エホバの救いのわざを経験した，ナイジェリアのエホバの証人

エホバの証人の1971年度年鑑に載せられたナイジェリア，ラゴスからの報告

昨奉仕年度中のわき立ったでき事の一つは，12月17日から21日にかけて，イレシャで開かれた「地に平和」大会でした。それは内戦が最が激烈な時で，イボ族のエホバの証人たちは出席できませんでしたが，それでも9万7,201名の出席者がありました。暴動や内戦に対して，エホバの証人が中立であることはよく知られているので，軍隊はエホバの証人に全面的な協力をしてくれました。乗り物の通行を認めてくれただけでなく，大会に行き来するエホバの証人に関して「…礼儀正しく扱い，必要ならば援助せよ」との指示を，すべての道路上の防塞に書面で通達してくれました。

「ビアフラ住民」の分離と独立政権樹立の試みは失敗し，内戦は1970年1月15日に終わりました。わたしたちはその地域に直行して，仲間の証人を再組織し，食糧･医薬品･衣料品を供給してその欠乏を助けました。また，救援および復旧活動のためにわたしたちが当地で集めた寄付金の補助として，ものみの塔協会会長事務所から1万ドル（360万円）を贈られたことを感謝しています。わたしたちの兄弟は，非常に苦しい経験をしました。空襲･飢餓･病気による，表現できないほどの苦しみを忍耐しただけでなく，エホバの証人であるがゆえに，徴兵運動の件で激しく痛めつけられ，迫害を受けました。奇蹟的な救出をいく度となく経験したナイジェリアの証人たちは，今や，エホバが救いのわざを施してくださる神であることを知りました。生き埋めになった人や射撃隊に撃たれた人，殴打され見殺しにされそうになった人，縛られて火あぶりになった人などが救われた例があるのです。軍隊に加わることを拍絶したために，数名の証人は殴打され，ついに死亡しました。戦争が直接の原因となって死亡したのは約12人で，そのうちの数人は妻や娘が強姦されるのを防ごうとして殺されました。妥協したのはわずか12人ほどにすぎません。また，クワシオルコルという名前の病気にかかって，200人近くの子どもと数名のおとなが死亡しました。事実上すべての王国会館が略奪され，そのうちの50ほどの王国会館は完全に破壊され，さらに他の50の会館は空襲や地上での戦闘のために，その一部に破損を生じました。

ビアフラの一将校は，エホバの証人たちに武器を取らせようとあらゆる手段を試みました。他の宗教の人々を入隊させることは簡単でしたが，エホバの証人に対する彼の試みは失敗しました。ある報告は次のように伝えています。「戦争が終わった時，その同じ将校がある証人の家を訪れ，自分もエホバの証人になりたいという希望を明らかにしました。軍隊の営舎で証人たちが忠誠と中立を保ったことから彼は確信を得，『わたしはそれが真の宗教であることを知っています』と語りました。現在彼は，バプテスマを目ざして聖書研究をしています」。かつてのビアフラの将校や兵士たちは大ぜい，エホバの証人とともに，平和な道を学んでおり，これはその典型的な例と言えましょう。

ビアフラの新聞は証人たちに関する敵対的な記事を掲載したため，まもなく一般の人々の証人たちに対する見方は悪くなりました。すべての人を引き入れるための徹底的な宣伝に牧師たちも荷担し，それに足並をそろえない人は防害者とみなされて略奪されたりしました。若い男のエホバの証人たちは無理やり軍事教練所に引っぱって行かれ，兵隊になることを拒絶すると，激しく殴打されました。こうした火のような試練に直面して，彼らはどのように信仰を保ったのでしょうか。

ひとりの若い開拓奉仕者の例を紹介しましょう。その証人が，自分はすでにキリストの兵卒であると答えると，「おまえのキリストの兵卒としての任務は終わりだ。おまえはこれからビアフラの兵士なのだ」ということばとともに，頭を横ざまにぶたれました。それに屈するどころか勇敢にも彼は，「わたしは，キリストの兵卒という任務が取り消されたという通知をまだエホバから受け取っていませんから，そうした通知があるまでわたしの任務は継続します」と答えました。さらにひどい仕打ちを受けたにもかかわらず，彼は忠実を保ちました。別の例ですが，若い証人は，地下の燃料庫の中で拷問にあって死にました。大ぜいの証人が激しく殴打されました。まるで動物のように付けねらわれた者もいます。そうした例をいくつもあげたあと，ある巡回する監督奉仕者は，「彼らは自分たちが火に耐える建材で建てられていることを証明しました」と述べました。さらに，別の巡回のしもべはこう語りました。「エホバが戦争の動乱中にご自分のしもべをどのようにささえられたかを思い返すと，満足感を与えられます。エホバはわたしたちの信仰を強め，わたしたちに勇気を与えてくださいました。そして，わたしたちのために祈ってくださった，世界じゅうの兄弟たちに感謝しています。それらの祈りは驚異的な方法で聞きとどけられました」。