その実を食べよ ―」と』」』」― エレミヤ 29:24-28,新。エレミヤ 29章4-6節と比較してください。

      16 神殿の「最高の監督者」はシマヤからの手紙をどのように扱いましたか。その時エレミヤは霊感を受け,シマヤについてどんな預言をしましたか。

      16 ところがシマヤの手紙を受け取った祭司ゼパニヤは,神殿の「最高の監督者」として,エレミヤを足かせとさらし台にかけることはしませんでした。ゼパニヤは先にその手紙をエレミヤに読み聞かせます。(エレミヤ 29:29)それからどうなりましたか。

      「それから,エホバの言葉がエレミヤにあって,言った,『流刑の民すべてに人をやって,言いなさい,「エホバはネヘラミのシマヤに関してこう言われた。『シマヤはあなたがたに預言し,しかもわたしが彼を遣わしたわけでもないのに,彼はあなたがたに偽りを信頼させようとしたので,それゆえに,エホバは言われた。「見よ,わたしはネヘラミのシマヤと,その子孫とに注意を向ける。彼はこの民の中に住む人を持つようにはならない。彼はわたしがこの民のために行なっている善いことを見ることはない」― エホバのお告げ,「彼はエホバに対しあからさまな反逆を語ったからである」』」』」― エレミヤ 29:30-32,新。

      17 シマヤが助長したバビロンに対する反逆がエホバに対する反逆ともなったのはなぜですか。

      17 シマヤはそのような預言をしたり手紙を書き送ったりして,バビロニア世界強国の宿敵であったエジプトのファラオを後ろだてにしていたエルサレムのゼデキヤ王の反逆を助長しました。しかしその反逆は,バビロンに敵対することだけにとどまらず,当時そのバビロンの王を「僕」として用いていたエホバ神にも敵対するものでした。したがってエホバはバビロン王の天的な主人でした。そうなれば,バビロンに対する反逆は,何よりもエホバに対する反逆となります。

      クリスチャンの中立を保ちつつエホバを待ち望む

      18 シマヤはどのようにエホバを差しおいて行動しようとしましたか。それはシマヤとその子孫にどんな結果をもたらしましたか。

      18 バビロンにいたシマヤは,自分を含むユダヤ人の流刑囚がエホバによって解放される時を待ちたいとは思いませんでした。すでにイザヤ書 44章28節から45章4節に述べられているように,コーレッシ,つまりペルシャのクロスがバビロンを滅ぼし,ユダヤ人の流刑者を故国に復帰させることになるという預言を信じていませんでした。したがってシマヤはエホバを差しおいて行動することを願っていました。自分と仲間の流刑囚を,自分勝手な方法で救い出そうと図っていたのです。バビロンの王からの「鉄のくびき」が,属国となったユダに課せられることになる道を好みました。(エレミヤ 28:13,14,新)ゆえに反逆者シマヤには何の解放ももたらされません。その子孫は切り断たれ,イスラエルの回復にもあずかりません。

      19 昔のシマヤに相当する現代のシマヤは,1914年以来どのような道を追い求めていますか。

      19 今日のわたしたちがエレミヤ記 29章8,9節に示されているエレミヤの手紙の中の助言に注意を払うのは良いことです。そうすれば,エホバの取り決めに対する反逆を扇動した,昔のネヘラミのシマヤに相当する現代のシマヤに倣うことはないでしょう。キリスト教世界の僧職者は異邦人の時が終わった1914年以来,エレミヤ級に聴き従うことをせず,今や「悪くて食べられない,口の割れたいちじく」のようであることを証明してきました。僧職者たちは,イエス・キリストが預言し,1914年以来成就している「しるし」,つまり世界的な規模の戦争の「剣」,破壊的な「飢きん」,手に負えない「疫病」,クリスチャンであるととなえるキリスト教世界においてさえ助けのない人々が『散らされること』などの「しるし」の様々な特色に注意を促されてきました。(エレミヤ 29:16-19,新。マタイ 24:4-20)いまだに僧職者たちは,聖書に説明されている「しるし」の意味を信じないと公言し,諸国家に対して,統治を開始したエホバの僕なる王,イエス・キリストに自国の主権を譲り渡すようにと勧めることもしていません。イエス・キリストは1914年以来,ネブカデネザルのバビロニア帝国よりはるかに大きい「世の王国」を天の父と共に所有しています。僧職者は人間の立てた計画に賛意を示し,神の支配よりも国際連合を支持しています。

      20 支配権に対する反逆者にはどんな当然の罰が科されますか。

      20 今日の世の諸国家の間でも,適正に取り決められた支配権に反逆すれば,当の反逆者は死刑に処されます。同様に,エホバとその僕なる王に対し,キリスト教精神に反して反逆するなら,『エホバに対するあからさまな反逆』を語る,いわゆる“クリスチャン”の宗教指導者たちは滅びを刈り取ります。(エレミヤ 29:32,新)彼らの滅びは,偽預言者シマヤとその子孫の上にもたらされた滅びによって予表されていました。シマヤとその子孫は,エホバがご自分の流刑囚の従順な人々のために行なおうとしておられた「善いこと」を見ませんでした。ですから,人間の考え出した方法で自分たちを救い出そうとして急ぐのは,わたしたちに課せられた任務ではありません。永続的な救いは,エホバが,コーレッシつまりペルシャのクロスより偉大な「僕」,イエス・キリストによって救出してくださる時を忍耐強く,確固たる信頼をもって待ち望むことにかかっています。

      21 従順な流刑囚についてエレミヤ記 29章12-14節に予告されているエホバの言葉によれば,わたしたちはどんな歩み方に倣うべきですか。

      21 エホバを差しおいて行動しようとすることは,わたしたちが熱望している救いをもたらすものではありません。エホバに背を向けたり,エホバを度外視したりするのではなく,エホバの救いを見た人々,エホバのお選びになった時に故国に復帰できた人々に倣うのは良いことです。エホバはわたしたちが見倣うべき彼らの歩み方を,次のような言葉をもって予告されました。「そして,あなたがたは必ずわたしを呼び,来て,わたしに祈るであろう。わたしはあなたがたの言うことを聴く。そして,あなたがたは実際わたしを求め,わたしを見いだすであろう。あなたがたは心を尽くしてわたしを捜し求めるからである。そして,わたしはあなたがたに見つけられるようにしよう」― エレミヤ 29:12-14,新。

      22 エホバの「善意の年」を考えると,わたしたちは将来のどんな希望に基づいて行動すべきですか。

      22 わたしたちは今,「エホバの側の善意の年」がまもなく終わろうとする時にいます。(イザヤ 61:2,新)ですからわたしたちに有利な神の次の言葉は,今でもわたしたちにあてはまるのです。「『わたし自ら,わたしがあなたがたに対して考えている考えをよく知っているからである』― エホバのお告げ ―『それは平安についての考えであって,災難についてではない。あなたがたに将来と希望を与えるためである』」。(エレミヤ 29:11,新)エホバがわたしたちのためにお考えになった「将来」は,もしわたしたちが今その宇宙主権に従うなら,非常に喜ばしいもの,神の僕なる王イエス・キリストを通してもたらされる,平和で繁栄した幸福な永遠の生命となります。これこそエホバがわたしたちの前に置いておられる希望なのです。ですから深い感謝の念を抱き,その希望に一致して行動しようではありませんか。

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    ものみの塔 1980 | 2月1日
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      パウロは暴力を擁護したか

      ● ドイツ連邦共和国のザールブリュッケンナー・ツァイトゥング紙によると,コルシカ人テロリストの裁判で証人となった,84歳の僧職者,ベルトーニ“神父”は,「私はやむを得ない場合には暴力をふるうことを支持する」と語りました。テロを支持する自分の立場を裏付けようとして,この僧職者は使徒パウロについて次のように語りました。「パウロは,『血を流すことなしには,罪のゆるしはあり得ない』と述べた」。しかし,地方検事はそれに反論し,「パウロがテロの問題について助言を与えているとは驚きだ」と述べました。

      パウロの語った血というのは,イエスの血のことであって,暴力を支持することとは何の関係もありません。(ヘブライ 9:22)さらに,パウロが暴力を支持したはずのないことは,『わたしはすべての人の血について潔白です』というパウロの言葉からも分かります。(使徒 20:26)また,パウロはイエスの勤勉な追随者でしたが,そのイエスはペテロに向かってこう言われました。「あなたの剣を元の所に納めなさい。すべて剣を取る者は剣によって滅びるのです」。(マタイ 26:52)さらに,パウロは次のように諭しました。「だれに対しても,悪に悪を返してはなりません。……すべての人に対して平和を求めなさい。わたしの愛する者たち,自分で復しゅうをしてはなりません。むしろ神の憤りに道を譲りなさい。こう書いてあるからです。『復しゅうはわたしのもの,わたしが返報する,とエホバは言われる』」。(ローマ 12:17-19)このように,パウロは,当時の政治的な紛争に関して,厳正中立の立場をくずしませんでした。―ヨハネ 17:16。ヤコブ 1:27。

      地獄の火に関する警告

      ● バチカン当局は,最近,悔い改めない罪人は死んでから火の燃える地獄へ行くという信条を再確認しました。バチカン当局は,法王ヨハネ・パウロ二世に代わって司教たちに宛てた手紙の中で,地獄に関する信条はローマ・カトリック教の主要な教えであり,それに対する疑念を広めることに警告を発しました。

      しかし,神ご自身の霊感によるみ言葉は,自分たちの子供を燃える炎の中に投じて偽りの神々への犠牲とした人々について,次のように述べています。「そして,彼らは,その息子や娘を火で焼くために,ヒノムの子の谷にあるトフェトの高き所を築いた。これはわたしが命じたこともなく,わたしの心に上りもしなかったことである」。(エレミヤ 7:31,新)確かに,そのような事柄は,「[神の]心に上りもしなかった」,と神は述べておられます。それでは,人々を永遠の責め苦に遭わせる方として,その方を非難すべきでしょうか。

      神の言葉は,とこしえの責め苦ではなく,死(無存在)が罪の報いであるとして,次のように述べています。「罪を犯している魂 ― それ自体が死ぬ」。(エゼキエル 18:4,新)聖書は,はっきりとこう述べています。「生きている者は自分が死ぬことを意識しているが,死んだ者は,何事をも全く意識して(いない)。……あなたの行こうとしている場所,シェオル[「墓」,欽定訳。「地獄」,カトリック・ドウェー訳]には,業も企ても知識も知恵もないからである」。(伝道 9:5,10,新)聖書はまた,『義者と不義者との復活があるという希望を神に対して持つ』ようわたしたちを励ましています。―使徒 24:15。

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